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闘技祭 決戦編
連れ去られる王子
「き、貴様……僕をどうする気だ?」
「あら、まだ意識が残っていたの。でも、説明をする時間はないから寝ていなさい」
「うっ……」
ホブゴブリンに抱えられていた王子がにキラウに問い質すと、彼女は王子の顔の前に掌を近づけただけで王子の意識を断つ。その光景を目撃したジダンは身体を拘束されながらもキラウに襲い掛かろうとしていたが、徐々に力が抜けていく。
「ぐううっ……!?」
「大した男ね。私の黒蛇に絡みつかれて魔力を根こそぎ奪われているはずなのにまだ意識があるの……でも、ここまでよ」
「待てっ!!」
ジダンに止めを刺すためにキラウが杖を構えた瞬間、馬車から国王とノルが現れる。二人は拘束された騎士達と連れ去れられる王子を見て血相を変え、キラウに怒鳴りつける。
「儂の息子を何処へ連れて行く気だ!!」
「お兄様を離しなさいっ!!」
「あら……美しい家族愛ね」
デブリとノルは両手を構えて風の精霊を呼び寄せ、攻撃態勢に入る。しかし、そんな二人を見てキラウは嘲笑うように杖を構えて魔法を放つ。
「でも時間切れよ。今回は貴女達に用はないの……本当はあの王女の方が使い道が多そうだったのに」
「何だと!?」
「お待ちなさいっ!!」
「私に命令するなっ!!」
キラウの言葉を聞いてデブリとノルは魔法を発動させようとしたが、先にキラウは杖先から大量の黒霧を放出し、煙幕のように馬車を取り囲む。黒霧に覆われた二人は激しく咳き込み、折角集めた風の精霊が四散してしまう。
「くっ……アルン!!」
「お兄様ぁっ……!!」
「ふぐぅうっ……!?」
デブリ、ノル、ジダンの虚しい叫び声が黒霧の中から響き渡り、キラウは笑い声を上げながらその場を立ち去った――
――時刻は少し前に遡り、闘技場では各国の代表が集まって宴を行っていた。その中には試合に参加した選手の姿もあり、闘技場に配備されていた治癒魔導士の治療を受けて完全に回復していた。
「済まねえタイガさん……全力は尽くしたつもりだが、まさか予選で負けるなんて……」
「がはははっ!!何を言っている、いい試合だったぞ!!」
「グガン様、申し訳ありません」
「おおっ……見事な試合だったぞゴウよ」
予選試合ではゴウライとリンダに敗れたタイガとゴウは自国の国王の前で跪き、謝罪を行う。しかし、二人の王は特に気にした風もなく二人を労う。バルトロス国王の前にも試合で勝ち抜いたミドルとレミアが跪き、二人に盃を授ける。
「ミドル、レミアよ。よくぞ強敵を打ち破り、試合を勝ち抜いたな。これは褒美じゃ、受け取るがいい」
「あ、ありがとうございます」
「……感謝致します」
グラスに注がれたワインに二人は受け取り、その場で飲み干す。その様子を離れた場所から剣聖のハヤテが見守り、彼女の姿を見かけた国王は疑問を抱く。
「ところでどうしてあのような子供が宴に参加しているのだ?誰が招いたのだ?」
「あの方は剣聖のハヤテ様です。王妃様の知人らしく、この場に招待しました」
「ぬっ……そうか、サクラが呼んだのか」
王妃の名前が出た瞬間に国王の表情が一瞬だけ歪むが、すぐに何事もなかったように振舞う。国王は周囲を見渡し、肝心の自分の家族を探す。
「そう言えばサクラとナオはどうしたのだ?どうして姿を見せん?」
「王妃様は間もなく訪れるはずです。ナオ様に関しては体調を崩したらしく、この場には居合わせておりません」
「何!?ナオは無事なのか?」
「ご安心ください。今は闘技場の治癒魔導士が様子を見ているはずです」
「安心できん!!すぐに見舞いに行かなければ……」
「え~お父様、何処へ行くの?」
ナオが体調を崩したと聞いて国王は彼女の元へ向かおうとしたが、二人の少女が国王の前に立ちふさがる。その姿を見た瞬間、国王は表情を緩めて二人を抱き寄せる。
「おおっ……お主達も来てくれたのか」
「当然ですわ。お父様が開いてくれた宴ですもの」
「もう料理食べていいの?」
ナオの妹であり、前王の子供であるシオンとリアナが現れるとバルトロス国王は機嫌を直し、二人を歓迎する。シオンとリアナは国王の両腕を掴むと、何処にも行かせないとばかりに微笑む。
「お姉様なら大丈夫ですよ。さっき、顔を合わせましたけどもう気分も良さそうでした」
「後で迎えに来てくれるって言ってたよ?」
「そうかそうか、ではお主達を他の者に紹介しよう。付いてきなさい」
双子の娘の話を聞いて国王は思い直し、各国の国王の元へ二人を招く。その様子を見ていたミドルにシオンが振り返り、黙って首を頷く。それを確認したミドルは礼を告げるように両手を合わせ、隣に立っているレミアに声を掛ける。
「さて……レミア君。君に色々と聞きたいことがある」
「……何でしょうか?」
「そんなに警戒しなくていいよ。僕等は同じ大将軍じゃないか……遠慮はいらないさ」
口調は穏やかだが、逃がさないとばかりにミドルは目つきを鋭くさせてレミアを睨みつける。しかし、宴の席では武器の持ち込みは禁止されており、今現在のミドルは槍を装備していない。一方でレミアの場合は魔鎧術を利用すればあらゆる武器を作り出して対応出来るため、生身の状態ではレミアが圧倒的に有利だった。
「あら、まだ意識が残っていたの。でも、説明をする時間はないから寝ていなさい」
「うっ……」
ホブゴブリンに抱えられていた王子がにキラウに問い質すと、彼女は王子の顔の前に掌を近づけただけで王子の意識を断つ。その光景を目撃したジダンは身体を拘束されながらもキラウに襲い掛かろうとしていたが、徐々に力が抜けていく。
「ぐううっ……!?」
「大した男ね。私の黒蛇に絡みつかれて魔力を根こそぎ奪われているはずなのにまだ意識があるの……でも、ここまでよ」
「待てっ!!」
ジダンに止めを刺すためにキラウが杖を構えた瞬間、馬車から国王とノルが現れる。二人は拘束された騎士達と連れ去れられる王子を見て血相を変え、キラウに怒鳴りつける。
「儂の息子を何処へ連れて行く気だ!!」
「お兄様を離しなさいっ!!」
「あら……美しい家族愛ね」
デブリとノルは両手を構えて風の精霊を呼び寄せ、攻撃態勢に入る。しかし、そんな二人を見てキラウは嘲笑うように杖を構えて魔法を放つ。
「でも時間切れよ。今回は貴女達に用はないの……本当はあの王女の方が使い道が多そうだったのに」
「何だと!?」
「お待ちなさいっ!!」
「私に命令するなっ!!」
キラウの言葉を聞いてデブリとノルは魔法を発動させようとしたが、先にキラウは杖先から大量の黒霧を放出し、煙幕のように馬車を取り囲む。黒霧に覆われた二人は激しく咳き込み、折角集めた風の精霊が四散してしまう。
「くっ……アルン!!」
「お兄様ぁっ……!!」
「ふぐぅうっ……!?」
デブリ、ノル、ジダンの虚しい叫び声が黒霧の中から響き渡り、キラウは笑い声を上げながらその場を立ち去った――
――時刻は少し前に遡り、闘技場では各国の代表が集まって宴を行っていた。その中には試合に参加した選手の姿もあり、闘技場に配備されていた治癒魔導士の治療を受けて完全に回復していた。
「済まねえタイガさん……全力は尽くしたつもりだが、まさか予選で負けるなんて……」
「がはははっ!!何を言っている、いい試合だったぞ!!」
「グガン様、申し訳ありません」
「おおっ……見事な試合だったぞゴウよ」
予選試合ではゴウライとリンダに敗れたタイガとゴウは自国の国王の前で跪き、謝罪を行う。しかし、二人の王は特に気にした風もなく二人を労う。バルトロス国王の前にも試合で勝ち抜いたミドルとレミアが跪き、二人に盃を授ける。
「ミドル、レミアよ。よくぞ強敵を打ち破り、試合を勝ち抜いたな。これは褒美じゃ、受け取るがいい」
「あ、ありがとうございます」
「……感謝致します」
グラスに注がれたワインに二人は受け取り、その場で飲み干す。その様子を離れた場所から剣聖のハヤテが見守り、彼女の姿を見かけた国王は疑問を抱く。
「ところでどうしてあのような子供が宴に参加しているのだ?誰が招いたのだ?」
「あの方は剣聖のハヤテ様です。王妃様の知人らしく、この場に招待しました」
「ぬっ……そうか、サクラが呼んだのか」
王妃の名前が出た瞬間に国王の表情が一瞬だけ歪むが、すぐに何事もなかったように振舞う。国王は周囲を見渡し、肝心の自分の家族を探す。
「そう言えばサクラとナオはどうしたのだ?どうして姿を見せん?」
「王妃様は間もなく訪れるはずです。ナオ様に関しては体調を崩したらしく、この場には居合わせておりません」
「何!?ナオは無事なのか?」
「ご安心ください。今は闘技場の治癒魔導士が様子を見ているはずです」
「安心できん!!すぐに見舞いに行かなければ……」
「え~お父様、何処へ行くの?」
ナオが体調を崩したと聞いて国王は彼女の元へ向かおうとしたが、二人の少女が国王の前に立ちふさがる。その姿を見た瞬間、国王は表情を緩めて二人を抱き寄せる。
「おおっ……お主達も来てくれたのか」
「当然ですわ。お父様が開いてくれた宴ですもの」
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「後で迎えに来てくれるって言ってたよ?」
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「……何でしょうか?」
「そんなに警戒しなくていいよ。僕等は同じ大将軍じゃないか……遠慮はいらないさ」
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