文字の大きさ
大
中
小
434 / 2,093
放浪編
闘拳の行方
「……ゴンゾウさん、もしかしたら貴方の探し物が見つかったかもしれません」
「何?どういう事だ?」
探し物という言葉にゴンゾウの頭の中に「金銀の闘拳」が思い浮かび、先にネズミに尋ねたときは彼も闘拳が何処に存在するのかは分からないと答えたが、ネズミは掌に乗せたマウスを見せつけて説明を行う。
「僕は魔物使いの職業なんですが、レベルの問題で従えさせられる魔物は小鼠系の魔獣だけなんです。その代わりに僕は数十匹の小鼠を従える事が出来ます」
「そ、そんなにいるのか……」
「情報屋の僕がどのように情報を収集しているのかというと、この監獄都市のあらゆる場所に小鼠を放逐して定期的に情報を集めているんです。僕は小鼠と触れる事で「記憶」を共有化させて小鼠が見た物や聞いた物を知る事が出来ます」
「なるほど、だからネズミか……」
子供であるネズミがどのような方法で情報を集めているのか気になっていたゴンゾウは説明を聞いて納得し、彼の渾名の由来も判明する。ネズミは名前通りに大量のネズミを操り、彼等を利用して監獄都市内の情報を集める事からネズミと呼ばれるようになったという。
「普通の魔物使いは強力な魔物を従えさせようとしますが、僕のように情報を集めるなら身体が大きい魔獣よりも小さくて素早い小鼠の方が便利ですけどね」
「という事は別に名前があるのか?」
「ええ、まあ……でも、残念ながら本名は気に入らないので普通にネズミと呼んでください。そっちの方が僕も馴染みますし」
「そ、そうか……」
鼠は自分の本名に対してコンプレックスでも抱いているのか、あくまでも「ネズミ」という渾名を呼ぶように伝えると本題に戻る。ネズミが呼び寄せた「マウス」という個体の小鼠の記憶によると、ゴンゾウが捜索している「金銀の闘拳」を装備する人物を見かけたらしい。
「このマウスによると闘技区の方でゴンゾウさんの闘拳を装備している人物を発見したようです」
「誰だ?巨人族の囚人か?」
子供とはいえ巨人族であるゴンゾウの闘拳を装備出来るのは限られており、ゴンゾウは自分以外の巨人族の囚人や兵士が装着しているのかと考えたが、ネズミは冷や汗を流しながら装着している人物の正体を伝えた。
「看守……ミノタウロスと伝えれば分かりやすいですか?」
「……あいつが?」
――ゴンゾウの脳裏にミノタウロスの顔が思い浮かび、無意識に拳を握り締めてしまう。昨日、ゴンゾウが監獄都市内に転移したとき、実はゴンゾウは兵士達と交戦したときに看守であるミノタウロスとも戦っていた。彼の一撃を受けて気絶してしまい、その間にゴンゾウは装備品を剥ぎ取られ、親友からの贈り物である大切な闘拳も奪われた事を思い出す。
「そうか……今は奴が持っているのか」
「よりにもよってあの牛男ですか……取り返すのは難しいですね。看守長を覗けばこの監獄都市最強の看守だと噂される程に厄介な相手ですよ」
「そこまで強いのか?」
「はい。看守長が起きていない間は基本的にあの牛男が都市の管理を任されています。昼間に見かけたサイクロプスを覚えてますか?あの看守が暴走したとき、いつも抑えつけるのがあの牛男です」
「あいつをか?」
サイクロプスはオーガを上回る怪力とゴーレムよりも頑丈な鱗で覆われた魔人族であり、興奮して暴れ狂うと小さな村なら壊滅出来る程に恐ろしい存在である。しかし、そのサイクロプスをミノタウロスは抑えつける程の戦闘力を誇るらしく、看守長を覗けば都市最強の存在と言っても過言ではない。
実際に夜の間しか動けない看守長の代わりに昼間はミノタウロスが囚人達の監視を行い、数千人の囚人達を管理している事になる。実際に数々の修羅場を潜り抜けたゴンゾウさえも一撃で敗れており、まともに戦えば今の彼では決して勝てる相手ではない。
(レナに奴に闘拳が奪われた事を伝えるか……いや、駄目だ。何としてもあれは俺の手で取り返さなければ……!!)
ゴンゾウがレナに協力を求めればミノタウロスから闘拳を取り戻す方法を共に考えてくれるだろうが、元々は闘拳が奪われたのはゴンゾウがミノタウロスに敗北したからであり、自分の不始末は自分で解決するためにゴンゾウはネズミに願う。
「ネズミ……今回の話はレナには話さないでくれ」
「え、でも……」
「頼む」
ネズミが驚いた表情を浮かべてゴンゾウに顔を向けると、既に彼は頭を下げた状態で床に膝を着いていた。ゴンゾウの行動にネズミは呆気に取られ、しばらくすると溜息を吐き出しながら承諾する。
「はあ……分かりましたよ。何を考えているか知りませんけど、この件はレナさんには黙っておきます」
「すまない……だが、今回は俺一人で解決しなければ意味はないんだ」
「そこまで言うなら何も言いませんよ……一人で大丈夫ですか?」
「ああ、何とかしてみせる」
「ただいま~……」
ミノタウロスから闘拳を一人で取り返す事をゴンゾウが改めて決意したとき、丁度良く教室の窓から疲れた表情のレナが戻って来た。
「何?どういう事だ?」
探し物という言葉にゴンゾウの頭の中に「金銀の闘拳」が思い浮かび、先にネズミに尋ねたときは彼も闘拳が何処に存在するのかは分からないと答えたが、ネズミは掌に乗せたマウスを見せつけて説明を行う。
「僕は魔物使いの職業なんですが、レベルの問題で従えさせられる魔物は小鼠系の魔獣だけなんです。その代わりに僕は数十匹の小鼠を従える事が出来ます」
「そ、そんなにいるのか……」
「情報屋の僕がどのように情報を収集しているのかというと、この監獄都市のあらゆる場所に小鼠を放逐して定期的に情報を集めているんです。僕は小鼠と触れる事で「記憶」を共有化させて小鼠が見た物や聞いた物を知る事が出来ます」
「なるほど、だからネズミか……」
子供であるネズミがどのような方法で情報を集めているのか気になっていたゴンゾウは説明を聞いて納得し、彼の渾名の由来も判明する。ネズミは名前通りに大量のネズミを操り、彼等を利用して監獄都市内の情報を集める事からネズミと呼ばれるようになったという。
「普通の魔物使いは強力な魔物を従えさせようとしますが、僕のように情報を集めるなら身体が大きい魔獣よりも小さくて素早い小鼠の方が便利ですけどね」
「という事は別に名前があるのか?」
「ええ、まあ……でも、残念ながら本名は気に入らないので普通にネズミと呼んでください。そっちの方が僕も馴染みますし」
「そ、そうか……」
鼠は自分の本名に対してコンプレックスでも抱いているのか、あくまでも「ネズミ」という渾名を呼ぶように伝えると本題に戻る。ネズミが呼び寄せた「マウス」という個体の小鼠の記憶によると、ゴンゾウが捜索している「金銀の闘拳」を装備する人物を見かけたらしい。
「このマウスによると闘技区の方でゴンゾウさんの闘拳を装備している人物を発見したようです」
「誰だ?巨人族の囚人か?」
子供とはいえ巨人族であるゴンゾウの闘拳を装備出来るのは限られており、ゴンゾウは自分以外の巨人族の囚人や兵士が装着しているのかと考えたが、ネズミは冷や汗を流しながら装着している人物の正体を伝えた。
「看守……ミノタウロスと伝えれば分かりやすいですか?」
「……あいつが?」
――ゴンゾウの脳裏にミノタウロスの顔が思い浮かび、無意識に拳を握り締めてしまう。昨日、ゴンゾウが監獄都市内に転移したとき、実はゴンゾウは兵士達と交戦したときに看守であるミノタウロスとも戦っていた。彼の一撃を受けて気絶してしまい、その間にゴンゾウは装備品を剥ぎ取られ、親友からの贈り物である大切な闘拳も奪われた事を思い出す。
「そうか……今は奴が持っているのか」
「よりにもよってあの牛男ですか……取り返すのは難しいですね。看守長を覗けばこの監獄都市最強の看守だと噂される程に厄介な相手ですよ」
「そこまで強いのか?」
「はい。看守長が起きていない間は基本的にあの牛男が都市の管理を任されています。昼間に見かけたサイクロプスを覚えてますか?あの看守が暴走したとき、いつも抑えつけるのがあの牛男です」
「あいつをか?」
サイクロプスはオーガを上回る怪力とゴーレムよりも頑丈な鱗で覆われた魔人族であり、興奮して暴れ狂うと小さな村なら壊滅出来る程に恐ろしい存在である。しかし、そのサイクロプスをミノタウロスは抑えつける程の戦闘力を誇るらしく、看守長を覗けば都市最強の存在と言っても過言ではない。
実際に夜の間しか動けない看守長の代わりに昼間はミノタウロスが囚人達の監視を行い、数千人の囚人達を管理している事になる。実際に数々の修羅場を潜り抜けたゴンゾウさえも一撃で敗れており、まともに戦えば今の彼では決して勝てる相手ではない。
(レナに奴に闘拳が奪われた事を伝えるか……いや、駄目だ。何としてもあれは俺の手で取り返さなければ……!!)
ゴンゾウがレナに協力を求めればミノタウロスから闘拳を取り戻す方法を共に考えてくれるだろうが、元々は闘拳が奪われたのはゴンゾウがミノタウロスに敗北したからであり、自分の不始末は自分で解決するためにゴンゾウはネズミに願う。
「ネズミ……今回の話はレナには話さないでくれ」
「え、でも……」
「頼む」
ネズミが驚いた表情を浮かべてゴンゾウに顔を向けると、既に彼は頭を下げた状態で床に膝を着いていた。ゴンゾウの行動にネズミは呆気に取られ、しばらくすると溜息を吐き出しながら承諾する。
「はあ……分かりましたよ。何を考えているか知りませんけど、この件はレナさんには黙っておきます」
「すまない……だが、今回は俺一人で解決しなければ意味はないんだ」
「そこまで言うなら何も言いませんよ……一人で大丈夫ですか?」
「ああ、何とかしてみせる」
「ただいま~……」
ミノタウロスから闘拳を一人で取り返す事をゴンゾウが改めて決意したとき、丁度良く教室の窓から疲れた表情のレナが戻って来た。
感想 5,097
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
『ベルンハルト・フォン・バーデンは平穏に暮らしたい』
GamaFrog男爵家三男、ベルンハルト・フォン・バーデン。
家督継承権はなく、本来ならどこかの官職に就くか、他家へ仕えるか、婿入りするか――そんな将来が待っているはずだった。
しかしベルは少しだけ優秀すぎた。
小遣い稼ぎのつもりで始めた商売は成功し、気付けば父親より金を持ち、長男より領地経営に詳しく、次男より商売が上手くなっていた。
本人に出しゃばる気はない。
ただ普通に生きていただけだ。
それでも、優秀すぎる三男の存在は家族との距離を少しずつ広げていった。
家に居場所がなくなった。
だからベルは学園へ来た。
貴族だから一応入学した。
家にいるより気楽だったから。
静かに暮らしたかったから。
寄付金を積んで手に入れた広い寮部屋で、本を読み、昼寝をし、卒業後は適当な文官になって平穏に生きる
そのはずだった。
だが現実は違った。
男装令嬢に懐かれ。
王太子に目を付けられ。
商会には囲い込まれ。
気付けば平穏はどこへやら。
本人はただ平穏に暮らしたいだけ。
周囲はなぜか放っておいてくれない。
これは、面倒事を嫌う規格外の天才が、静かな人生を目指して失敗し続ける物語である。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
真の皇帝は俺です ~面倒だから幼なじみに帝位を任せていたら、婚約者に捨てられました。正体を明かしたら全員後悔してももう遅い~
由香皇帝の仕事が面倒だったレインは、信頼する幼なじみアレクシスに表向きの皇帝を任せ、自身は陰から帝国を支えていた。
だがある日、婚約者エミリアは「権力も将来性もない」と彼を見限り婚約破棄を宣言する。
しかし彼女は知らなかった。
帝国を動かしていた真の支配者が誰なのかを。
これは全てを持ちながら隠していた男と、見るべきものを見失った者たちの後悔の物語。
クラス全員で異世界召喚されたが、俺だけ教室に取り残されたのでとりあえず帰宅した
中山(ほ) クラス全員で異世界召喚されたが、先生と俺が残っていた。
魔法もチートスキルもステータス画面すら表示されない、ただの「残され損」
異世界に行けなかった俺を待っていたのは、世知辛い現実だった。
AI使用状況
GoogleのGeminiさん使ってます〜
誤字脱字チェックと調べ物お願いしてます
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。