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闘技祭 決戦編
魔獣兵
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「貴様、どの面を下げて我等の前に顔を出せた!!」
「そうね……こ~んな顔かしら?」
倒れているジダンと膝を付いたアルンに対し、キラウは挑発するように歪んだ笑顔を浮かべる。そんな彼女の顔を見せつけられてジダンは怒りを露わにして起き上がろうとしたが、何時の間にか二人の足元にも騎士達を拘束している「影の蛇」が迫っていた。
「おっと、動かないでもらえるかしら?」
「ぐうっ!?」
「この魔法は……!!」
「正直、こんな古臭い魔法なんて私の趣味じゃないんだけど……こういう状況だけなら役立つわね」
キラウの足元の影から無数の黒蛇が実体化して二人の身体に纏わりつき、感覚を乱して動けないように地面に拘束する。影魔法を打ち破るには聖属性の魔法だけのため、風邪の精霊を呼び出した所で抵抗する事も出来ない。
「は、離せ!!貴様は自分が何をしているのかを……」
「うるさいわね。少し黙っていなさい」
「うぐぅっ!?」
怒鳴り散らすジダンの口元を黒蛇が覆い込み、更に両手と両足を締め付けて地面に抑えつける。その様子を確認したアルンは馬車を振り返り、御者に命じる。
「走れ!!僕達に構わず突破するんだ!!」
「えっ!?そ、それでは王子が……!?」
「構わない!!早く行けっ!!」
アルンが倒れているのは馬車の正面のため、仮に馬車を走らせたら二人に衝突する可能性が高い。しかし、自分が犠牲になろうと大切な家族を守るためにアルンは御者に命令を下し、二人を逃がすために御者に命令した。だが、キラウが黙って見逃すはずがなく、背後に控えるホブゴブリンに命令を下す。
「それは少し困るわね。貴方達、馬を始末しなさい」
『ウギィイイッ!!』
「ヒヒィンッ!?」
キラウが命じた途端、武装したホブゴブリンの集団がユニコーンに押し寄せ、強制的にユニコーンを抑えつける。魔獣の中ではユニコーンは強力な個体であり、オーガやトロールを上回る戦闘力を誇る。しかし、キラウが連れてきたホブゴブリンの集団は武装しており、連携してユニコーンを抑えつけた。
「うわ、離せっ!!俺のユニコーンに触れるなっ!?」
「そいつが魔物使いよ。まずはその男を始末しなさい」
「止めろっ!?」
馬車の御者が必死にホブゴブリンをユニコーンから引きはがそうとしたが、キラウが新たな命令を与えるとホブゴブリンの1匹が御者の身体を掴み上げ、力尽くで地面に叩きつける。
「フギィッ!!」
「うがぁっ!?」
「ヒヒンッ!?」
主人が地面に叩きつけられた瞬間、ユニコーンは目を見開き、動作が鈍ってしまう。魔物使いと契約を交わした魔物は主人が死亡すると一時的に意識を失うか混乱状態に陥ってしまう。その隙を逃さず、キラウはユニコーンの額の角に視線を向け、指を鳴らす。
「その馬の角を引き千切りなさい。そうすれば簡単に死ぬわ」
「き、貴様!!」
「おっと、そこの王子様は殺しては駄目よ。一緒に連れて行きましょう」
「ギギィッ!!」
ユニコーンの角に手を伸ばすホブゴブリンの姿を見たアルンが止めようとしたが、キラウの命令を受けたホブゴブリンの一体が彼の身体を抱え込み、キラウの元へ移動する。
「ヒヒィイイインッ……!?」
「うむぅううっ……!?」
ジダンは連れ去られるアルンとホブゴブリンの集団から一本角を引き剥がされるユニコーンの姿を見せつけられ、必死に黒蛇を引き剥がそうとするが、影魔法は力では抵抗できない。
「王子を確保できればもうどうでもいいわ。引き返すわよ」
『ギイッ……!!』
キラウの命令に従い、ホブゴブリンの集団は馬車から離れる。まるで魔物使いと契約を交わした魔獣のように忠実にキラウの命令に従うホブゴブリンに対し、ジダンは違和感を抱く。
(何故だっ……何故、奴は魔物を操れる!?死霊使いではなかったのか……!!)
仮にキラウが従えていたのが死霊の類ならば操っていたとしてもおかしくはないが、ホブゴブリンの肉体からは一切の死臭は感じられず、間違いなく生きた魔物だった。
(どうして魔物は奴の命令に従う……死霊使いは固有職でなければ習得出来ないはず、奴が魔物使いとは考えにくい……)
ジダンは憎々し気な表情を浮かべながらもホブゴブリンの様子を伺い、周囲にキラウ以外の人間が存在し、別の者がホブゴブリンを操っているのではないかと考えた。しかし、先ほどから周囲の様子を伺い、精霊を利用して他の人間が存在しないのか調べていたが、この場所にはキラウ以外の人間の反応は感じられない。
(まさかゴブリンを調教して完全に従わせているのか……!?)
ゴブリンは魔人族を除けば魔物の中でも知能は高く、狂暴性が低い子供の時ならば人間に懐くこともある。考えられるとしたら幼少期のゴブリンを捕獲し、人間に従うように調教されたとしか考えられない。
「そうね……こ~んな顔かしら?」
倒れているジダンと膝を付いたアルンに対し、キラウは挑発するように歪んだ笑顔を浮かべる。そんな彼女の顔を見せつけられてジダンは怒りを露わにして起き上がろうとしたが、何時の間にか二人の足元にも騎士達を拘束している「影の蛇」が迫っていた。
「おっと、動かないでもらえるかしら?」
「ぐうっ!?」
「この魔法は……!!」
「正直、こんな古臭い魔法なんて私の趣味じゃないんだけど……こういう状況だけなら役立つわね」
キラウの足元の影から無数の黒蛇が実体化して二人の身体に纏わりつき、感覚を乱して動けないように地面に拘束する。影魔法を打ち破るには聖属性の魔法だけのため、風邪の精霊を呼び出した所で抵抗する事も出来ない。
「は、離せ!!貴様は自分が何をしているのかを……」
「うるさいわね。少し黙っていなさい」
「うぐぅっ!?」
怒鳴り散らすジダンの口元を黒蛇が覆い込み、更に両手と両足を締め付けて地面に抑えつける。その様子を確認したアルンは馬車を振り返り、御者に命じる。
「走れ!!僕達に構わず突破するんだ!!」
「えっ!?そ、それでは王子が……!?」
「構わない!!早く行けっ!!」
アルンが倒れているのは馬車の正面のため、仮に馬車を走らせたら二人に衝突する可能性が高い。しかし、自分が犠牲になろうと大切な家族を守るためにアルンは御者に命令を下し、二人を逃がすために御者に命令した。だが、キラウが黙って見逃すはずがなく、背後に控えるホブゴブリンに命令を下す。
「それは少し困るわね。貴方達、馬を始末しなさい」
『ウギィイイッ!!』
「ヒヒィンッ!?」
キラウが命じた途端、武装したホブゴブリンの集団がユニコーンに押し寄せ、強制的にユニコーンを抑えつける。魔獣の中ではユニコーンは強力な個体であり、オーガやトロールを上回る戦闘力を誇る。しかし、キラウが連れてきたホブゴブリンの集団は武装しており、連携してユニコーンを抑えつけた。
「うわ、離せっ!!俺のユニコーンに触れるなっ!?」
「そいつが魔物使いよ。まずはその男を始末しなさい」
「止めろっ!?」
馬車の御者が必死にホブゴブリンをユニコーンから引きはがそうとしたが、キラウが新たな命令を与えるとホブゴブリンの1匹が御者の身体を掴み上げ、力尽くで地面に叩きつける。
「フギィッ!!」
「うがぁっ!?」
「ヒヒンッ!?」
主人が地面に叩きつけられた瞬間、ユニコーンは目を見開き、動作が鈍ってしまう。魔物使いと契約を交わした魔物は主人が死亡すると一時的に意識を失うか混乱状態に陥ってしまう。その隙を逃さず、キラウはユニコーンの額の角に視線を向け、指を鳴らす。
「その馬の角を引き千切りなさい。そうすれば簡単に死ぬわ」
「き、貴様!!」
「おっと、そこの王子様は殺しては駄目よ。一緒に連れて行きましょう」
「ギギィッ!!」
ユニコーンの角に手を伸ばすホブゴブリンの姿を見たアルンが止めようとしたが、キラウの命令を受けたホブゴブリンの一体が彼の身体を抱え込み、キラウの元へ移動する。
「ヒヒィイイインッ……!?」
「うむぅううっ……!?」
ジダンは連れ去られるアルンとホブゴブリンの集団から一本角を引き剥がされるユニコーンの姿を見せつけられ、必死に黒蛇を引き剥がそうとするが、影魔法は力では抵抗できない。
「王子を確保できればもうどうでもいいわ。引き返すわよ」
『ギイッ……!!』
キラウの命令に従い、ホブゴブリンの集団は馬車から離れる。まるで魔物使いと契約を交わした魔獣のように忠実にキラウの命令に従うホブゴブリンに対し、ジダンは違和感を抱く。
(何故だっ……何故、奴は魔物を操れる!?死霊使いではなかったのか……!!)
仮にキラウが従えていたのが死霊の類ならば操っていたとしてもおかしくはないが、ホブゴブリンの肉体からは一切の死臭は感じられず、間違いなく生きた魔物だった。
(どうして魔物は奴の命令に従う……死霊使いは固有職でなければ習得出来ないはず、奴が魔物使いとは考えにくい……)
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