不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

文字の大きさ
315 / 2,091
都市崩壊編

パイルの災難

しおりを挟む
「王国の兵士だからって偉そうにしてんじゃねえよっ!!この都市は冒険者と俺達の都市だ!!」
「下がれ!!あ、いや……下がって下さい!!」
「待て!!我々は王国の兵士では……」


押し寄せてくる街の住民達に王国兵は戸惑い、パイルも慌てて落ち着かせようとするが、その間にもレナはどさくさに紛れてダインとシズネの元に向かう。


「二人とも、こっち」
「うわ、ちょっ……レナなんだよな?」
「その姿……どういう事?」
「説明は後で!!」


二人の手を掴み、人混みを掻き分けながら城壁へ向かう。城門にまで既に大勢の人間が押し寄せており、レナはどのような手段で都市の中に入ろうかと考える。都市の内部に入り込めれば空間魔法の黒渦を利用してダインとシズネを呼び寄せる事は出来るが、不意に城壁で待機していた兵士達が騒ぎ出す。


「な、何だ!?」
「貴様等、何者だ!!」
「うわぁっ!?」


城壁の上から兵士達の悲鳴が上がり、何事かと城門の前に集まっていた人間は上空を見上げると、城壁から複数人の兵士が落ちてきた。


「ぎゃああっ!?」
「うわぁあああっ!!」
「な、何だ!?」


数人の兵士が城門の前に設置された堀の橋の上に墜落し、血反吐を吐き散らす。絶命を免れた者も身体を痙攣させて必死に助けを求めるように腕を伸ばす。


「た、助けっ……」
「おい、大丈夫か!?」
「一体何が起きたんだよ!?」


生き残っていた兵士の元にレナとダインが駆け寄り、即座に回復魔法を施して治療を行う。その間にもシズネだけは冷静に城壁の上を確認すると、兵士を投げ飛ばしたと思われる存在を確認した。


「あれは……ホブゴブリン!?」
『グギィイイイッ!!』
「うわぁあああっ!?」


城壁の上には鎧姿の無数のホブゴブリンの姿が存在し、城門を警備していた王国兵に襲い掛かっていた。兵士も必死に抵抗を試みるが、通常のゴブリンよりも強力で完全武装しているホブゴブリンは次々と兵士達を城壁から投げ落とす。その光景を確認した地上の人間は悲鳴を上げ、城壁から離れようとする。


「ま、魔物だっ!!」
「逃げろっ!!」
「闘技場へ引き返せっ!!」
「馬鹿なっ……何が起きている!?」


城壁で暴れるホブゴブリンの集団を確認し、パイルと地上の王国兵も動揺した声を上げる。その反応を見たレナはホブゴブリンの登場は王国軍の仕業ではないのかと考えるが、どちらにしろ今は城壁に現れたホブゴブリンを倒さなければ多くの兵士の命が奪われる。

別に王国兵を助ける義理はないが、目の前で次々と虐殺を行うホブゴブリンを放置出来るはずがなく、レナは頭に張り付いていたスラミンとヒトミンを引き剥がして戦闘態勢に入った。


「スラ、ヒト、服の中に隠れてろ!!」
「「ぷるるんっ!!」」
「ああ、もう……やってやるっ!!」
「仕方ないわね……行くわよ」
「き、貴様等!?」


スラミンとヒトミンを安全な場所に避難させると、レナとシズネは城壁に向けて駆け出す。その光景を見たパイルは引き留めようとしたが、既にレナが魔法を発動させて空中に足場を作り出していた。


「氷塊!!」
「氷の階段とは、神秘的ね!!」
「す、滑って転んだりしないよなっ!?」


レナが掌を差し出した瞬間、無数の円盤型の氷が出現して城壁の上にまで連なる足場を形成する。3人は円盤を乗り越え、城壁の上に乗り込む。


「ギィイッ!!」
「邪魔ぁっ!!」
「グギィッ!?」


右側から迫ってきたホブゴブリンに対し、レナは空間魔法を発動させて退魔刀を取り出し、勢いよく刃を振り抜いてホブゴブリンを吹き飛ばす。強烈な一撃を受けたホブゴブリンは鎧を破壊されて城壁の上から落ちてしまい、先ほど自分達が投げ飛ばした兵士達と同じ末路を迎える。


「ギィアッ!!」
「刺突!!」
「ギャアッ……!?」


一方で反対側から接近してきたホブゴブリンに対してシズネは無駄がない動きで自身の刀で頭部を貫き、絶命に至らせる。彼女の場合はレナのようにホブゴブリンを吹き飛ばせる程の膂力はないが剣術の腕はレナを上回り、刃を引き抜いて次の敵を狙う。


『ギイイッ!!』
「ひいいっ!?しゃ、シャドウ・スリップ!!」
『グガァッ!?』


ホブゴブリンの集団に対してダインは自分の杖を城壁の煉瓦の床に突いた瞬間、杖から伸びた影が実体化してホブゴブリンの集団に足払いを行う。集団戦ではダインの影魔法は非常に有効的であり、隙を見せたホブゴブリンに対してレナは合成魔術を放つ。


「流石ダイン……これでも喰らってろ、火炎刃!!」
『グギィイイッ!?』


レナの右手から三日月状の火炎の刃が放たれ、転倒したホブゴブリンの集団を焼却した。初級魔法と支援魔法の合成魔術のため、今のレナの力量ならば威力は高レベルの魔術師の上級魔法にも匹敵する。
しおりを挟む
感想 5,095

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!

霜月雹花
ファンタジー
 神の悪戯により死んでしまった主人公は、別の神の手により3つの便利なスキルを貰い異世界に転生する事になった。転生し、普通の人生を歩む筈が、又しても神の悪戯によってトラブルが起こり目が覚めると異世界で10歳の〝家無し名無し〟の状態になっていた。転生を勧めてくれた神からの手紙に代償として、希少な力を受け取った。  神によって人生を狂わされた主人公は、異世界で便利なスキルを使って生きて行くそんな物語。 書籍8巻11月24日発売します。 漫画版2巻まで発売中。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。