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放浪編
ゴブリンの恩返し
(戦うしかないのか……ん、何だ?)
レナが戦闘を避けられないのかと判断しかけたとき、正面の窓に群がっていた蝙蝠の大群に乱れが生じ、外側から蝙蝠を振り払いながらガルムに乗り込んだゴブリンが窓を割って入り込んできた。
「ギイイッ!!」
「ガアッ!!」
「うわっ!?」
「何っ!?」
窓を割って入り込んだガルムは廊下に着地すると、その背中に乗っていた隻腕のゴブリンがレナの前に降り立ち、何かを伝えるように指差す。
「ギイ、ギギィッ!!」
「……?」
「おい、何をやっている!?早く逃げろ!!」
「何だ?あれは……」
「あら?」
唐突に乱入してきたゴブリンに看守達も困惑し、特にハイ・ゴブリンは激高して離れるように命じる。しかし、そんなハイ・ゴブリンの言葉を無視してゴブリンは廊下のある場所を指差し、その方向に視線を向けたレナは消火器が配置されている事に気づく。
(消火器……!?そうか!!)
即座にゴブリンの指差した消火器のケースを叩き割り、中から消火器を取り出して噴射口を看守長とサイクロプスの方向へ構える。レナの行動に看守長は顔色を変え、サイクロプスに避難するように伝える。
「不味い!?サイク、逃げるんだ!!」
『何っ……!?』
「遅い!!」
消火器を構えたレナは容赦なく中身を噴射させると、大量の白煙が放たれて廊下に拡散させる。咄嗟に看守長はサイクを庇おうとしたが煙を一人で防ぐ事など出来るはずがなく、背後に存在したサイクロプスの元にも白煙が襲い掛かった結果、巨大な眼球に煙を浴びた瞬間にサイクロプスは悲鳴をあげた。
『ギュロロロロッ!?』
「しまった!?」
「うわぁああああっ!?」
よりによって一番敏感な部分を刺激されてしまったサイクロプスは悲鳴をあげ、その場で激しく暴れ出す。結果的に傍に控えていた囚人達が真っ先に被害に遭い、次々と囚人達が壁や床に叩きつけられてしまう。その様子を確認したレナは消火器を手放さずに今度は窓に向けて放射する。
「お前等も邪魔だっ!!」
『キィイイイッ!?』
「ああっ!?」
窓側に張り付くように飛んでいた蝙蝠達も消火器の白煙を浴びて悲鳴をあげるように逃げ去り、邪魔者がいなくなった隙を逃さずにレナは外へ飛び出す。
「脱出!!」
「ギイイッ!!」
「ま、待て!!逃がすなっ……うわっ!?」
『ギュロロロッ!!』
「看守長!?」
白液まみれの看守長が慌てて追いかけようとしたがサイクロプスの振りぬいた腕が頭部に衝突して叩きつけられ、それを見た他の看守の二人もレナを追いかけるべきかサイクロプスを抑えるのか判断に迷う。その間にもレナは窓から外へ抜け出すと、校庭を駆け抜けてネズミの教えてくれた下水道へ続くマンホールまで向かう。
レナが校庭を移動中、後方から気配を感じて振り返ると先ほど廊下に突入してきたゴブリンもガルムに乗って後を追っている事に気づき、どうして自分を助けたのか疑問を抱いたレナはゴブリンに話しかける。
「お前、何で俺を助けてくれたんだ?」
「ギイッ……」
ゴブリンに言葉が通じるのかは分からないが試しに話しかけると、隻腕のゴブリンは自分の失った腕を指差し、次に自分とレナの顔を指差す。その行動の意図は読めなかったが、レナはゴブリンの肉体が妙に傷だらけである事に気づき、ある事を思い出した。
「お前、もしかしてバジルに捕まっていたゴブリンなのか?」
「ギギィッ」
随分と前の話になるがレナが冒険都市へ訪れたばかりの頃、旧帝国の魔物使いであるバジルと交戦したとき、捕縛されていた大量のゴブリンをレナは救った事があった。正確に言えばバジルに致命傷を与えて止めをゴブリン達に刺させたのだが、どうやら無事に生き残ったゴブリンらしい。
レナを救い出したのはバジルから自分を救ってくれた存在だと覚えていたらしく、恩返しのために自分の命の危機も顧みずに行動した結果であり、深淵の森で暮らしていたレナの命を救ってくれたゴブリンのように義理堅い性格のゴブリンだった。
「助けてくれてありがとな。けど、よく消火器の事を知ってたなお前……」
「ギギッ、ギギィッ!!」
「何言っているか分からないけど、とりあえず一緒に逃げるぞ!!」
「ガウッ!!」
予想外の助っ人によって危機を脱したレナはガルムとゴブリンを連れて校舎から離れようとすると、正面の方角から足音が聞こえ、最初に自分を監獄都市にまで連行したミノタウロスが兵士を連れて姿を現した。
『見ツケタゾ、ココニイタカ!!』
「あんたか……今は構っている暇はない!!」
『捕ラエロ!!』
ミノタウロスはゴンゾウから奪った金銀の闘拳を身に着けると、同行していた兵士達に命令を下す。兵士達は槍を構えて正面から近づいてくるレナ達に突撃する。
『うおおおおっ!!』
「くそ、あと少しだっていうのに……お前は下がってろ!!」
「ギイッ……」
ゴブリンを下がらせてレナは空間魔法を発動させて退魔刀を取り出そうとした時、校舎の二階の窓が開け放たれ、ある人物の声が校庭に響き渡った。
レナが戦闘を避けられないのかと判断しかけたとき、正面の窓に群がっていた蝙蝠の大群に乱れが生じ、外側から蝙蝠を振り払いながらガルムに乗り込んだゴブリンが窓を割って入り込んできた。
「ギイイッ!!」
「ガアッ!!」
「うわっ!?」
「何っ!?」
窓を割って入り込んだガルムは廊下に着地すると、その背中に乗っていた隻腕のゴブリンがレナの前に降り立ち、何かを伝えるように指差す。
「ギイ、ギギィッ!!」
「……?」
「おい、何をやっている!?早く逃げろ!!」
「何だ?あれは……」
「あら?」
唐突に乱入してきたゴブリンに看守達も困惑し、特にハイ・ゴブリンは激高して離れるように命じる。しかし、そんなハイ・ゴブリンの言葉を無視してゴブリンは廊下のある場所を指差し、その方向に視線を向けたレナは消火器が配置されている事に気づく。
(消火器……!?そうか!!)
即座にゴブリンの指差した消火器のケースを叩き割り、中から消火器を取り出して噴射口を看守長とサイクロプスの方向へ構える。レナの行動に看守長は顔色を変え、サイクロプスに避難するように伝える。
「不味い!?サイク、逃げるんだ!!」
『何っ……!?』
「遅い!!」
消火器を構えたレナは容赦なく中身を噴射させると、大量の白煙が放たれて廊下に拡散させる。咄嗟に看守長はサイクを庇おうとしたが煙を一人で防ぐ事など出来るはずがなく、背後に存在したサイクロプスの元にも白煙が襲い掛かった結果、巨大な眼球に煙を浴びた瞬間にサイクロプスは悲鳴をあげた。
『ギュロロロロッ!?』
「しまった!?」
「うわぁああああっ!?」
よりによって一番敏感な部分を刺激されてしまったサイクロプスは悲鳴をあげ、その場で激しく暴れ出す。結果的に傍に控えていた囚人達が真っ先に被害に遭い、次々と囚人達が壁や床に叩きつけられてしまう。その様子を確認したレナは消火器を手放さずに今度は窓に向けて放射する。
「お前等も邪魔だっ!!」
『キィイイイッ!?』
「ああっ!?」
窓側に張り付くように飛んでいた蝙蝠達も消火器の白煙を浴びて悲鳴をあげるように逃げ去り、邪魔者がいなくなった隙を逃さずにレナは外へ飛び出す。
「脱出!!」
「ギイイッ!!」
「ま、待て!!逃がすなっ……うわっ!?」
『ギュロロロッ!!』
「看守長!?」
白液まみれの看守長が慌てて追いかけようとしたがサイクロプスの振りぬいた腕が頭部に衝突して叩きつけられ、それを見た他の看守の二人もレナを追いかけるべきかサイクロプスを抑えるのか判断に迷う。その間にもレナは窓から外へ抜け出すと、校庭を駆け抜けてネズミの教えてくれた下水道へ続くマンホールまで向かう。
レナが校庭を移動中、後方から気配を感じて振り返ると先ほど廊下に突入してきたゴブリンもガルムに乗って後を追っている事に気づき、どうして自分を助けたのか疑問を抱いたレナはゴブリンに話しかける。
「お前、何で俺を助けてくれたんだ?」
「ギイッ……」
ゴブリンに言葉が通じるのかは分からないが試しに話しかけると、隻腕のゴブリンは自分の失った腕を指差し、次に自分とレナの顔を指差す。その行動の意図は読めなかったが、レナはゴブリンの肉体が妙に傷だらけである事に気づき、ある事を思い出した。
「お前、もしかしてバジルに捕まっていたゴブリンなのか?」
「ギギィッ」
随分と前の話になるがレナが冒険都市へ訪れたばかりの頃、旧帝国の魔物使いであるバジルと交戦したとき、捕縛されていた大量のゴブリンをレナは救った事があった。正確に言えばバジルに致命傷を与えて止めをゴブリン達に刺させたのだが、どうやら無事に生き残ったゴブリンらしい。
レナを救い出したのはバジルから自分を救ってくれた存在だと覚えていたらしく、恩返しのために自分の命の危機も顧みずに行動した結果であり、深淵の森で暮らしていたレナの命を救ってくれたゴブリンのように義理堅い性格のゴブリンだった。
「助けてくれてありがとな。けど、よく消火器の事を知ってたなお前……」
「ギギッ、ギギィッ!!」
「何言っているか分からないけど、とりあえず一緒に逃げるぞ!!」
「ガウッ!!」
予想外の助っ人によって危機を脱したレナはガルムとゴブリンを連れて校舎から離れようとすると、正面の方角から足音が聞こえ、最初に自分を監獄都市にまで連行したミノタウロスが兵士を連れて姿を現した。
『見ツケタゾ、ココニイタカ!!』
「あんたか……今は構っている暇はない!!」
『捕ラエロ!!』
ミノタウロスはゴンゾウから奪った金銀の闘拳を身に着けると、同行していた兵士達に命令を下す。兵士達は槍を構えて正面から近づいてくるレナ達に突撃する。
『うおおおおっ!!』
「くそ、あと少しだっていうのに……お前は下がってろ!!」
「ギイッ……」
ゴブリンを下がらせてレナは空間魔法を発動させて退魔刀を取り出そうとした時、校舎の二階の窓が開け放たれ、ある人物の声が校庭に響き渡った。
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