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放浪編
監獄の女王
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「あ、ゴンゾウさん。まだここに居たんですね、良かった……どうかしました?」
「……ネズミか?」
上半身裸の状態で床に座り込むゴンゾウを見てネズミは戸惑うが、とりあえずはレナが無事である事、そして地下に避難させたことを手短に伝える。
「無事に目的も物は調達しました。そしてレナさんは僕の隠れ家に案内しています。多分、見つかる事はないでしょうから安心してください」
「そうか、それは良かったが……俺達はどうする?」
「そうですね、幸いにも追われているのはレナさんだけですし、僕達は大丈夫だと思いますけど念のためにゴンゾウさんも隠れ家に避難してください。あ、でもどうやって地下に連れて行けば……」
「チュチュイ!!」
「マウス君?」
会話の最中に教室の隅に存在する罅割れからマウスが飛び出し、一目散にネズミの元へ向かう。すぐにネズミはマウスを抱えて何か情報を持ってきたのかと額を合わせると、目を見開いて窓の外の様子を伺う。
「これは……不味い事になりました」
「どうした?」
「外を見てください」
カーテンが閉められた窓の隙間からネズミは外の様子を伺うように促し、不思議に思いながらもゴンゾウはカーテンの隙間を覗くと、宿舎の外には無数の蝙蝠が夜空を飛び立っていた。その数は尋常ではなく、恐らくは数百匹の蝙蝠が宿舎の周囲を飛び回っていた。
――数百匹の蝙蝠の大群を見てゴンゾウは驚きを隠せず、しかも空を飛んでいるのは蝙蝠だけではなく、人間らしき姿も確認できた。飛び回る蝙蝠の中心には背中に漆黒の羽根を生やしたパールの姿が存在し、昼間に遭遇した時とは雰囲気が異なり、瞳を怪しく光り輝かせながら蝙蝠をの大群を指揮するように浮かんでいた。
「これは……!?」
「気づかれないようにしてくださいよ……どうやら看守長だけではなく、パールさんも本気で怒らせたようですね。これは不味い事態になりましたよ」
「どう言う事だ?」
「パールさんはサキュバスです。サキュバスの能力の本質は「魅了」……そしてパールさんの職業は魔物使い。魔物を操作する能力、他者を魅了する能力、この二つを組み合わる事で彼女は短時間の間ですが大量の蝙蝠を操る事が出来るんです」
通常、魔物使いの職業の人間は魔物を操る時は「契約紋」と呼ばれる契約魔法を魔物に施す必要がある。しかし、魅了の力を持つパールはこの契約紋を施さずに大量の魔物を支配下に置き、自在に操れる能力を持っていた。5人の看守の中で最も非力な存在だと思われている彼女だが、実際に敵に回すと最も厄介な相手はパールである。
パールは無数の蝙蝠が都市中に放ち、自分の管理下である女囚館に忍び込んだ存在を捜索させる。看守長の報告から侵入者の情報は掴んでおり、彼女はその情報を頼りに蝙蝠をに侵入者の居場所を探させていた。その様子を確認したネズミはパールに気づかれる前にカーテンを閉めると、非常に不味い事態に陥ったことをゴンゾウに説明する。
「パールさんは普段は温厚ですが、怒らせると非常に怖いんです。特に自分の管理している区に入り込んだ侵入者は彼女の手でとてつもない拷問を受けます」
「拷問だと?あんな優しそうな人が……」
「確かに普段のパールさんは優しい人です。ですけど、一度怒らせると看守長でも手を付けられない程に厄介な人なんですよ……前に金網を自力で乗り越えて侵入してきた囚人が居たんですけど、その人は三日三晩もサキュバスの能力で身体中の精気を吸い上げられました。侵入する前は20代後半の筋肉質の男性だったんですけど、解放されたときには一気に年齢を重ねたように白髪頭になってミイラのようによぼよぼな肉体の状態で放り出されました」
「それは……恐ろしいな」
ゴンゾウが昼間に遭遇したパールは優しそうなお姉さんにしか見えなかったが、彼女の裏の顔を知っているネズミからすれば普段の優しい表情は仮面であり、彼女の本性は人間の精気を貪るサキュバスである事変わりはないという。
「パールさんが動き出したという事は迂闊に外に出るのは危険です。しばらくはここに残りましょう……夜が明ければパールさんも疲れて女囚館に戻るでしょうし、その間にレナさんの隠れ家へ案内しますよ」
「分かった……だが、その前にネズミ、お前に頼みがある」
「えっ?」
ネズミはゴンゾウに振り返ると、ゴンゾウは深刻な表情を浮かべてその場に跪き、額を床に叩きつけながらネズミに懇願した。
「頼む、俺に金を貸してくれ!!」
「えっ……!?」
予想外のゴンゾウの言葉にネズミは驚くが、ゴンゾウは顔を上げると額から血を流しながらもネズミの両肩を掴み、どうしても必要な物を購入するために鐘が必要であることを説明する。
「この購買には回復薬も販売しているといったな?俺はそれが欲しい、出来るだけ多くの薬が必要だ!!」
「か、回復薬?そんな物で何を……」
「頼む!!必ず金は返す……信じてくれ!!」
「ちょ、いきなりそんな事を言われても……」
「チュチュッ?」
土下座しながら金を貸してほしいと頼み込むゴンゾウにネズミは慌てふためき、そんな彼等を見てマウスは不思議そうに首を傾げた――
※今回の投稿の5秒前
アイリス「私は諦めない!!挿絵に出るまでは!!あたたたたっ!!」( ゚Д゚)つつつつ
カタナヅキ「や、止めろぉっ!?」))Д`)グヘエッ
レナ「今の内に押しとこ」(´ω`)ノ公開ボタン
「……ネズミか?」
上半身裸の状態で床に座り込むゴンゾウを見てネズミは戸惑うが、とりあえずはレナが無事である事、そして地下に避難させたことを手短に伝える。
「無事に目的も物は調達しました。そしてレナさんは僕の隠れ家に案内しています。多分、見つかる事はないでしょうから安心してください」
「そうか、それは良かったが……俺達はどうする?」
「そうですね、幸いにも追われているのはレナさんだけですし、僕達は大丈夫だと思いますけど念のためにゴンゾウさんも隠れ家に避難してください。あ、でもどうやって地下に連れて行けば……」
「チュチュイ!!」
「マウス君?」
会話の最中に教室の隅に存在する罅割れからマウスが飛び出し、一目散にネズミの元へ向かう。すぐにネズミはマウスを抱えて何か情報を持ってきたのかと額を合わせると、目を見開いて窓の外の様子を伺う。
「これは……不味い事になりました」
「どうした?」
「外を見てください」
カーテンが閉められた窓の隙間からネズミは外の様子を伺うように促し、不思議に思いながらもゴンゾウはカーテンの隙間を覗くと、宿舎の外には無数の蝙蝠が夜空を飛び立っていた。その数は尋常ではなく、恐らくは数百匹の蝙蝠が宿舎の周囲を飛び回っていた。
――数百匹の蝙蝠の大群を見てゴンゾウは驚きを隠せず、しかも空を飛んでいるのは蝙蝠だけではなく、人間らしき姿も確認できた。飛び回る蝙蝠の中心には背中に漆黒の羽根を生やしたパールの姿が存在し、昼間に遭遇した時とは雰囲気が異なり、瞳を怪しく光り輝かせながら蝙蝠をの大群を指揮するように浮かんでいた。
「これは……!?」
「気づかれないようにしてくださいよ……どうやら看守長だけではなく、パールさんも本気で怒らせたようですね。これは不味い事態になりましたよ」
「どう言う事だ?」
「パールさんはサキュバスです。サキュバスの能力の本質は「魅了」……そしてパールさんの職業は魔物使い。魔物を操作する能力、他者を魅了する能力、この二つを組み合わる事で彼女は短時間の間ですが大量の蝙蝠を操る事が出来るんです」
通常、魔物使いの職業の人間は魔物を操る時は「契約紋」と呼ばれる契約魔法を魔物に施す必要がある。しかし、魅了の力を持つパールはこの契約紋を施さずに大量の魔物を支配下に置き、自在に操れる能力を持っていた。5人の看守の中で最も非力な存在だと思われている彼女だが、実際に敵に回すと最も厄介な相手はパールである。
パールは無数の蝙蝠が都市中に放ち、自分の管理下である女囚館に忍び込んだ存在を捜索させる。看守長の報告から侵入者の情報は掴んでおり、彼女はその情報を頼りに蝙蝠をに侵入者の居場所を探させていた。その様子を確認したネズミはパールに気づかれる前にカーテンを閉めると、非常に不味い事態に陥ったことをゴンゾウに説明する。
「パールさんは普段は温厚ですが、怒らせると非常に怖いんです。特に自分の管理している区に入り込んだ侵入者は彼女の手でとてつもない拷問を受けます」
「拷問だと?あんな優しそうな人が……」
「確かに普段のパールさんは優しい人です。ですけど、一度怒らせると看守長でも手を付けられない程に厄介な人なんですよ……前に金網を自力で乗り越えて侵入してきた囚人が居たんですけど、その人は三日三晩もサキュバスの能力で身体中の精気を吸い上げられました。侵入する前は20代後半の筋肉質の男性だったんですけど、解放されたときには一気に年齢を重ねたように白髪頭になってミイラのようによぼよぼな肉体の状態で放り出されました」
「それは……恐ろしいな」
ゴンゾウが昼間に遭遇したパールは優しそうなお姉さんにしか見えなかったが、彼女の裏の顔を知っているネズミからすれば普段の優しい表情は仮面であり、彼女の本性は人間の精気を貪るサキュバスである事変わりはないという。
「パールさんが動き出したという事は迂闊に外に出るのは危険です。しばらくはここに残りましょう……夜が明ければパールさんも疲れて女囚館に戻るでしょうし、その間にレナさんの隠れ家へ案内しますよ」
「分かった……だが、その前にネズミ、お前に頼みがある」
「えっ?」
ネズミはゴンゾウに振り返ると、ゴンゾウは深刻な表情を浮かべてその場に跪き、額を床に叩きつけながらネズミに懇願した。
「頼む、俺に金を貸してくれ!!」
「えっ……!?」
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「この購買には回復薬も販売しているといったな?俺はそれが欲しい、出来るだけ多くの薬が必要だ!!」
「か、回復薬?そんな物で何を……」
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「チュチュッ?」
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