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闘技祭 決戦編
黒蛇
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「何事だ!!どうして馬車を止めた!!」
「アルン王子!?危険です、どうか車内へ避難してください!!」
アルンが外に出ると既に戦闘状態に陥っていたジダンの姿が存在した。他の四騎士は居らず、馬車の護衛はジダンと数十名の兵士で行っていた。理由としてカイは先の試合での負傷が大きく、先に宿に送って治療を行い、リンダとエリナはティナの護衛のために氷雨の冒険者ギルドへ送り込んでいた。
試合では一撃で敗れたジダンではあるが、彼の場合は負傷自体は大きくなく、簡単な治療を受けた後は護衛の任務に戻る。しかし、ヨツバ王国が宿泊している宿への移送の最中に唐突に謎の集団が現れ、街道を塞いでしまう。ジダンは全身を黒色のローブで覆い隠した相手に怒声を放つ。
「何者だ!!貴様ら、我々がヨツバ王国の森人族だと知っての狼藉か!!」
『…………』
ジダンの問いかけに道を塞いだローブの集団は何も答えず、そんな彼等の態度にジダンは苛立つが、他の護衛の騎士達が戸惑いの声を上げる。
「じ、ジダン様……周りがおかしいです!!」
「どうした?」
「住民が居ません!!先ほどまで確かに存在したのに……」
「何だと?」
騎士の言葉を聞いてジダンは辺りを見渡すが、街中に存在するにも関わらず人影が全く見えなかった。確かに先ほどまでは数多くの通行人が存在したはずなのだが、何時の間にか街の住民の姿が消えていた。住民が消えた街道にヨツバ王国の騎士達と謎のローブの集団が向かい合う形となり、ジダンは嫌な予感を覚えてアルンに警告する。
「王子!!何をしているのですか!!すぐに車内に戻って下さい!!」
「しかし……」
「ここは私にお任せください!!」
アルンに馬車の中に戻るように指示すると、ジダンは鍵爪を装着して馬車の前へ移動を行う。王族が乗り込む馬車を引いているのは普通の馬ではなく、王国が飼育している「一角獣」であり、いざという時は強行突破の準備も行う。
「いいか、俺が合図したら走り出せ……行先は宿ではなく、氷雨の冒険者ギルドだ」
「わ、分かりました……」
御者に命令を下すとジダンは街道を塞ぐ集団に顔を向け、話しかけようとした時に背後から悲鳴が上がった。
「な、何だ!?」
「これは……うわぁああっ!?」
「どうした!?」
後方から次々と騎士達の悲鳴が響き渡り、車内に戻ろうとしたアルンとジダンが視線を向けると、後方に配備していた騎士達の肉体に黒蛇が絡みついていた。必死に騎士達は身体に纏わりつく黒蛇を引き剥がそうとしたが、どういう事なのかびくともしない。
「何だこいつ等は……!?」
「ひ、引き剥がせない!?」
「落ち着け!!これは魔法だ!!」
自分達に纏わりついた黒蛇に騎士達は混乱を引き起こすが、即座にジダンは黒蛇の正体を見抜き、彼等が拘束系の魔法に捕らわれている事に気付く。地面に視線を向けると騎士達に纏わりついている黒蛇の胴体が異様に長い事に気付き、それを見たアルンは黒蛇の正体を理解する。
「これは……闇属性の影魔法か!?」
「影魔法……!?」
アルンの言葉にジダンは地面に視線を向け、確かに無数の細長い影が実体化して騎士達の身体に纏わりついているように見えた。試しにジダンは影を鍵爪で引っ掻くが特に効果はなく、騎士達も黒蛇を引き剥がせない。
「ど、どうなっているんだこれは……精霊が言う事を聞かない!?」
「魔力が……乱されている!?」
「落ち着け!!落ち着くんだ!!」
魔法を利用して黒蛇を引き剥がそうとしても何故か身体が真面に動かず、感覚を乱されているのか魔法も使用できない。ジダンは必死に彼等を救い出そうと地面の影に攻撃を仕掛けるが、特に変化はない。
「王子!!この影魔法を打ち破る方法は!?」
「それは……聖属性の魔法だ!!聖属性を扱える人間は居るか!?」
影魔法の弱点は聖属性の魔法から放たれる「光」に対して非常に弱い事をアルンが思い出す。しかし、生憎とジダンは聖属性の魔法は扱えず、拘束されている騎士達は魔法が扱えない。しかも黒蛇は徐々に馬車にまで迫り、ジダンとアルンまで拘束しようと接近する。
「ま、不味い……王子、早くに車内へ!!このまま正面を突破します!!」
「何を言っているんだ!?彼等はどうする!!」
「ご自分の立場を理解して下さい!!我々はヨツバ王国に忠義を誓った騎士!!どんな時でも自分を犠牲にする覚悟は出来ています!!」
「だが……」
ジダンの言葉にアルンは苦痛の表情を浮かべながら黒蛇に拘束された兵士達を確認し、彼等を置いて自分達が逃げる事が本当に正しい事なのかと思い悩む。しかし、馬車の中には国王と妹も存在し、このまま残れば二人にも危害が加わる可能性が高い。
「王子!!」
「くっ……分かった」
「道は俺が開きます!!合図をしたら走れ!!」
「は、はい!!」
王子が車内に戻ることを決断すると、ジダンは馬車を逃がすために短期で前方の集団に駆け付ける。だが、彼の鍵爪はシュンとの試合で破壊されており、既に刃は砕けていた。
「アルン王子!?危険です、どうか車内へ避難してください!!」
アルンが外に出ると既に戦闘状態に陥っていたジダンの姿が存在した。他の四騎士は居らず、馬車の護衛はジダンと数十名の兵士で行っていた。理由としてカイは先の試合での負傷が大きく、先に宿に送って治療を行い、リンダとエリナはティナの護衛のために氷雨の冒険者ギルドへ送り込んでいた。
試合では一撃で敗れたジダンではあるが、彼の場合は負傷自体は大きくなく、簡単な治療を受けた後は護衛の任務に戻る。しかし、ヨツバ王国が宿泊している宿への移送の最中に唐突に謎の集団が現れ、街道を塞いでしまう。ジダンは全身を黒色のローブで覆い隠した相手に怒声を放つ。
「何者だ!!貴様ら、我々がヨツバ王国の森人族だと知っての狼藉か!!」
『…………』
ジダンの問いかけに道を塞いだローブの集団は何も答えず、そんな彼等の態度にジダンは苛立つが、他の護衛の騎士達が戸惑いの声を上げる。
「じ、ジダン様……周りがおかしいです!!」
「どうした?」
「住民が居ません!!先ほどまで確かに存在したのに……」
「何だと?」
騎士の言葉を聞いてジダンは辺りを見渡すが、街中に存在するにも関わらず人影が全く見えなかった。確かに先ほどまでは数多くの通行人が存在したはずなのだが、何時の間にか街の住民の姿が消えていた。住民が消えた街道にヨツバ王国の騎士達と謎のローブの集団が向かい合う形となり、ジダンは嫌な予感を覚えてアルンに警告する。
「王子!!何をしているのですか!!すぐに車内に戻って下さい!!」
「しかし……」
「ここは私にお任せください!!」
アルンに馬車の中に戻るように指示すると、ジダンは鍵爪を装着して馬車の前へ移動を行う。王族が乗り込む馬車を引いているのは普通の馬ではなく、王国が飼育している「一角獣」であり、いざという時は強行突破の準備も行う。
「いいか、俺が合図したら走り出せ……行先は宿ではなく、氷雨の冒険者ギルドだ」
「わ、分かりました……」
御者に命令を下すとジダンは街道を塞ぐ集団に顔を向け、話しかけようとした時に背後から悲鳴が上がった。
「な、何だ!?」
「これは……うわぁああっ!?」
「どうした!?」
後方から次々と騎士達の悲鳴が響き渡り、車内に戻ろうとしたアルンとジダンが視線を向けると、後方に配備していた騎士達の肉体に黒蛇が絡みついていた。必死に騎士達は身体に纏わりつく黒蛇を引き剥がそうとしたが、どういう事なのかびくともしない。
「何だこいつ等は……!?」
「ひ、引き剥がせない!?」
「落ち着け!!これは魔法だ!!」
自分達に纏わりついた黒蛇に騎士達は混乱を引き起こすが、即座にジダンは黒蛇の正体を見抜き、彼等が拘束系の魔法に捕らわれている事に気付く。地面に視線を向けると騎士達に纏わりついている黒蛇の胴体が異様に長い事に気付き、それを見たアルンは黒蛇の正体を理解する。
「これは……闇属性の影魔法か!?」
「影魔法……!?」
アルンの言葉にジダンは地面に視線を向け、確かに無数の細長い影が実体化して騎士達の身体に纏わりついているように見えた。試しにジダンは影を鍵爪で引っ掻くが特に効果はなく、騎士達も黒蛇を引き剥がせない。
「ど、どうなっているんだこれは……精霊が言う事を聞かない!?」
「魔力が……乱されている!?」
「落ち着け!!落ち着くんだ!!」
魔法を利用して黒蛇を引き剥がそうとしても何故か身体が真面に動かず、感覚を乱されているのか魔法も使用できない。ジダンは必死に彼等を救い出そうと地面の影に攻撃を仕掛けるが、特に変化はない。
「王子!!この影魔法を打ち破る方法は!?」
「それは……聖属性の魔法だ!!聖属性を扱える人間は居るか!?」
影魔法の弱点は聖属性の魔法から放たれる「光」に対して非常に弱い事をアルンが思い出す。しかし、生憎とジダンは聖属性の魔法は扱えず、拘束されている騎士達は魔法が扱えない。しかも黒蛇は徐々に馬車にまで迫り、ジダンとアルンまで拘束しようと接近する。
「ま、不味い……王子、早くに車内へ!!このまま正面を突破します!!」
「何を言っているんだ!?彼等はどうする!!」
「ご自分の立場を理解して下さい!!我々はヨツバ王国に忠義を誓った騎士!!どんな時でも自分を犠牲にする覚悟は出来ています!!」
「だが……」
ジダンの言葉にアルンは苦痛の表情を浮かべながら黒蛇に拘束された兵士達を確認し、彼等を置いて自分達が逃げる事が本当に正しい事なのかと思い悩む。しかし、馬車の中には国王と妹も存在し、このまま残れば二人にも危害が加わる可能性が高い。
「王子!!」
「くっ……分かった」
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