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都市崩壊編
総力戦 その2
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『オオオオッ……』
完全に視界が塞がれた地竜は暴れ回るが、一定の距離を保ってハンゾウとカゲマルは様子を伺い、市民が少ない場所へ誘導させる準備を行う。彼等の武器では地竜に致命傷は与えられず、魔法が扱える冒険者が到着するまで時間を稼ぐ必要があった。
「ハンゾウ、お前の手持ちはどの程度残っている?」
「生憎と殆ど使えそうな物はないでござる……このような事態に陥るならば「勝負服」を用意しておくべきだったでござる」
「仕方あるまい、誰もこんな事態を予想は出来ん」
ハンゾウの手持ちは紅桜しか持ち合わせておらず、彼女に尋ねたカゲマルも地竜に通用しそうな武器は使い果たした。二人は魔法の類は不得手としてるので攻撃魔法で注意を引くことも出来ず、接近して攻撃を仕掛けようにも派手に動き回る地竜に近寄るのは危険過ぎる。
「それにしても奴め、随分と暴れているな……街の住民には迷惑を掛ける」
「周囲に人の気配は感じないでござるが?」
「帰る家を失う人々に同情しているんだ……待て、これはどういう事だ?」
「どうかしたでござるか?」
視界が塞がれた事で混乱して暴れまわっていると思われた地竜の行動だが、カゲマルは違和感を抱く。地竜は建物を破壊する際、完全に粉々に砕けるまで破壊を行う。その後、原型を留めない程に破壊を確認した後、今度は別の建物を狙う。この行為自体は別におかしくはないが、まるで地竜は次に破壊する建物の位置を正確に把握しているように感じられた。
「どういう事だ?奴はどうやって建物の位置を把握している?」
「まさか、目が見えているのでは?」
「それは有り得ん。確かに奴の目は破壊したはず」
「ならばゴーレムやガーゴイルのように再生能力があるのでは?」
「いや、確かに地竜にも再生能力は備わっているだろう。だが、奴が口にした物は人工物の煉瓦だ。普通の岩石や土砂ではない……それに見た限りでは両目も破損した状態のままだ」
カゲマルは「鷹の目」と呼ばれる能力を発動させ、地竜の状態を確認した限りでは両目は再生しておらず、確実に視界は塞がれていた。カゲマルは注意深く観察を行うと、地竜の鼻が動いている事に気付き、嗅覚を利用して地竜が建物の位置を把握している事に気付く。
「奴め、嗅覚で位置を確認している!!外見は岩の塊のような生物だが、鼻も利くとは……」
「どうするのでござるか!?」
「奴の鼻を塞ぐしかあるまい……腐敗石は持ち合わせているか?」
「いや……だけど、心当たりはあるでござる!!」
ハンゾウは地竜が出現した大きな穴に視線を向け、彼女は過去にレナと共に冒険都市の下水道に訪れた事があり、下水道に設置された「消臭石」と呼ばれる魔石を思い出す。腐敗石の原料となる消臭石は悪臭を吸い上げる性質が存在し、これを利用して下水道の臭いの除去と腐敗石を生み出す事は彼女も知っている。
「下水道に忍びこめれば腐敗石も持ち帰れるでござる!!だけど、時間が掛かるでござる……」
「仕方ない、ここは俺がどうにかする!!お前は早く下水道に向かえ!!」
「承知!!」
カゲマルの言葉にハンゾウは即座に行動を開始すると、残されたカゲマルは地竜と向き合い、建物の屋根の上を駆け出す。彼の移動速度は白狼種であるウルさえも上回り、加速しながらもハンゾウは小太刀を握りしめ、地竜の背後に向けて跳躍した。
「喰らえっ!!」
『ウオオオッ!!』
「何っ!?」
だが、ハンゾウが背中に向けて飛び降りようとした瞬間、地竜は予測していたように顔を振り返り、口内から瓦礫を吐き出す。咄嗟にハンゾウは迫りくる無数の瓦礫に対して小太刀を構えて迎撃を行う。
「くっ……辻斬り!!」
空中で瓦礫をカゲマルは振り払うが、本来は闇討ちを使用する際に利用する戦技のため、先ほどのような大きな威力は引き出せない。それでも瓦礫を全て切り捨てながらカゲマルは地竜の背中に降り立とうとした時、唐突に地竜は身体を回転させて体勢を大きく変化させる。
『オアアッ!!』
「何だと!?」
地竜の背中に着地した瞬間、体勢が大きく傾いてカゲマルは危うく地上に振り落とされそうになったが、咄嗟に小太刀を甲羅に突き刺してどうにか落下を防ぐ。しかし、地竜はカゲマルを振り落とす度に派手に動き回り、カゲマルは小太刀を両手で握りしめながら落とされない様に耐え抜く。
(ぐっ……こいつ、俺の位置を完全に把握してるのか!?)
カゲマルの予測では地竜は嗅覚を利用して自分以外の存在を把握していると考えていた。しかし、だからこそカゲマルは風向きを計算して自分の臭いを悟られない様に地竜の背中から攻撃を仕掛けたのだが、どういう事なのか地竜は完璧にカゲマルの位置を把握して正確に口内の瓦礫を吐き出した。
(まさか、嗅覚以外に敵の位置を把握できるのか……!?)
小太刀にしがみ付きながらカゲマルは冷静に考え、視界が圧倒的に悪い地中の中を常に深く潜り進めながら生活を送る地竜の五感は侮れず、自分の位置が判明したのはカゲマルは「音」だと判断した。
※公開の投稿の10秒前
アイリス「くっくっくっ……刑務所内では模範囚として過ごしたおかげで警戒が薄くなり、簡単にこのボタンを手に入れました。今日は一気に5話分は押しますよ!!」(´ω`)ノ公開ボタン
カタナヅキ「や、止めろぉっ!!」(´Д`)出番減らして悪かったから!!
完全に視界が塞がれた地竜は暴れ回るが、一定の距離を保ってハンゾウとカゲマルは様子を伺い、市民が少ない場所へ誘導させる準備を行う。彼等の武器では地竜に致命傷は与えられず、魔法が扱える冒険者が到着するまで時間を稼ぐ必要があった。
「ハンゾウ、お前の手持ちはどの程度残っている?」
「生憎と殆ど使えそうな物はないでござる……このような事態に陥るならば「勝負服」を用意しておくべきだったでござる」
「仕方あるまい、誰もこんな事態を予想は出来ん」
ハンゾウの手持ちは紅桜しか持ち合わせておらず、彼女に尋ねたカゲマルも地竜に通用しそうな武器は使い果たした。二人は魔法の類は不得手としてるので攻撃魔法で注意を引くことも出来ず、接近して攻撃を仕掛けようにも派手に動き回る地竜に近寄るのは危険過ぎる。
「それにしても奴め、随分と暴れているな……街の住民には迷惑を掛ける」
「周囲に人の気配は感じないでござるが?」
「帰る家を失う人々に同情しているんだ……待て、これはどういう事だ?」
「どうかしたでござるか?」
視界が塞がれた事で混乱して暴れまわっていると思われた地竜の行動だが、カゲマルは違和感を抱く。地竜は建物を破壊する際、完全に粉々に砕けるまで破壊を行う。その後、原型を留めない程に破壊を確認した後、今度は別の建物を狙う。この行為自体は別におかしくはないが、まるで地竜は次に破壊する建物の位置を正確に把握しているように感じられた。
「どういう事だ?奴はどうやって建物の位置を把握している?」
「まさか、目が見えているのでは?」
「それは有り得ん。確かに奴の目は破壊したはず」
「ならばゴーレムやガーゴイルのように再生能力があるのでは?」
「いや、確かに地竜にも再生能力は備わっているだろう。だが、奴が口にした物は人工物の煉瓦だ。普通の岩石や土砂ではない……それに見た限りでは両目も破損した状態のままだ」
カゲマルは「鷹の目」と呼ばれる能力を発動させ、地竜の状態を確認した限りでは両目は再生しておらず、確実に視界は塞がれていた。カゲマルは注意深く観察を行うと、地竜の鼻が動いている事に気付き、嗅覚を利用して地竜が建物の位置を把握している事に気付く。
「奴め、嗅覚で位置を確認している!!外見は岩の塊のような生物だが、鼻も利くとは……」
「どうするのでござるか!?」
「奴の鼻を塞ぐしかあるまい……腐敗石は持ち合わせているか?」
「いや……だけど、心当たりはあるでござる!!」
ハンゾウは地竜が出現した大きな穴に視線を向け、彼女は過去にレナと共に冒険都市の下水道に訪れた事があり、下水道に設置された「消臭石」と呼ばれる魔石を思い出す。腐敗石の原料となる消臭石は悪臭を吸い上げる性質が存在し、これを利用して下水道の臭いの除去と腐敗石を生み出す事は彼女も知っている。
「下水道に忍びこめれば腐敗石も持ち帰れるでござる!!だけど、時間が掛かるでござる……」
「仕方ない、ここは俺がどうにかする!!お前は早く下水道に向かえ!!」
「承知!!」
カゲマルの言葉にハンゾウは即座に行動を開始すると、残されたカゲマルは地竜と向き合い、建物の屋根の上を駆け出す。彼の移動速度は白狼種であるウルさえも上回り、加速しながらもハンゾウは小太刀を握りしめ、地竜の背後に向けて跳躍した。
「喰らえっ!!」
『ウオオオッ!!』
「何っ!?」
だが、ハンゾウが背中に向けて飛び降りようとした瞬間、地竜は予測していたように顔を振り返り、口内から瓦礫を吐き出す。咄嗟にハンゾウは迫りくる無数の瓦礫に対して小太刀を構えて迎撃を行う。
「くっ……辻斬り!!」
空中で瓦礫をカゲマルは振り払うが、本来は闇討ちを使用する際に利用する戦技のため、先ほどのような大きな威力は引き出せない。それでも瓦礫を全て切り捨てながらカゲマルは地竜の背中に降り立とうとした時、唐突に地竜は身体を回転させて体勢を大きく変化させる。
『オアアッ!!』
「何だと!?」
地竜の背中に着地した瞬間、体勢が大きく傾いてカゲマルは危うく地上に振り落とされそうになったが、咄嗟に小太刀を甲羅に突き刺してどうにか落下を防ぐ。しかし、地竜はカゲマルを振り落とす度に派手に動き回り、カゲマルは小太刀を両手で握りしめながら落とされない様に耐え抜く。
(ぐっ……こいつ、俺の位置を完全に把握してるのか!?)
カゲマルの予測では地竜は嗅覚を利用して自分以外の存在を把握していると考えていた。しかし、だからこそカゲマルは風向きを計算して自分の臭いを悟られない様に地竜の背中から攻撃を仕掛けたのだが、どういう事なのか地竜は完璧にカゲマルの位置を把握して正確に口内の瓦礫を吐き出した。
(まさか、嗅覚以外に敵の位置を把握できるのか……!?)
小太刀にしがみ付きながらカゲマルは冷静に考え、視界が圧倒的に悪い地中の中を常に深く潜り進めながら生活を送る地竜の五感は侮れず、自分の位置が判明したのはカゲマルは「音」だと判断した。
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