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都市崩壊編
王妃の作戦
『俺はこれからどうすればいいと思う?』
『そうですね……まず、厄介なのは街中に存在する魔獣兵です。武装ゴブリンの時と同じように魔物使いを倒せば彼等の施された契約紋は解除されますが、だからといって問題解決にはなりません』
『どうして?』
『いいですか?魔獣兵の殆どは人間に近い知能とトロールを上回る戦闘力を誇ります。そんな奴等が街中に解放されたら今以上に大きな被害が生まれます。現在のところは魔物使いの指示を受けて無差別殺人を控えていますが、もしも魔物使いの支配から逃れれば魔獣兵は暴走してしまいます』
『無差別な殺人を控えているって……どういう意味?』
『言葉通りの意味です。王妃の狙いは街の住民ではなく、自分の邪魔となる冒険者達です』
王国を支配する王妃にとって最も邪魔な存在なのは「冒険者ギルド」という組織であり、彼等は王国に仕える存在ではない。それでいながら軍隊にも匹敵する程の戦闘力を誇り、中にはマリアやアイラのように「英雄」と呼ばれる領域に達した脅威的な力を持つ存在も居る。
無論、王妃としても有能な冒険者を引き抜くこともあるが、冒険都市の中でも最も高ランクの冒険者を抱え、更に自分と対立する貴族と内密に繋がりを持つ「マリア」を疎ましく思っていた。彼女が築いた「氷雨」の組織には5人の剣聖と優れた冒険者が数多く、王妃にとって最も警戒すべき相手だった。
だからこそ王妃は彼等に対抗するために半年以上の時を掛けて「魔獣兵」と呼ばれる軍隊を生み出し、闘技祭という祭事を利用して有力な冒険者を闘技場へ引き寄せ、その間に冒険都市の襲撃を仕掛けたという。
『王妃は今回の作戦のために1000体を超える魔獣兵と死霊使いのキラウを利用し、マリアを亡き者にしようとしているんです。そして街中で戦う以上、冒険者は市民を守るために行動しなければならない以上は通常通りに魔獣兵と戦う事も出来ません』
『でも、いくら魔獣兵とキラウでも叔母様を倒せるとは思えないけど……』
マリアの実力はレナも直に確認しており、彼女は腐敗竜を相手にして堂々と正面から渡り合えるほどの実力者である。レナが知る限りではマリアを上回る魔術師など見た事もなく、しかも彼女には優秀な冒険者が傍に控えているのだ。しかし、アイリスによると王妃もマリアの実力を理解した上で今回の作戦を実行したという。
『王妃もマリアの実力は知り尽くしています。自分が最も恐れる相手ですから王妃もこれまでは慎重に動いていました。ですけど、今回の闘技祭を利用して彼女は新しい戦力を得ました』
『新しい戦力……』
『そうです。闘技祭のために集まった参加者を引き込んだんです』
王妃が闘技祭の開催を大々的に広めたのはマリアを対抗するための人材を得るためでもあり、実際に他国からも実力者が闘技祭に参加するために訪れる事になった。その結果、氷雨の冒険者にも勝るとも劣らない人材が冒険都市に集まると王妃は莫大な資金を利用して彼等を引き込む。
『この日のために王妃は闘技祭の参加者の中から実力者を王国陣営に招き、マリアに対抗するために戦力を増強していました。この事は事前に警告していましたよね?』
『うん』
闘技祭の参加者を王妃が勧誘している事はレナも既にアイリスから報告を受けていた。だが、レナがどうして王妃の勧誘を見逃していたのかというと、既に王妃にレナの存在を知られていたために行動を監視されていたので王国側の行動を止める事は出来なかった。
『既に街中には王妃に雇われた闘技祭の参加者と、金で寝返った冒険者も混じっています。ですけど、レナさんのお陰で誰が裏切者なのかは既にマリアに報告しているんですよね?』
『本当に大変だったよ誤魔化すの……』
氷雨のギルドに所属する冒険者の中にもハヤテと同様に王妃に繋がる人間が存在し、それらの人間をレナはアイリスを利用して見つけ出し、マリアに報告を行っていた。どうして氷雨に入ったばかりのレナが王妃に繋がる冒険者に気付いた事にマリアも不思議に思ったが、適当にレナが「剣士の勘」と答えたら意外と納得してしまう。
『そういえば姉さんも昔から妙に勘が鋭かったわね……これも血筋かしら?』
『あははっ……』
『まあ、いいわ。貴方の報告した人間には注意しておくわね』
表立って動けない間もレナは王妃側と繋がりのある冒険者の情報をマリアに流し、その後はハンゾウとシノビに偵察させてレナが報告した冒険者を調べた所、全員が王妃と繋がっている事が判明した時はマリアも非常に驚いた。
『驚いたわ……レナ、貴方の勘は百発百中ね』
『い、いやぁ……たまたまだよ』
報告した冒険者全員が裏切者と確定するとマリアは隠密に彼等を冒険都市から遠ざけ、説得できる人間は説得を試みる。そのお陰で闘技祭の開催の前日には王妃と繋がりを持つ人間は氷雨のギルド内には存在しないはずだが、レナが気になるのは昼間に偽手紙でティナをレナの元に呼び寄せたという「氷雨の冒険者」の存在である。
『そうですね……まず、厄介なのは街中に存在する魔獣兵です。武装ゴブリンの時と同じように魔物使いを倒せば彼等の施された契約紋は解除されますが、だからといって問題解決にはなりません』
『どうして?』
『いいですか?魔獣兵の殆どは人間に近い知能とトロールを上回る戦闘力を誇ります。そんな奴等が街中に解放されたら今以上に大きな被害が生まれます。現在のところは魔物使いの指示を受けて無差別殺人を控えていますが、もしも魔物使いの支配から逃れれば魔獣兵は暴走してしまいます』
『無差別な殺人を控えているって……どういう意味?』
『言葉通りの意味です。王妃の狙いは街の住民ではなく、自分の邪魔となる冒険者達です』
王国を支配する王妃にとって最も邪魔な存在なのは「冒険者ギルド」という組織であり、彼等は王国に仕える存在ではない。それでいながら軍隊にも匹敵する程の戦闘力を誇り、中にはマリアやアイラのように「英雄」と呼ばれる領域に達した脅威的な力を持つ存在も居る。
無論、王妃としても有能な冒険者を引き抜くこともあるが、冒険都市の中でも最も高ランクの冒険者を抱え、更に自分と対立する貴族と内密に繋がりを持つ「マリア」を疎ましく思っていた。彼女が築いた「氷雨」の組織には5人の剣聖と優れた冒険者が数多く、王妃にとって最も警戒すべき相手だった。
だからこそ王妃は彼等に対抗するために半年以上の時を掛けて「魔獣兵」と呼ばれる軍隊を生み出し、闘技祭という祭事を利用して有力な冒険者を闘技場へ引き寄せ、その間に冒険都市の襲撃を仕掛けたという。
『王妃は今回の作戦のために1000体を超える魔獣兵と死霊使いのキラウを利用し、マリアを亡き者にしようとしているんです。そして街中で戦う以上、冒険者は市民を守るために行動しなければならない以上は通常通りに魔獣兵と戦う事も出来ません』
『でも、いくら魔獣兵とキラウでも叔母様を倒せるとは思えないけど……』
マリアの実力はレナも直に確認しており、彼女は腐敗竜を相手にして堂々と正面から渡り合えるほどの実力者である。レナが知る限りではマリアを上回る魔術師など見た事もなく、しかも彼女には優秀な冒険者が傍に控えているのだ。しかし、アイリスによると王妃もマリアの実力を理解した上で今回の作戦を実行したという。
『王妃もマリアの実力は知り尽くしています。自分が最も恐れる相手ですから王妃もこれまでは慎重に動いていました。ですけど、今回の闘技祭を利用して彼女は新しい戦力を得ました』
『新しい戦力……』
『そうです。闘技祭のために集まった参加者を引き込んだんです』
王妃が闘技祭の開催を大々的に広めたのはマリアを対抗するための人材を得るためでもあり、実際に他国からも実力者が闘技祭に参加するために訪れる事になった。その結果、氷雨の冒険者にも勝るとも劣らない人材が冒険都市に集まると王妃は莫大な資金を利用して彼等を引き込む。
『この日のために王妃は闘技祭の参加者の中から実力者を王国陣営に招き、マリアに対抗するために戦力を増強していました。この事は事前に警告していましたよね?』
『うん』
闘技祭の参加者を王妃が勧誘している事はレナも既にアイリスから報告を受けていた。だが、レナがどうして王妃の勧誘を見逃していたのかというと、既に王妃にレナの存在を知られていたために行動を監視されていたので王国側の行動を止める事は出来なかった。
『既に街中には王妃に雇われた闘技祭の参加者と、金で寝返った冒険者も混じっています。ですけど、レナさんのお陰で誰が裏切者なのかは既にマリアに報告しているんですよね?』
『本当に大変だったよ誤魔化すの……』
氷雨のギルドに所属する冒険者の中にもハヤテと同様に王妃に繋がる人間が存在し、それらの人間をレナはアイリスを利用して見つけ出し、マリアに報告を行っていた。どうして氷雨に入ったばかりのレナが王妃に繋がる冒険者に気付いた事にマリアも不思議に思ったが、適当にレナが「剣士の勘」と答えたら意外と納得してしまう。
『そういえば姉さんも昔から妙に勘が鋭かったわね……これも血筋かしら?』
『あははっ……』
『まあ、いいわ。貴方の報告した人間には注意しておくわね』
表立って動けない間もレナは王妃側と繋がりのある冒険者の情報をマリアに流し、その後はハンゾウとシノビに偵察させてレナが報告した冒険者を調べた所、全員が王妃と繋がっている事が判明した時はマリアも非常に驚いた。
『驚いたわ……レナ、貴方の勘は百発百中ね』
『い、いやぁ……たまたまだよ』
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