文字の大きさ
大
中
小
291 / 2,093
闘技祭 決戦編
矛盾ならぬ刀鎧
(なるほど……精霊を呼び集めて風の魔力を鎧のように変化させて身にまとっていたのか。ホネミンが教えてくれた魔鎧術と原理は同じだな。違いがあるとすれば出力が桁違いという点か……)
アカイの全身を纏った「風の鎧」は精霊の魔力によって構成されており、レナやホネミンが扱う「魔鎧術」と原理は同じだが、アカイの場合は自分の魔力ではなく精霊の力で鎧を構成していた。一見は何も見えないがミナの槍を弾いたのはカイの風の鎧であり、まるで乱気流のように強烈な風を纏わせたアカイの肉体に届く前に弾かれたのだ。
(精霊で構成しているということは質も量も俺の魔鎧術よりも上かも知れない……これはどうやって破るんだ?)
精霊魔法は精霊の力を吸収する事で発動させる高位魔法のため、普通の魔法では対抗できない。しかもミナの貫通力に特化した螺旋槍さえも弾き返す防御力を誇るため、物理攻撃で風の鎧を突破する事は難しいだろう。武器を失ったミナは後退し、弾かれた槍に視線を向ける。
「くっ!!」
「逃さんっ!!」
ミナは弾かれた槍を拾うために駆け出した瞬間、アカイは右腕を伸ばす動作を行う。すると右腕から衝撃波のような風圧が放たれ、ミナが地面に落ちた槍を拾う前に吹き飛ばす。威力はそれほどでもないのか槍は数メートル先の地面に突き刺さってしまい、ミナは悔し気な表情を浮かべる。
「まだだっ!!」
「ほう、武器無しで向かってくるか……無駄なことを」
武器を拾わずに自分に向けて突進してきたミナに対し、アカイは左拳を突き出して構える。格闘技の心得もあるのかその構えに隙は見えず、それでもミナは勢いよく駆け出す。
「はああっ!!」
「ぬうっ!?」
だが、ミナはアカイに接近する直前で方向転換を行い、正面から向かうと思わせて右側に回り込む。アカイは咄嗟に腕を振り払う動作を行い、風圧を放つ。
「吹き飛べっ!!」
「うわぁっ!?」
相手の死角に移動して攻撃を仕掛けようとしたミナは広範囲に放出された風圧を受け、選手が集まる黒柱の場所まで吹き飛ばされる。それを確認したアカイは追撃を加えようとした時、背後から殺気を感じ取って咄嗟に両腕を交差して防御の体勢に移る。
「っ……!!」
「ぐうっ!?」
風の鎧を纏ったアカイの両腕に強烈な「風の斬撃」が放たれ、アカイの肉体が数メートル程後退する。アカイは前方に視線を向けると、何時の間にかハヤテの「間合い」に入っていたらしく、鞘から日本刀を引き抜いたハヤテの姿が存在した。
「なるほど……これが居合か。確かに凄まじい威力だ」
「…………」
「なんだと?これで半分の威力も出していないだと?減らず口を……」
アカイは自分の両腕が痺れた感覚に冷や汗を流すが、ハヤテはそれを見てゆっくりと鞘に刀身を収め、再び居合の体勢に戻る。その姿を見たアカイは両腕に視線を向け、自分の風の鎧を突破した斬撃の威力に冷や汗を流す。
――王国四騎士の中で攻撃に特化したのがリンダだとした場合、アカイは防御に特化した将である。実際に彼が「嵐鎧」と呼んでいる精霊魔法と魔鎧術を組み合わせた防御法は今までに一度も破られた事はなく、タイガやゴウと相手をしたときもアカイは傷一つ負っていない。しかし、防御に特化したが故に攻撃力では劣っており、だからこそアカイは肉体を鍛えている。基本的に細身の体格が多い森人族だが、アカイの場合は巨人族程ではないが大柄で筋肉に覆われた肉体を維持している。
純粋な格闘技術はリンダには劣るが、筋量という点では彼女にも劣らず、単独で大型の魔獣を仕留めた事もある。しかし、格闘家が本職ではない彼が敵を圧倒出来るのは「嵐鎧」の防御力があってこそであり、その鎧を破壊された場合はリンダやアイラのような人間の戦闘力には遥かに及ばない。
(ふっ……まさかこれほどの猛者が傍に居たのに気づかなかったとは……だが!!)
恐らく実力的にはタイガやゴウに匹敵するハヤテに対し、アカイは臆さずに両拳を叩きつけ、覚悟を決めたように彼女から距離を取る。アカイの行動にハヤテとミナは訝しむが、十分に距離を取るとアカイは陸上選手のようにクラウチングスタートの構えを取る。その行動の意味は正面からハヤテに挑むことを暗に示しており、アカイは宣言した。
「俺は逃げん……構えろハヤテ!!」
「っ……」
「まさか……正面から!?」
アカイの言葉にハヤテは眉を顰め、ミナも驚きを隠せない。観客席でも動揺が走り、敢えて危険を犯して正面から挑むアカイに戸惑いの表情を浮かべる。だが、覚悟を決めたアカイは止まらず、助走をつけて走り出す。
「行くぞぉっ!!」
「…………!!」
正々堂々と正面から迫りくるアカイに対し、ハヤテは日本刀の柄を握りしめて構えると、アカイが間合いに入った瞬間に鞘から刀身を引き抜いて強烈な斬撃を浴びせた。
アカイの全身を纏った「風の鎧」は精霊の魔力によって構成されており、レナやホネミンが扱う「魔鎧術」と原理は同じだが、アカイの場合は自分の魔力ではなく精霊の力で鎧を構成していた。一見は何も見えないがミナの槍を弾いたのはカイの風の鎧であり、まるで乱気流のように強烈な風を纏わせたアカイの肉体に届く前に弾かれたのだ。
(精霊で構成しているということは質も量も俺の魔鎧術よりも上かも知れない……これはどうやって破るんだ?)
精霊魔法は精霊の力を吸収する事で発動させる高位魔法のため、普通の魔法では対抗できない。しかもミナの貫通力に特化した螺旋槍さえも弾き返す防御力を誇るため、物理攻撃で風の鎧を突破する事は難しいだろう。武器を失ったミナは後退し、弾かれた槍に視線を向ける。
「くっ!!」
「逃さんっ!!」
ミナは弾かれた槍を拾うために駆け出した瞬間、アカイは右腕を伸ばす動作を行う。すると右腕から衝撃波のような風圧が放たれ、ミナが地面に落ちた槍を拾う前に吹き飛ばす。威力はそれほどでもないのか槍は数メートル先の地面に突き刺さってしまい、ミナは悔し気な表情を浮かべる。
「まだだっ!!」
「ほう、武器無しで向かってくるか……無駄なことを」
武器を拾わずに自分に向けて突進してきたミナに対し、アカイは左拳を突き出して構える。格闘技の心得もあるのかその構えに隙は見えず、それでもミナは勢いよく駆け出す。
「はああっ!!」
「ぬうっ!?」
だが、ミナはアカイに接近する直前で方向転換を行い、正面から向かうと思わせて右側に回り込む。アカイは咄嗟に腕を振り払う動作を行い、風圧を放つ。
「吹き飛べっ!!」
「うわぁっ!?」
相手の死角に移動して攻撃を仕掛けようとしたミナは広範囲に放出された風圧を受け、選手が集まる黒柱の場所まで吹き飛ばされる。それを確認したアカイは追撃を加えようとした時、背後から殺気を感じ取って咄嗟に両腕を交差して防御の体勢に移る。
「っ……!!」
「ぐうっ!?」
風の鎧を纏ったアカイの両腕に強烈な「風の斬撃」が放たれ、アカイの肉体が数メートル程後退する。アカイは前方に視線を向けると、何時の間にかハヤテの「間合い」に入っていたらしく、鞘から日本刀を引き抜いたハヤテの姿が存在した。
「なるほど……これが居合か。確かに凄まじい威力だ」
「…………」
「なんだと?これで半分の威力も出していないだと?減らず口を……」
アカイは自分の両腕が痺れた感覚に冷や汗を流すが、ハヤテはそれを見てゆっくりと鞘に刀身を収め、再び居合の体勢に戻る。その姿を見たアカイは両腕に視線を向け、自分の風の鎧を突破した斬撃の威力に冷や汗を流す。
――王国四騎士の中で攻撃に特化したのがリンダだとした場合、アカイは防御に特化した将である。実際に彼が「嵐鎧」と呼んでいる精霊魔法と魔鎧術を組み合わせた防御法は今までに一度も破られた事はなく、タイガやゴウと相手をしたときもアカイは傷一つ負っていない。しかし、防御に特化したが故に攻撃力では劣っており、だからこそアカイは肉体を鍛えている。基本的に細身の体格が多い森人族だが、アカイの場合は巨人族程ではないが大柄で筋肉に覆われた肉体を維持している。
純粋な格闘技術はリンダには劣るが、筋量という点では彼女にも劣らず、単独で大型の魔獣を仕留めた事もある。しかし、格闘家が本職ではない彼が敵を圧倒出来るのは「嵐鎧」の防御力があってこそであり、その鎧を破壊された場合はリンダやアイラのような人間の戦闘力には遥かに及ばない。
(ふっ……まさかこれほどの猛者が傍に居たのに気づかなかったとは……だが!!)
恐らく実力的にはタイガやゴウに匹敵するハヤテに対し、アカイは臆さずに両拳を叩きつけ、覚悟を決めたように彼女から距離を取る。アカイの行動にハヤテとミナは訝しむが、十分に距離を取るとアカイは陸上選手のようにクラウチングスタートの構えを取る。その行動の意味は正面からハヤテに挑むことを暗に示しており、アカイは宣言した。
「俺は逃げん……構えろハヤテ!!」
「っ……」
「まさか……正面から!?」
アカイの言葉にハヤテは眉を顰め、ミナも驚きを隠せない。観客席でも動揺が走り、敢えて危険を犯して正面から挑むアカイに戸惑いの表情を浮かべる。だが、覚悟を決めたアカイは止まらず、助走をつけて走り出す。
「行くぞぉっ!!」
「…………!!」
正々堂々と正面から迫りくるアカイに対し、ハヤテは日本刀の柄を握りしめて構えると、アカイが間合いに入った瞬間に鞘から刀身を引き抜いて強烈な斬撃を浴びせた。
感想 5,097
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
『ベルンハルト・フォン・バーデンは平穏に暮らしたい』
GamaFrog男爵家三男、ベルンハルト・フォン・バーデン。
家督継承権はなく、本来ならどこかの官職に就くか、他家へ仕えるか、婿入りするか――そんな将来が待っているはずだった。
しかしベルは少しだけ優秀すぎた。
小遣い稼ぎのつもりで始めた商売は成功し、気付けば父親より金を持ち、長男より領地経営に詳しく、次男より商売が上手くなっていた。
本人に出しゃばる気はない。
ただ普通に生きていただけだ。
それでも、優秀すぎる三男の存在は家族との距離を少しずつ広げていった。
家に居場所がなくなった。
だからベルは学園へ来た。
貴族だから一応入学した。
家にいるより気楽だったから。
静かに暮らしたかったから。
寄付金を積んで手に入れた広い寮部屋で、本を読み、昼寝をし、卒業後は適当な文官になって平穏に生きる
そのはずだった。
だが現実は違った。
男装令嬢に懐かれ。
王太子に目を付けられ。
商会には囲い込まれ。
気付けば平穏はどこへやら。
本人はただ平穏に暮らしたいだけ。
周囲はなぜか放っておいてくれない。
これは、面倒事を嫌う規格外の天才が、静かな人生を目指して失敗し続ける物語である。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
真の皇帝は俺です ~面倒だから幼なじみに帝位を任せていたら、婚約者に捨てられました。正体を明かしたら全員後悔してももう遅い~
由香皇帝の仕事が面倒だったレインは、信頼する幼なじみアレクシスに表向きの皇帝を任せ、自身は陰から帝国を支えていた。
だがある日、婚約者エミリアは「権力も将来性もない」と彼を見限り婚約破棄を宣言する。
しかし彼女は知らなかった。
帝国を動かしていた真の支配者が誰なのかを。
これは全てを持ちながら隠していた男と、見るべきものを見失った者たちの後悔の物語。
クラス全員で異世界召喚されたが、俺だけ教室に取り残されたのでとりあえず帰宅した
中山(ほ) クラス全員で異世界召喚されたが、先生と俺が残っていた。
魔法もチートスキルもステータス画面すら表示されない、ただの「残され損」
異世界に行けなかった俺を待っていたのは、世知辛い現実だった。
AI使用状況
GoogleのGeminiさん使ってます〜
誤字脱字チェックと調べ物お願いしてます
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。