文字の大きさ
大
中
小
231 / 2,093
闘技祭 決戦編
ゴウライの謎
「あっ……レナさん」
「ん、ジャンヌさん?」
「ジャンヌで構いませんよ」
浴室に向かう途中、レナは通路でジャンヌと出会う。彼女は仕事上がりなのか身に付けている革鎧には血の跡が付いていた。
「仕事上がり?」
「ええ、依頼を引き受けて少し遠くの街に向かったのですが、帰りの馬車が途中で壊れて大会まで間に合わなくなる所でした」
「よく帰ってこれたね」
「途中、通りすがりの商団の方に頼んでここまで運んできてもらいました。レナさんは鍛錬を終えた後ですか?」
「まあね。明日に備えて今日は早めに切り上げたよ」
「いよいよ明日ですね……お互いに頑張りましょう」
レナの言葉にジャンヌは表情を引き締め、明日の闘技祭を意識して緊張感を抱く。泣いても笑っても明日から闘技祭が開催され、まずは予選を勝ち抜かなければならない。
「試合の参加者は100名を超えるそうです。明日の予選がどのように行われるのかは分かりませんが、出来ればレナさんとは本選で戦いたいです」
「そうだね。そういえばロウガさんはどうしてる?最近は姿が見えないけど……」
「ロウガ様は……すいません、私も分かりません」
ロウガの名前が出た途端にジャンヌは悲しげな表情を浮かべ、彼女もロウガの動向は知らないという。ロウガは過去に二度もレナの命を狙った事をマリアに知られ、彼女に激しく叱責された。ロウガは必死に剣鬼の存在の危険性を伝えたが、マリアは彼の言葉を聞き入れず、レナに近づかないように命じる。
ジンから受けた傷が癒えたロウガは姿を消してしまい、ハンゾウとカゲマルが調査を行おうとしたが、彼の消息は未だに掴めていない。ロウガを慕っていた冒険者達は悲しみ、特に親交があったジャンヌも落ち込む。しかし、ロウガは自分が使える主人の甥を殺そうとした事実は間違いなく、本来ならば冒険者を解雇されてもおかしくはない。
「あの……レナ様はロウガ様の事を恨んでいますか?」
「まあ、好きになりそうはないね。全然関りのない人に殺されそうになったのは初めてだよ」
レナもロウガに良い印象は抱いておらず、自分が「剣鬼」だからという理由で殺害しようとするロウガに対しては色々と思う所はある。しかし、アイリスから歴代の剣鬼が犯した様々な悪行は耳にしており、ロウガが自分の事を警戒する事は仕方ないと反面に納得はしている。
「そういえばゴウライ……さんは何処にいるの?ここに来てから一度も姿を見てないけど」
「ゴウライ様は基本的にギルドに留まる事はありません。戻ってきても新しい仕事を引き受けて遠征したり、暇さえあれば修行しています。今頃は山籠もりでもしているのではないでしょうか?」
「そうなのか……」
シズネの親の仇であり、最強の剣聖と言われているゴウライとはレナは闘技場で顔を合わせた時から見かけておらず、ジャンヌによるとゴウライは滅多に冒険者ギルドに戻らないという。それで冒険者として成り立つのかと疑問を抱くが、明日までには戻ってくる予定らしい。
「そういえば前から気になっていたんだけどさ、ゴウライさんの中身はどんな感じなの?」
「中身、ですか?」
「外に出るときも全身を甲冑で覆い隠しているからどんな顔か気になってさ、どういう人なの?」
「す、すいません……私も見た事がないんです」
「そうなの?一緒のギルドの冒険者仲間なのに?」
「はい。恐らく、私以外の人も見た事はないと思います。ゴウライ様があの甲冑を外した姿を見た事がありません」
「いや、でも食事とか風呂に入る時はどうするの?」
「それが誰もゴウライ様が食事をしている姿を見た事がありません。実は私はゴウライ様の共として一緒に仕事を引き受けて半日ほど行動を共にした事もありますが、その時も顔を確認できませんでした」
「え?じゃあ、本当に誰も見た事ないの?」
ジャンヌの言葉にレナは驚き、ますますゴウライの中身が気になってしまう。アイリスに尋ねれば答えてくれるだろうが、ここまでくると自分の目でゴウライの顔を拝見したくなり、もしも本人に遭遇したら顔を見せてくれないのか尋ねる事に決めた。
「それはそうとレナ様は何処へ向かわれるのですか?」
「風呂に入りに行こうと思ったんだけど……」
「あ、それは止めておいた方が良いかもしれません。さっき、清掃中の看板が立てかけられていたので……」
「え?そうなの?」
浴室が清掃中ならば当然派は入る事は出来ず、仕方なくレナは引き返そうかと考えた時、ジャンヌがある事を思いついたように話しかける。
「あ……でもマリア様が使っているギルドマスター専用の風呂場なら使えるかもしれませんよ。普段はマリア様以外の人が扱うのは禁止されていますが、レナ様ならば入っても問題ないと思います」
「あ、あそこか……前に一度は行った事があるけど、広すぎて落ち着かなかったんだよね」
ギルドの地下に存在するマリア専用の浴室を思い出し、レナも一度だけ入った事があるため、場所は知っている。ジャンヌに礼を告げ、ギルドの地下へ向かう。
「ん、ジャンヌさん?」
「ジャンヌで構いませんよ」
浴室に向かう途中、レナは通路でジャンヌと出会う。彼女は仕事上がりなのか身に付けている革鎧には血の跡が付いていた。
「仕事上がり?」
「ええ、依頼を引き受けて少し遠くの街に向かったのですが、帰りの馬車が途中で壊れて大会まで間に合わなくなる所でした」
「よく帰ってこれたね」
「途中、通りすがりの商団の方に頼んでここまで運んできてもらいました。レナさんは鍛錬を終えた後ですか?」
「まあね。明日に備えて今日は早めに切り上げたよ」
「いよいよ明日ですね……お互いに頑張りましょう」
レナの言葉にジャンヌは表情を引き締め、明日の闘技祭を意識して緊張感を抱く。泣いても笑っても明日から闘技祭が開催され、まずは予選を勝ち抜かなければならない。
「試合の参加者は100名を超えるそうです。明日の予選がどのように行われるのかは分かりませんが、出来ればレナさんとは本選で戦いたいです」
「そうだね。そういえばロウガさんはどうしてる?最近は姿が見えないけど……」
「ロウガ様は……すいません、私も分かりません」
ロウガの名前が出た途端にジャンヌは悲しげな表情を浮かべ、彼女もロウガの動向は知らないという。ロウガは過去に二度もレナの命を狙った事をマリアに知られ、彼女に激しく叱責された。ロウガは必死に剣鬼の存在の危険性を伝えたが、マリアは彼の言葉を聞き入れず、レナに近づかないように命じる。
ジンから受けた傷が癒えたロウガは姿を消してしまい、ハンゾウとカゲマルが調査を行おうとしたが、彼の消息は未だに掴めていない。ロウガを慕っていた冒険者達は悲しみ、特に親交があったジャンヌも落ち込む。しかし、ロウガは自分が使える主人の甥を殺そうとした事実は間違いなく、本来ならば冒険者を解雇されてもおかしくはない。
「あの……レナ様はロウガ様の事を恨んでいますか?」
「まあ、好きになりそうはないね。全然関りのない人に殺されそうになったのは初めてだよ」
レナもロウガに良い印象は抱いておらず、自分が「剣鬼」だからという理由で殺害しようとするロウガに対しては色々と思う所はある。しかし、アイリスから歴代の剣鬼が犯した様々な悪行は耳にしており、ロウガが自分の事を警戒する事は仕方ないと反面に納得はしている。
「そういえばゴウライ……さんは何処にいるの?ここに来てから一度も姿を見てないけど」
「ゴウライ様は基本的にギルドに留まる事はありません。戻ってきても新しい仕事を引き受けて遠征したり、暇さえあれば修行しています。今頃は山籠もりでもしているのではないでしょうか?」
「そうなのか……」
シズネの親の仇であり、最強の剣聖と言われているゴウライとはレナは闘技場で顔を合わせた時から見かけておらず、ジャンヌによるとゴウライは滅多に冒険者ギルドに戻らないという。それで冒険者として成り立つのかと疑問を抱くが、明日までには戻ってくる予定らしい。
「そういえば前から気になっていたんだけどさ、ゴウライさんの中身はどんな感じなの?」
「中身、ですか?」
「外に出るときも全身を甲冑で覆い隠しているからどんな顔か気になってさ、どういう人なの?」
「す、すいません……私も見た事がないんです」
「そうなの?一緒のギルドの冒険者仲間なのに?」
「はい。恐らく、私以外の人も見た事はないと思います。ゴウライ様があの甲冑を外した姿を見た事がありません」
「いや、でも食事とか風呂に入る時はどうするの?」
「それが誰もゴウライ様が食事をしている姿を見た事がありません。実は私はゴウライ様の共として一緒に仕事を引き受けて半日ほど行動を共にした事もありますが、その時も顔を確認できませんでした」
「え?じゃあ、本当に誰も見た事ないの?」
ジャンヌの言葉にレナは驚き、ますますゴウライの中身が気になってしまう。アイリスに尋ねれば答えてくれるだろうが、ここまでくると自分の目でゴウライの顔を拝見したくなり、もしも本人に遭遇したら顔を見せてくれないのか尋ねる事に決めた。
「それはそうとレナ様は何処へ向かわれるのですか?」
「風呂に入りに行こうと思ったんだけど……」
「あ、それは止めておいた方が良いかもしれません。さっき、清掃中の看板が立てかけられていたので……」
「え?そうなの?」
浴室が清掃中ならば当然派は入る事は出来ず、仕方なくレナは引き返そうかと考えた時、ジャンヌがある事を思いついたように話しかける。
「あ……でもマリア様が使っているギルドマスター専用の風呂場なら使えるかもしれませんよ。普段はマリア様以外の人が扱うのは禁止されていますが、レナ様ならば入っても問題ないと思います」
「あ、あそこか……前に一度は行った事があるけど、広すぎて落ち着かなかったんだよね」
ギルドの地下に存在するマリア専用の浴室を思い出し、レナも一度だけ入った事があるため、場所は知っている。ジャンヌに礼を告げ、ギルドの地下へ向かう。
感想 5,097
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
『ベルンハルト・フォン・バーデンは平穏に暮らしたい』
GamaFrog男爵家三男、ベルンハルト・フォン・バーデン。
家督継承権はなく、本来ならどこかの官職に就くか、他家へ仕えるか、婿入りするか――そんな将来が待っているはずだった。
しかしベルは少しだけ優秀すぎた。
小遣い稼ぎのつもりで始めた商売は成功し、気付けば父親より金を持ち、長男より領地経営に詳しく、次男より商売が上手くなっていた。
本人に出しゃばる気はない。
ただ普通に生きていただけだ。
それでも、優秀すぎる三男の存在は家族との距離を少しずつ広げていった。
家に居場所がなくなった。
だからベルは学園へ来た。
貴族だから一応入学した。
家にいるより気楽だったから。
静かに暮らしたかったから。
寄付金を積んで手に入れた広い寮部屋で、本を読み、昼寝をし、卒業後は適当な文官になって平穏に生きる
そのはずだった。
だが現実は違った。
男装令嬢に懐かれ。
王太子に目を付けられ。
商会には囲い込まれ。
気付けば平穏はどこへやら。
本人はただ平穏に暮らしたいだけ。
周囲はなぜか放っておいてくれない。
これは、面倒事を嫌う規格外の天才が、静かな人生を目指して失敗し続ける物語である。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
真の皇帝は俺です ~面倒だから幼なじみに帝位を任せていたら、婚約者に捨てられました。正体を明かしたら全員後悔してももう遅い~
由香皇帝の仕事が面倒だったレインは、信頼する幼なじみアレクシスに表向きの皇帝を任せ、自身は陰から帝国を支えていた。
だがある日、婚約者エミリアは「権力も将来性もない」と彼を見限り婚約破棄を宣言する。
しかし彼女は知らなかった。
帝国を動かしていた真の支配者が誰なのかを。
これは全てを持ちながら隠していた男と、見るべきものを見失った者たちの後悔の物語。
クラス全員で異世界召喚されたが、俺だけ教室に取り残されたのでとりあえず帰宅した
中山(ほ) クラス全員で異世界召喚されたが、先生と俺が残っていた。
魔法もチートスキルもステータス画面すら表示されない、ただの「残され損」
異世界に行けなかった俺を待っていたのは、世知辛い現実だった。
AI使用状況
GoogleのGeminiさん使ってます〜
誤字脱字チェックと調べ物お願いしてます
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。