文字の大きさ
大
中
小
362 / 2,093
都市崩壊編
振動の正体
「この女はここで殺すべきよ……王子は私のギルドの冒険者が探し出すわ」
「止めてっ!!」
「もういい、これ以上の恥を晒すぐらいなら……!!」
杖を構えたマリアにハヅキは彼女を止めるが、キラウは右手を胸元に差し出すと隠していた死霊石を握りしめ、死霊使いの禁断の秘儀を発動しようとした。だが、3人が行動を移す前に唐突に地面に激しい振動が走り、全員がその場に転倒してしまう。
「きゃあっ!?」
「これは……!?」
「なっ……まだ早すぎる!?」
「ハヅキ様!!」
地震のように激しい振動が冒険都市を襲い、マリアは何事かと地面に視線を向けると、地中から感じ取る「魔力」を感じ取る。その魔力の強さは以前に都市を襲撃した腐敗竜と比べ物にならず、強力な威圧感を感じさせる魔力だった。
「これは一体……何が起きているのですか?」
「ハヅキ様!!撤退しましょう!!この場に残るのは危険すぎます!!」
「御二人とその女を安全な場所へ連れ出せ!!」
ハヅキ家に従う緑影が安全な場所に3人を連れ出そうとするが、全員の注意が別に逸れた隙にキラウの元に近づく影が存在し、その人物は弱り果てたキラウの身体を抱き上げる。
「おっと、貴女にはまだ役目があります。こちらに引き渡して貰いますよ」
「お前は……!?」
「何者だっ!?」
キラウを抱えたのは全身が黒装束で覆われた人物であり、マリアに仕える「カゲマル」や「ハンゾウ」が装備する和国の衣装で間違いなかった。気配を全く感じさせずに現れた人物にハヅキは咄嗟に精霊魔法を利用してキラウを奪い返そうとするが、先にマリアが杖を構えて魔法を放つ。
「マジック・アロー!!」
マリアの杖先から魔法陣が誕生し、七つの属性の魔法の砲撃魔法が放たれた。威力自体は単体では弱いが、複数の属性の砲撃魔法が同時に撃ち込まれるため、同時に直撃すれば各属性の魔法同士が反発して強力な光の衝撃波を生み出す。しかし、キラウを掲げた人物は自分の元に向かう七つの魔法の矢に対して黒装束の男性はキラウを抱えた状態で空中を跳躍し、全ての砲撃を躱す。
「遅い」
「あぐぅっ!?」
全ての砲撃を回避した男性はキラウを肩に抱え、振動が襲い続ける地面をまるで平地の如く駆け抜ける。その姿を目撃したマリアは舌打ちし、追撃を加えようとしたがハヅキが彼女の腕を掴む。
「止めて下さいっ!!これ以上攻撃をすればあの子は……!?」
「くっ……なら、このまま見逃せと言うの!?」
「マリア様!!」
母親の懇願にマリアは眉を顰め、その間にもキラウを抱えた男は距離を離す。このままでは逃げられてしまうが、そんなマリアの元に側近であるカゲマルが姿を現す。マリアは彼を闘技場内に送り込み、王妃達の動向を探らせていた。
「カゲマル!!丁度いい時に来たわ、あの男を捕まえなさい!!」
「その前に報告を聞いて下さい!!」
「……何ですって?」
マリアの命令ならばどのような時でも即座に従っていたカゲマルだが、今回は彼女の命令には従わず、自分が得た情報を彼女に話す。
「マリア様、この振動の正体は王妃の仕業です!!あの女はこの都市を完全に滅ぼそうとしています!!」
「そんな事は分かっているわ!!ならその正体とやらを報告しなさい!!」
「竜種です!!土竜の成体である「地竜」が攻撃を仕掛けています!!」
「地竜……!?」
地竜という言葉にその場に存在した全員が戦慄し、振動が徐々に激しさを増す。遂には建物が崩壊を始め、街の各所で土煙が舞い上がる。その様子を見たマリアはキラウに構う暇はなく、この街を収める人間として街の住民を避難させる事を決意する。
「すぐに全冒険者に通達しなさい!!住民を街の外へ避難させ、私が地竜の対処に向かうと!!母上……母様!!呆けている場合じゃないのよ!!」
「……わ、分かっています」
立ち去ったキラウに視線を向け続ける母親にマリアは焦らされたように声を掛け、その際に子供の頃に呼び方に戻ってしまう。しかし、今は一刻も早く住民を避難させ、都市に攻撃を仕掛ける地竜を仕留めなければならない。
「各ギルドに連絡を伝えなさい!!優先順位は第一に住民の避難、第二に地竜の討伐よ!!」
「承知っ!!」
「緑影!!貴方達は先に宿に避難させた国王様とノル様の避難させなさい!!ティナ様とエリナ様の捜索は私が行います!!」
『はっ!!』
マリアとハヅキの指示にカゲマルと緑影が動き出し、残された二人は顔を見合わせると、お互いがするべき行動を口にする。
「私は地竜を仕留めるわ」
「私は王女様と王子様の救助を行います……気を付けなさいマリア」
「それはこっちの台詞よ……姉さんもこの街に居るわ、何としても止めて見せる」
「あの子も……!?」
アイラがこの街に存在するという話にハヅキは目を見開き、まさか自分の娘3人がこの都市に残っていた事に驚きを隠せない。孫のレナを合わせればハヅキ家全員が揃う事になる。
「止めてっ!!」
「もういい、これ以上の恥を晒すぐらいなら……!!」
杖を構えたマリアにハヅキは彼女を止めるが、キラウは右手を胸元に差し出すと隠していた死霊石を握りしめ、死霊使いの禁断の秘儀を発動しようとした。だが、3人が行動を移す前に唐突に地面に激しい振動が走り、全員がその場に転倒してしまう。
「きゃあっ!?」
「これは……!?」
「なっ……まだ早すぎる!?」
「ハヅキ様!!」
地震のように激しい振動が冒険都市を襲い、マリアは何事かと地面に視線を向けると、地中から感じ取る「魔力」を感じ取る。その魔力の強さは以前に都市を襲撃した腐敗竜と比べ物にならず、強力な威圧感を感じさせる魔力だった。
「これは一体……何が起きているのですか?」
「ハヅキ様!!撤退しましょう!!この場に残るのは危険すぎます!!」
「御二人とその女を安全な場所へ連れ出せ!!」
ハヅキ家に従う緑影が安全な場所に3人を連れ出そうとするが、全員の注意が別に逸れた隙にキラウの元に近づく影が存在し、その人物は弱り果てたキラウの身体を抱き上げる。
「おっと、貴女にはまだ役目があります。こちらに引き渡して貰いますよ」
「お前は……!?」
「何者だっ!?」
キラウを抱えたのは全身が黒装束で覆われた人物であり、マリアに仕える「カゲマル」や「ハンゾウ」が装備する和国の衣装で間違いなかった。気配を全く感じさせずに現れた人物にハヅキは咄嗟に精霊魔法を利用してキラウを奪い返そうとするが、先にマリアが杖を構えて魔法を放つ。
「マジック・アロー!!」
マリアの杖先から魔法陣が誕生し、七つの属性の魔法の砲撃魔法が放たれた。威力自体は単体では弱いが、複数の属性の砲撃魔法が同時に撃ち込まれるため、同時に直撃すれば各属性の魔法同士が反発して強力な光の衝撃波を生み出す。しかし、キラウを掲げた人物は自分の元に向かう七つの魔法の矢に対して黒装束の男性はキラウを抱えた状態で空中を跳躍し、全ての砲撃を躱す。
「遅い」
「あぐぅっ!?」
全ての砲撃を回避した男性はキラウを肩に抱え、振動が襲い続ける地面をまるで平地の如く駆け抜ける。その姿を目撃したマリアは舌打ちし、追撃を加えようとしたがハヅキが彼女の腕を掴む。
「止めて下さいっ!!これ以上攻撃をすればあの子は……!?」
「くっ……なら、このまま見逃せと言うの!?」
「マリア様!!」
母親の懇願にマリアは眉を顰め、その間にもキラウを抱えた男は距離を離す。このままでは逃げられてしまうが、そんなマリアの元に側近であるカゲマルが姿を現す。マリアは彼を闘技場内に送り込み、王妃達の動向を探らせていた。
「カゲマル!!丁度いい時に来たわ、あの男を捕まえなさい!!」
「その前に報告を聞いて下さい!!」
「……何ですって?」
マリアの命令ならばどのような時でも即座に従っていたカゲマルだが、今回は彼女の命令には従わず、自分が得た情報を彼女に話す。
「マリア様、この振動の正体は王妃の仕業です!!あの女はこの都市を完全に滅ぼそうとしています!!」
「そんな事は分かっているわ!!ならその正体とやらを報告しなさい!!」
「竜種です!!土竜の成体である「地竜」が攻撃を仕掛けています!!」
「地竜……!?」
地竜という言葉にその場に存在した全員が戦慄し、振動が徐々に激しさを増す。遂には建物が崩壊を始め、街の各所で土煙が舞い上がる。その様子を見たマリアはキラウに構う暇はなく、この街を収める人間として街の住民を避難させる事を決意する。
「すぐに全冒険者に通達しなさい!!住民を街の外へ避難させ、私が地竜の対処に向かうと!!母上……母様!!呆けている場合じゃないのよ!!」
「……わ、分かっています」
立ち去ったキラウに視線を向け続ける母親にマリアは焦らされたように声を掛け、その際に子供の頃に呼び方に戻ってしまう。しかし、今は一刻も早く住民を避難させ、都市に攻撃を仕掛ける地竜を仕留めなければならない。
「各ギルドに連絡を伝えなさい!!優先順位は第一に住民の避難、第二に地竜の討伐よ!!」
「承知っ!!」
「緑影!!貴方達は先に宿に避難させた国王様とノル様の避難させなさい!!ティナ様とエリナ様の捜索は私が行います!!」
『はっ!!』
マリアとハヅキの指示にカゲマルと緑影が動き出し、残された二人は顔を見合わせると、お互いがするべき行動を口にする。
「私は地竜を仕留めるわ」
「私は王女様と王子様の救助を行います……気を付けなさいマリア」
「それはこっちの台詞よ……姉さんもこの街に居るわ、何としても止めて見せる」
「あの子も……!?」
アイラがこの街に存在するという話にハヅキは目を見開き、まさか自分の娘3人がこの都市に残っていた事に驚きを隠せない。孫のレナを合わせればハヅキ家全員が揃う事になる。
感想 5,097
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
『ベルンハルト・フォン・バーデンは平穏に暮らしたい』
GamaFrog男爵家三男、ベルンハルト・フォン・バーデン。
家督継承権はなく、本来ならどこかの官職に就くか、他家へ仕えるか、婿入りするか――そんな将来が待っているはずだった。
しかしベルは少しだけ優秀すぎた。
小遣い稼ぎのつもりで始めた商売は成功し、気付けば父親より金を持ち、長男より領地経営に詳しく、次男より商売が上手くなっていた。
本人に出しゃばる気はない。
ただ普通に生きていただけだ。
それでも、優秀すぎる三男の存在は家族との距離を少しずつ広げていった。
家に居場所がなくなった。
だからベルは学園へ来た。
貴族だから一応入学した。
家にいるより気楽だったから。
静かに暮らしたかったから。
寄付金を積んで手に入れた広い寮部屋で、本を読み、昼寝をし、卒業後は適当な文官になって平穏に生きる
そのはずだった。
だが現実は違った。
男装令嬢に懐かれ。
王太子に目を付けられ。
商会には囲い込まれ。
気付けば平穏はどこへやら。
本人はただ平穏に暮らしたいだけ。
周囲はなぜか放っておいてくれない。
これは、面倒事を嫌う規格外の天才が、静かな人生を目指して失敗し続ける物語である。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
真の皇帝は俺です ~面倒だから幼なじみに帝位を任せていたら、婚約者に捨てられました。正体を明かしたら全員後悔してももう遅い~
由香皇帝の仕事が面倒だったレインは、信頼する幼なじみアレクシスに表向きの皇帝を任せ、自身は陰から帝国を支えていた。
だがある日、婚約者エミリアは「権力も将来性もない」と彼を見限り婚約破棄を宣言する。
しかし彼女は知らなかった。
帝国を動かしていた真の支配者が誰なのかを。
これは全てを持ちながら隠していた男と、見るべきものを見失った者たちの後悔の物語。
クラス全員で異世界召喚されたが、俺だけ教室に取り残されたのでとりあえず帰宅した
中山(ほ) クラス全員で異世界召喚されたが、先生と俺が残っていた。
魔法もチートスキルもステータス画面すら表示されない、ただの「残され損」
異世界に行けなかった俺を待っていたのは、世知辛い現実だった。
AI使用状況
GoogleのGeminiさん使ってます〜
誤字脱字チェックと調べ物お願いしてます
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。