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放浪編
看守 〈サイクロプス〉
――ネズミの案内の元、レナとゴンゾウは作業区へ赴く。基本的には1つの区に1人の看守が配置されており、退魔刀を所持している看守は作業区の担当を任されているらしく、3人は作業区の見張りに銀貨を支払って中に通る。
「お金を支払えば仕事を引き受けてなくても入れるんだ」
「ええ、場合によっては作業中の仕事に参加する事も出来ますよ。但し、正規で仕事を引き受けた人間よりも多少は給料は落ちますけど」
「おい、入口で立ち止まるな。さっさと通れ」
不愛想な兵士に3枚の銀貨を差し出し、3人は作業区へと入る。作業区は数多くの工房が存在し、こちらでは主に物作りが行われ、闘技区の鍛錬器具もこちらで作り出されていた。他にも農業用の農具や日用品も作り出されいるらしく、こちらで出来上がった品物の一部は外部の世界にも流されるという。
「おら、さっさと荷物を運びやがれ!!そこのお前、その肥料は農場に運ぶ奴だぞ!!そっちの木材は倉庫へ運び込め!!」
「は、はい!!」
「くうっ……何て重さだ」
「ぼやいてないでさっさと運びやがれ貧弱者が!!」
作業区のあちこちで兵士の怒鳴り声が鳴り響き、大半の囚人は材料の調達や荷物の運搬を行っていた。力仕事関係は巨人族や獣人族が主に行い、制作に関しては小髭族が活躍し、人間は主に彼等の仕事の補助を任されているらしい。
「中々に活気があるでしょう?仕事は厳しいですけど、その分に報酬は期待できます。ちなみにこちらにも食堂や仮設の宿舎が存在するので泊まり込みで働くことも出来ます」
「何か、本当に監獄に来たような気分になってきた」
「気分も何もここは監獄だぞ?」
実際の監獄でも囚人が刑務作業の一環で仕事を行うため、レナは改めて自分が監獄に送り込まれた事を理解する。下手に自由時間が多く、自由行動が許されているので囚人という自覚は薄かったが、厳しい作業を強いられている他の囚人達の姿を見て自分も長居すれば彼等のようになるのかと思う。
「まあ、仕事風景の観察はここまでにしておきましょう。ほら、あの人がレナさんの目的の人物ですよ」
「え、何処?」
「あそこです。ほら、巨人族の兵士と一緒に休憩しているでしょう?」
ネズミが指差す方向にレナとゴンゾウは視線を向けると、休憩所と思われる場所でくつろぐ兵士の集団を発見し、その中には全身が赤色の鱗で覆われたサイクロプスが存在した。こちらのサイクロプスもレナが遭遇したミノタウロスのように人語を理解できるらしく、他の兵士達と談笑を行っていた。
「いや~それにしてもあの新入りのガキ、中々にしぶとい奴でしたね」
「ああ、囚人とはいえ見込みのある奴だ」
「しかし、ああいう奴は立場の違いを思い知らせないと何を仕出かすか分からないからな。定期的に痛めつけてやらねえとな……がはははっ!!」
『……そこまでにしておけ、もうガキの話はどうでもいいだろ』
数人の巨人族の兵士に囲まれたサイクロプスは勤務中にも関わらずに3つの酒瓶を同時に口に含んで飲み込み、中身を全て飲み干す。その様子を見ていた兵士達は拍手を行い、自分達も酒を飲む。ミノタウロスと比べてかなり流暢に人語を話せるらしく、レナはサイクロプスの様子を伺いながら自分の退魔刀の居場所を探す。
「あいつか……本当だ、確かに俺の退魔刀を背負ってるな」
「ああ、俺はあのサイクロプスに武器を見せてくれと頼んだら無理やりに他の兵士に闘技区に連行された」
「それで、どうやって武器を取り戻すつもりですか?仮に上手く看守から武器を奪い取れても囚人の武器の装備は禁止されていますよ」
目当ての物を見つけたレナに対してネズミはどのような方法で看守から武器を取り返すつもりなのか尋ねると、レナは周囲の状況を確認し、ちょうどいい具合に休憩所のすぐ傍で闘技区に移送される予定だと思われる砂袋が山積みに設置されている事に気づく。
「よし、あれを使う」
「あれって……どうする気ですか?」
「いいから見とけ」
レナは「隠密」と「気配遮断」のスキルを発動させ、自分の存在感を限りなく消し去る。傍目から見ていたゴンゾウとネズミの視界ではレナの姿が半透明になったように薄くなり、他の人間に至ってはレナの存在を認識出来ないように傍まで近づいても気づかれない。
(足音も念のために消しておくか)
更に「無音歩行」のスキルで足音を完全に殺し、決して焦らず急がずにレナは砂袋が存在する位置にまで移動を行う。休憩所の兵士達が彼の存在に気づいた様子はなく、周囲に注意しながらレナは砂袋を一つ持ち上げると、中身を晒す。
(よし、中身は砂だけだな)
砂袋の中身を確認するとレナは口元を右腕の「風の聖痕」の力を発動させ、右腕を袋の中に突っ込むと休憩所の兵士達の元へ構える。そして目と鼻を塞いだ状態で意識を集中させ、砂袋に突っ込んだ右腕から魔法を発動させた。
(行け!!)
風の精霊の力を借りてレナは初級魔法の「風圧」を発動させた瞬間、砂袋が内側からはじけ飛び、大量の砂が周囲に拡散した。結果から言えば休憩所全体に大量の砂煙が発生し、酒を飲んで休んでいた兵士とサイクロプスの元へ大量の砂が流れ込む。
「お金を支払えば仕事を引き受けてなくても入れるんだ」
「ええ、場合によっては作業中の仕事に参加する事も出来ますよ。但し、正規で仕事を引き受けた人間よりも多少は給料は落ちますけど」
「おい、入口で立ち止まるな。さっさと通れ」
不愛想な兵士に3枚の銀貨を差し出し、3人は作業区へと入る。作業区は数多くの工房が存在し、こちらでは主に物作りが行われ、闘技区の鍛錬器具もこちらで作り出されていた。他にも農業用の農具や日用品も作り出されいるらしく、こちらで出来上がった品物の一部は外部の世界にも流されるという。
「おら、さっさと荷物を運びやがれ!!そこのお前、その肥料は農場に運ぶ奴だぞ!!そっちの木材は倉庫へ運び込め!!」
「は、はい!!」
「くうっ……何て重さだ」
「ぼやいてないでさっさと運びやがれ貧弱者が!!」
作業区のあちこちで兵士の怒鳴り声が鳴り響き、大半の囚人は材料の調達や荷物の運搬を行っていた。力仕事関係は巨人族や獣人族が主に行い、制作に関しては小髭族が活躍し、人間は主に彼等の仕事の補助を任されているらしい。
「中々に活気があるでしょう?仕事は厳しいですけど、その分に報酬は期待できます。ちなみにこちらにも食堂や仮設の宿舎が存在するので泊まり込みで働くことも出来ます」
「何か、本当に監獄に来たような気分になってきた」
「気分も何もここは監獄だぞ?」
実際の監獄でも囚人が刑務作業の一環で仕事を行うため、レナは改めて自分が監獄に送り込まれた事を理解する。下手に自由時間が多く、自由行動が許されているので囚人という自覚は薄かったが、厳しい作業を強いられている他の囚人達の姿を見て自分も長居すれば彼等のようになるのかと思う。
「まあ、仕事風景の観察はここまでにしておきましょう。ほら、あの人がレナさんの目的の人物ですよ」
「え、何処?」
「あそこです。ほら、巨人族の兵士と一緒に休憩しているでしょう?」
ネズミが指差す方向にレナとゴンゾウは視線を向けると、休憩所と思われる場所でくつろぐ兵士の集団を発見し、その中には全身が赤色の鱗で覆われたサイクロプスが存在した。こちらのサイクロプスもレナが遭遇したミノタウロスのように人語を理解できるらしく、他の兵士達と談笑を行っていた。
「いや~それにしてもあの新入りのガキ、中々にしぶとい奴でしたね」
「ああ、囚人とはいえ見込みのある奴だ」
「しかし、ああいう奴は立場の違いを思い知らせないと何を仕出かすか分からないからな。定期的に痛めつけてやらねえとな……がはははっ!!」
『……そこまでにしておけ、もうガキの話はどうでもいいだろ』
数人の巨人族の兵士に囲まれたサイクロプスは勤務中にも関わらずに3つの酒瓶を同時に口に含んで飲み込み、中身を全て飲み干す。その様子を見ていた兵士達は拍手を行い、自分達も酒を飲む。ミノタウロスと比べてかなり流暢に人語を話せるらしく、レナはサイクロプスの様子を伺いながら自分の退魔刀の居場所を探す。
「あいつか……本当だ、確かに俺の退魔刀を背負ってるな」
「ああ、俺はあのサイクロプスに武器を見せてくれと頼んだら無理やりに他の兵士に闘技区に連行された」
「それで、どうやって武器を取り戻すつもりですか?仮に上手く看守から武器を奪い取れても囚人の武器の装備は禁止されていますよ」
目当ての物を見つけたレナに対してネズミはどのような方法で看守から武器を取り返すつもりなのか尋ねると、レナは周囲の状況を確認し、ちょうどいい具合に休憩所のすぐ傍で闘技区に移送される予定だと思われる砂袋が山積みに設置されている事に気づく。
「よし、あれを使う」
「あれって……どうする気ですか?」
「いいから見とけ」
レナは「隠密」と「気配遮断」のスキルを発動させ、自分の存在感を限りなく消し去る。傍目から見ていたゴンゾウとネズミの視界ではレナの姿が半透明になったように薄くなり、他の人間に至ってはレナの存在を認識出来ないように傍まで近づいても気づかれない。
(足音も念のために消しておくか)
更に「無音歩行」のスキルで足音を完全に殺し、決して焦らず急がずにレナは砂袋が存在する位置にまで移動を行う。休憩所の兵士達が彼の存在に気づいた様子はなく、周囲に注意しながらレナは砂袋を一つ持ち上げると、中身を晒す。
(よし、中身は砂だけだな)
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(行け!!)
風の精霊の力を借りてレナは初級魔法の「風圧」を発動させた瞬間、砂袋が内側からはじけ飛び、大量の砂が周囲に拡散した。結果から言えば休憩所全体に大量の砂煙が発生し、酒を飲んで休んでいた兵士とサイクロプスの元へ大量の砂が流れ込む。
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