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闘技祭 決戦編
レミアの怒り
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「それならレミアさんにアスカロンを渡せば王妃を裏切るの?」
「……あの方には恩義があります。今のルトリア家が存続できるのは王妃様のお陰であり、私が大将軍に選ばれたのもあの御方のお陰です。ですが……ルトリア家の名誉を取り戻すためならばどのような手段を用いてでも私は……」
「覚悟は出来ているようね」
レミアの言葉を聞いて三人は納得し、早々にマリアに話を伝える必要がある。しかし、レミアはレナに視線を向け、複雑そうな表情を浮かべる。
「今回の件とは別にルナ様……いえ、レナ様には恩義があります」
「あ、やっぱり正体はバレてたか……それなら変装の意味もなかったかな」
「既に王妃様から情報は伝わっています。貴方の正体は既に王妃様の側近と一部の兵士にのみに伝わっています」
既に白銀の剣士ルナの正体がレナである事は王妃側も把握しており、レミアを含めた王妃に仕える人間の大半はルナとレナが同一人物である事を知っていた。予想はしていた事だが、正体を知られている以上は常に警戒せねばならず、レナは今後は闘技場内での単独行動は控える事を決めた。
「でも、恩義ってなんの話?俺、レミアさんとはこの間に会ったばかりのはずだけど……」
「白騎士レイナが私の先祖である事を知っていますか?この闘技場で死人と化した彼女を貴方が葬ったと聞いています」
「あっ……そういえばそうだった」
「おおっ!!」
「そういえば確かにそうだったわね……もう随分と昔の話のように思えるわ」
数か月前、レナは闘技場で死霊人形によって甦らされた「白騎士レイナ」と戦い、勝利を収めた。これまでの試合の中で最も過酷な戦闘だったのでレナもよく覚えており、レイナの形見として受け取った「指輪」を思い出す。
「そういえばこれを回収してたんだけ……子孫の貴方に返します」
「これは……?」
「レイナさんが持っていた指輪です」
空間魔法を発動させ、レナはレミアに白騎士レイナが所持していた「白銀の指輪」を渡す。彼女は驚いた表情を浮かべ、寂しげな表情を浮かべる。
「……ありがとうございます。レイナの魂を救っていただき、感謝します」
「感謝?結果的にとはいえ、貴方の先祖を倒したのよ?」
「死霊人形と化した者は浄化させる以外に救済する方法はありません。出来れば私の手で救いたかったのですが……先祖を助けて頂き、ありがとうございます」
「なるほど……先祖を救ってくれたからレナ殿に恩義があると言っていたのでござるな」
レミアはアスカロンの件を除き、個人的にレナには恩義を感じていた。だからこそ彼女はレナの命を奪うように命じた王妃の命令に背き、彼と話し合うために出迎えたという。
「私が調べたところ、闘技場で利用された白騎士レイナの遺体を死霊人形に変貌させた死霊使いの正体は「キラウ」と呼ばれている死霊使いだと判明しました。このキラウは王妃様と繋がりがある事も既に判明しています」
「キラウか……そういえば腐敗竜を操っていたのもあいつだよな」
「それは……本当ですか?」
レナの言葉にレミアは動揺し、冒険都市を襲撃した腐敗竜の事は彼女も耳にしている。しかし、腐敗竜を操っていた死霊使いの正体がキラウだった事は彼女も知らなかったらしく、レナはこの際に王都の帝国軍が腐敗竜の討伐に動かなかった理由を問い質す。
「どうして腐敗竜が現れた時に王国は軍隊を派遣しなかったの?」
「……私は討伐軍を派遣するべきだと進言しました。しかし、国王様は聞き入れてくれず、王妃様も派遣には反対しました。ですが、腐敗竜を操作していた死霊使いの正体がキラウだとしたら合点がいきました。腐敗竜を利用して冒険都市を襲わせたのは……」
「王妃、でしょうね」
「そうとしか考えられないでござる」
シズネとハンゾウの言葉にレミアは歯を食いしばり、王妃の悪行を知って怒りを抱く。レナ達の話には証拠はないが、それでも辻褄は合う。王妃が討伐軍の派遣を拒んだのは邪魔者が多い冒険都市を腐敗竜を利用して潰すためだったと考えれば違和感はない。
「……信じてくれとは言わないけど、王妃は旧帝国と繋がりがあるよ」
「旧帝国!?どうして奴等と……」
「レミアさんも薄々とは感じていたんじゃないの?王妃の目的は王国の実権を握り、支配する事を……」
「そう、ですね」
王妃に仕えてから数年も経過すればレミアも王妃の目的は薄々と理解していた。しかし、敢えて目を背けて自分が王国を転覆させようとする人物に加担している事を認めようとはしなかったが、レナの言葉を聞いて真実から逃れられない事を自覚する。
「王妃はバルトロス王国を奪おうとしている。レミアさん、貴方が忠誠を誓っているのは王国?それとも王妃?」
「私は……」
レナの言葉にレミアは瞼を瞑り、そして意を決したように答えた。
「無論、決まっています。私は王国の大将軍、国に忠誠を誓う者です。何者であろうと、王国を脅かす存在は容赦しません」
「……あの方には恩義があります。今のルトリア家が存続できるのは王妃様のお陰であり、私が大将軍に選ばれたのもあの御方のお陰です。ですが……ルトリア家の名誉を取り戻すためならばどのような手段を用いてでも私は……」
「覚悟は出来ているようね」
レミアの言葉を聞いて三人は納得し、早々にマリアに話を伝える必要がある。しかし、レミアはレナに視線を向け、複雑そうな表情を浮かべる。
「今回の件とは別にルナ様……いえ、レナ様には恩義があります」
「あ、やっぱり正体はバレてたか……それなら変装の意味もなかったかな」
「既に王妃様から情報は伝わっています。貴方の正体は既に王妃様の側近と一部の兵士にのみに伝わっています」
既に白銀の剣士ルナの正体がレナである事は王妃側も把握しており、レミアを含めた王妃に仕える人間の大半はルナとレナが同一人物である事を知っていた。予想はしていた事だが、正体を知られている以上は常に警戒せねばならず、レナは今後は闘技場内での単独行動は控える事を決めた。
「でも、恩義ってなんの話?俺、レミアさんとはこの間に会ったばかりのはずだけど……」
「白騎士レイナが私の先祖である事を知っていますか?この闘技場で死人と化した彼女を貴方が葬ったと聞いています」
「あっ……そういえばそうだった」
「おおっ!!」
「そういえば確かにそうだったわね……もう随分と昔の話のように思えるわ」
数か月前、レナは闘技場で死霊人形によって甦らされた「白騎士レイナ」と戦い、勝利を収めた。これまでの試合の中で最も過酷な戦闘だったのでレナもよく覚えており、レイナの形見として受け取った「指輪」を思い出す。
「そういえばこれを回収してたんだけ……子孫の貴方に返します」
「これは……?」
「レイナさんが持っていた指輪です」
空間魔法を発動させ、レナはレミアに白騎士レイナが所持していた「白銀の指輪」を渡す。彼女は驚いた表情を浮かべ、寂しげな表情を浮かべる。
「……ありがとうございます。レイナの魂を救っていただき、感謝します」
「感謝?結果的にとはいえ、貴方の先祖を倒したのよ?」
「死霊人形と化した者は浄化させる以外に救済する方法はありません。出来れば私の手で救いたかったのですが……先祖を助けて頂き、ありがとうございます」
「なるほど……先祖を救ってくれたからレナ殿に恩義があると言っていたのでござるな」
レミアはアスカロンの件を除き、個人的にレナには恩義を感じていた。だからこそ彼女はレナの命を奪うように命じた王妃の命令に背き、彼と話し合うために出迎えたという。
「私が調べたところ、闘技場で利用された白騎士レイナの遺体を死霊人形に変貌させた死霊使いの正体は「キラウ」と呼ばれている死霊使いだと判明しました。このキラウは王妃様と繋がりがある事も既に判明しています」
「キラウか……そういえば腐敗竜を操っていたのもあいつだよな」
「それは……本当ですか?」
レナの言葉にレミアは動揺し、冒険都市を襲撃した腐敗竜の事は彼女も耳にしている。しかし、腐敗竜を操っていた死霊使いの正体がキラウだった事は彼女も知らなかったらしく、レナはこの際に王都の帝国軍が腐敗竜の討伐に動かなかった理由を問い質す。
「どうして腐敗竜が現れた時に王国は軍隊を派遣しなかったの?」
「……私は討伐軍を派遣するべきだと進言しました。しかし、国王様は聞き入れてくれず、王妃様も派遣には反対しました。ですが、腐敗竜を操作していた死霊使いの正体がキラウだとしたら合点がいきました。腐敗竜を利用して冒険都市を襲わせたのは……」
「王妃、でしょうね」
「そうとしか考えられないでござる」
シズネとハンゾウの言葉にレミアは歯を食いしばり、王妃の悪行を知って怒りを抱く。レナ達の話には証拠はないが、それでも辻褄は合う。王妃が討伐軍の派遣を拒んだのは邪魔者が多い冒険都市を腐敗竜を利用して潰すためだったと考えれば違和感はない。
「……信じてくれとは言わないけど、王妃は旧帝国と繋がりがあるよ」
「旧帝国!?どうして奴等と……」
「レミアさんも薄々とは感じていたんじゃないの?王妃の目的は王国の実権を握り、支配する事を……」
「そう、ですね」
王妃に仕えてから数年も経過すればレミアも王妃の目的は薄々と理解していた。しかし、敢えて目を背けて自分が王国を転覆させようとする人物に加担している事を認めようとはしなかったが、レナの言葉を聞いて真実から逃れられない事を自覚する。
「王妃はバルトロス王国を奪おうとしている。レミアさん、貴方が忠誠を誓っているのは王国?それとも王妃?」
「私は……」
レナの言葉にレミアは瞼を瞑り、そして意を決したように答えた。
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