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闘技祭 決戦編
ミドルの疑念
――時は少し遡り、ミドルがアイラと交戦を取り逃した後、ミドルは真っ先にレナ達の追跡を行う。彼の目的は王妃にとって厄介な存在であるレナの排除であり、闘技場内に兵士を総動員して捜索を行わせようとした。しかし、何故か闘技場内の兵士の数が少ない事に気付く。
「……どういう事だ?何故、これだけの兵士しかいない?」
「だ、大将軍……申し訳ございません!!現在、この闘技場内の兵の大半は出払っているのです!!」
「出払っているだと?」
闘技場内の警備を任されている警備隊長を呼び寄せたミドルは兵士の数が少ない事を指摘すると、隊長は慌てて頭を下げる。しかし、ミドルは謝罪よりも理由を問い質す。
「どうして闘技場内の警備兵が出払っている?一体誰がそんな命令を下した!!理由を言え!!」
「そ、それが……実は命令を下したのはレミア様なのです」
「レミア……将軍が?」
ここでレミアの名前が出てきたことにミドルは疑問を抱き、どうして自分と同じく王妃に仕える彼女が闘技場内の兵士を勝手に動かした事に戸惑う。
「レミア将軍は何処に警備兵を連れ出した?それは本当に将軍の命令なのか?」
「間違いありません!!ミドル大将軍が王妃様に報告に向かっていた頃、レミア様が現れて数百の警備兵を連れ出しました!!」
「何故そんな事を……レミア将軍は何と言っていた?」
「冒険都市にて騒動が起きたらしく、陽光教会の人間がレミア様に救援を求めたのです。なんでも都市内部に魔物が現れたとか……」
「そんな馬鹿な……!!」
レミアは陽光教会と繋がりが存在し、教会の信者としても有名である。レミアの先祖である「白騎士レイナ」も陽光教会の信者であり、ルトリア家の家系は代々当主は陽光教会の信者だった。陽光教会は王国とも親交が深く、世界各国の信者から集めた寄付金の一部を税金として収めている。そのため、教会からレミアの派遣を求められれば断ることは出来ない。
「都市に現れた魔物というのは?レミア将軍だけでは手に負えないのか?冒険都市の冒険者ギルドは何をしている?」
「教会からの使者によると陽光教会の大聖堂に魔物が押し寄せ、修道女を追い払って出て行こうとしないそうです。だから教会はレミア将軍に協力を求めたとか……」
「魔物の対応など冒険者の仕事だろう!!」
「それはそうなのですが……陽光教会の規則として信者以外の人間が教会の大聖堂に立ち入る事は許されておらず、都市内の冒険者ギルドの中に立て籠もった魔物を討伐できる信者は存在しなかったそうです。だから仕方なくレミア将軍が出向く事になりました」
「馬鹿な……そんな規則を律儀に守っているのか?教会の人間は何を考えている……」
陽光教会の大聖堂は教会内部で最も神聖な場所であり、普通の人間は立ち寄る事さえも許されない。そのような大切な場所に魔物が忍び込み、占拠したために信者であるレミアが仕方なく闘技場から立ち去った事になる。ミドルは話を聞き終えて今回の騒動の黒幕を予想する。
「そういう事か……くそ、マリアめっ!!教会さえも動かしたというのか!!」
「ひいっ!?」
隊長の報告を受けたミドルは苛立ちを隠さずに傍の壁に拳を叩きつけ、それを見た兵士達が悲鳴を上げる。ミドルは今回の陽光教会の申し出が十中八九はマリアの策略であると確信し、レミアは彼女の策に嵌まったと判断しかけたが、ある違和感を抱く。
(いや、おかしい。どうしてレミアは兵士を同行させた?大聖堂には信者以外の人間は立ち入りが禁じられているのならば兵士を連れて行く理由はない……まさかっ、あいつも裏切ったというのか!?)
レミアが必要のない兵士達を同行させて冒険都市に向かったという話にミドルは違和感を拭えず、彼は今の今までレミアの事を疑ってはいなかった。事情はどうであれ、彼女も王妃に忠誠を誓う同士としてミドルはレミアの事を信頼していたが、今回の彼女の行動の意図が掴めない。
(いや、レミアが裏切ったとはまだ限らない……心優しい彼女の事だ。兵士を連れ出したのは魔物が大聖堂を抜け出して建物の外に逃げ出した時のために兵士を同行させたのかもしれない。教会の人間だけではなく、街の人間を守るために同行させただけかもしれない……しかし、この好機で警備兵の大半が闘技場の外に抜け出したのが偶然とは思えない)
ミドルはレミアが子供の頃からの付き合いであり、同じ将軍として彼女の事は信用していた。明確な証拠がない以上は彼女が裏切ったとは言い切れず、状況的に考えて教会の人間がレミアに救援を求めたのはマリアが関係しているとミドルは判断した。
(姿を消したカノンの事も気になる。レミアも姿を見ていないと言っているが……まさか既に始末されたのか?)
大将軍であるカノンが姿を消した事に関してはミドルは報告を受けているが、元々カノンの性格に問題があり、そもそもミドルは彼女が大将軍に選ばれた事自体を心の中では認めていない。そもそもカノンは名目上は大将軍ではあるが、実際の所は将軍としての活動は一切行っていない。
(王妃様はどうしてあのような下品な女を傍に置くのか理解できない……)
カノンは度々与えられた任務を失敗しており、その後始末をミドルとレミアが行っている。なので個人的にはミドルはカノンの事を嫌っていたが、王妃は何故か彼女を罰しない。そのため、カノンが今回消えた事に関してもミドルは彼女が任務を放棄したのではないかと疑っている。
(どちらにしろ今回の件はマリアが関わっているのは間違いない。レミアの真意は彼女が戻ってから問い質せばいい。もしも彼女が本当に王妃様を裏切っていたとしたら……僕の手で始末する事になるだろう)
大将軍であるレミアが裏切っていた場合、王妃から対処を任されるのは間違いなくミドルであり、彼は自分の握りしめている槍を睨みつける。これまでにミドルは王妃のためならばどんな人間だろうとこの槍で葬っており、その中には実の兄弟や世話になった人間も含まれていた――
「……どういう事だ?何故、これだけの兵士しかいない?」
「だ、大将軍……申し訳ございません!!現在、この闘技場内の兵の大半は出払っているのです!!」
「出払っているだと?」
闘技場内の警備を任されている警備隊長を呼び寄せたミドルは兵士の数が少ない事を指摘すると、隊長は慌てて頭を下げる。しかし、ミドルは謝罪よりも理由を問い質す。
「どうして闘技場内の警備兵が出払っている?一体誰がそんな命令を下した!!理由を言え!!」
「そ、それが……実は命令を下したのはレミア様なのです」
「レミア……将軍が?」
ここでレミアの名前が出てきたことにミドルは疑問を抱き、どうして自分と同じく王妃に仕える彼女が闘技場内の兵士を勝手に動かした事に戸惑う。
「レミア将軍は何処に警備兵を連れ出した?それは本当に将軍の命令なのか?」
「間違いありません!!ミドル大将軍が王妃様に報告に向かっていた頃、レミア様が現れて数百の警備兵を連れ出しました!!」
「何故そんな事を……レミア将軍は何と言っていた?」
「冒険都市にて騒動が起きたらしく、陽光教会の人間がレミア様に救援を求めたのです。なんでも都市内部に魔物が現れたとか……」
「そんな馬鹿な……!!」
レミアは陽光教会と繋がりが存在し、教会の信者としても有名である。レミアの先祖である「白騎士レイナ」も陽光教会の信者であり、ルトリア家の家系は代々当主は陽光教会の信者だった。陽光教会は王国とも親交が深く、世界各国の信者から集めた寄付金の一部を税金として収めている。そのため、教会からレミアの派遣を求められれば断ることは出来ない。
「都市に現れた魔物というのは?レミア将軍だけでは手に負えないのか?冒険都市の冒険者ギルドは何をしている?」
「教会からの使者によると陽光教会の大聖堂に魔物が押し寄せ、修道女を追い払って出て行こうとしないそうです。だから教会はレミア将軍に協力を求めたとか……」
「魔物の対応など冒険者の仕事だろう!!」
「それはそうなのですが……陽光教会の規則として信者以外の人間が教会の大聖堂に立ち入る事は許されておらず、都市内の冒険者ギルドの中に立て籠もった魔物を討伐できる信者は存在しなかったそうです。だから仕方なくレミア将軍が出向く事になりました」
「馬鹿な……そんな規則を律儀に守っているのか?教会の人間は何を考えている……」
陽光教会の大聖堂は教会内部で最も神聖な場所であり、普通の人間は立ち寄る事さえも許されない。そのような大切な場所に魔物が忍び込み、占拠したために信者であるレミアが仕方なく闘技場から立ち去った事になる。ミドルは話を聞き終えて今回の騒動の黒幕を予想する。
「そういう事か……くそ、マリアめっ!!教会さえも動かしたというのか!!」
「ひいっ!?」
隊長の報告を受けたミドルは苛立ちを隠さずに傍の壁に拳を叩きつけ、それを見た兵士達が悲鳴を上げる。ミドルは今回の陽光教会の申し出が十中八九はマリアの策略であると確信し、レミアは彼女の策に嵌まったと判断しかけたが、ある違和感を抱く。
(いや、おかしい。どうしてレミアは兵士を同行させた?大聖堂には信者以外の人間は立ち入りが禁じられているのならば兵士を連れて行く理由はない……まさかっ、あいつも裏切ったというのか!?)
レミアが必要のない兵士達を同行させて冒険都市に向かったという話にミドルは違和感を拭えず、彼は今の今までレミアの事を疑ってはいなかった。事情はどうであれ、彼女も王妃に忠誠を誓う同士としてミドルはレミアの事を信頼していたが、今回の彼女の行動の意図が掴めない。
(いや、レミアが裏切ったとはまだ限らない……心優しい彼女の事だ。兵士を連れ出したのは魔物が大聖堂を抜け出して建物の外に逃げ出した時のために兵士を同行させたのかもしれない。教会の人間だけではなく、街の人間を守るために同行させただけかもしれない……しかし、この好機で警備兵の大半が闘技場の外に抜け出したのが偶然とは思えない)
ミドルはレミアが子供の頃からの付き合いであり、同じ将軍として彼女の事は信用していた。明確な証拠がない以上は彼女が裏切ったとは言い切れず、状況的に考えて教会の人間がレミアに救援を求めたのはマリアが関係しているとミドルは判断した。
(姿を消したカノンの事も気になる。レミアも姿を見ていないと言っているが……まさか既に始末されたのか?)
大将軍であるカノンが姿を消した事に関してはミドルは報告を受けているが、元々カノンの性格に問題があり、そもそもミドルは彼女が大将軍に選ばれた事自体を心の中では認めていない。そもそもカノンは名目上は大将軍ではあるが、実際の所は将軍としての活動は一切行っていない。
(王妃様はどうしてあのような下品な女を傍に置くのか理解できない……)
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(どちらにしろ今回の件はマリアが関わっているのは間違いない。レミアの真意は彼女が戻ってから問い質せばいい。もしも彼女が本当に王妃様を裏切っていたとしたら……僕の手で始末する事になるだろう)
大将軍であるレミアが裏切っていた場合、王妃から対処を任されるのは間違いなくミドルであり、彼は自分の握りしめている槍を睨みつける。これまでにミドルは王妃のためならばどんな人間だろうとこの槍で葬っており、その中には実の兄弟や世話になった人間も含まれていた――
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