不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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放浪編

囚人の宿舎

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ミノタウロスの案内の元で農場を離れるとレナは30分近くも歩かされ、やっと囚人が宿泊している宿舎の建物に辿り着く。囚人が寝泊まりする場所と聞いて寂れた建物を想像していたレナの予想に反し、宿舎は非常にレナの見覚えのある建物と酷似した形状をしていた。


「ここは……学校?」
「ココガオマエタチノ宿舎ダ。コレカラハココデ生活ヲシロ」


レナの目の前には学校の校舎を想像させる形状の大きな建物が存在し、間違いなく地球の建築技術を参考に作り出されたとしか思えない建物に戸惑いを隠せない。どうして囚人の宿舎が校舎と似ている事に動揺を隠せず、レナはミノタウロスに問う。


「この建物の外見、あんまり見たことはないけど……」
「人間ノツクリダス建物ナド知ラン。ダガ、コノ建築物ヲツクリダシタノハ過去ニ召喚サレタ勇者ガカカワッテイルト聞イテイル」
「勇者?」
「ソモソモコノ場所ハ元々ハ勇者ガツクリダシタ街ダッタ。シカシ、過酷ナ環境ニ耐エ切レズニ住民ハ居ナクナリ、何時シカ囚人ノ監獄ニ利用サレルヨウニナッタ……ト、キイテイル」
「じゃあ、ここは勇者が作り出した街だったのか……」


学校の校舎が存在するのは過去に召喚された地球人が関わっているらしく、この都市も数百年前は普通の街として栄えていた可能性が高い。しかし、何らかの理由で放棄された街が現在では囚人専用の都市へと作り替えられた事になる。


(ここも過去に召喚された勇者の聖遺物というわけか……じゃあ、あの遺跡も勇者が関係しているのか?)


レナは監獄都市に向かう途中で見かけた遺跡の存在を思い出し、あの場所も勇者が関わっているのではないかと考えたレナは脱走する前に調べてみる価値はあると判断した。しかし、今は監獄都市の情報収集に集中し、ミノタウロスに質問を行う。


「この都市に住んでいる囚人の数は?」
「タクサン、ダ。正確ナ数ナド数エタコトモナイ。シカシ、リストニヨレバオマエノ囚人番号ハ3019番ダ」
「3019番……」


必ずしも数字の番号が囚人の数を表すわけではないが、それでも3000人近くの囚人が存在するのならば監獄都市という名前に相応しい。しかも様々な種族が入り乱れており、決して人間だけが収容されているわけではない。


(ここを抜け出すのは一苦労だな……お金の方は少しはあるけど、そもそもバルトロス王国の通貨が使えるのか?)


普段から貴重品は空間魔法で預けているレナだが、所持してるのはバルトロス王国の通貨である。一応は世界の共通通貨として認められている代物だが、国家によっては独自の通貨が存在してもおかしくはなく、獣人国でも扱える通貨とは限らない。


「あの……ここのお金はどんな」
「ウケトレ」
「うわっ!?」


質問を行う前にミノタウロスはレナに向けて1枚の硬貨を弾き、咄嗟に受け止めたレナは硬貨の形状を見て呆気に取られる。それは王国の通貨とはかけ離れた形状の硬貨であり、三角形の形状をした銀色の硬貨だった。


「ソレガ監獄都市ノ共用通貨ダ。外ノ世界デハ何ノ価値モナイコノ場所デシカ使エナイ通貨ダ」
「これが……?他の通貨は?」
「ナイ。監獄都市デハソノ銀貨シカ使ワレテイナイ。チナミニ銀貨1枚デ1回ノ食事ガアタエラレル。シンイリニハ特別ニ銀貨ガ1枚ダケアタエラレル。大切ニ扱エ」
「そりゃどうも」


看守であるミノタウロスの言葉にレナは不思議そうに銀貨を眺め、どのような工法で作り出されているのかは分からないが非常に滑らかなに磨き上げられたように表面が艶めいており、普通の銀貨ではないのか頑丈に出来ていた。受け取った銀貨を手にしたレナは服のポケットに隠すふりをして空間魔法で異空間に預けると、説明は終えたとばかりに看守はその場を立ち去る。


「宿舎ト言ッテモ部屋割リガ行ワレテイルワケデハナイ。身体ヲ休マセタケレバ他ノ囚人ニ邪魔サレナイヨウニ部屋ヲ使エ。オレハココマデダ」
「あっ……」


懲罰房に送り込むという命令を聞いていなかったのか、宿舎に案内したミノタウロスはレナを残してその場を離れ、農場の方角に向けて歩みだす。その後姿を見送りながらレナは宿舎を見上げ、間違いなく前世の自分が存在した学校の校舎にしか見えなかった。


「昔召喚された地球人が作り出した建物か……興味はあるけど、こんな場所に長居したくはないな」


ここが監獄という事実を知らなければ同じ地球人が作り出した建築物という点は関心を抱くが、レナは一刻も早く脱出して冒険都市に戻る必要があり、情報収集のために動く。


「宿舎というからには他の囚人もいるはずだし、話を聞いてみるか。それにしても学校の校舎とは随分と懐かしく感じるな……」


高校に向かう途中でこの世界に転生してしまったレナにとっては学校の校舎といういのは懐かしさを感じさせ、こkごあ監獄である事は理解しているが興奮を抑えきれずに校舎の正面入口から中に入る。内部の構造も学校の校舎を参考にしており、まるで本当に地球の校舎の中にいるような感覚に襲われた。



※公開の投稿の5秒前

アイリス「更新が遅れて申し訳ありません。ですが、公開ボタンも修理が完成したので今日は5話投稿します!!( ゚Д゚)つカチカチカチカチカチ」
カタナヅキ「う、うわああああっ!?」
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