文字の大きさ
大
中
小
353 / 2,093
都市崩壊編
通路の先には
「よっと」
「おい、無暗に入って大丈夫なのか!?」
レナはシュンの制止の言葉を耳にしながらも通路の中に入り込み、あまりの異臭に顔を顰めるが、耐え切れない程ではない。暗闇に支配された通路を照らすために光球の魔法を発動させると、巨人族でも通貨出来る程に天井が高く、更にトロッコを運び出すようなレールまで配置されている事が判明した。そして通路内にはゴブリンキングと思われる足跡が存在し、通路の奥へ足跡は続いていた。
「この足跡……やっぱりここに隠れていたのか」
「何だと?」
アカイが穴の中に飛び込み、通路に存在するゴブリンキングの足跡を確認すると、即座に追いかけようとした。しかし、そんな彼の肩をレナが掴んで引き留める。
「待って下さい、迂闊に追いかけると危険です」
「知った事か!!あの程度の相手、俺一人で十分だ!!」
「ここは地下なんですよ?この場所で派手に暴れたら地上がどうなるか……」
「坊主の言う通りだ。少しは落ち着きやがれ馬鹿が」
「ぐっ……」
続けてシュンも穴の中に飛び込み、レナの言葉に同意する。追跡する事自体は否定はしないが、迂闊に地下通路で戦闘を行えば地上も大きな影響を受けるだろう。ゴブリンキングの所持している紅蓮は爆発を引き起こす妖刀である以上、戦闘に突入すれば地下通路その物を崩壊する危険性も高い。
「だが、ここでみすみすと奴を逃がすわけには行かん」
「分かっているよ。だけどな、この場所だと風の精霊も上手く扱えねえ……俺もお前も万全には戦えないんだぞ?」
「え?そうなんですか?」
「ああ、精霊魔法は環境によって大きく効果が変化する。こんな碌に換気もされてなさそうな地下の空間だと風の精霊も呼び集める事も難しいんだよ」
シュンとアカイの扱う戦法は風の精霊に大部分に依存されてしまうため、密封されている空間では風の精霊を呼び集める事も難しい。そのため、通路を進む場合は二人は地上に居た時のようには戦えないという。
「シュン、怖気付いたのならお前は残れ。俺は一人でも行くぞ」
「馬鹿かお前は?一人でどうにか出来る相手じゃねえだろ!!王国四騎士だか何だか知らないが下らねえプライドなんて捨てちまえっ!!」
「ふんっ……俺は行くぞ」
「あ、待って下さい!!」
シュンの制止の言葉を無視して先に歩もうとするアカイに対し、レナは慌てて後を追いかける。シュンも仕方なく二人の後を追い、通路に残された足跡を辿って奥へ進む。
「くそ、鼻がひん曲がりそうだな……だが、下水の臭いじゃねえな」
「……この臭いは血だ。壁をよく見てみろ、血の跡が残っているだろう」
「あ、本当だ……」
通路を充満している異臭の正体は下水ではなく、通路内の至る箇所に付着した血の臭いだと判明する。過去にこの場所で大勢の人間が血を流したのか至る場所に血痕が残っており、その中には明らかに最近に染み付いた血も存在した。まるで拷問所の中に入り込んだ気分に陥り、冒険都市に長らく住むシュンもこのような地下通路が存在する事を知らなかった。
「おいおいマジかよ……この都市にこんな場所があるなんて聞いた事がねえぞ」
「この都市はかつて存在した帝国の都だと聞いている……この地下通路も帝国時代に築かれた物かも知れん」
アカイの言葉にレナはアイリスから教わった話を思い出し、冒険都市の地下通路は帝国時代に築かれた物だと聞いている。そして旧帝国の末裔である王妃は地下通路の存在を知り尽くしており、この通路を通じて魔獣兵を送り込んだという。
(アイリス!!駄目か……まだ交信出来ない。という事はこの近くにホネミンがいるのか?)
アイリスと交信を行おうとしても繋がらず、考えられるとしたらホネミンがレナからそれほど離れていない場所に存在する事になるが、どうして闘技場に向かったはずの彼女が冒険都市に戻ってきたのかが分からない。仮に敵に掴まって拘束されたと推定した場合、どうやって王妃達がレナ達とホネミンの関係を知ったのかが不明である。
(それにしてもかなり動き回っているのにアイリスと交信出来ないなんて……ホネミンは何処にいるんだ?)
ホネミンが存在しない場所にレナが移動すればアイリスと交信して現在の状況を確認出来るが、彼女が存在する正確な位置を把握しなければ迂闊に動き回る事は出来ない。今はゴブリンキングを倒す事だけにレナは集中すると、先頭を走っていたアカイが唐突に立ち止まった。
「……この音は」
「どうかしたんですか?」
「しっ!!何か聞こえるな……」
人間よりも聴覚が鋭い森人族であるアカイとシュンは何かを感じ取ったように立ち止まり、二人に習ってレナも耳を研ぎ澄ませると、僅かにだが物音が聞こえた。それと同時に通路内に振動が走り、徐々に地震のように振動が強まる。
「何だ!?」
「これは……レールだ!!奥から何かが来るぞ!!」
アカイが通路の中心に設置されているレールを警戒するように告げた瞬間、前方の通路から強烈な光が放たれた。
「おい、無暗に入って大丈夫なのか!?」
レナはシュンの制止の言葉を耳にしながらも通路の中に入り込み、あまりの異臭に顔を顰めるが、耐え切れない程ではない。暗闇に支配された通路を照らすために光球の魔法を発動させると、巨人族でも通貨出来る程に天井が高く、更にトロッコを運び出すようなレールまで配置されている事が判明した。そして通路内にはゴブリンキングと思われる足跡が存在し、通路の奥へ足跡は続いていた。
「この足跡……やっぱりここに隠れていたのか」
「何だと?」
アカイが穴の中に飛び込み、通路に存在するゴブリンキングの足跡を確認すると、即座に追いかけようとした。しかし、そんな彼の肩をレナが掴んで引き留める。
「待って下さい、迂闊に追いかけると危険です」
「知った事か!!あの程度の相手、俺一人で十分だ!!」
「ここは地下なんですよ?この場所で派手に暴れたら地上がどうなるか……」
「坊主の言う通りだ。少しは落ち着きやがれ馬鹿が」
「ぐっ……」
続けてシュンも穴の中に飛び込み、レナの言葉に同意する。追跡する事自体は否定はしないが、迂闊に地下通路で戦闘を行えば地上も大きな影響を受けるだろう。ゴブリンキングの所持している紅蓮は爆発を引き起こす妖刀である以上、戦闘に突入すれば地下通路その物を崩壊する危険性も高い。
「だが、ここでみすみすと奴を逃がすわけには行かん」
「分かっているよ。だけどな、この場所だと風の精霊も上手く扱えねえ……俺もお前も万全には戦えないんだぞ?」
「え?そうなんですか?」
「ああ、精霊魔法は環境によって大きく効果が変化する。こんな碌に換気もされてなさそうな地下の空間だと風の精霊も呼び集める事も難しいんだよ」
シュンとアカイの扱う戦法は風の精霊に大部分に依存されてしまうため、密封されている空間では風の精霊を呼び集める事も難しい。そのため、通路を進む場合は二人は地上に居た時のようには戦えないという。
「シュン、怖気付いたのならお前は残れ。俺は一人でも行くぞ」
「馬鹿かお前は?一人でどうにか出来る相手じゃねえだろ!!王国四騎士だか何だか知らないが下らねえプライドなんて捨てちまえっ!!」
「ふんっ……俺は行くぞ」
「あ、待って下さい!!」
シュンの制止の言葉を無視して先に歩もうとするアカイに対し、レナは慌てて後を追いかける。シュンも仕方なく二人の後を追い、通路に残された足跡を辿って奥へ進む。
「くそ、鼻がひん曲がりそうだな……だが、下水の臭いじゃねえな」
「……この臭いは血だ。壁をよく見てみろ、血の跡が残っているだろう」
「あ、本当だ……」
通路を充満している異臭の正体は下水ではなく、通路内の至る箇所に付着した血の臭いだと判明する。過去にこの場所で大勢の人間が血を流したのか至る場所に血痕が残っており、その中には明らかに最近に染み付いた血も存在した。まるで拷問所の中に入り込んだ気分に陥り、冒険都市に長らく住むシュンもこのような地下通路が存在する事を知らなかった。
「おいおいマジかよ……この都市にこんな場所があるなんて聞いた事がねえぞ」
「この都市はかつて存在した帝国の都だと聞いている……この地下通路も帝国時代に築かれた物かも知れん」
アカイの言葉にレナはアイリスから教わった話を思い出し、冒険都市の地下通路は帝国時代に築かれた物だと聞いている。そして旧帝国の末裔である王妃は地下通路の存在を知り尽くしており、この通路を通じて魔獣兵を送り込んだという。
(アイリス!!駄目か……まだ交信出来ない。という事はこの近くにホネミンがいるのか?)
アイリスと交信を行おうとしても繋がらず、考えられるとしたらホネミンがレナからそれほど離れていない場所に存在する事になるが、どうして闘技場に向かったはずの彼女が冒険都市に戻ってきたのかが分からない。仮に敵に掴まって拘束されたと推定した場合、どうやって王妃達がレナ達とホネミンの関係を知ったのかが不明である。
(それにしてもかなり動き回っているのにアイリスと交信出来ないなんて……ホネミンは何処にいるんだ?)
ホネミンが存在しない場所にレナが移動すればアイリスと交信して現在の状況を確認出来るが、彼女が存在する正確な位置を把握しなければ迂闊に動き回る事は出来ない。今はゴブリンキングを倒す事だけにレナは集中すると、先頭を走っていたアカイが唐突に立ち止まった。
「……この音は」
「どうかしたんですか?」
「しっ!!何か聞こえるな……」
人間よりも聴覚が鋭い森人族であるアカイとシュンは何かを感じ取ったように立ち止まり、二人に習ってレナも耳を研ぎ澄ませると、僅かにだが物音が聞こえた。それと同時に通路内に振動が走り、徐々に地震のように振動が強まる。
「何だ!?」
「これは……レールだ!!奥から何かが来るぞ!!」
アカイが通路の中心に設置されているレールを警戒するように告げた瞬間、前方の通路から強烈な光が放たれた。
感想 5,097
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
『ベルンハルト・フォン・バーデンは平穏に暮らしたい』
GamaFrog男爵家三男、ベルンハルト・フォン・バーデン。
家督継承権はなく、本来ならどこかの官職に就くか、他家へ仕えるか、婿入りするか――そんな将来が待っているはずだった。
しかしベルは少しだけ優秀すぎた。
小遣い稼ぎのつもりで始めた商売は成功し、気付けば父親より金を持ち、長男より領地経営に詳しく、次男より商売が上手くなっていた。
本人に出しゃばる気はない。
ただ普通に生きていただけだ。
それでも、優秀すぎる三男の存在は家族との距離を少しずつ広げていった。
家に居場所がなくなった。
だからベルは学園へ来た。
貴族だから一応入学した。
家にいるより気楽だったから。
静かに暮らしたかったから。
寄付金を積んで手に入れた広い寮部屋で、本を読み、昼寝をし、卒業後は適当な文官になって平穏に生きる
そのはずだった。
だが現実は違った。
男装令嬢に懐かれ。
王太子に目を付けられ。
商会には囲い込まれ。
気付けば平穏はどこへやら。
本人はただ平穏に暮らしたいだけ。
周囲はなぜか放っておいてくれない。
これは、面倒事を嫌う規格外の天才が、静かな人生を目指して失敗し続ける物語である。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
真の皇帝は俺です ~面倒だから幼なじみに帝位を任せていたら、婚約者に捨てられました。正体を明かしたら全員後悔してももう遅い~
由香皇帝の仕事が面倒だったレインは、信頼する幼なじみアレクシスに表向きの皇帝を任せ、自身は陰から帝国を支えていた。
だがある日、婚約者エミリアは「権力も将来性もない」と彼を見限り婚約破棄を宣言する。
しかし彼女は知らなかった。
帝国を動かしていた真の支配者が誰なのかを。
これは全てを持ちながら隠していた男と、見るべきものを見失った者たちの後悔の物語。
クラス全員で異世界召喚されたが、俺だけ教室に取り残されたのでとりあえず帰宅した
中山(ほ) クラス全員で異世界召喚されたが、先生と俺が残っていた。
魔法もチートスキルもステータス画面すら表示されない、ただの「残され損」
異世界に行けなかった俺を待っていたのは、世知辛い現実だった。
AI使用状況
GoogleのGeminiさん使ってます〜
誤字脱字チェックと調べ物お願いしてます
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。