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闘技祭 決戦編
矛盾ならぬ刀鎧
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(なるほど……精霊を呼び集めて風の魔力を鎧のように変化させて身にまとっていたのか。ホネミンが教えてくれた魔鎧術と原理は同じだな。違いがあるとすれば出力が桁違いという点か……)
アカイの全身を纏った「風の鎧」は精霊の魔力によって構成されており、レナやホネミンが扱う「魔鎧術」と原理は同じだが、アカイの場合は自分の魔力ではなく精霊の力で鎧を構成していた。一見は何も見えないがミナの槍を弾いたのはカイの風の鎧であり、まるで乱気流のように強烈な風を纏わせたアカイの肉体に届く前に弾かれたのだ。
(精霊で構成しているということは質も量も俺の魔鎧術よりも上かも知れない……これはどうやって破るんだ?)
精霊魔法は精霊の力を吸収する事で発動させる高位魔法のため、普通の魔法では対抗できない。しかもミナの貫通力に特化した螺旋槍さえも弾き返す防御力を誇るため、物理攻撃で風の鎧を突破する事は難しいだろう。武器を失ったミナは後退し、弾かれた槍に視線を向ける。
「くっ!!」
「逃さんっ!!」
ミナは弾かれた槍を拾うために駆け出した瞬間、アカイは右腕を伸ばす動作を行う。すると右腕から衝撃波のような風圧が放たれ、ミナが地面に落ちた槍を拾う前に吹き飛ばす。威力はそれほどでもないのか槍は数メートル先の地面に突き刺さってしまい、ミナは悔し気な表情を浮かべる。
「まだだっ!!」
「ほう、武器無しで向かってくるか……無駄なことを」
武器を拾わずに自分に向けて突進してきたミナに対し、アカイは左拳を突き出して構える。格闘技の心得もあるのかその構えに隙は見えず、それでもミナは勢いよく駆け出す。
「はああっ!!」
「ぬうっ!?」
だが、ミナはアカイに接近する直前で方向転換を行い、正面から向かうと思わせて右側に回り込む。アカイは咄嗟に腕を振り払う動作を行い、風圧を放つ。
「吹き飛べっ!!」
「うわぁっ!?」
相手の死角に移動して攻撃を仕掛けようとしたミナは広範囲に放出された風圧を受け、選手が集まる黒柱の場所まで吹き飛ばされる。それを確認したアカイは追撃を加えようとした時、背後から殺気を感じ取って咄嗟に両腕を交差して防御の体勢に移る。
「っ……!!」
「ぐうっ!?」
風の鎧を纏ったアカイの両腕に強烈な「風の斬撃」が放たれ、アカイの肉体が数メートル程後退する。アカイは前方に視線を向けると、何時の間にかハヤテの「間合い」に入っていたらしく、鞘から日本刀を引き抜いたハヤテの姿が存在した。
「なるほど……これが居合か。確かに凄まじい威力だ」
「…………」
「なんだと?これで半分の威力も出していないだと?減らず口を……」
アカイは自分の両腕が痺れた感覚に冷や汗を流すが、ハヤテはそれを見てゆっくりと鞘に刀身を収め、再び居合の体勢に戻る。その姿を見たアカイは両腕に視線を向け、自分の風の鎧を突破した斬撃の威力に冷や汗を流す。
――王国四騎士の中で攻撃に特化したのがリンダだとした場合、アカイは防御に特化した将である。実際に彼が「嵐鎧」と呼んでいる精霊魔法と魔鎧術を組み合わせた防御法は今までに一度も破られた事はなく、タイガやゴウと相手をしたときもアカイは傷一つ負っていない。しかし、防御に特化したが故に攻撃力では劣っており、だからこそアカイは肉体を鍛えている。基本的に細身の体格が多い森人族だが、アカイの場合は巨人族程ではないが大柄で筋肉に覆われた肉体を維持している。
純粋な格闘技術はリンダには劣るが、筋量という点では彼女にも劣らず、単独で大型の魔獣を仕留めた事もある。しかし、格闘家が本職ではない彼が敵を圧倒出来るのは「嵐鎧」の防御力があってこそであり、その鎧を破壊された場合はリンダやアイラのような人間の戦闘力には遥かに及ばない。
(ふっ……まさかこれほどの猛者が傍に居たのに気づかなかったとは……だが!!)
恐らく実力的にはタイガやゴウに匹敵するハヤテに対し、アカイは臆さずに両拳を叩きつけ、覚悟を決めたように彼女から距離を取る。アカイの行動にハヤテとミナは訝しむが、十分に距離を取るとアカイは陸上選手のようにクラウチングスタートの構えを取る。その行動の意味は正面からハヤテに挑むことを暗に示しており、アカイは宣言した。
「俺は逃げん……構えろハヤテ!!」
「っ……」
「まさか……正面から!?」
アカイの言葉にハヤテは眉を顰め、ミナも驚きを隠せない。観客席でも動揺が走り、敢えて危険を犯して正面から挑むアカイに戸惑いの表情を浮かべる。だが、覚悟を決めたアカイは止まらず、助走をつけて走り出す。
「行くぞぉっ!!」
「…………!!」
正々堂々と正面から迫りくるアカイに対し、ハヤテは日本刀の柄を握りしめて構えると、アカイが間合いに入った瞬間に鞘から刀身を引き抜いて強烈な斬撃を浴びせた。
アカイの全身を纏った「風の鎧」は精霊の魔力によって構成されており、レナやホネミンが扱う「魔鎧術」と原理は同じだが、アカイの場合は自分の魔力ではなく精霊の力で鎧を構成していた。一見は何も見えないがミナの槍を弾いたのはカイの風の鎧であり、まるで乱気流のように強烈な風を纏わせたアカイの肉体に届く前に弾かれたのだ。
(精霊で構成しているということは質も量も俺の魔鎧術よりも上かも知れない……これはどうやって破るんだ?)
精霊魔法は精霊の力を吸収する事で発動させる高位魔法のため、普通の魔法では対抗できない。しかもミナの貫通力に特化した螺旋槍さえも弾き返す防御力を誇るため、物理攻撃で風の鎧を突破する事は難しいだろう。武器を失ったミナは後退し、弾かれた槍に視線を向ける。
「くっ!!」
「逃さんっ!!」
ミナは弾かれた槍を拾うために駆け出した瞬間、アカイは右腕を伸ばす動作を行う。すると右腕から衝撃波のような風圧が放たれ、ミナが地面に落ちた槍を拾う前に吹き飛ばす。威力はそれほどでもないのか槍は数メートル先の地面に突き刺さってしまい、ミナは悔し気な表情を浮かべる。
「まだだっ!!」
「ほう、武器無しで向かってくるか……無駄なことを」
武器を拾わずに自分に向けて突進してきたミナに対し、アカイは左拳を突き出して構える。格闘技の心得もあるのかその構えに隙は見えず、それでもミナは勢いよく駆け出す。
「はああっ!!」
「ぬうっ!?」
だが、ミナはアカイに接近する直前で方向転換を行い、正面から向かうと思わせて右側に回り込む。アカイは咄嗟に腕を振り払う動作を行い、風圧を放つ。
「吹き飛べっ!!」
「うわぁっ!?」
相手の死角に移動して攻撃を仕掛けようとしたミナは広範囲に放出された風圧を受け、選手が集まる黒柱の場所まで吹き飛ばされる。それを確認したアカイは追撃を加えようとした時、背後から殺気を感じ取って咄嗟に両腕を交差して防御の体勢に移る。
「っ……!!」
「ぐうっ!?」
風の鎧を纏ったアカイの両腕に強烈な「風の斬撃」が放たれ、アカイの肉体が数メートル程後退する。アカイは前方に視線を向けると、何時の間にかハヤテの「間合い」に入っていたらしく、鞘から日本刀を引き抜いたハヤテの姿が存在した。
「なるほど……これが居合か。確かに凄まじい威力だ」
「…………」
「なんだと?これで半分の威力も出していないだと?減らず口を……」
アカイは自分の両腕が痺れた感覚に冷や汗を流すが、ハヤテはそれを見てゆっくりと鞘に刀身を収め、再び居合の体勢に戻る。その姿を見たアカイは両腕に視線を向け、自分の風の鎧を突破した斬撃の威力に冷や汗を流す。
――王国四騎士の中で攻撃に特化したのがリンダだとした場合、アカイは防御に特化した将である。実際に彼が「嵐鎧」と呼んでいる精霊魔法と魔鎧術を組み合わせた防御法は今までに一度も破られた事はなく、タイガやゴウと相手をしたときもアカイは傷一つ負っていない。しかし、防御に特化したが故に攻撃力では劣っており、だからこそアカイは肉体を鍛えている。基本的に細身の体格が多い森人族だが、アカイの場合は巨人族程ではないが大柄で筋肉に覆われた肉体を維持している。
純粋な格闘技術はリンダには劣るが、筋量という点では彼女にも劣らず、単独で大型の魔獣を仕留めた事もある。しかし、格闘家が本職ではない彼が敵を圧倒出来るのは「嵐鎧」の防御力があってこそであり、その鎧を破壊された場合はリンダやアイラのような人間の戦闘力には遥かに及ばない。
(ふっ……まさかこれほどの猛者が傍に居たのに気づかなかったとは……だが!!)
恐らく実力的にはタイガやゴウに匹敵するハヤテに対し、アカイは臆さずに両拳を叩きつけ、覚悟を決めたように彼女から距離を取る。アカイの行動にハヤテとミナは訝しむが、十分に距離を取るとアカイは陸上選手のようにクラウチングスタートの構えを取る。その行動の意味は正面からハヤテに挑むことを暗に示しており、アカイは宣言した。
「俺は逃げん……構えろハヤテ!!」
「っ……」
「まさか……正面から!?」
アカイの言葉にハヤテは眉を顰め、ミナも驚きを隠せない。観客席でも動揺が走り、敢えて危険を犯して正面から挑むアカイに戸惑いの表情を浮かべる。だが、覚悟を決めたアカイは止まらず、助走をつけて走り出す。
「行くぞぉっ!!」
「…………!!」
正々堂々と正面から迫りくるアカイに対し、ハヤテは日本刀の柄を握りしめて構えると、アカイが間合いに入った瞬間に鞘から刀身を引き抜いて強烈な斬撃を浴びせた。
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