文字の大きさ
大
中
小
269 / 2,093
闘技祭 決戦編
まさかのホネミン
――シズネ達が王妃の企みを推察している間、レナはコトミンとスラミンを連れて闘技場内の人気のつかない場所に存在した。事前にハンゾウが調査して周囲に人間が存在せず、映像水晶も設置されていないことを確認済みであり、レナは内密に呼び寄せていた人物と顔を会わせていた。
『いや~試合見てましたよ。流石はレナさんですね、私の所に居た時よりも強くなられたようで感心しましたよ』
「あれから別にそんなに月日経ってないでしょ。それにしても本当にその姿だと違和感あるな……大迷宮に居た時は全裸だったのに」
『その言い方、私が変態みたいに聞こえるから止めてくれませんかね』
「前の方が可愛かった……戻して」
『戻してって……この姿が本当の私なんですけどね』
「拙者は未だに信じられないでござる。まさか本当にあの大迷宮から抜け出して応援に駆け付けるとは……意外と友達想いでござる」
『まあ、私が暇を持て余していたという理由もありますけどね』
「ぷるぷるっ」
――レナとコトミン、そしてスラミンを抱えたハンゾウの目の前にはフードで身体を覆い隠した白髪の少女が存在し、彼女の正体は「塔の大迷宮」でレナ達が遭遇した「ホネミン」である。ほんの少し前、レナが街中で偶然にも彼女を発見し、密かに保護していた。
「それにしてもホネミンも急に来るなら連絡ぐらいしてよ。電話とか、メールとか、狼煙とか……」
『いや、電話番号もメアドも教えて貰ってないんですけど、しかも狼煙って……忍者じゃないんですから』
「今時の忍者も狼煙なんて古典的な方法はやらないでござる」
「ホネミン、元の姿に戻れたの?」
『今更それを質問するんですか……違いますよ。ほら、よく見てください』
コトミンの言葉にホネミンは右腕を差し出し、3人は覗き込む。一見するだけでは普通の腕にしか見えないが、唐突に手の甲の部分が膨らみ、やがて全体が黄色のスライムが出現した。
「ぷるりんっ」
「うわ、何だこいつ……ホネミンに寄生してたのか。よし、右腕から現れたから……ミギィと名付けよう」
『いや、間違ってはいないんですけどその言い方止めてくれません?しかも勝手に名付けないで下さい』
「なるほど、スライムに張り付かせて人間の姿に擬態しているのでござるな」
『そうなんですよ。肉体の表面を魔鎧術で覆いこみ、その上にスライムを張り付かせて人間の姿に完璧に化けているんです』
現在のホネミンが人間のように姿を変化しているのは彼女の扱う「魔鎧術」とスライムの「擬態」を利用した変装であり、この姿なら普通に話す事も出来る。だが、常に魔鎧術を発動しなければならないので魔力の消費量が大きく、定期的に魔力を回復させなければならない。
「ほら、魔力回復薬を持ってきたよ。これを飲んで仕事を頑張ってね」
『いや、栄養剤じゃないんですから……すいませんね』
「ホネミン、このスライムの名前は?」
「ぷるりんちょっ」
スラミンやヒトミンと比べると独特的な鳴き声を行うスライムに対し、コトミンは興味を抱いたのか手を伸ばすが、スライムは怯えるように身体を縮めてしまう。
『あ、この子の名前はプルミンです。偶然、土竜が生息していた荒野で見つけたんですよ』
「プルミン……その名前のセンスはどうかと思うよ」
『レナさんだけには言われたくはないですよ!!』
「ぷるりっ……」
レナの言葉に心外とばかりにホネミンがツッコミを入れると、手の甲のプルミンが肌に溶け込み、完全に姿を消し去る。その光景にコトミンは残念そうな表情を浮かべ、スラミンが彼女を慰めるようにハンゾウから離れて頭の上に移動する。
『すいませんね、恥ずかしがり屋だから私以外の人には懐かないんですよ。私もこの子を捕獲するときに苦労しましたよ』
「それにしてもなんで荒野にスライムが居たの?水場ある場所にしか生息しないんでしょ?」
『いや、聞いて下さいよ。実は私、荒野を移動する途中でサンドワームの死骸を発見したんですよ。その時、間違って食べられていたのかサンドワームの口の中から胃液まみれのスライムが現れたんですよ』
「サンドワームの死骸……また誰かが安全に通過するためにサンドワームを利用したのでござるな」
土竜が生息する「ルドリ荒野」では土竜の餌となるサンドワームの死骸を利用し、安全に荒野を潜り抜けようとする輩も存在する。ホネミンも荒野を抜ける際に偶然にも土竜から食い散らかされたサンドワームの死骸を発見したらしく、捕食されていたのかサンドワームの口の中に存在したプルミンを発見したという。
『このが黄色いのはきっと胃液を糧にして生き続けてきたからでしょうね。だから普通のスライムと違って酸性を帯びているので気を付けて下さい』
「え?という事はホネミンもいずれ消化されるんじゃないの?」
『怖い事を言わないで下さいよ。大丈夫です、ちゃんと魔鎧術で全身を保護しているので溶かされる心配はありません』
「胃液を糧にするとは……スライムの生命力も馬鹿に出来ないでござる」
「ぷるぷるっ」
同族が褒められたと思ったのかスラミンは嬉しそうに体をくねらせ、そんな彼をコトミンは抱きかかえると、ホネミンに改めて質問を行う。
『いや~試合見てましたよ。流石はレナさんですね、私の所に居た時よりも強くなられたようで感心しましたよ』
「あれから別にそんなに月日経ってないでしょ。それにしても本当にその姿だと違和感あるな……大迷宮に居た時は全裸だったのに」
『その言い方、私が変態みたいに聞こえるから止めてくれませんかね』
「前の方が可愛かった……戻して」
『戻してって……この姿が本当の私なんですけどね』
「拙者は未だに信じられないでござる。まさか本当にあの大迷宮から抜け出して応援に駆け付けるとは……意外と友達想いでござる」
『まあ、私が暇を持て余していたという理由もありますけどね』
「ぷるぷるっ」
――レナとコトミン、そしてスラミンを抱えたハンゾウの目の前にはフードで身体を覆い隠した白髪の少女が存在し、彼女の正体は「塔の大迷宮」でレナ達が遭遇した「ホネミン」である。ほんの少し前、レナが街中で偶然にも彼女を発見し、密かに保護していた。
「それにしてもホネミンも急に来るなら連絡ぐらいしてよ。電話とか、メールとか、狼煙とか……」
『いや、電話番号もメアドも教えて貰ってないんですけど、しかも狼煙って……忍者じゃないんですから』
「今時の忍者も狼煙なんて古典的な方法はやらないでござる」
「ホネミン、元の姿に戻れたの?」
『今更それを質問するんですか……違いますよ。ほら、よく見てください』
コトミンの言葉にホネミンは右腕を差し出し、3人は覗き込む。一見するだけでは普通の腕にしか見えないが、唐突に手の甲の部分が膨らみ、やがて全体が黄色のスライムが出現した。
「ぷるりんっ」
「うわ、何だこいつ……ホネミンに寄生してたのか。よし、右腕から現れたから……ミギィと名付けよう」
『いや、間違ってはいないんですけどその言い方止めてくれません?しかも勝手に名付けないで下さい』
「なるほど、スライムに張り付かせて人間の姿に擬態しているのでござるな」
『そうなんですよ。肉体の表面を魔鎧術で覆いこみ、その上にスライムを張り付かせて人間の姿に完璧に化けているんです』
現在のホネミンが人間のように姿を変化しているのは彼女の扱う「魔鎧術」とスライムの「擬態」を利用した変装であり、この姿なら普通に話す事も出来る。だが、常に魔鎧術を発動しなければならないので魔力の消費量が大きく、定期的に魔力を回復させなければならない。
「ほら、魔力回復薬を持ってきたよ。これを飲んで仕事を頑張ってね」
『いや、栄養剤じゃないんですから……すいませんね』
「ホネミン、このスライムの名前は?」
「ぷるりんちょっ」
スラミンやヒトミンと比べると独特的な鳴き声を行うスライムに対し、コトミンは興味を抱いたのか手を伸ばすが、スライムは怯えるように身体を縮めてしまう。
『あ、この子の名前はプルミンです。偶然、土竜が生息していた荒野で見つけたんですよ』
「プルミン……その名前のセンスはどうかと思うよ」
『レナさんだけには言われたくはないですよ!!』
「ぷるりっ……」
レナの言葉に心外とばかりにホネミンがツッコミを入れると、手の甲のプルミンが肌に溶け込み、完全に姿を消し去る。その光景にコトミンは残念そうな表情を浮かべ、スラミンが彼女を慰めるようにハンゾウから離れて頭の上に移動する。
『すいませんね、恥ずかしがり屋だから私以外の人には懐かないんですよ。私もこの子を捕獲するときに苦労しましたよ』
「それにしてもなんで荒野にスライムが居たの?水場ある場所にしか生息しないんでしょ?」
『いや、聞いて下さいよ。実は私、荒野を移動する途中でサンドワームの死骸を発見したんですよ。その時、間違って食べられていたのかサンドワームの口の中から胃液まみれのスライムが現れたんですよ』
「サンドワームの死骸……また誰かが安全に通過するためにサンドワームを利用したのでござるな」
土竜が生息する「ルドリ荒野」では土竜の餌となるサンドワームの死骸を利用し、安全に荒野を潜り抜けようとする輩も存在する。ホネミンも荒野を抜ける際に偶然にも土竜から食い散らかされたサンドワームの死骸を発見したらしく、捕食されていたのかサンドワームの口の中に存在したプルミンを発見したという。
『このが黄色いのはきっと胃液を糧にして生き続けてきたからでしょうね。だから普通のスライムと違って酸性を帯びているので気を付けて下さい』
「え?という事はホネミンもいずれ消化されるんじゃないの?」
『怖い事を言わないで下さいよ。大丈夫です、ちゃんと魔鎧術で全身を保護しているので溶かされる心配はありません』
「胃液を糧にするとは……スライムの生命力も馬鹿に出来ないでござる」
「ぷるぷるっ」
同族が褒められたと思ったのかスラミンは嬉しそうに体をくねらせ、そんな彼をコトミンは抱きかかえると、ホネミンに改めて質問を行う。
感想 5,097
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
『ベルンハルト・フォン・バーデンは平穏に暮らしたい』
GamaFrog男爵家三男、ベルンハルト・フォン・バーデン。
家督継承権はなく、本来ならどこかの官職に就くか、他家へ仕えるか、婿入りするか――そんな将来が待っているはずだった。
しかしベルは少しだけ優秀すぎた。
小遣い稼ぎのつもりで始めた商売は成功し、気付けば父親より金を持ち、長男より領地経営に詳しく、次男より商売が上手くなっていた。
本人に出しゃばる気はない。
ただ普通に生きていただけだ。
それでも、優秀すぎる三男の存在は家族との距離を少しずつ広げていった。
家に居場所がなくなった。
だからベルは学園へ来た。
貴族だから一応入学した。
家にいるより気楽だったから。
静かに暮らしたかったから。
寄付金を積んで手に入れた広い寮部屋で、本を読み、昼寝をし、卒業後は適当な文官になって平穏に生きる
そのはずだった。
だが現実は違った。
男装令嬢に懐かれ。
王太子に目を付けられ。
商会には囲い込まれ。
気付けば平穏はどこへやら。
本人はただ平穏に暮らしたいだけ。
周囲はなぜか放っておいてくれない。
これは、面倒事を嫌う規格外の天才が、静かな人生を目指して失敗し続ける物語である。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
真の皇帝は俺です ~面倒だから幼なじみに帝位を任せていたら、婚約者に捨てられました。正体を明かしたら全員後悔してももう遅い~
由香皇帝の仕事が面倒だったレインは、信頼する幼なじみアレクシスに表向きの皇帝を任せ、自身は陰から帝国を支えていた。
だがある日、婚約者エミリアは「権力も将来性もない」と彼を見限り婚約破棄を宣言する。
しかし彼女は知らなかった。
帝国を動かしていた真の支配者が誰なのかを。
これは全てを持ちながら隠していた男と、見るべきものを見失った者たちの後悔の物語。
クラス全員で異世界召喚されたが、俺だけ教室に取り残されたのでとりあえず帰宅した
中山(ほ) クラス全員で異世界召喚されたが、先生と俺が残っていた。
魔法もチートスキルもステータス画面すら表示されない、ただの「残され損」
異世界に行けなかった俺を待っていたのは、世知辛い現実だった。
AI使用状況
GoogleのGeminiさん使ってます〜
誤字脱字チェックと調べ物お願いしてます
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。