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放浪編
仕事よりも家族を優先
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「じゃあ、俺達はもう行くので絶対に付いてこないでください」
「待ってくれ!!人質なら僕がなる!!だからネズミ君だけは……はぐっ!?」
「もう、駄目ですよ~子離れしないと」
立ち去ろうとするレナ達に看守長が騒ぎ立てるが、背後から大きな石を取り出したパールが看守長の後頭部を叩き、強制的に気絶させる。予想外に大胆な行動で看守長を取り押さえたパールにレナ達は唖然とするが、彼女は悪びれもせずに頭を下げる。
「ネズミちゃんの事をよろしくお願いします。この子、きっと年齢が近い友達が出来て嬉しがってるんです。だから出来る限り一緒に居てくださいね」
「ちょ、ちょっとパールさん!?」
「あ、はい……分かりました」
パールの言葉が図星だったのかネズミは慌てふためき、冷静に考えればレナが遭遇した囚人の殆どは成人を迎えており、子供の囚人などネズミ以外に遭遇していない。理由としてはこの監獄都市に送り込まれるのは死刑が確定した人間だけである。
子供が犯罪を犯しても年齢を考えて罪が軽減され、死刑を免れる場合も多い。もしかしたら少年院のような特別な監獄が存在するかもしれず、この監獄都市にネズミ以外の子供が送り込まれる事自体が滅多に存在しない。なのでネズミが比較的に自分と年齢が近いレナとゴンゾウに親近感を抱いたとしてもおかしくはなかった。
ネズミの育て親と言っても過言ではないパールはネズミの味方らしく、過保護すぎる看守長を抑えてネズミにレナ達と別れるまで共に行動するように促す。
「ネズミちゃん、お友達を仲良くしてね。でも、今度からはお父さんの事も少し構ってあげてね」
「……分かりましたよ。パールさん」
「うふふっ……貴方達もネズミちゃんと仲良くしてくれてありがとう」
「ど、どうも……」
「……可憐だ」
パールはネズミに対して悪さをした自分の子供を反省させるように優しく叱りつけると、レナとゴンゾウにも微笑みかける。どことなくアイラと似たような雰囲気を持つパールにレナは頭を下げ、ゴンゾウは人妻である事を惜しむように俯く。その様子を何とも言えない表情で他の兵士や囚人達が見つめる。
「ギギィッ!!」
「ガウッ」
「お前達もありがとうな。助けてくれて助かったよ」
隻腕のゴブリンとガルムにもレナは礼を告げ、2匹の頭を撫でる。この2匹の事もパールに任せられないかとレナは貌を向けると、彼女は察したように頷く。
「大丈夫ですよ。この子達の事は私に任せて下さい、悪いようにしないわ」
「お願いします。良かったなお前等」
「ギギィッ……」
囚人に協力した罰として処分されないのかと心配したレナはパールの言葉を聞いて安心すると、最後に隻腕のゴブリンと握手を交わし、分かれの挨拶を告げた。
「それじゃあ、短い間だけどお世話になりました。俺とゴンちゃんは今日で出所します!!」
「元々俺達は囚人ではないから出所というのもおかしな話だがな……」
「それじゃあ、お二人とも馬車に乗ってください。運転は僕がしますよ」
看守長が気絶した事で戦意が喪失した兵士達の目の前でレナ達は堂々と馬車に乗り込み、ネズミの運転の元で馬王種が引く馬車が動き出す。その様子を見送りながらパールは両手で手を振り、看守達はやっと面倒な人物が立ち去る事に安堵した表情を浮かべる。
校庭から馬車が完全に立ち去った後、残された者たちはこれからどうするべきか悩むようにパールに視線を向けると、彼女は地面に倒れている看守長の肩に手を伸ばす。
「貴方、もう演技はいいですよ」
「……ばれていたのか」
「か、看守長!?目を覚まされていたのですか!?」
何事もなかったかのように看守長が起き上がると他の人間達に動揺が走り、看守長は後頭部を抑えながらパールに苦笑いを浮かべる。
「全く、いくら僕でも君に頭を叩かれたら無事じゃ済まないよ」
「うふふ、ごめんなさい。でも、これで良かったんでしょう?」
「ああ、正直に言えば彼等の事は気にかかるが……あの子があんなに楽しそうな表情は久しぶりに見たよ」
パールの肩を抱き寄せ、馬車が立ち去った方角に視線を向けながら看守長はため息を吐き、去り際のネズミの様子を思い浮かべる。母親が死んでから距離を持つようになった自分の子供があれほど生き生きとした表情を浮かべるのを見たのは久しぶりだった。
「一応は蝙蝠を追いかけさせていますけど、あの子達が無事に抜け出せると思います?」
「どうだろうね。でも、きっと僕の息子なら大丈夫さ」
看守としての立場から考えれば監獄都市を抜け出そうとするレナ達の行動を止めるべきだと理解しているが、ネズミが自分の身を危険に晒してまでレナ達のために行動する姿を見て看守長は二人を捕まえる事を断念し、無事に二人が監獄都市から抜け出す事を祈る――
「待ってくれ!!人質なら僕がなる!!だからネズミ君だけは……はぐっ!?」
「もう、駄目ですよ~子離れしないと」
立ち去ろうとするレナ達に看守長が騒ぎ立てるが、背後から大きな石を取り出したパールが看守長の後頭部を叩き、強制的に気絶させる。予想外に大胆な行動で看守長を取り押さえたパールにレナ達は唖然とするが、彼女は悪びれもせずに頭を下げる。
「ネズミちゃんの事をよろしくお願いします。この子、きっと年齢が近い友達が出来て嬉しがってるんです。だから出来る限り一緒に居てくださいね」
「ちょ、ちょっとパールさん!?」
「あ、はい……分かりました」
パールの言葉が図星だったのかネズミは慌てふためき、冷静に考えればレナが遭遇した囚人の殆どは成人を迎えており、子供の囚人などネズミ以外に遭遇していない。理由としてはこの監獄都市に送り込まれるのは死刑が確定した人間だけである。
子供が犯罪を犯しても年齢を考えて罪が軽減され、死刑を免れる場合も多い。もしかしたら少年院のような特別な監獄が存在するかもしれず、この監獄都市にネズミ以外の子供が送り込まれる事自体が滅多に存在しない。なのでネズミが比較的に自分と年齢が近いレナとゴンゾウに親近感を抱いたとしてもおかしくはなかった。
ネズミの育て親と言っても過言ではないパールはネズミの味方らしく、過保護すぎる看守長を抑えてネズミにレナ達と別れるまで共に行動するように促す。
「ネズミちゃん、お友達を仲良くしてね。でも、今度からはお父さんの事も少し構ってあげてね」
「……分かりましたよ。パールさん」
「うふふっ……貴方達もネズミちゃんと仲良くしてくれてありがとう」
「ど、どうも……」
「……可憐だ」
パールはネズミに対して悪さをした自分の子供を反省させるように優しく叱りつけると、レナとゴンゾウにも微笑みかける。どことなくアイラと似たような雰囲気を持つパールにレナは頭を下げ、ゴンゾウは人妻である事を惜しむように俯く。その様子を何とも言えない表情で他の兵士や囚人達が見つめる。
「ギギィッ!!」
「ガウッ」
「お前達もありがとうな。助けてくれて助かったよ」
隻腕のゴブリンとガルムにもレナは礼を告げ、2匹の頭を撫でる。この2匹の事もパールに任せられないかとレナは貌を向けると、彼女は察したように頷く。
「大丈夫ですよ。この子達の事は私に任せて下さい、悪いようにしないわ」
「お願いします。良かったなお前等」
「ギギィッ……」
囚人に協力した罰として処分されないのかと心配したレナはパールの言葉を聞いて安心すると、最後に隻腕のゴブリンと握手を交わし、分かれの挨拶を告げた。
「それじゃあ、短い間だけどお世話になりました。俺とゴンちゃんは今日で出所します!!」
「元々俺達は囚人ではないから出所というのもおかしな話だがな……」
「それじゃあ、お二人とも馬車に乗ってください。運転は僕がしますよ」
看守長が気絶した事で戦意が喪失した兵士達の目の前でレナ達は堂々と馬車に乗り込み、ネズミの運転の元で馬王種が引く馬車が動き出す。その様子を見送りながらパールは両手で手を振り、看守達はやっと面倒な人物が立ち去る事に安堵した表情を浮かべる。
校庭から馬車が完全に立ち去った後、残された者たちはこれからどうするべきか悩むようにパールに視線を向けると、彼女は地面に倒れている看守長の肩に手を伸ばす。
「貴方、もう演技はいいですよ」
「……ばれていたのか」
「か、看守長!?目を覚まされていたのですか!?」
何事もなかったかのように看守長が起き上がると他の人間達に動揺が走り、看守長は後頭部を抑えながらパールに苦笑いを浮かべる。
「全く、いくら僕でも君に頭を叩かれたら無事じゃ済まないよ」
「うふふ、ごめんなさい。でも、これで良かったんでしょう?」
「ああ、正直に言えば彼等の事は気にかかるが……あの子があんなに楽しそうな表情は久しぶりに見たよ」
パールの肩を抱き寄せ、馬車が立ち去った方角に視線を向けながら看守長はため息を吐き、去り際のネズミの様子を思い浮かべる。母親が死んでから距離を持つようになった自分の子供があれほど生き生きとした表情を浮かべるのを見たのは久しぶりだった。
「一応は蝙蝠を追いかけさせていますけど、あの子達が無事に抜け出せると思います?」
「どうだろうね。でも、きっと僕の息子なら大丈夫さ」
看守としての立場から考えれば監獄都市を抜け出そうとするレナ達の行動を止めるべきだと理解しているが、ネズミが自分の身を危険に晒してまでレナ達のために行動する姿を見て看守長は二人を捕まえる事を断念し、無事に二人が監獄都市から抜け出す事を祈る――
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