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放浪編
情報屋ネズミ
「それで、その情報屋が俺に何の用?」
「まあ、仕事ですよ。実は先ほどある方から貴方の情報を聞きたいと依頼がありましてね……それで情報収集のために本人に尋ねに来ました」
「あの四人組か……」
レナの脳裏に宿舎で絡んできたゴロウ一家を思い出し、彼等が情報屋に頼んで自分の事を嗅ぎまわっていると判断して溜息を吐く。そんなレナに対してネズミは愛想笑いを浮かべ、質問を行う。
「まあ、依頼人の事は気にしないでください。それよりも聞きたい事があるんですが、貴方は囚人ですよね?なのに正規の囚人服を着ていない、これはどういう事ですか?」
「その質問に俺が答えると思ってるの?」
「勿論、タダでとは言いませんよ。質問1回につき銀貨1枚でどうですか?」
「……偉く羽振りがいいね」
あっさりと銀貨を1枚差し出してきたネズミに対してレナは考え込み、やがて観念したように銀貨を受け取る。自分の要求を承諾したと判断したネズミは笑顔を浮かべ、質問を再開する。
「ではもう一度尋ねます。貴方は囚人ですか?」
「人違いだよ、何かの手違いでここに送り込まれただけだ」
「それはおかしいですね。この監獄都市に送り込まれる人間は入念な調査が行われるはずですし、それに囚人でないにしても貴方は枷を施されてこの場所に居る……その事に関してどう言い訳するんですか?」
「答えは変わらない、俺は囚人じゃない」
「……では、次の質問に行きましょうか」
満足する答えが返ってこなかったのかネズミは軽くため息を吐きながら次の銀貨を取り出し、あっさりとレナに手渡す。銀貨を受け取った以上は質問に答える必要があり、仕方なくレナは次の質問を聞く。
「お兄さんの職業は何ですか?魔術師、それとも格闘家?」
「支援魔術師と錬金術師、これでいい?」
「あははは中々冗談がお上手ですね。それで、本当の職業は?」
「嘘じゃないって……」
不遇職の代表格である二つの職業を超えた途端、最初はネズミは冗談と受け取ったがレナ本人は真面目に答えており、暫くの間はお互いに見つめあう。だが、先に諦めたようにネズミは首を振る。
「中々に頑固な人ですね……お金は払っているんですからもう少し真面目に答えてくれません?」
「全部本当だってば……」
「まあ、では次が最後の質問にします。ちゃんと答えてくださいね?」
「たくっ……まだ聞きたい事があるのか」
性懲りもなく新しい銀貨を差し出すネズミにレナはため息を吐き出し、同時に1日分の食事代を惜しみもせずに支払う彼の財力に興味を抱き、最後の質問を尋ねる。
「それで?何が聞きたい?」
「ここからが本命です。先ほど、貴方がその砂袋を派手に吹き飛ばすのを見ていました。そこで僕から提案があります」
「提案?」
自分に対する質問ではないのかとレナは不思議に思うが、ネズミはある試合場を指差す。そこでは囚人ではないのか鎧を身に着けた巨人族の大男が存在し、頭に包帯を巻いた巨人族の囚人と激しい戦闘を繰り広げていた。
「どうしたどうした!!先ほどの威勢はどうした!?」
「ぐうっ……!?」
「何やってんだ新入り!!もう少し粘りやがれ!!」
「倒れたらぶっ殺すぞ!!」
兵士は囚人を一方的に打ちのめし、観戦している観客たちも騒ぎ立てる。その様子を見たレナは不審に思い、どうして兵士が試合場に武装した状態で上がっているのか疑問を抱くと、ネズミが代わりに答えてくれる。
「実はこの闘技区では兵士も試合場で戦う事を許されているんですよ。最も試合と言っても実際の所はストレスを発散するための憂さ晴らしですけどね。ああやって気に入らない囚人を見つけ出しては無理やりに試合場に立たせて一方的に打ちのめすんですよ」
「……試合なら囚人も反撃が認められているんじゃないの?」
「表向きは認められています。ですけど、下手に反抗したら次の日から全ての兵士に目を付けられますよ。ここの兵士達は自分達に逆らう存在には容赦しませんからね。仕事を受けても認めようとしないし、仮に仕事を引き受けてもも仕事中にやった覚えのないミスを言いつけられて報酬を没収される……つまり、兵士に逆らう事は死ぬ事に等しいんです」
「腐ってるな……」
一方的に頭部に怪我を負っている巨人族の青年を打ちのめす兵士の姿にレナは不快感を覚え、それを見たネズミは面白そうな表情を浮かべると、試合場で戦っている二人の事を話す。
「あの兵士の名前はカマセという名の闘技区の警備隊長を任されています。性格は見ての通り最悪で部下からも疎まれている嫌われ者ですよ」
「だろうね」
「そしてもう一人の方は……顔が隠れているのでよく分からないと思いますが、昨日の内に入ってきた新入りの囚人ですね。名前は確か……」
「うらぁっ!!」
「ぐあっ!?」
ネズミが名前を言い切る前に兵士の全体重を乗せた拳が囚人の顔に叩きつけられ、石畳製の床に派手に倒れこむ。その際に囚人が頭に巻き付けていた包帯の一部が剥がれ、顔が露わになる。その顔を見た瞬間、レナは目を見開く。
「まあ、仕事ですよ。実は先ほどある方から貴方の情報を聞きたいと依頼がありましてね……それで情報収集のために本人に尋ねに来ました」
「あの四人組か……」
レナの脳裏に宿舎で絡んできたゴロウ一家を思い出し、彼等が情報屋に頼んで自分の事を嗅ぎまわっていると判断して溜息を吐く。そんなレナに対してネズミは愛想笑いを浮かべ、質問を行う。
「まあ、依頼人の事は気にしないでください。それよりも聞きたい事があるんですが、貴方は囚人ですよね?なのに正規の囚人服を着ていない、これはどういう事ですか?」
「その質問に俺が答えると思ってるの?」
「勿論、タダでとは言いませんよ。質問1回につき銀貨1枚でどうですか?」
「……偉く羽振りがいいね」
あっさりと銀貨を1枚差し出してきたネズミに対してレナは考え込み、やがて観念したように銀貨を受け取る。自分の要求を承諾したと判断したネズミは笑顔を浮かべ、質問を再開する。
「ではもう一度尋ねます。貴方は囚人ですか?」
「人違いだよ、何かの手違いでここに送り込まれただけだ」
「それはおかしいですね。この監獄都市に送り込まれる人間は入念な調査が行われるはずですし、それに囚人でないにしても貴方は枷を施されてこの場所に居る……その事に関してどう言い訳するんですか?」
「答えは変わらない、俺は囚人じゃない」
「……では、次の質問に行きましょうか」
満足する答えが返ってこなかったのかネズミは軽くため息を吐きながら次の銀貨を取り出し、あっさりとレナに手渡す。銀貨を受け取った以上は質問に答える必要があり、仕方なくレナは次の質問を聞く。
「お兄さんの職業は何ですか?魔術師、それとも格闘家?」
「支援魔術師と錬金術師、これでいい?」
「あははは中々冗談がお上手ですね。それで、本当の職業は?」
「嘘じゃないって……」
不遇職の代表格である二つの職業を超えた途端、最初はネズミは冗談と受け取ったがレナ本人は真面目に答えており、暫くの間はお互いに見つめあう。だが、先に諦めたようにネズミは首を振る。
「中々に頑固な人ですね……お金は払っているんですからもう少し真面目に答えてくれません?」
「全部本当だってば……」
「まあ、では次が最後の質問にします。ちゃんと答えてくださいね?」
「たくっ……まだ聞きたい事があるのか」
性懲りもなく新しい銀貨を差し出すネズミにレナはため息を吐き出し、同時に1日分の食事代を惜しみもせずに支払う彼の財力に興味を抱き、最後の質問を尋ねる。
「それで?何が聞きたい?」
「ここからが本命です。先ほど、貴方がその砂袋を派手に吹き飛ばすのを見ていました。そこで僕から提案があります」
「提案?」
自分に対する質問ではないのかとレナは不思議に思うが、ネズミはある試合場を指差す。そこでは囚人ではないのか鎧を身に着けた巨人族の大男が存在し、頭に包帯を巻いた巨人族の囚人と激しい戦闘を繰り広げていた。
「どうしたどうした!!先ほどの威勢はどうした!?」
「ぐうっ……!?」
「何やってんだ新入り!!もう少し粘りやがれ!!」
「倒れたらぶっ殺すぞ!!」
兵士は囚人を一方的に打ちのめし、観戦している観客たちも騒ぎ立てる。その様子を見たレナは不審に思い、どうして兵士が試合場に武装した状態で上がっているのか疑問を抱くと、ネズミが代わりに答えてくれる。
「実はこの闘技区では兵士も試合場で戦う事を許されているんですよ。最も試合と言っても実際の所はストレスを発散するための憂さ晴らしですけどね。ああやって気に入らない囚人を見つけ出しては無理やりに試合場に立たせて一方的に打ちのめすんですよ」
「……試合なら囚人も反撃が認められているんじゃないの?」
「表向きは認められています。ですけど、下手に反抗したら次の日から全ての兵士に目を付けられますよ。ここの兵士達は自分達に逆らう存在には容赦しませんからね。仕事を受けても認めようとしないし、仮に仕事を引き受けてもも仕事中にやった覚えのないミスを言いつけられて報酬を没収される……つまり、兵士に逆らう事は死ぬ事に等しいんです」
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ネズミが名前を言い切る前に兵士の全体重を乗せた拳が囚人の顔に叩きつけられ、石畳製の床に派手に倒れこむ。その際に囚人が頭に巻き付けていた包帯の一部が剥がれ、顔が露わになる。その顔を見た瞬間、レナは目を見開く。
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