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闘技祭 決戦編
ゴウライ(中身)との対話
――数十秒後、レナは薬草の粉末を混ぜ合わせた浴槽の中でゴウライと向き直り、彼女と向かい合う形でお湯に浸かる。ゴウライの正体が女性だった事は驚いたが、どうして彼女が風呂の中に乗り込んできたのかをレナは問い質す必要があった。
「がはははっ!!風呂に入るなど久しぶりだな。一か月ぶりぐらいか?」
「はあ……じゃあ、普段はどうやって身体を洗っているんですか?」
「基本的には水浴びだな。それだけで十分に汚れが落ちる」
ゴウライは肩までお湯に浸かりながら身体を伸ばし、男性であるレナが存在するにも関わらずに緊張した様子も見せず、身体を見られても動揺しない。あまりに堂々としているため、レナとしてもどう反応すればいいのか分からず、とりあえずは直視しないように顔を反らしながら話しかけた。
「それで……ゴウライさんは俺に何の話があるんですか?」
「おお、そうだった。忘れるところだった」
「いや、立ち上がらないで下さい!!見えちゃいますから!!」
レナの言葉にゴウライは身体を起き上げようとすると、レナは咄嗟に手で顔を抑える。しかし、ゴウライは気にした風もなく自分の胸元を掴み、笑い声をあげる。
「ん?なんだ?吾輩の身体を見て照れているのか?可愛い奴だな」
「なんでそんなに堂々としていられるんですか……」
「気にするな。吾輩は女として生きる事をもう捨てている。それに人と話す時に顔を反らすのは失礼ではないか?」
「じゃあ、せめて風呂に入って下さい……」
「仕方がない奴だ」
渋々とゴウライは湯船につかり、レナと向き合う。彼が顔を向けるのを確認すると、早速本題に入る。
「では話を始めようか」
「あ、待ってください。その前に聞きたいことがあるんですけど……」
「うむ、構わんぞ?何が聞きたい?」
「良く俺の正体に気付きましたね。闘技場で戦っていた時は変装してたのに……」
闘技場でゴウライと遭遇した時のレナはドルトン商会の代表選手の「ルナ」として変装した状態だったが、現在のレナは変装はしていない。レナとルナが同一人物である事を知っているのは一部の人間だけのはずだが、ゴウライが知っていた事にレナは疑問を抱く。
「何だ、そんな事か……吾輩が剣士を見間違えるはずがないだろう。訓練中に見せたお前の剣筋は闘技場で活躍していた剣士と同じ剣筋だった。だからルナというのがお前が変装していた存在だと気づいたのだ」
「剣筋……?」
「特にお前のような剣士は珍しいからな。人間なのに獣人族と似た筋肉の付き方をしている事から珍しいとは思っていた」
流石に最強の剣士と呼ばれるだけはあり、ゴウライの観察能力は凄まじく、試合で見せたルナの剣技と訓練場で見かけたレナの剣技が同じ物である事に気付き、正体を見破ったという。
「さて、聞きたいことはそれだけか?ならば吾輩の話も聞いてもらうぞ」
「どうぞ」
「では率直に尋ねるが、レナと言ったな?お前の相棒に関してだが……」
「……シズネ?」
シズネの話題が出た事にレナは表情を引き締め、まさかゴウライの方から彼女の話をするとは予想外だった。しかし、ゴウライはシズネの父親を討ち取った剣士であり、シズネにとっては父の仇である。そんな彼女が何を言い出すのかとレナは身構える。
「そう、シズネだ。何故かあの娘を冒険者ギルドで見かけてな。顔を見かけただけで話しかけなかったが、他の人間に聞くとお前達が最近はここ寝泊まりしていると聞いたんだが、氷雨のギルドの冒険者になったのか?」
「えっ……?」
だが、ゴウライが質問したのはレナとシズネがギルドに滞在している理由であり、彼はギルドに戻ってきたばかりでレナ達の事情は伝わっていなかったようであり、直接問い質すために訪れたという。
「あの……聞きたいことはそれだけですか?」
「うむ」
「えっとですね……その、色々と理由があって俺達は氷雨のギルドに匿って貰っているんです」
「ほう、そういう事だったのか。複雑な事情か?」
「まあ、一応は……」
「そうか、納得したぞ。それなら好きなだけ居るがいい!!困り事があったら吾輩に相談しても構わんぞ!!」
豪快な笑い声を上げながらゴウライはレナの肩を叩き、聞きたい事を聞けて満足したのか彼女は立ち上がり、浴槽から出ていこうとする。
「じゃあ、吾輩はもう上がるぞ。お前達とは闘技祭で戦える事を楽しみにしているぞ!!」
「ちょ、ちょっと!!聞きたいことはそれだけなんですか?」
「ん?そうだが?」
「シズネの事で他に聞きたいことはないんですか!?」
慌ててレナは風呂場から出ていこうとするゴウライを引き留め、他にシズネに関して何か聞く事はないのかと問い質すが、彼女は手に顎を押し当てて考え込む。
「……ないな。別に吾輩とあの娘はそれほど仲良くはないからな」
「でも、シズネの父親を討ち取ったのは貴女なんでしょう?その事でシズネに何か思う所はないんですか?」
「そうは言ってもな……ギラン殿との試合は吾輩としても色々と思う所はある。しかし、吾輩はあくまでも正々堂々と戦ったつもりだ。ギラン殿も最後まで誇り高き剣士として戦ってくれた。だから吾輩が勝ち、ギラン殿が負けた。それだけの話だ。過程はどうであろうと吾輩が勝利した事に違いはない」
「でも、そのせいでシズネは貴女を恨んでますよ」
「まあ、それは仕方ないだろう。結果的には吾輩がギラン殿を殺したことに変わりはないからな。その事で恨まれても仕方がない。しかし、だからといって吾輩があの娘に謝罪も同情もするつもりはない。吾輩とギラン殿はお互いに正々堂々と決闘をしたつもりだからな」
「……そうですか」
ゴウライの言葉を聞いてレナは引き下がり、彼女がシズネに対して特に哀れみや同情の感情は抱いていない事を知る。しかし、ゴウライの言い分も決して間違いではなく、過程はともかく決闘で敗れたのはギランである事に間違いはない。
「がはははっ!!風呂に入るなど久しぶりだな。一か月ぶりぐらいか?」
「はあ……じゃあ、普段はどうやって身体を洗っているんですか?」
「基本的には水浴びだな。それだけで十分に汚れが落ちる」
ゴウライは肩までお湯に浸かりながら身体を伸ばし、男性であるレナが存在するにも関わらずに緊張した様子も見せず、身体を見られても動揺しない。あまりに堂々としているため、レナとしてもどう反応すればいいのか分からず、とりあえずは直視しないように顔を反らしながら話しかけた。
「それで……ゴウライさんは俺に何の話があるんですか?」
「おお、そうだった。忘れるところだった」
「いや、立ち上がらないで下さい!!見えちゃいますから!!」
レナの言葉にゴウライは身体を起き上げようとすると、レナは咄嗟に手で顔を抑える。しかし、ゴウライは気にした風もなく自分の胸元を掴み、笑い声をあげる。
「ん?なんだ?吾輩の身体を見て照れているのか?可愛い奴だな」
「なんでそんなに堂々としていられるんですか……」
「気にするな。吾輩は女として生きる事をもう捨てている。それに人と話す時に顔を反らすのは失礼ではないか?」
「じゃあ、せめて風呂に入って下さい……」
「仕方がない奴だ」
渋々とゴウライは湯船につかり、レナと向き合う。彼が顔を向けるのを確認すると、早速本題に入る。
「では話を始めようか」
「あ、待ってください。その前に聞きたいことがあるんですけど……」
「うむ、構わんぞ?何が聞きたい?」
「良く俺の正体に気付きましたね。闘技場で戦っていた時は変装してたのに……」
闘技場でゴウライと遭遇した時のレナはドルトン商会の代表選手の「ルナ」として変装した状態だったが、現在のレナは変装はしていない。レナとルナが同一人物である事を知っているのは一部の人間だけのはずだが、ゴウライが知っていた事にレナは疑問を抱く。
「何だ、そんな事か……吾輩が剣士を見間違えるはずがないだろう。訓練中に見せたお前の剣筋は闘技場で活躍していた剣士と同じ剣筋だった。だからルナというのがお前が変装していた存在だと気づいたのだ」
「剣筋……?」
「特にお前のような剣士は珍しいからな。人間なのに獣人族と似た筋肉の付き方をしている事から珍しいとは思っていた」
流石に最強の剣士と呼ばれるだけはあり、ゴウライの観察能力は凄まじく、試合で見せたルナの剣技と訓練場で見かけたレナの剣技が同じ物である事に気付き、正体を見破ったという。
「さて、聞きたいことはそれだけか?ならば吾輩の話も聞いてもらうぞ」
「どうぞ」
「では率直に尋ねるが、レナと言ったな?お前の相棒に関してだが……」
「……シズネ?」
シズネの話題が出た事にレナは表情を引き締め、まさかゴウライの方から彼女の話をするとは予想外だった。しかし、ゴウライはシズネの父親を討ち取った剣士であり、シズネにとっては父の仇である。そんな彼女が何を言い出すのかとレナは身構える。
「そう、シズネだ。何故かあの娘を冒険者ギルドで見かけてな。顔を見かけただけで話しかけなかったが、他の人間に聞くとお前達が最近はここ寝泊まりしていると聞いたんだが、氷雨のギルドの冒険者になったのか?」
「えっ……?」
だが、ゴウライが質問したのはレナとシズネがギルドに滞在している理由であり、彼はギルドに戻ってきたばかりでレナ達の事情は伝わっていなかったようであり、直接問い質すために訪れたという。
「あの……聞きたいことはそれだけですか?」
「うむ」
「えっとですね……その、色々と理由があって俺達は氷雨のギルドに匿って貰っているんです」
「ほう、そういう事だったのか。複雑な事情か?」
「まあ、一応は……」
「そうか、納得したぞ。それなら好きなだけ居るがいい!!困り事があったら吾輩に相談しても構わんぞ!!」
豪快な笑い声を上げながらゴウライはレナの肩を叩き、聞きたい事を聞けて満足したのか彼女は立ち上がり、浴槽から出ていこうとする。
「じゃあ、吾輩はもう上がるぞ。お前達とは闘技祭で戦える事を楽しみにしているぞ!!」
「ちょ、ちょっと!!聞きたいことはそれだけなんですか?」
「ん?そうだが?」
「シズネの事で他に聞きたいことはないんですか!?」
慌ててレナは風呂場から出ていこうとするゴウライを引き留め、他にシズネに関して何か聞く事はないのかと問い質すが、彼女は手に顎を押し当てて考え込む。
「……ないな。別に吾輩とあの娘はそれほど仲良くはないからな」
「でも、シズネの父親を討ち取ったのは貴女なんでしょう?その事でシズネに何か思う所はないんですか?」
「そうは言ってもな……ギラン殿との試合は吾輩としても色々と思う所はある。しかし、吾輩はあくまでも正々堂々と戦ったつもりだ。ギラン殿も最後まで誇り高き剣士として戦ってくれた。だから吾輩が勝ち、ギラン殿が負けた。それだけの話だ。過程はどうであろうと吾輩が勝利した事に違いはない」
「でも、そのせいでシズネは貴女を恨んでますよ」
「まあ、それは仕方ないだろう。結果的には吾輩がギラン殿を殺したことに変わりはないからな。その事で恨まれても仕方がない。しかし、だからといって吾輩があの娘に謝罪も同情もするつもりはない。吾輩とギラン殿はお互いに正々堂々と決闘をしたつもりだからな」
「……そうですか」
ゴウライの言葉を聞いてレナは引き下がり、彼女がシズネに対して特に哀れみや同情の感情は抱いていない事を知る。しかし、ゴウライの言い分も決して間違いではなく、過程はともかく決闘で敗れたのはギランである事に間違いはない。
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