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最終章 前編 〈王都編〉
緑影の協力
「拠点を変えるという事はすぐに向かうのか?」
「いや、今日まではここで過ごそうと思う。俺とダインは明日には新しい武器を貰う約束をしているから冒険都市に向かわないといけない」
「あ、そうか……でも、処刑日まであと4日だろ?移動の時間も考えるともう殆ど余裕はないんじゃないの?」
ダインの言葉通りにこの深淵の森から王都までは距離があるためウルやアインに乗って移動するにしても時間が掛かる。処刑日まで4日にまで迫っているため、明日に出発すると考えれば残りの猶予は2日程度だろう。
「でも明日にならないとラナ達は戻ってこないから俺達もここを離れられないんだよ」
「あ、そうか……緑影の奴等が情報を集めて戻ってくるんだっけ。あいつらの事すっかり忘れてたよ」
「……人が戻ってきて早々に喧嘩を売っているのか?」
「うわぁっ!?」
建物の窓の方から女性の声が響き、全員が視線を向けるとそこには緑色の装束で統一した森人族の集団が存在した。窓から声を掛けたラナは部屋の中に入り込むと、無造作にレナに複数の羊皮紙を手渡す。
「仕事は果たした。これが現在の王都の状況をまとめた資料だ」
「……偉く早く戻って来たね。もっと時間が掛かると思ったのに」
「緑影を馬鹿にするな……我等には我等の移動手段がある」
「ラナ、貴方も無事でしたか」
「リンダか……やはりお前も生きていたか」
羊皮紙を受け取ったレナは中身を確認している間、ラナの顔を見てリンダは笑顔を浮かべて近寄り、お互いの無事を祝う。ラナの方もリンダとは面識があったのか口元に笑みを浮かべ、外で待機させている緑影の集団を呼び寄せる。
「こいつらは王都に待機させていた緑影の人員だ。全員が洗脳を受けていない事は確認している……ここにいる全員がハヅキ様に忠誠を誓っている」
「なるほど、という事は俺達に協力してくれるの?」
「勘違いするな、あくまでも利害が一致しただけでお前達の部下になるつもりはない……いくらティナ様の命令でも我々は従わない」
『…………』
緑影の面子はレナの言葉に対して睨みつけ、あくまでも自分達はハヅキ家に忠誠を尽くす事を示す様に挨拶も行わない。そんな彼等の態度にリンダは眉をしかめるが、ここで自分が間に割り込むと余計に関係がこじれそうなので敢えて何も言わなかった。
ラナが連れて来た緑影の数は十数人程度であり、他の者は既に王都から退去しているらしい。恐らくはこれもヨツバ王国のカレハの指示だと思われ、彼等を合わせてもレナ達の人数は30人にも満たない。
「忠告しておくが我々の目的はハヅキ様を殺した大将軍ミドルの殺害だ。お前の姉や仲間の事に関しては一切我々は手助けしないぞ」
「分かってるよ。ここまで調べてくれただけでも助かった」
「……ふん」
あくまでも自分達はハヅキへの忠義を貫くことを示してラナは窓から外へ出ると、他の緑影の面子と共に外で待機する。そんな彼女が持ってきてくれた資料を机に広げて他の人間も確認出来るように見せる。
「これを見て欲しい、ラナが集めた王城の見取り図だと思う」
「おいおい、こんな物まで持ってきたのか!?凄い奴等だな……」
「緑影はヨツバ王国の中でも腕利きの暗殺者を選出して作り出された組織です。彼等の情報収集能力は大陸一でしょう」
「やっぱり便利っすね緑影の人達は……あっ、すいません」
エリナの迂闊な発言に庭で待機していた緑影の面子が睨みつけるが、それを無視してレナ達は城の見取り図を確認する。王城には4つの地下牢が存在し、それぞれが北東、北西、南西、南東に配置されていた。有難い事に地下牢の部分には捕まっている人間の事も記されており、どうやらナオ達は別々に捕まっている事が判明した。
「この城を見る限りだと王城の正面玄関は南側にあるから……北に存在する裏口から侵入した方がいいのかな?こっちの方が二つの地下牢と近いよね」
「ちょっと待てよ、本当にジャンヌとシズネの奴まで捕まってたのか!?何してんだよあいつら……」
「それだけではありません。どうやら大将軍のジャンヌも南東の地下牢で拘束されているようです」
「つまり、この4人を救うためにはそれぞれの地下牢に侵入して救い出さないといけないのか……」
「あの……これだけ調べられたんなら緑影の方々なら1人ぐらいは助け出せたんじゃないんですか?」
「……聞こえているぞ、何度も言うが我々の目的はミドルだけだ。お前達の仲間の救出などしない」
城の見取り図だけではなく、城内に忍び込んで情報を集めてきた緑影の潜入能力ならば地下牢に拘束された4人も救い出せた可能性はあったが、ラナはあくまでも仲間の救出に関しては自分達は協力するつもりはないと断言する。そんな彼女にティナは少し怒った風に抗議する。
「もうラナちゃん!!少しぐらいは手伝ってよ!!」
「ら、ラナちゃん!?い、いや……いくらティナ様の言葉でも無理な物は無理です。それに私達が潜入したときから警戒は厳重でした。あの状態から救い出すのは我々でも不可能です」
流石に王族であるティナに対してはラナも無碍な態度は出来ず、渋々と潜入したときの状況を説明する。王城内は厳重な警備が敷かれており、侵入者の対策のために暗殺者の職業の人間も数多く配置され、常に警戒態勢に入っているという。
それでも緑影が王城の見取り図を入手出来たのは彼等が腕利きの隠密集団だからであり、十分な情報を持ち帰ってきてくれた。だが、地下牢に関しては捕まっている人間を把握する事には成功したが実際に牢獄内にまで入り込んだわけではなく、内部の詳細までは判明していない。
「この見取り図を見た限り、城内には思ったよりも兵士の数は少ないんだね」
「ああ、その代わりに王都の防壁が強化されている。我々が侵入したときでは通行者には検問が行われ、鑑定の能力を持つ人間が通行人を調べていた。既に奴等はお前達の情報を知っている、外見だけを変装したところで正体を見破られるぞ」
「鑑定か……」
鑑定のスキルを人間に使用すればその人物の名前が判明するため、ラナの話しでは変装程度では正体は見抜かれる可能性が高い。ラナ達はどうやって検問を突破したのかというと、彼女達は王都に繋がる抜け道を利用して入り込んだという。
「我々が潜入した時は王都と繋がる地下通路を利用した。本来は王族を逃がすために作り出された通路だが、我々は王都に潜入する際はその抜け道を利用している」
「何だ、そんな便利な抜け道があるのなら最初から教えてくれればいいのに……」
「……その地下通路にはレベル5に危険種指定されている魔人族が住み着いている。王都の連中がこの抜け道の存在知りながら放置しているのは奴等が住み着いているからだ。我々の仲間も何人も犠牲になった」
「えっ!?」
王都に繋がる地下通路に魔人族が住み着いているという情報に全員が驚き、しかも王国軍でさえも放置する事しか出来ない危険な存在が住み着いている事などレナ達も初耳だった。どうしてそのような情報が一般には知られていないのかというと、王国が地下通路の存在を秘匿している事が原因だった。
「王都の人間の中でもこの抜け道の存在を知っている者は殆どいない……我々でさえも奴に気付かれないように隠密の能力で存在感を限りなく消して忍び込んでいる。だが、一度でも奴等に認識されれば命はない」
「ど、どんな化物が住み着いているんだよ!?」
緑影は潜入だけに特化したわけではなく、時には暗殺者として標的を抹殺するために鍛え上げられた隠密集団である。そんな彼等が恐れる存在をダインが問いただすと、ラナは真剣な表情で答えた。
「……メドゥーサ、石化の魔眼を持つ魔人だ」
「いや、今日まではここで過ごそうと思う。俺とダインは明日には新しい武器を貰う約束をしているから冒険都市に向かわないといけない」
「あ、そうか……でも、処刑日まであと4日だろ?移動の時間も考えるともう殆ど余裕はないんじゃないの?」
ダインの言葉通りにこの深淵の森から王都までは距離があるためウルやアインに乗って移動するにしても時間が掛かる。処刑日まで4日にまで迫っているため、明日に出発すると考えれば残りの猶予は2日程度だろう。
「でも明日にならないとラナ達は戻ってこないから俺達もここを離れられないんだよ」
「あ、そうか……緑影の奴等が情報を集めて戻ってくるんだっけ。あいつらの事すっかり忘れてたよ」
「……人が戻ってきて早々に喧嘩を売っているのか?」
「うわぁっ!?」
建物の窓の方から女性の声が響き、全員が視線を向けるとそこには緑色の装束で統一した森人族の集団が存在した。窓から声を掛けたラナは部屋の中に入り込むと、無造作にレナに複数の羊皮紙を手渡す。
「仕事は果たした。これが現在の王都の状況をまとめた資料だ」
「……偉く早く戻って来たね。もっと時間が掛かると思ったのに」
「緑影を馬鹿にするな……我等には我等の移動手段がある」
「ラナ、貴方も無事でしたか」
「リンダか……やはりお前も生きていたか」
羊皮紙を受け取ったレナは中身を確認している間、ラナの顔を見てリンダは笑顔を浮かべて近寄り、お互いの無事を祝う。ラナの方もリンダとは面識があったのか口元に笑みを浮かべ、外で待機させている緑影の集団を呼び寄せる。
「こいつらは王都に待機させていた緑影の人員だ。全員が洗脳を受けていない事は確認している……ここにいる全員がハヅキ様に忠誠を誓っている」
「なるほど、という事は俺達に協力してくれるの?」
「勘違いするな、あくまでも利害が一致しただけでお前達の部下になるつもりはない……いくらティナ様の命令でも我々は従わない」
『…………』
緑影の面子はレナの言葉に対して睨みつけ、あくまでも自分達はハヅキ家に忠誠を尽くす事を示す様に挨拶も行わない。そんな彼等の態度にリンダは眉をしかめるが、ここで自分が間に割り込むと余計に関係がこじれそうなので敢えて何も言わなかった。
ラナが連れて来た緑影の数は十数人程度であり、他の者は既に王都から退去しているらしい。恐らくはこれもヨツバ王国のカレハの指示だと思われ、彼等を合わせてもレナ達の人数は30人にも満たない。
「忠告しておくが我々の目的はハヅキ様を殺した大将軍ミドルの殺害だ。お前の姉や仲間の事に関しては一切我々は手助けしないぞ」
「分かってるよ。ここまで調べてくれただけでも助かった」
「……ふん」
あくまでも自分達はハヅキへの忠義を貫くことを示してラナは窓から外へ出ると、他の緑影の面子と共に外で待機する。そんな彼女が持ってきてくれた資料を机に広げて他の人間も確認出来るように見せる。
「これを見て欲しい、ラナが集めた王城の見取り図だと思う」
「おいおい、こんな物まで持ってきたのか!?凄い奴等だな……」
「緑影はヨツバ王国の中でも腕利きの暗殺者を選出して作り出された組織です。彼等の情報収集能力は大陸一でしょう」
「やっぱり便利っすね緑影の人達は……あっ、すいません」
エリナの迂闊な発言に庭で待機していた緑影の面子が睨みつけるが、それを無視してレナ達は城の見取り図を確認する。王城には4つの地下牢が存在し、それぞれが北東、北西、南西、南東に配置されていた。有難い事に地下牢の部分には捕まっている人間の事も記されており、どうやらナオ達は別々に捕まっている事が判明した。
「この城を見る限りだと王城の正面玄関は南側にあるから……北に存在する裏口から侵入した方がいいのかな?こっちの方が二つの地下牢と近いよね」
「ちょっと待てよ、本当にジャンヌとシズネの奴まで捕まってたのか!?何してんだよあいつら……」
「それだけではありません。どうやら大将軍のジャンヌも南東の地下牢で拘束されているようです」
「つまり、この4人を救うためにはそれぞれの地下牢に侵入して救い出さないといけないのか……」
「あの……これだけ調べられたんなら緑影の方々なら1人ぐらいは助け出せたんじゃないんですか?」
「……聞こえているぞ、何度も言うが我々の目的はミドルだけだ。お前達の仲間の救出などしない」
城の見取り図だけではなく、城内に忍び込んで情報を集めてきた緑影の潜入能力ならば地下牢に拘束された4人も救い出せた可能性はあったが、ラナはあくまでも仲間の救出に関しては自分達は協力するつもりはないと断言する。そんな彼女にティナは少し怒った風に抗議する。
「もうラナちゃん!!少しぐらいは手伝ってよ!!」
「ら、ラナちゃん!?い、いや……いくらティナ様の言葉でも無理な物は無理です。それに私達が潜入したときから警戒は厳重でした。あの状態から救い出すのは我々でも不可能です」
流石に王族であるティナに対してはラナも無碍な態度は出来ず、渋々と潜入したときの状況を説明する。王城内は厳重な警備が敷かれており、侵入者の対策のために暗殺者の職業の人間も数多く配置され、常に警戒態勢に入っているという。
それでも緑影が王城の見取り図を入手出来たのは彼等が腕利きの隠密集団だからであり、十分な情報を持ち帰ってきてくれた。だが、地下牢に関しては捕まっている人間を把握する事には成功したが実際に牢獄内にまで入り込んだわけではなく、内部の詳細までは判明していない。
「この見取り図を見た限り、城内には思ったよりも兵士の数は少ないんだね」
「ああ、その代わりに王都の防壁が強化されている。我々が侵入したときでは通行者には検問が行われ、鑑定の能力を持つ人間が通行人を調べていた。既に奴等はお前達の情報を知っている、外見だけを変装したところで正体を見破られるぞ」
「鑑定か……」
鑑定のスキルを人間に使用すればその人物の名前が判明するため、ラナの話しでは変装程度では正体は見抜かれる可能性が高い。ラナ達はどうやって検問を突破したのかというと、彼女達は王都に繋がる抜け道を利用して入り込んだという。
「我々が潜入した時は王都と繋がる地下通路を利用した。本来は王族を逃がすために作り出された通路だが、我々は王都に潜入する際はその抜け道を利用している」
「何だ、そんな便利な抜け道があるのなら最初から教えてくれればいいのに……」
「……その地下通路にはレベル5に危険種指定されている魔人族が住み着いている。王都の連中がこの抜け道の存在知りながら放置しているのは奴等が住み着いているからだ。我々の仲間も何人も犠牲になった」
「えっ!?」
王都に繋がる地下通路に魔人族が住み着いているという情報に全員が驚き、しかも王国軍でさえも放置する事しか出来ない危険な存在が住み着いている事などレナ達も初耳だった。どうしてそのような情報が一般には知られていないのかというと、王国が地下通路の存在を秘匿している事が原因だった。
「王都の人間の中でもこの抜け道の存在を知っている者は殆どいない……我々でさえも奴に気付かれないように隠密の能力で存在感を限りなく消して忍び込んでいる。だが、一度でも奴等に認識されれば命はない」
「ど、どんな化物が住み着いているんだよ!?」
緑影は潜入だけに特化したわけではなく、時には暗殺者として標的を抹殺するために鍛え上げられた隠密集団である。そんな彼等が恐れる存在をダインが問いただすと、ラナは真剣な表情で答えた。
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