文字の大きさ
大
中
小
361 / 2,093
都市崩壊編
王子の行方
「……もう一度だけ聞くわ。どういうつもりなの?どうして貴女がこの女を庇うの?」
「それは……」
「殺せっ!!私を殺せっ!!お前らの思い通りになるぐらいなら……ここで死んでやる!!」
マリアの質問にハヅキが答える前にキラウは喚き散らし、醜態を晒す事も構わずに怒鳴り散らす。そんな自分の娘の姿にハヅキは唇を噛みしめ、ここまで彼女を追い詰めたのかと苦しむ。
「……マリア、お願いだからどうか私にこの子を渡しなさい。それが一番なの」
「気は確か?この女がこの街にどれほどの被害を及ぼしたのか分かっているの?いいえ、この街の人間だけじゃないわ。この女の行いでどれほどの人間が……」
「分かっています!!」
母親の行動が正気とは思えないマリアは詰問するが、それを予想していたようにハヅキは頷き、キラウの犯した罪が決して許されるものではない事を理解している。それでも彼女はキラウをこの場から連れ去らなければならない理由があった。
「私がこの子を連れて行く理由は……母親としての判断ではありません」
「それは、どういう意味かしら?」
「半刻ほど前、第一王子が連れ去られました。現在はヨツバ王国の兵士達に捜索させています……そして誘拐犯はっこの子です」
「っ……!?」
ハヅキがこの場に訪れたのは母親として二人の娘の争いを止めるためではなく、彼女は王子を誘拐した犯人を捜すために訪れたことを話す。ハヅキは王家の護衛役を任されており、王子を連れ戻すために直属の部下を連れて王子を誘拐したキラウを捜索していたという。
「どうか素直に答えてください。王子は無事なのですか?」
「はっ……何だ、そういう事だったのね。結局、ここに来たのはあの役にも立たない王子様を探しに来たってわけ?」
「アイラ!!」
「その名前で呼ぶなっ!!」
キラウの本名であり、本来ならば家系を継ぐはずの人間に与えられる「アイラ」の名前をハヅキが口にした途端、キラウは憎悪を露わにして怒鳴りつける。その気迫にマリアとハヅキは後退り、護衛が武器を構える。しかし、今の彼女は身体を動かす事もままならず、激しく咳き込みながら地面にうつ伏せに倒れこむ。
「げほげほっ……忌々しい!!何処まで私を愚弄すれば気が済む……!!」
「アイラ……」
「うるさい!!その名前を聞くだけで頭がおかしくなる……早く私を殺せっ!!」
痛々しい娘の姿にハヅキは顔を反らすが、それでも彼女は王家に使える者として王子の居場所を探さねばならない。そのためには王子を誘拐したアイラから情報を聞き出す必要があり、彼女はアイラに尋ねる。
「アイラ……お願い、どうか答えて下さい。でないと……私は貴女を」
「……そんなに知りたいの?なら、答えてもいいわ……」
「妙に素直ね?何か企んでいるのかしら?」
キラウは口元に笑みを浮かべ、そんな彼女の反応にマリアは訝しむと、キラウはマリアに視線を向けてハヅキに答えた。
「王子の居場所を知りたければそこの女を殺しなさい。私の前であんたが娘を殺せば話してあげてもいいわ」
「そんな事……出来るはずがないではないですかっ!?」
娘であるマリアの殺害を命じたキラウにハヅキは咄嗟に怒鳴るが、そんな彼女を見てキラウは瞳に憎悪の光を宿して怒鳴り返す。
「私の事を見捨てた癖にっ!!」
「っ……!?」
「どれだけ綺麗ごとをほざこうと……あんたはもう、娘を一度裏切っているのよ。それなら二度目は抵抗感なんて湧かないでしょう」
「…………」
キラウの発言にハヅキは衝撃を受けた表情を浮かべ、マリアは黙って二人のやり取りを見つめる。二人がどのような行動を取るのかを黙って見守り、あくまでも傍観を行う。二人の関係はマリアは良く知らないが、それでも下手に話を割り込む事は出来ないと判断した。
「アイラ……どうして貴女はそこまで」
「お前のせいだ……お前があの時、私を見捨てたから!!」
「……私は貴女を救おうとしたのです!!」
100年以上前、確かにハヅキはキラウをハヅキ家から追放させた事実は変わらない。だが、彼女も本意でキラウを追い出したわけではなく、このままでは自分の娘の立場が危ういと感じた彼女はキラウを想ってハヅキ家から追い出したつもりだった。
しかし、ハヅキの思いとは裏腹にキラウは彼女を憎み、そして森人族という種族全てを妬む様になった。彼女の中で家族呼べる存在は自分を拾い上げた「吸血鬼」だけであり、キラウは既に母親の事を敵としか人していない。だからこそ彼女はハヅキが最も苦しむ方法で彼女に復讐を願う。
「お前の言葉は私には響かない……王子を取り返したければ娘を殺せ」
「……貴女を捕まえ、拷問にかける事も出来るのですよ?」
「構わないね。そんな事をされても私は何も話さない……そうなれば困るのはお前だけになる」
「アイラ……貴女はそこまで堕ちたのですか?」
「私をここまで苦しめたのはあんたよ」
「もういいわ」
どうしてもハヅキの質問に答えるつもりはないキラウに対し、黙って見守っていたマリアはこれ以上の問答は無駄だと悟り、杖を構えた。
「それは……」
「殺せっ!!私を殺せっ!!お前らの思い通りになるぐらいなら……ここで死んでやる!!」
マリアの質問にハヅキが答える前にキラウは喚き散らし、醜態を晒す事も構わずに怒鳴り散らす。そんな自分の娘の姿にハヅキは唇を噛みしめ、ここまで彼女を追い詰めたのかと苦しむ。
「……マリア、お願いだからどうか私にこの子を渡しなさい。それが一番なの」
「気は確か?この女がこの街にどれほどの被害を及ぼしたのか分かっているの?いいえ、この街の人間だけじゃないわ。この女の行いでどれほどの人間が……」
「分かっています!!」
母親の行動が正気とは思えないマリアは詰問するが、それを予想していたようにハヅキは頷き、キラウの犯した罪が決して許されるものではない事を理解している。それでも彼女はキラウをこの場から連れ去らなければならない理由があった。
「私がこの子を連れて行く理由は……母親としての判断ではありません」
「それは、どういう意味かしら?」
「半刻ほど前、第一王子が連れ去られました。現在はヨツバ王国の兵士達に捜索させています……そして誘拐犯はっこの子です」
「っ……!?」
ハヅキがこの場に訪れたのは母親として二人の娘の争いを止めるためではなく、彼女は王子を誘拐した犯人を捜すために訪れたことを話す。ハヅキは王家の護衛役を任されており、王子を連れ戻すために直属の部下を連れて王子を誘拐したキラウを捜索していたという。
「どうか素直に答えてください。王子は無事なのですか?」
「はっ……何だ、そういう事だったのね。結局、ここに来たのはあの役にも立たない王子様を探しに来たってわけ?」
「アイラ!!」
「その名前で呼ぶなっ!!」
キラウの本名であり、本来ならば家系を継ぐはずの人間に与えられる「アイラ」の名前をハヅキが口にした途端、キラウは憎悪を露わにして怒鳴りつける。その気迫にマリアとハヅキは後退り、護衛が武器を構える。しかし、今の彼女は身体を動かす事もままならず、激しく咳き込みながら地面にうつ伏せに倒れこむ。
「げほげほっ……忌々しい!!何処まで私を愚弄すれば気が済む……!!」
「アイラ……」
「うるさい!!その名前を聞くだけで頭がおかしくなる……早く私を殺せっ!!」
痛々しい娘の姿にハヅキは顔を反らすが、それでも彼女は王家に使える者として王子の居場所を探さねばならない。そのためには王子を誘拐したアイラから情報を聞き出す必要があり、彼女はアイラに尋ねる。
「アイラ……お願い、どうか答えて下さい。でないと……私は貴女を」
「……そんなに知りたいの?なら、答えてもいいわ……」
「妙に素直ね?何か企んでいるのかしら?」
キラウは口元に笑みを浮かべ、そんな彼女の反応にマリアは訝しむと、キラウはマリアに視線を向けてハヅキに答えた。
「王子の居場所を知りたければそこの女を殺しなさい。私の前であんたが娘を殺せば話してあげてもいいわ」
「そんな事……出来るはずがないではないですかっ!?」
娘であるマリアの殺害を命じたキラウにハヅキは咄嗟に怒鳴るが、そんな彼女を見てキラウは瞳に憎悪の光を宿して怒鳴り返す。
「私の事を見捨てた癖にっ!!」
「っ……!?」
「どれだけ綺麗ごとをほざこうと……あんたはもう、娘を一度裏切っているのよ。それなら二度目は抵抗感なんて湧かないでしょう」
「…………」
キラウの発言にハヅキは衝撃を受けた表情を浮かべ、マリアは黙って二人のやり取りを見つめる。二人がどのような行動を取るのかを黙って見守り、あくまでも傍観を行う。二人の関係はマリアは良く知らないが、それでも下手に話を割り込む事は出来ないと判断した。
「アイラ……どうして貴女はそこまで」
「お前のせいだ……お前があの時、私を見捨てたから!!」
「……私は貴女を救おうとしたのです!!」
100年以上前、確かにハヅキはキラウをハヅキ家から追放させた事実は変わらない。だが、彼女も本意でキラウを追い出したわけではなく、このままでは自分の娘の立場が危ういと感じた彼女はキラウを想ってハヅキ家から追い出したつもりだった。
しかし、ハヅキの思いとは裏腹にキラウは彼女を憎み、そして森人族という種族全てを妬む様になった。彼女の中で家族呼べる存在は自分を拾い上げた「吸血鬼」だけであり、キラウは既に母親の事を敵としか人していない。だからこそ彼女はハヅキが最も苦しむ方法で彼女に復讐を願う。
「お前の言葉は私には響かない……王子を取り返したければ娘を殺せ」
「……貴女を捕まえ、拷問にかける事も出来るのですよ?」
「構わないね。そんな事をされても私は何も話さない……そうなれば困るのはお前だけになる」
「アイラ……貴女はそこまで堕ちたのですか?」
「私をここまで苦しめたのはあんたよ」
「もういいわ」
どうしてもハヅキの質問に答えるつもりはないキラウに対し、黙って見守っていたマリアはこれ以上の問答は無駄だと悟り、杖を構えた。
感想 5,097
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
『ベルンハルト・フォン・バーデンは平穏に暮らしたい』
GamaFrog男爵家三男、ベルンハルト・フォン・バーデン。
家督継承権はなく、本来ならどこかの官職に就くか、他家へ仕えるか、婿入りするか――そんな将来が待っているはずだった。
しかしベルは少しだけ優秀すぎた。
小遣い稼ぎのつもりで始めた商売は成功し、気付けば父親より金を持ち、長男より領地経営に詳しく、次男より商売が上手くなっていた。
本人に出しゃばる気はない。
ただ普通に生きていただけだ。
それでも、優秀すぎる三男の存在は家族との距離を少しずつ広げていった。
家に居場所がなくなった。
だからベルは学園へ来た。
貴族だから一応入学した。
家にいるより気楽だったから。
静かに暮らしたかったから。
寄付金を積んで手に入れた広い寮部屋で、本を読み、昼寝をし、卒業後は適当な文官になって平穏に生きる
そのはずだった。
だが現実は違った。
男装令嬢に懐かれ。
王太子に目を付けられ。
商会には囲い込まれ。
気付けば平穏はどこへやら。
本人はただ平穏に暮らしたいだけ。
周囲はなぜか放っておいてくれない。
これは、面倒事を嫌う規格外の天才が、静かな人生を目指して失敗し続ける物語である。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
真の皇帝は俺です ~面倒だから幼なじみに帝位を任せていたら、婚約者に捨てられました。正体を明かしたら全員後悔してももう遅い~
由香皇帝の仕事が面倒だったレインは、信頼する幼なじみアレクシスに表向きの皇帝を任せ、自身は陰から帝国を支えていた。
だがある日、婚約者エミリアは「権力も将来性もない」と彼を見限り婚約破棄を宣言する。
しかし彼女は知らなかった。
帝国を動かしていた真の支配者が誰なのかを。
これは全てを持ちながら隠していた男と、見るべきものを見失った者たちの後悔の物語。
クラス全員で異世界召喚されたが、俺だけ教室に取り残されたのでとりあえず帰宅した
中山(ほ) クラス全員で異世界召喚されたが、先生と俺が残っていた。
魔法もチートスキルもステータス画面すら表示されない、ただの「残され損」
異世界に行けなかった俺を待っていたのは、世知辛い現実だった。
AI使用状況
GoogleのGeminiさん使ってます〜
誤字脱字チェックと調べ物お願いしてます
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。