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放浪編
試合ではなく死合
「ミノタウロス……!?」
「……ナンダ、コイツハ?リストニハイナイゾ」
目の前に現れたミノタウロスにレナは驚くが、前に深淵の森や闘技場で遭遇した個体ではなく、相手も訝しげな表情を浮かべながら手元に握りしめている用紙を確認する。完全に人の言葉を理解しているどころか人語を話す魔物と遭遇するのは初めてのため、レナも動揺を隠せない。
(そういえば前にミノタウロスは子供の頃から人間の手で育てれば人語だって覚えられると聞いたことはあるけど、まさか本当だったなんて……)
レナの知っているミノタウロスと比べても知能が高く、人間のように頭を掻く動作まで行うミノタウロスは首を傾げ、事前に送り込まれる囚人の資料の中にレナの姿がない事に疑問を抱く。
「マアイイ、キニュウモレハ、ヨクアルコトダ。ソトヘデロ!!」
「うわっ!?」
資料に乗っていないことを何かの手違いだと判断したミノタウロスは扉の前で座り込むレナの首根っこを掴み、そのまま外に投げ飛ばす。普通の人間なら衝突死してもおかしくない程の勢いで吹き飛ばされたレナは背中から地面にたたきつけられる。だが、予想外にも柔らかな感触の地面のお陰で痛みはそれほどなく、不思議に思ったルノは地面を見下ろすと砂漠のような砂地である事に気づく。
「ここは……!?」
「シアイジョウ、ダ。ココデ、オマエタチノ「ソシツ」ヲハカル」
「素質?」
馬車の外は既に荒野ではなくなっており、まるで砂漠地帯のような砂丘に覆われた場所に停車していた。立ち上がったレナは自分達が砂漠にでも放り込まれたのかと思ったが、100メートルほど前方を伺うと大理石で構成された壁が砂漠を取り囲むように設置されていた。
壁の高さは7、8メートルは存在し、更に脱走を防止するためなのか壁の上には鉄線が取り付けられていた。更に壁の向こう側には闘技場のような観客席が設けられており、数十名の囚人がレナ達を観察するように座っていた。レナが知っている冒険都市の闘技場の小型版という表現が一番分かりやすく、嫌な予感を覚えながらもレナはミノタウロスに問う。
「ここは……闘技場なのか?」
「チガウ、シアイジョウダ。コレカラオマエタチハ、ココデソシツヲケンサスル」
「素質を検査……?」
「ソウダ。セイゼイイキノコレ」
「おいおい、マジかよ……こんな場所で戦わされるのか?」
「狂ってやがる……」
馬車の中から全員が抜け出すと、ミノタウロスは扉を閉じて馬たちを引率してその場を離れる。ミノタウロスが向かう先には「シアイジョウ」の唯一の出入口である大きな門が存在し、門の左右には体長が通常の巨人族よりも一回りは大きい巨人の男女が立っていた。
「コレデゼンインダ。トビラヲヒラケ」
「了解」
「今、開ける」
ミノタウロスの言葉を聞いた巨人族は扉を左右に開き、開かれた隙間から馬車を引いたミノタウロスが「シアイジョウ」を立ち去る。その様子を黙って見ていたレナはここで何が行われるのかもう少し聞いておくべきだったと後悔したが、他の囚人達はこの場所の事を知っているのか馬車内での余裕の態度がなくなっており、何かを恐れるように周囲の状況を伺う。
「くそ、こんな場所で戦わされるのかよ。あの噂が本当だったなんて……」
「お前等!!ここは全員で協力するぞ!!生き残りたければ今だけは力を合わせろ!!」
「うるせえ!!俺に命令するんじゃねえ!!」
「何だとやるのかお前!?」
「止めろ馬鹿どもが!!争っている場合か!?」
「あの……ここで何が起きるのか知ってるの?」
騒ぎ出す囚人達にレナは質問すると、全員が黙り込む。やがて隻眼の白髪頭の中年男性が頷き、仕方がないとばかりに説明を行う。
「ここは……死合場だ。今から俺達は試験を課せられるんだ」
「試験?」
「監獄都市に送り込まれる囚人は必ず死合場に送り込まれ、そして魔物と戦わされるんだ。この試験を乗り越えない限り、俺達は囚人とすら認められない。つまり、何が何でもこの試験を乗り越えなければあの世行きだ」
「そんな無茶苦茶な……」
「死刑囚に人権があると思っているのか?そんな無茶苦茶が通るのがこの国だ……奴らを見ろ、あいつらは俺達の試験を観戦しにきたわけじゃない。使える人材を見つけたら試験の後に回収するためだ」
「人材?」
「そうだ。戦える人間なら戦奴、何らかの技術を持つ技奴、欲求を解消させる事が出来る性奴……俺達は最初に戦奴の試験を受けさせるんだ」
「……何て場所だ」
監獄ではあるが都市という名前が存在する時点で普通の監獄ではないと予想していたが、思っていた以上にとんでもない場所に送り込まれたと知ったレナはため息を吐き出し、これから自分達が何と戦わされるのか不安を抱く。両手と両足に枷を取り付けられた不自由な状態で戦闘を強いられる事に不満を抱くが、話し込んでいる間にも試験は始まろうとしていた。
「……ナンダ、コイツハ?リストニハイナイゾ」
目の前に現れたミノタウロスにレナは驚くが、前に深淵の森や闘技場で遭遇した個体ではなく、相手も訝しげな表情を浮かべながら手元に握りしめている用紙を確認する。完全に人の言葉を理解しているどころか人語を話す魔物と遭遇するのは初めてのため、レナも動揺を隠せない。
(そういえば前にミノタウロスは子供の頃から人間の手で育てれば人語だって覚えられると聞いたことはあるけど、まさか本当だったなんて……)
レナの知っているミノタウロスと比べても知能が高く、人間のように頭を掻く動作まで行うミノタウロスは首を傾げ、事前に送り込まれる囚人の資料の中にレナの姿がない事に疑問を抱く。
「マアイイ、キニュウモレハ、ヨクアルコトダ。ソトヘデロ!!」
「うわっ!?」
資料に乗っていないことを何かの手違いだと判断したミノタウロスは扉の前で座り込むレナの首根っこを掴み、そのまま外に投げ飛ばす。普通の人間なら衝突死してもおかしくない程の勢いで吹き飛ばされたレナは背中から地面にたたきつけられる。だが、予想外にも柔らかな感触の地面のお陰で痛みはそれほどなく、不思議に思ったルノは地面を見下ろすと砂漠のような砂地である事に気づく。
「ここは……!?」
「シアイジョウ、ダ。ココデ、オマエタチノ「ソシツ」ヲハカル」
「素質?」
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壁の高さは7、8メートルは存在し、更に脱走を防止するためなのか壁の上には鉄線が取り付けられていた。更に壁の向こう側には闘技場のような観客席が設けられており、数十名の囚人がレナ達を観察するように座っていた。レナが知っている冒険都市の闘技場の小型版という表現が一番分かりやすく、嫌な予感を覚えながらもレナはミノタウロスに問う。
「ここは……闘技場なのか?」
「チガウ、シアイジョウダ。コレカラオマエタチハ、ココデソシツヲケンサスル」
「素質を検査……?」
「ソウダ。セイゼイイキノコレ」
「おいおい、マジかよ……こんな場所で戦わされるのか?」
「狂ってやがる……」
馬車の中から全員が抜け出すと、ミノタウロスは扉を閉じて馬たちを引率してその場を離れる。ミノタウロスが向かう先には「シアイジョウ」の唯一の出入口である大きな門が存在し、門の左右には体長が通常の巨人族よりも一回りは大きい巨人の男女が立っていた。
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ミノタウロスの言葉を聞いた巨人族は扉を左右に開き、開かれた隙間から馬車を引いたミノタウロスが「シアイジョウ」を立ち去る。その様子を黙って見ていたレナはここで何が行われるのかもう少し聞いておくべきだったと後悔したが、他の囚人達はこの場所の事を知っているのか馬車内での余裕の態度がなくなっており、何かを恐れるように周囲の状況を伺う。
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「お前等!!ここは全員で協力するぞ!!生き残りたければ今だけは力を合わせろ!!」
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「……何て場所だ」
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