文字の大きさ
大
中
小
471 / 2,093
放浪編
傭兵ギルドの調査
――誘拐を企んでいた3人組を捕まえたレナ達は彼等を傭兵ギルドの元まで連行すると、職員達が慌てて対応を行う。どうやら捕まえた3人は傭兵ギルドに所属した人間だったらしく、ギルド長室に案内されてギルド長自ら謝罪を受けた。
「申し訳ない!!今回の件、誠にご迷惑をお掛けしました!!」
「あの、顔を上げてください。一体何があったんですか?」
ギルド長を務めていたのは獣人族の老齢の男性であり、申し訳なさそうに頭を下げて謝罪を行う。だが、レナ達としては謝罪の言葉よりも何故自分達が襲われたのか知りたく、彼等が何の目的で襲撃してきたのかを質問する。
「あの3人を調べたところ、どうやら昨日に捕まえたガブ男爵と繋がりのあるダルンを慕っていた者達です。彼等はダルンが捕まったのが貴方達の報告である事を知り、逆恨みとして誘拐して奴隷商人に売り払うつもりだったようです」
「……酷い話ですね」
「本当に申し訳ありません……まさか、うちのギルドの人間がそのような悪事に加担していたとは……!!」
「むうっ……」
昨日にレナは男爵が捕まえる際にダルンも彼の共犯者として傭兵ギルドに報告していたため、両者は逮捕されて現在はギルド内で取り調べを受けている。だが、どちらも観念したのかこれまでに街中で行方不明になった子供達を誘拐した犯人は自分達である事を認めたという。
しかし、男爵に協力をしていたのはダルンだけではなく、彼を兄貴分として慕っていた複数名の傭兵も事件に関与しており、彼等は自分達が捕まる前に二人が捕まった原因であるレナ達の誘拐を試みる。レナ達を奴隷商人に売り飛ばした後に逃げるつもりだったらしいが、結局は返り討ちにされた事になる。
「どううやら男爵は不特定多数の傭兵と繋がりを持っていたようで……現在は職員を含めて傭兵ギルドに所属する全員に取り調べを行っています。それと殺された子供の親が殺到して男爵を出す様に喚き散ら有様でして……」
「子供を失ったのだから当然の事だな」
子供の行方不明事件の犯人が男爵である事は既に街中に知れ渡っており、傭兵ギルドの前では大勢の民衆が詰め寄っていた。男爵を罵倒する者、あるいは男爵の無実を信じる者、殺された子供の親類が集まって事件の真相を問い質す声が窓から聞こえ、ギルド長は頭を抱えながら今回の事態をどのように対処すべきか思い悩む。
「正直、私も男爵と親交はあったのですが未だに信じられません……あれほど子供好きな方がこんな凶行を起こしていたなんて……」
「だけど事実です。生き残っていた子供達はどうしていますか?」
「今は治療院の方で治療を受けています。ですが、身体の一部を失っている子供の感知は難しく、恐らく何らかの後遺症が残るでしょう」
「そう、ですか」
回復薬の類には肉体を再生させる物も存在するが、あまりに怪我を負ってから長い時間が経過していると完治は難しく、拷問を受けていた子供達の精神状態の事を考えても治療は長引くと考えられた。
男爵の屋敷を調査した結果、これまでに100名近くの子供を誘拐し、殺害していた事が発覚したため、男爵と彼に協力した人間達は重罪は免れないだろう。人望が厚かった男爵が子供の誘拐事件の犯人であるなど住民の誰もが予想も出来ず、逆に信じていたからこそ非道を行った男爵を許せない人間も多い。
「あの……一つ聞きたい事があるんですけど、男爵の息子さんを死霊人形にした死霊使いというのは見つかったんですか?」
「いえ、事情聴取の際にはどうやら男爵は流れ者の人間に依頼したらしく、死霊使いの詳細は女性である事以外に判明していません。ですが、支払った代金や渡した物に関しては判明しています」
「渡した物……それはどんな物ですか?」
事前にダルンから事情を聞いていたレナだが、男爵が死霊使いに渡したという「家宝」については内容を聞いていない事を思い出し、ギルド長に尋ねると彼は資料を片手に困惑した表情を浮かべる。
「話を聞く限り、どうやら特殊な魔道具のようですね。なんでもガブ男爵家に伝わる家宝らしくて……翼のような形をした装飾品だそうです」
「翼……なら、それはどんな効果を生む魔道具ですか?」
「男爵の話を聞く限りではなんでも冒険者だった曾祖父が持って帰ってきた貴重な魔道具らしく、身に着けるだけで本物の鳥のように空を飛べる魔道具らしいです。まあ、実際に男爵は試した事はないらしいので本当に魔道具にそんな力があったのかは分からないそうですが……」
「そうですか……」
「レナ、何か気になるのか?」
ギルド長の言葉を聞いてレナは納得したように頷き、隣に座るゴンゾウがレナの反応を見て不思議そうに尋ねると、レナは死霊使いの正体が判明した事を話す。
「翼のような形をした魔道具を持つ死霊使いに心当たりがあります。名前はキラウ、多分死霊使いの中でも最悪の部類にはいる性悪女です」
「き、キラウ!?あの悪名高い死霊使いですか……!?」
「なるほど、奴か……腐敗竜を操った死霊使いだな」
「レナと少し顔が似てるオバさん?」
キラウの名前を口にした途端にギルド長は震えあがり、どうやら獣人国でもキラウの悪名は有名らしく、レナもまさかこの土地でキラウが「神器」を入手した事を知る事になるとは思わなかった。
「申し訳ない!!今回の件、誠にご迷惑をお掛けしました!!」
「あの、顔を上げてください。一体何があったんですか?」
ギルド長を務めていたのは獣人族の老齢の男性であり、申し訳なさそうに頭を下げて謝罪を行う。だが、レナ達としては謝罪の言葉よりも何故自分達が襲われたのか知りたく、彼等が何の目的で襲撃してきたのかを質問する。
「あの3人を調べたところ、どうやら昨日に捕まえたガブ男爵と繋がりのあるダルンを慕っていた者達です。彼等はダルンが捕まったのが貴方達の報告である事を知り、逆恨みとして誘拐して奴隷商人に売り払うつもりだったようです」
「……酷い話ですね」
「本当に申し訳ありません……まさか、うちのギルドの人間がそのような悪事に加担していたとは……!!」
「むうっ……」
昨日にレナは男爵が捕まえる際にダルンも彼の共犯者として傭兵ギルドに報告していたため、両者は逮捕されて現在はギルド内で取り調べを受けている。だが、どちらも観念したのかこれまでに街中で行方不明になった子供達を誘拐した犯人は自分達である事を認めたという。
しかし、男爵に協力をしていたのはダルンだけではなく、彼を兄貴分として慕っていた複数名の傭兵も事件に関与しており、彼等は自分達が捕まる前に二人が捕まった原因であるレナ達の誘拐を試みる。レナ達を奴隷商人に売り飛ばした後に逃げるつもりだったらしいが、結局は返り討ちにされた事になる。
「どううやら男爵は不特定多数の傭兵と繋がりを持っていたようで……現在は職員を含めて傭兵ギルドに所属する全員に取り調べを行っています。それと殺された子供の親が殺到して男爵を出す様に喚き散ら有様でして……」
「子供を失ったのだから当然の事だな」
子供の行方不明事件の犯人が男爵である事は既に街中に知れ渡っており、傭兵ギルドの前では大勢の民衆が詰め寄っていた。男爵を罵倒する者、あるいは男爵の無実を信じる者、殺された子供の親類が集まって事件の真相を問い質す声が窓から聞こえ、ギルド長は頭を抱えながら今回の事態をどのように対処すべきか思い悩む。
「正直、私も男爵と親交はあったのですが未だに信じられません……あれほど子供好きな方がこんな凶行を起こしていたなんて……」
「だけど事実です。生き残っていた子供達はどうしていますか?」
「今は治療院の方で治療を受けています。ですが、身体の一部を失っている子供の感知は難しく、恐らく何らかの後遺症が残るでしょう」
「そう、ですか」
回復薬の類には肉体を再生させる物も存在するが、あまりに怪我を負ってから長い時間が経過していると完治は難しく、拷問を受けていた子供達の精神状態の事を考えても治療は長引くと考えられた。
男爵の屋敷を調査した結果、これまでに100名近くの子供を誘拐し、殺害していた事が発覚したため、男爵と彼に協力した人間達は重罪は免れないだろう。人望が厚かった男爵が子供の誘拐事件の犯人であるなど住民の誰もが予想も出来ず、逆に信じていたからこそ非道を行った男爵を許せない人間も多い。
「あの……一つ聞きたい事があるんですけど、男爵の息子さんを死霊人形にした死霊使いというのは見つかったんですか?」
「いえ、事情聴取の際にはどうやら男爵は流れ者の人間に依頼したらしく、死霊使いの詳細は女性である事以外に判明していません。ですが、支払った代金や渡した物に関しては判明しています」
「渡した物……それはどんな物ですか?」
事前にダルンから事情を聞いていたレナだが、男爵が死霊使いに渡したという「家宝」については内容を聞いていない事を思い出し、ギルド長に尋ねると彼は資料を片手に困惑した表情を浮かべる。
「話を聞く限り、どうやら特殊な魔道具のようですね。なんでもガブ男爵家に伝わる家宝らしくて……翼のような形をした装飾品だそうです」
「翼……なら、それはどんな効果を生む魔道具ですか?」
「男爵の話を聞く限りではなんでも冒険者だった曾祖父が持って帰ってきた貴重な魔道具らしく、身に着けるだけで本物の鳥のように空を飛べる魔道具らしいです。まあ、実際に男爵は試した事はないらしいので本当に魔道具にそんな力があったのかは分からないそうですが……」
「そうですか……」
「レナ、何か気になるのか?」
ギルド長の言葉を聞いてレナは納得したように頷き、隣に座るゴンゾウがレナの反応を見て不思議そうに尋ねると、レナは死霊使いの正体が判明した事を話す。
「翼のような形をした魔道具を持つ死霊使いに心当たりがあります。名前はキラウ、多分死霊使いの中でも最悪の部類にはいる性悪女です」
「き、キラウ!?あの悪名高い死霊使いですか……!?」
「なるほど、奴か……腐敗竜を操った死霊使いだな」
「レナと少し顔が似てるオバさん?」
キラウの名前を口にした途端にギルド長は震えあがり、どうやら獣人国でもキラウの悪名は有名らしく、レナもまさかこの土地でキラウが「神器」を入手した事を知る事になるとは思わなかった。
感想 5,097
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
『ベルンハルト・フォン・バーデンは平穏に暮らしたい』
GamaFrog男爵家三男、ベルンハルト・フォン・バーデン。
家督継承権はなく、本来ならどこかの官職に就くか、他家へ仕えるか、婿入りするか――そんな将来が待っているはずだった。
しかしベルは少しだけ優秀すぎた。
小遣い稼ぎのつもりで始めた商売は成功し、気付けば父親より金を持ち、長男より領地経営に詳しく、次男より商売が上手くなっていた。
本人に出しゃばる気はない。
ただ普通に生きていただけだ。
それでも、優秀すぎる三男の存在は家族との距離を少しずつ広げていった。
家に居場所がなくなった。
だからベルは学園へ来た。
貴族だから一応入学した。
家にいるより気楽だったから。
静かに暮らしたかったから。
寄付金を積んで手に入れた広い寮部屋で、本を読み、昼寝をし、卒業後は適当な文官になって平穏に生きる
そのはずだった。
だが現実は違った。
男装令嬢に懐かれ。
王太子に目を付けられ。
商会には囲い込まれ。
気付けば平穏はどこへやら。
本人はただ平穏に暮らしたいだけ。
周囲はなぜか放っておいてくれない。
これは、面倒事を嫌う規格外の天才が、静かな人生を目指して失敗し続ける物語である。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
真の皇帝は俺です ~面倒だから幼なじみに帝位を任せていたら、婚約者に捨てられました。正体を明かしたら全員後悔してももう遅い~
由香皇帝の仕事が面倒だったレインは、信頼する幼なじみアレクシスに表向きの皇帝を任せ、自身は陰から帝国を支えていた。
だがある日、婚約者エミリアは「権力も将来性もない」と彼を見限り婚約破棄を宣言する。
しかし彼女は知らなかった。
帝国を動かしていた真の支配者が誰なのかを。
これは全てを持ちながら隠していた男と、見るべきものを見失った者たちの後悔の物語。
クラス全員で異世界召喚されたが、俺だけ教室に取り残されたのでとりあえず帰宅した
中山(ほ) クラス全員で異世界召喚されたが、先生と俺が残っていた。
魔法もチートスキルもステータス画面すら表示されない、ただの「残され損」
異世界に行けなかった俺を待っていたのは、世知辛い現実だった。
AI使用状況
GoogleのGeminiさん使ってます〜
誤字脱字チェックと調べ物お願いしてます
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。