不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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都市崩壊編

紅蓮の使用者

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「俺はハンゾウを迎えに行く……恐らく、マリア様もここに向かうはずだ」
「あ、おい!?」


カゲマルは地竜が出現した穴に向けて駆け出し、残された人間達は地竜の様子を伺う。核を取り出すには甲羅を破壊するしかなく、こんな時こそ魔術師の「砲撃魔法」が役立つのだろうが、この場には砲撃魔法を扱える人間はいない。


「参ったな……どうしようか?」
「おい、そういえばエリナの奴は何処に行った?確か、アルミナとかいう姉ちゃんと一緒だっただろ。あの嬢ちゃんの魔法ならどうにか出来るんじゃないのか?」
「あの二人ならばここに来る途中で見かけましたので安全な場所に避難させています。一応はレナ様が回復魔法を施したのですが……目を覚ますのには時間が掛かるでしょうね」
「ちっ……じゃあ、マジで俺達全員でこのデカい甲羅を掘り進めないといけないのかよ」
『ふはははっ!!それはそれで面白そうだがな!!』
『何がおかしいのよあんたは……』


甲羅の内部に潜んでいる核を取り出すために地道に甲羅を削り取る以外に方法はないかと思われた時、レナは地下通路で倒したゴブリンキングから回収して置いた魔剣の事を思い出す。


「あ、そういえば……これ使えないかな?」
「それは……!?」
「妖刀紅蓮!?そんな物、何処で拾って来たのよ!?」
「おいおい、マジかよ……」


空間魔法を発動させて異空間から「紅蓮」を取り出したレナに全員が驚き、特に事情を知らないシズネやジャンヌは動揺を隠せない。七大魔剣の一つである紅蓮はシズネが以前に所持していた「雪月花」と相反する妖刀であり、刀身に強い衝撃を受けると爆炎を生み出す刀である。但し、刃が生み出す爆炎は所有者の魔力を吸い上げて生み出すため、使用者が炎を受けて肉体を傷つける事はない。

この世界の魔法は基本的には使用者を傷つける事はなく、例えばレナの場合は自分が生み出した火球に肉体が触れても炎に焼かれる事はない。但し、身に付けている装備品に関しては別であり、当然だが衣服のような布越しで触れた場合は服に燃え移った熱によって火傷を負う。


「ああっ……何と美しい刀でしょう。これが妖刀紅蓮なのですね、素晴らしい!!長年の間に様々な人物に受け継がれているにも関わらずに刀身には傷一つないなんて……正に妖刀の名前に相応しい!!」
「えっ……ジャンヌさん?」
「ああ、そういえばこいつは刀剣マニアだったな……」


レナが取り出した妖刀にジャンヌはうっとりとした表情を浮かべ、普段の彼女からは信じられない程に興奮した様子で妖刀を調べる。その姿に他の全員は引いてしまうが、彼等の視線に気付いた様子もなくジャンヌは紅蓮に手を添える。


「何という禍々しい刃紋なんでしょうか……それにこの刃の輝き、恐らくは鋼とオリハルコンの合金で構成されています。柄の部分に取り付けられているのは恐らく炎光石と呼ばれる魔石ですね!!これは伝説の聖剣であるレーヴァティンにも使用されている伝説の魔石ですよ!!」
「そ、そうなんですか……」
「まるで人が変わったようね……」
「うむ……物静かな女性だと思っていたが」
「ま、まあ……悪い子ではないのだが、少々変わった趣味を持っていてな」


ジャンヌの豹変ぶりにゴンゾウとシズネが唖然とした表情を浮かべると、見兼ねたロウガが彼女のフォローを行う。しかし、ジャンヌはまだ物足りないとばかりに自分の知る紅蓮の歴史を語った。


「しかし、この妖刀紅蓮は和国の秘宝のはずです。数年ほど前に何者かが和国の城に忍び込んで盗み出したという噂が流れていたはずですが……どうしてレナ様がこれを?」
「えっと……街を襲っていた魔獣が持っていたんだよ。危ないから空間魔法に預けてたんだけど、そんなにヤバい刀だったのか」
「だが、この状況では都合が良い。その刀を使えばこいつの外殻を破壊する事が出来るのではないか?」


実際に紅蓮の力を目にしたアカイが地竜を指差し、この妖刀の力ならば岩石の外殻を破壊して地竜の核が存在する位置まで掘り進める事が出来る可能性は高い。しかし、この紅蓮は使用者の魔力を吸い上げて効果を発揮するため、使用者は限られてしまう。


「じゃあ、ここは剣聖で一番の実力者のゴウライさんに……」
『すまんが吾輩は魔法は一切扱えんぞ。初級魔法さえも使えんからな』
「え、そうなんですか?じゃあ、ここは魔剣に慣れているシズネに……」
「レナ様、紅蓮を扱えるのは火属性を習得している者だけです。人魚族や森人族の方では扱えないと思いますが……」
「そうなの?」


剣の使い手としては誰よりも上のゴウライにレナは紅蓮を渡そうとしたが、彼女は首を振って自分では扱えない事を告げる。初級魔法さえ扱えないという言葉にレナは不思議に思うが、それならば雪月花を所有していた事もあるシズネに渡そうとするとジャンヌが止めに入る。



※アイリス「今日はここまでですね。作者のストックを使い果たしてやりましたよ(^ω^)」
カタナヅキ「ああっ……俺に夏休みはないのか……(´Д`)」
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