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闘技祭 決戦編
親子の再会……ならず
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「くっ……この足捌き、やはり貴女は!!」
「発徑!!」
「うわっ!?」
「ミドル様!?」
ミドルに対して女性は掌を突き出し、彼の身体を兵士達の元へ吹き飛ばす。その光景を確認したレナ達は呆気に取られていると、女性はレナ達に指示を出す。
「ここは私に任せて行きなさい!!」
「その声……まさか!?」
「いいから早くっ!!」
「レナ!!」
女性の声を聞いてレナは目を見開き、彼女に近づこうとしたがコトミンが肩を掴んで引き留める。今は女性の指示通りに逃げる方が得策であり、ハンゾウが後方の兵士達に斬りかかる。
「抜刀!!」
「ぎゃあっ!?」
「うわぁっ!?」
鞘から引き抜かれた刀が兵士の武器や鎧を切り裂き、後方の道を開く。それを確認したレナは一度だけ女性に振り返ったが、仕方なくティナの手を握りしめて駆け抜けた。
「行くぞっ!!」
「わわっ!?」
「んっ!!」
「ま、待って欲しいっす!!」
ハンゾウを先頭にレナ達は兵士を蹴散らしながら通路を走り去り、その光景を確認した女性は口元に笑みを浮かべ、ミドルと向かい合う。相当な打撃を受けたはずだがミドルは特に損傷を負っておらず、槍を握りしめながら女性を睨みつける。
「……ふふっ、はははははっ!!」
「しょ、将軍?」
「どうされたのですか!?」
だが、唐突にミドルは槍を下ろして笑い声をあげ、周囲の兵士達は戸惑う。ミドルは口元を抑えると、仮面の女性と向き合い、余裕の表情を浮かべながら話しかける。
「いやはや、驚きましたよ。試合場で見かけた時からもしやとは思いましたが、まさか本当に貴女だったとは……冷静に考えてみればその恰好も見覚えがありますね」
「…………」
「年齢の割にはお似合いですよ。しかし、昔と比べて残念な事に腕が衰えましたね……全盛期の貴女なら先の奇襲で僕を仕留められたでしょう」
「それは……どうかしらね」
ミドルの言葉に遂に女性は仮面に手を伸ばし、素顔を晒す。その顔を見たミドルは自分の予想が当たっていた事を確信し、彼の目の前には国王の元妾の「アイラ」が立っていた。
「お久しぶりですアイラ様……屋敷から抜け出したという話を聞いた時は心配してましたが、まさか貴女の方から戻ってくるとは思いませんでした」
「戻るつもりはないけど……あの人に会わせて下さい。もう一度話し合います」
「それは許可できませんね。貴女は今から拘束し、王妃様の元に連れて行きます……お覚悟を」
「そう……なら仕方ないわね」
アイラはゆっくりと右拳を前に突き出し、左腕を隠す。ミドルとしてはレナよりもアイラを捕えた方が王妃が喜ぶと確信し、彼女に槍を向ける。かつては仕えていた主君の妾とはいえ、王妃に忠誠を誓うミドルがアイラに容赦する義理はない。
「行きますよ……アイラ様!!」
「いえ、私は帰ります」
「何っ!?」
槍を突き出そうとしたミドルが動く前にアイラの足元に「魔法陣」が誕生し、通路内に光に覆われた。ミドルは目元を抑えながらもアイラに顔を向けると、彼女の左手にマリアが作り出した「水晶札」が存在する事に気付く。
「それはっ!?」
「妹からの贈り物よ」
「……刺突!!」
左腕を隠していた真の理由に気付き、ミドルは完全に魔法陣が発動する前に槍を突き出してアイラを仕留めようとしたが、魔法陣が発光して彼女の身体を包み込む。肉体が光の粒子と消えていくアイラに槍が突き出されるが、虚しくも虚空を貫き、魔法陣は消滅してしまう。
「み、ミドル様……一体何が」
「逃げられたか……ふっ、ふふっ……」
完全に消え去ったアイラに兵士達は動揺するが、ミドルの表情を見た瞬間に恐怖で顔をゆがめ、それほどまでに今のミドルの顔立ちは恐ろしかった。しかし、すぐに冷静になったのかミドルは顔を抑えながら兵士達に落ち着いた声で指示を与える。
「すぐに彼等の後を追え……外に続く通路に見張りを送り、怪しい者は決して逃すな」
「は、はい!!」
「行くぞっ!!」
兵士達は逃走したレナ達の後を追いかけ、その様子を見送ったミドルは溜息を吐き出し、槍を握りしめる。2匹の大魚を捕まえる絶好の好機を逃してしまい、王妃にどう申し開きすれべいいんか彼は悩む。
「冷静さを欠いたか……まだまだ僕も未熟だな。これでは王妃様に会わせる顔がない」
次こそは失敗しない事を心で誓い、ミドルも兵士達と共にレナの後を追う。しかし、その様子を通路の影から確認する人物が存在し、天井から様子を伺っていたマリアの側近の「シノビ・カゲマル」は降り立つ。
(援護は必要なかったか……しかし、あの男も相当な手練れだな)
シノビはマリアの命令で王国軍の様子を伺うために闘技場内に潜伏し、騒動を聞きつけてこの場に訪れていた。仮にレナ達がミドルと戦闘になったら援護するつもりだったが、予想外の人物の乱入によって結果的には事なきを得る。
(これ以上は危険だな。マリア様の元へ戻るか……後は頼んだぞハンゾウよ)
自分の妹弟子にレナ達の事は任せ、シノビは自分が仕える主君の元へ戻る事にした――
「発徑!!」
「うわっ!?」
「ミドル様!?」
ミドルに対して女性は掌を突き出し、彼の身体を兵士達の元へ吹き飛ばす。その光景を確認したレナ達は呆気に取られていると、女性はレナ達に指示を出す。
「ここは私に任せて行きなさい!!」
「その声……まさか!?」
「いいから早くっ!!」
「レナ!!」
女性の声を聞いてレナは目を見開き、彼女に近づこうとしたがコトミンが肩を掴んで引き留める。今は女性の指示通りに逃げる方が得策であり、ハンゾウが後方の兵士達に斬りかかる。
「抜刀!!」
「ぎゃあっ!?」
「うわぁっ!?」
鞘から引き抜かれた刀が兵士の武器や鎧を切り裂き、後方の道を開く。それを確認したレナは一度だけ女性に振り返ったが、仕方なくティナの手を握りしめて駆け抜けた。
「行くぞっ!!」
「わわっ!?」
「んっ!!」
「ま、待って欲しいっす!!」
ハンゾウを先頭にレナ達は兵士を蹴散らしながら通路を走り去り、その光景を確認した女性は口元に笑みを浮かべ、ミドルと向かい合う。相当な打撃を受けたはずだがミドルは特に損傷を負っておらず、槍を握りしめながら女性を睨みつける。
「……ふふっ、はははははっ!!」
「しょ、将軍?」
「どうされたのですか!?」
だが、唐突にミドルは槍を下ろして笑い声をあげ、周囲の兵士達は戸惑う。ミドルは口元を抑えると、仮面の女性と向き合い、余裕の表情を浮かべながら話しかける。
「いやはや、驚きましたよ。試合場で見かけた時からもしやとは思いましたが、まさか本当に貴女だったとは……冷静に考えてみればその恰好も見覚えがありますね」
「…………」
「年齢の割にはお似合いですよ。しかし、昔と比べて残念な事に腕が衰えましたね……全盛期の貴女なら先の奇襲で僕を仕留められたでしょう」
「それは……どうかしらね」
ミドルの言葉に遂に女性は仮面に手を伸ばし、素顔を晒す。その顔を見たミドルは自分の予想が当たっていた事を確信し、彼の目の前には国王の元妾の「アイラ」が立っていた。
「お久しぶりですアイラ様……屋敷から抜け出したという話を聞いた時は心配してましたが、まさか貴女の方から戻ってくるとは思いませんでした」
「戻るつもりはないけど……あの人に会わせて下さい。もう一度話し合います」
「それは許可できませんね。貴女は今から拘束し、王妃様の元に連れて行きます……お覚悟を」
「そう……なら仕方ないわね」
アイラはゆっくりと右拳を前に突き出し、左腕を隠す。ミドルとしてはレナよりもアイラを捕えた方が王妃が喜ぶと確信し、彼女に槍を向ける。かつては仕えていた主君の妾とはいえ、王妃に忠誠を誓うミドルがアイラに容赦する義理はない。
「行きますよ……アイラ様!!」
「いえ、私は帰ります」
「何っ!?」
槍を突き出そうとしたミドルが動く前にアイラの足元に「魔法陣」が誕生し、通路内に光に覆われた。ミドルは目元を抑えながらもアイラに顔を向けると、彼女の左手にマリアが作り出した「水晶札」が存在する事に気付く。
「それはっ!?」
「妹からの贈り物よ」
「……刺突!!」
左腕を隠していた真の理由に気付き、ミドルは完全に魔法陣が発動する前に槍を突き出してアイラを仕留めようとしたが、魔法陣が発光して彼女の身体を包み込む。肉体が光の粒子と消えていくアイラに槍が突き出されるが、虚しくも虚空を貫き、魔法陣は消滅してしまう。
「み、ミドル様……一体何が」
「逃げられたか……ふっ、ふふっ……」
完全に消え去ったアイラに兵士達は動揺するが、ミドルの表情を見た瞬間に恐怖で顔をゆがめ、それほどまでに今のミドルの顔立ちは恐ろしかった。しかし、すぐに冷静になったのかミドルは顔を抑えながら兵士達に落ち着いた声で指示を与える。
「すぐに彼等の後を追え……外に続く通路に見張りを送り、怪しい者は決して逃すな」
「は、はい!!」
「行くぞっ!!」
兵士達は逃走したレナ達の後を追いかけ、その様子を見送ったミドルは溜息を吐き出し、槍を握りしめる。2匹の大魚を捕まえる絶好の好機を逃してしまい、王妃にどう申し開きすれべいいんか彼は悩む。
「冷静さを欠いたか……まだまだ僕も未熟だな。これでは王妃様に会わせる顔がない」
次こそは失敗しない事を心で誓い、ミドルも兵士達と共にレナの後を追う。しかし、その様子を通路の影から確認する人物が存在し、天井から様子を伺っていたマリアの側近の「シノビ・カゲマル」は降り立つ。
(援護は必要なかったか……しかし、あの男も相当な手練れだな)
シノビはマリアの命令で王国軍の様子を伺うために闘技場内に潜伏し、騒動を聞きつけてこの場に訪れていた。仮にレナ達がミドルと戦闘になったら援護するつもりだったが、予想外の人物の乱入によって結果的には事なきを得る。
(これ以上は危険だな。マリア様の元へ戻るか……後は頼んだぞハンゾウよ)
自分の妹弟子にレナ達の事は任せ、シノビは自分が仕える主君の元へ戻る事にした――
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