文字の大きさ
大
中
小
394 / 2,093
放浪編
監獄都市
「あんた達は囚人なのか?」
「他人事みたいに言ってんじゃねえよ!!てめえも同類だろうが!!」
「……まあ、確かに」
レナは自分の取り付けられている枷に視線を向け、不本意ではあるが自分と彼等が同じ立場であることを理解する。しかし、気になるのは何者が自分を捕まえたかであり、そもそもこの馬車は何処に向かっているのかも気にかかる。
「この馬車は何処に向かってる?」
「そんな事も知らねえのか?世界中の悪党が集まる監獄都市だ。名前ぐらいは聞いたことがあるだろ?」
「監獄……都市?」
「海獄島にも負けず劣らずの最悪の監獄だ。送り込まれる人間全員が死刑囚という世界最悪の都市だよ。ぎゃははははっ!!」
監獄都市の名前はレナも何度か聞いたことがあり、過去にバルが酒に酔っ払った時に語った事を思い出す。彼女がまだ冒険者として活躍していた頃、ある事情でバルは仲間と共に監獄都市に逃げ込んだ悪党を追ったことがある。結果を言えば悪党を捕まえる事は成功したが、同業の冒険者が数名程犠牲になったという。
『あの監獄は正に地獄だね……もう二度と立ち寄りたくはない場所さ』
怖いもの知らずと思われたバルでさえも監獄都市の事を思い出すと酔いが覚めてしまう程に恐ろしい場所らしく、そんな監獄に自分が向かっていると知ったレナはすぐに逃げ出そうとしたが、不意に枷に刻まれている紋章を見て疑問を抱く。
「この紋章は……バルトロス王国の物じゃない?」
「あ?何言ってんだ?」
「監獄都市は獣人国が管理してるんだぞ。当たり前だろうが」
「という事は……ここは獣人国の領地なのか?」
「……何言ってんだてめえは?」
「こいつ、頭イカれちまってんのか?」
囚人達の話とバルから聞いた話を思い返したレナは監獄都市はバルトロス王国の管轄下ではなく、隣国の獣人国と呼ばれる獣人族の国家が管理する都市だと知る。よくよく観察すれば乗り込んでいる囚人の殆どが獣人族であり、レナは自分が獣人国の軍隊に捕まった事を知った。
(ちょっと待て……どういう事だ?獣人国にまで飛ばされたのは分かったけど、どうして俺が捕まらなきゃならないんだ?獣人国に恨みを買うような真似をした覚えはないのに……)
バルトロス王国の領地内で捕まったのならば分からなくもないが、どうして隣国の獣人国に飛ばされただけで拘束されて囚人と共に監獄都市に送り込まれた理由が分からず、レナは馬車を運転している者に話を聞こうとした。しかし、囚人が脱走しないように設計されているのか鋼鉄製の馬車は鉄格子が取り付けられた窓しか存在せず、出入り口の扉も鋼鉄製の頑丈な扉だった。
「ねえ、ちょっと聞こえますか!?ここを開けて話を聞いてください!!」
「無駄だ。やめときな坊主……どうせ話なんか聞いちゃくれねえよ」
「くそっ……声ぐらい聞こえるだろ!!何かの間違いだ!!俺は犯罪者じゃない!!」
レナは何度も扉を叩くが馬車を運転している相手からの返事はなく、仕方なく鉄格子が取り付けられた窓を覗いて外の様子を伺う。視界に入ったのは地平線が成り立つほどの果てしない荒野が広がり、いくつかの岩山が存在するだけで他には何も見えない殺風景な光景にレナは唖然とする。
「何だここ……荒野?」
「おいおい、本当にお前ここが獣人国だと知らなかったのか?ヨツバ王国やバルトロス王国と違ってこの国は緑の自然なんて存在しねえんだよ」
基本的には草原地帯が多いバルトロス王国だが、隣国の獣人国は大部分が荒野で構成されており、領地の広さに関してはバルトロス王国に次いで広いのだが決して裕福な国とは言えない。人口は100万人程度、マモウなどの大型の魔物が住み着く国家である。
窓から離れたレナは自分が本当に獣人国に転移した事を認めざる得ず、このままでは犯罪者として監獄に送り込まれてしまうと考えたレナは咄嗟に脱出を考え、起きたばかりだが魔力は回復している事を確認すると錬金術師の能力を生かしてまずは枷を外そうとした。
(魔法金属だろうと今の俺ならこれぐらいの枷なんて……うわっ!?)
魔法耐性が存在する金属の枷だろうと「物質変換」と「形状高速変化」を身に着けているレナにとってはただの手錠と大差はなく、即座に枷を外そうとした。しかし、能力を発動させる前に馬車が停車して激しく揺れてしまい、態勢を崩したレナは出入り口の扉にもたれこむ。
「うわっ……な、何だ?」
「おっと……どうやら着いたみたいだな」
「おい、ガキ。そこにいると危ないぞ?」
「えっ?」
扉の前に倒れこんだレナに囚人達は薄気味悪い笑みを浮かべ、彼等の反応が気にかかったレナは扉に視線を向けると、外側から時間をかけて左右に扉が開かれる。
「……デロ、ツイタゾ」
現れたのはレナにとっては嫌に見覚えのある魔人族であり、全身が斑模様で療法の角が折れた「ミノタウロス」が出現した。しかも現れたミノタウロスは発音は片言ではあるが間違いなくレナ達が話す人語を発し、囚人達に外に出るように促す。
※アイリス「一気に投稿すると混乱する方もいるので明日の10時から1時間ごとに公開します(*'ω'*)」
「他人事みたいに言ってんじゃねえよ!!てめえも同類だろうが!!」
「……まあ、確かに」
レナは自分の取り付けられている枷に視線を向け、不本意ではあるが自分と彼等が同じ立場であることを理解する。しかし、気になるのは何者が自分を捕まえたかであり、そもそもこの馬車は何処に向かっているのかも気にかかる。
「この馬車は何処に向かってる?」
「そんな事も知らねえのか?世界中の悪党が集まる監獄都市だ。名前ぐらいは聞いたことがあるだろ?」
「監獄……都市?」
「海獄島にも負けず劣らずの最悪の監獄だ。送り込まれる人間全員が死刑囚という世界最悪の都市だよ。ぎゃははははっ!!」
監獄都市の名前はレナも何度か聞いたことがあり、過去にバルが酒に酔っ払った時に語った事を思い出す。彼女がまだ冒険者として活躍していた頃、ある事情でバルは仲間と共に監獄都市に逃げ込んだ悪党を追ったことがある。結果を言えば悪党を捕まえる事は成功したが、同業の冒険者が数名程犠牲になったという。
『あの監獄は正に地獄だね……もう二度と立ち寄りたくはない場所さ』
怖いもの知らずと思われたバルでさえも監獄都市の事を思い出すと酔いが覚めてしまう程に恐ろしい場所らしく、そんな監獄に自分が向かっていると知ったレナはすぐに逃げ出そうとしたが、不意に枷に刻まれている紋章を見て疑問を抱く。
「この紋章は……バルトロス王国の物じゃない?」
「あ?何言ってんだ?」
「監獄都市は獣人国が管理してるんだぞ。当たり前だろうが」
「という事は……ここは獣人国の領地なのか?」
「……何言ってんだてめえは?」
「こいつ、頭イカれちまってんのか?」
囚人達の話とバルから聞いた話を思い返したレナは監獄都市はバルトロス王国の管轄下ではなく、隣国の獣人国と呼ばれる獣人族の国家が管理する都市だと知る。よくよく観察すれば乗り込んでいる囚人の殆どが獣人族であり、レナは自分が獣人国の軍隊に捕まった事を知った。
(ちょっと待て……どういう事だ?獣人国にまで飛ばされたのは分かったけど、どうして俺が捕まらなきゃならないんだ?獣人国に恨みを買うような真似をした覚えはないのに……)
バルトロス王国の領地内で捕まったのならば分からなくもないが、どうして隣国の獣人国に飛ばされただけで拘束されて囚人と共に監獄都市に送り込まれた理由が分からず、レナは馬車を運転している者に話を聞こうとした。しかし、囚人が脱走しないように設計されているのか鋼鉄製の馬車は鉄格子が取り付けられた窓しか存在せず、出入り口の扉も鋼鉄製の頑丈な扉だった。
「ねえ、ちょっと聞こえますか!?ここを開けて話を聞いてください!!」
「無駄だ。やめときな坊主……どうせ話なんか聞いちゃくれねえよ」
「くそっ……声ぐらい聞こえるだろ!!何かの間違いだ!!俺は犯罪者じゃない!!」
レナは何度も扉を叩くが馬車を運転している相手からの返事はなく、仕方なく鉄格子が取り付けられた窓を覗いて外の様子を伺う。視界に入ったのは地平線が成り立つほどの果てしない荒野が広がり、いくつかの岩山が存在するだけで他には何も見えない殺風景な光景にレナは唖然とする。
「何だここ……荒野?」
「おいおい、本当にお前ここが獣人国だと知らなかったのか?ヨツバ王国やバルトロス王国と違ってこの国は緑の自然なんて存在しねえんだよ」
基本的には草原地帯が多いバルトロス王国だが、隣国の獣人国は大部分が荒野で構成されており、領地の広さに関してはバルトロス王国に次いで広いのだが決して裕福な国とは言えない。人口は100万人程度、マモウなどの大型の魔物が住み着く国家である。
窓から離れたレナは自分が本当に獣人国に転移した事を認めざる得ず、このままでは犯罪者として監獄に送り込まれてしまうと考えたレナは咄嗟に脱出を考え、起きたばかりだが魔力は回復している事を確認すると錬金術師の能力を生かしてまずは枷を外そうとした。
(魔法金属だろうと今の俺ならこれぐらいの枷なんて……うわっ!?)
魔法耐性が存在する金属の枷だろうと「物質変換」と「形状高速変化」を身に着けているレナにとってはただの手錠と大差はなく、即座に枷を外そうとした。しかし、能力を発動させる前に馬車が停車して激しく揺れてしまい、態勢を崩したレナは出入り口の扉にもたれこむ。
「うわっ……な、何だ?」
「おっと……どうやら着いたみたいだな」
「おい、ガキ。そこにいると危ないぞ?」
「えっ?」
扉の前に倒れこんだレナに囚人達は薄気味悪い笑みを浮かべ、彼等の反応が気にかかったレナは扉に視線を向けると、外側から時間をかけて左右に扉が開かれる。
「……デロ、ツイタゾ」
現れたのはレナにとっては嫌に見覚えのある魔人族であり、全身が斑模様で療法の角が折れた「ミノタウロス」が出現した。しかも現れたミノタウロスは発音は片言ではあるが間違いなくレナ達が話す人語を発し、囚人達に外に出るように促す。
※アイリス「一気に投稿すると混乱する方もいるので明日の10時から1時間ごとに公開します(*'ω'*)」
感想 5,097
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
スキルを奪われてお詫びチートをもらったので余生を楽しく……過ごさせてくれ
異世界に召喚されたその日、巻き込まれた青年に俺が得るはずだったスキルを奪われた。
お詫びとしてチートスキルを授かった俺は、第二の人生くらい好きに生きようと旅に出る。
行き着いた先は、寂れた町の場末の酒場だ。
なぜか客は男ばかりだが、日雇い冒険者や恐妻家の肉屋たちとの気楽な毎日は悪くない。
……ただ一人、どう見ても貴族のような美青年がこの地味な酒場へ通ってくる理由だけは、さっぱりわからない。
「お前らツケはやめろ」
そんな穏やかな日々を送っていたはずなのに、ある日、酒場へ厄介な依頼が舞い込んできた――。
他サイトでも掲載しています。
不定期更新です。
真の皇帝は俺です ~面倒だから幼なじみに帝位を任せていたら、婚約者に捨てられました。正体を明かしたら全員後悔してももう遅い~
皇帝の仕事が面倒だったレインは、信頼する幼なじみアレクシスに表向きの皇帝を任せ、自身は陰から帝国を支えていた。
だがある日、婚約者エミリアは「権力も将来性もない」と彼を見限り婚約破棄を宣言する。
しかし彼女は知らなかった。
帝国を動かしていた真の支配者が誰なのかを。
これは全てを持ちながら隠していた男と、見るべきものを見失った者たちの後悔の物語。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
祝 書籍化決定!!
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
コミカライズ企画進行中です!!
3巻発売です!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&3巻出版!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、コミカライズ決定いたしました!現在企画進行中!!そしてオリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
12日には、楽天koboにおいてファンタジー5位となりました!皆様のおかげです!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(3巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
夏にはいよいよコミカライズ連載開始予定です!乞うご期待!!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
オリコンランキングライトノベル 週間BOOKランキング 18位(2025年9月29日付)