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最終章 前編 〈王都編〉
救出のために
「ロック!!今動かせる部隊はどれくらい存在する!?」
「待て団長、まさか救出に向かう気か!?いくら何でもそれは無謀過ぎるぞ!!」
「そうだ!!それよりもすぐにこの隠れ家を移動しなければ……王国兵に捕まった奴等が情報を吐く前に退散するぞ!!」
「何を言っているの!?仲間を見捨てる気!?」
「すぐに助けに向かうべきだろう!!」
「馬鹿を言うな!!失敗すれば俺達は終わりだぞ!?」
コタロウは地上に出た団員達の救出を命じようとしたが、大半の幹部がそれに反対して隠れ家から退去する事を宣言する。もしも王国兵に捕まった団員が隠れ家の情報を漏らした場合、即座にこの隠れ家に王国兵が送り込まれれるだろう。そんな事態に陥る前に別の隠れ家へ避難する事を進言するが、もう半分の幹部が仲間を見捨てる行動に反対した。
冷静に考えれば生きているのかも分からない仲間の救出のために革命団の貴重な戦力を分けるのは愚策だが、だからといってこれまで共に行動してきた仲間を見捨てる行為に幹部の半分の人間達が受け入れられない。しかし、救出に向かったところで現在の革命団の戦力だけで仲間達の救出を行える保証はない。
「お前等も落ち着け!!俺達の目的は王妃からこの国を取り戻す事だろう!?多少の犠牲は覚悟してきたはずだ!!」
「で、でも……」
「俺達が出来る事はここから早急に立ち去り、別の隠れ家へ明日の準備を整える事だ……捕まった仲間の中には作戦の事を知る人間はいない。まだ希望は残っているんだ」
「団長……あんたが決めてくれ。俺達はそれに従う」
「…………」
幹部達は自分達が言い争っても意味はないと判断し、最終判断を団長であるコタロウに委ねる。コタロウは難しい表情を浮かべ、冷静に分析を行う。
(今の革命団の戦力をこれ以上に掛ければ明日の作戦に大きな支障をきたす。だが、ここで仲間を見捨てれば団員の士気が下がってしまう……仮に仲間を救出する事が出来れば士気も上昇するだろう。失敗すれば……革命団の情報が王国に知られてしまう)
無理をしてでも仲間を助けるより、ここは非情に徹して仲間を見捨て、別の隠れ家に移動して明日の作戦の準備を行うべきかコタロウは悩む。考えている間にも事態は最悪の状況に近付いている事も理解しながらもコタロウは判断を出来ない。
だが、そんな彼の前に何時の間にか人影が近づき、コタロウは顔を上げるとそこには先ほどまでとは雰囲気が一変したレナが立っていた。少年から発せられるとは思えない威圧を発し、会議室に存在する人間達を委縮させる迫力を放ちながらレナはコタロウに質問する。
「おい……あんた、さっき母さんとバルが買い出しに向かったと言ってたよな?」
「あ、ああ……」
「なら、二人が何処に向かったのかを言え」
「お、おいレナ……気持ちはわかるが、今は落ち着いた方が……!?」
レナを落ち着かせようとダイアが彼の肩を掴むが、どれだけ力を込めてもレナの肉体はびくともせず、コタロウから視線を離さない。コタロウはレナの質問に対して報告に訪れた兵士に顔を向けると、彼は慌てて知る限りの情報を話す。
「ち、地上の様子を確認した限り、恐らくこの隠れ家の南西の方角に王国兵は移動しているそうですが……」
「南西だな……分かった」
「レナ殿!?」
兵士の報告を受けたレナは会議室を抜け出し、風のような速度で通路を駆け抜ける。その様子を隠れ家に存在した人間達は驚いた表情を浮かべて見送り、レナは地上に続く出入口から抜け出して外の様子を伺う。幸いにもまだこの場所には王国兵の姿はなく、レナは緑笛を取り出して勢いよく吹き込む。
「頼む……!!」
緑笛を吹いた瞬間、レナの耳には何も感じなかったが笛の音に気付いたのか次々と王都に潜伏していた緑影が姿を現す。その中には時計塔で別れたラナの姿も存在し、彼女は驚いた表情を浮かべてレナの元へ向かう。
「どうした?こんな場所に我等を呼び出すとは……何事だ?」
「ラナ……頼みがある」
「……何が起きた?」
レナの表情を見てラナ達は只事ではないと察し、事情を尋ねる。彼女の他にも複数名の緑影にレナはこれまでの経緯を話し、現在街の何処かにいるはずの自分の母親とバルの捜索の手伝いを願う。
「二人は南西の方角で王国兵に見つかったと思う。だから、探すのを手伝ってほしい」
「ラナ、王国兵の奴等が忙しなく動いている。間違いなく、この少年の話す二人を探しているぞ」
「どうするつもりだラナ?我々の目的はハヅキ様を殺害したミドルを討ち取る事……この少年の願いを聞き入れる義理はない」
「…………」
アイラとバルの捜索の手伝いを申し込むレナに対し、他の緑営たちは否定的な意見を告げるが、ラナだけは地下通路の出来事を思い出して協力を承諾してくれた。
「私はこの少年の願いを聞き入れる。お前達は付き合う必要はない」
「本気かラナ?」
「ああ、私はこの子に大きな恩がある。ハヅキ様の仇を討ちたい気持ちは変わらないが、そのためにはこの少年の力が必要だ」
「……分かった。お前がそれほどまで言うのならば我々も出来る限りは協力しよう」
「ありがとうございます!!」
隊長格のラナの言葉に他の緑影も承諾し、そんな彼等にレナは頭を下げる。この状況下で緑影の協力を得られるのは心強く、まずは王国兵の様子を確認するためにラナ達は動く。
「我々は王国兵の動向を探る。その間、お前は目立たないように行動しろ。何か起きれば笛を吹いて我等に知らせるんだぞ」
「はい!!あの、ありがとうございます……」
「礼を言うのはお前の母親と恩師を見つけた後だ。行くぞ!!」
ラナの言葉に反応して緑影達は音も立てずに消え去り、残されたレナも彼等とは別に街中を捜索しようとした時、隠れ家の出入口の方から黒装束姿のハンゾウが飛び出す。
「レナ殿、拙者も協力するでござる!!」
「ハンゾウ……いいの?」
「友を見捨てるぐらいならば拙者は切腹するでござる!!あ、それと革命団の方々も救出部隊の派遣を決意したでござるよ。明日の作戦にはレナ殿の協力が必要だから見捨てる事は出来ないと……」
「そうか……後で謝らないとな」
皆が協力してくれる事で少しは冷静さを取り戻したレナは頭を切り替えるように頬を叩き、決意を新たにして南西の方角を睨む。まずはアイラとバルが見つかった場所を探し、そこから二人の足跡を追いながら捜索を行う必要があった。
二人は同時に駆け出すと屋根の上へ降り立ち、隠密のスキルを駆使して移動を開始する。街道を確認すると大勢の王国兵が動く姿を発見し、彼等もレナ達と同様に南西の方角へ向けて移動していた。
「急げ!!指名手配犯を見つけたぞ!!捕まえた者には特別手当を与える!!」
「最悪の場合は殺しても構わん!!何としても捕まえろ!!」
『うおおおおっ!!』
将軍らしき男達の言葉に兵士達は活気立ち、街道を駆け抜けながら指名手配犯の特徴を確認して捜索を行う。そんな兵士達にレナは合成魔術でぶっ飛ばしたい気持ちに襲われるが、ここで無駄な魔力は消耗できず、目立つ行為は避けなければならない。
「レナ殿、落ち着くでござる。ここで冷静さを欠いては何もかもが台無しになるでござるよ」
「分かってるよ……でも、あいつらは必ず後でぶっ飛ばす」
二人を救出するためにレナは苛立ちを抑えて捜索に集中し、時折に緑笛を吹いて緑影と合流して情報を交換しながら二人の行く手を追う――
「待て団長、まさか救出に向かう気か!?いくら何でもそれは無謀過ぎるぞ!!」
「そうだ!!それよりもすぐにこの隠れ家を移動しなければ……王国兵に捕まった奴等が情報を吐く前に退散するぞ!!」
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「すぐに助けに向かうべきだろう!!」
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冷静に考えれば生きているのかも分からない仲間の救出のために革命団の貴重な戦力を分けるのは愚策だが、だからといってこれまで共に行動してきた仲間を見捨てる行為に幹部の半分の人間達が受け入れられない。しかし、救出に向かったところで現在の革命団の戦力だけで仲間達の救出を行える保証はない。
「お前等も落ち着け!!俺達の目的は王妃からこの国を取り戻す事だろう!?多少の犠牲は覚悟してきたはずだ!!」
「で、でも……」
「俺達が出来る事はここから早急に立ち去り、別の隠れ家へ明日の準備を整える事だ……捕まった仲間の中には作戦の事を知る人間はいない。まだ希望は残っているんだ」
「団長……あんたが決めてくれ。俺達はそれに従う」
「…………」
幹部達は自分達が言い争っても意味はないと判断し、最終判断を団長であるコタロウに委ねる。コタロウは難しい表情を浮かべ、冷静に分析を行う。
(今の革命団の戦力をこれ以上に掛ければ明日の作戦に大きな支障をきたす。だが、ここで仲間を見捨てれば団員の士気が下がってしまう……仮に仲間を救出する事が出来れば士気も上昇するだろう。失敗すれば……革命団の情報が王国に知られてしまう)
無理をしてでも仲間を助けるより、ここは非情に徹して仲間を見捨て、別の隠れ家に移動して明日の作戦の準備を行うべきかコタロウは悩む。考えている間にも事態は最悪の状況に近付いている事も理解しながらもコタロウは判断を出来ない。
だが、そんな彼の前に何時の間にか人影が近づき、コタロウは顔を上げるとそこには先ほどまでとは雰囲気が一変したレナが立っていた。少年から発せられるとは思えない威圧を発し、会議室に存在する人間達を委縮させる迫力を放ちながらレナはコタロウに質問する。
「おい……あんた、さっき母さんとバルが買い出しに向かったと言ってたよな?」
「あ、ああ……」
「なら、二人が何処に向かったのかを言え」
「お、おいレナ……気持ちはわかるが、今は落ち着いた方が……!?」
レナを落ち着かせようとダイアが彼の肩を掴むが、どれだけ力を込めてもレナの肉体はびくともせず、コタロウから視線を離さない。コタロウはレナの質問に対して報告に訪れた兵士に顔を向けると、彼は慌てて知る限りの情報を話す。
「ち、地上の様子を確認した限り、恐らくこの隠れ家の南西の方角に王国兵は移動しているそうですが……」
「南西だな……分かった」
「レナ殿!?」
兵士の報告を受けたレナは会議室を抜け出し、風のような速度で通路を駆け抜ける。その様子を隠れ家に存在した人間達は驚いた表情を浮かべて見送り、レナは地上に続く出入口から抜け出して外の様子を伺う。幸いにもまだこの場所には王国兵の姿はなく、レナは緑笛を取り出して勢いよく吹き込む。
「頼む……!!」
緑笛を吹いた瞬間、レナの耳には何も感じなかったが笛の音に気付いたのか次々と王都に潜伏していた緑影が姿を現す。その中には時計塔で別れたラナの姿も存在し、彼女は驚いた表情を浮かべてレナの元へ向かう。
「どうした?こんな場所に我等を呼び出すとは……何事だ?」
「ラナ……頼みがある」
「……何が起きた?」
レナの表情を見てラナ達は只事ではないと察し、事情を尋ねる。彼女の他にも複数名の緑影にレナはこれまでの経緯を話し、現在街の何処かにいるはずの自分の母親とバルの捜索の手伝いを願う。
「二人は南西の方角で王国兵に見つかったと思う。だから、探すのを手伝ってほしい」
「ラナ、王国兵の奴等が忙しなく動いている。間違いなく、この少年の話す二人を探しているぞ」
「どうするつもりだラナ?我々の目的はハヅキ様を殺害したミドルを討ち取る事……この少年の願いを聞き入れる義理はない」
「…………」
アイラとバルの捜索の手伝いを申し込むレナに対し、他の緑営たちは否定的な意見を告げるが、ラナだけは地下通路の出来事を思い出して協力を承諾してくれた。
「私はこの少年の願いを聞き入れる。お前達は付き合う必要はない」
「本気かラナ?」
「ああ、私はこの子に大きな恩がある。ハヅキ様の仇を討ちたい気持ちは変わらないが、そのためにはこの少年の力が必要だ」
「……分かった。お前がそれほどまで言うのならば我々も出来る限りは協力しよう」
「ありがとうございます!!」
隊長格のラナの言葉に他の緑影も承諾し、そんな彼等にレナは頭を下げる。この状況下で緑影の協力を得られるのは心強く、まずは王国兵の様子を確認するためにラナ達は動く。
「我々は王国兵の動向を探る。その間、お前は目立たないように行動しろ。何か起きれば笛を吹いて我等に知らせるんだぞ」
「はい!!あの、ありがとうございます……」
「礼を言うのはお前の母親と恩師を見つけた後だ。行くぞ!!」
ラナの言葉に反応して緑影達は音も立てずに消え去り、残されたレナも彼等とは別に街中を捜索しようとした時、隠れ家の出入口の方から黒装束姿のハンゾウが飛び出す。
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「ハンゾウ……いいの?」
「友を見捨てるぐらいならば拙者は切腹するでござる!!あ、それと革命団の方々も救出部隊の派遣を決意したでござるよ。明日の作戦にはレナ殿の協力が必要だから見捨てる事は出来ないと……」
「そうか……後で謝らないとな」
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二人は同時に駆け出すと屋根の上へ降り立ち、隠密のスキルを駆使して移動を開始する。街道を確認すると大勢の王国兵が動く姿を発見し、彼等もレナ達と同様に南西の方角へ向けて移動していた。
「急げ!!指名手配犯を見つけたぞ!!捕まえた者には特別手当を与える!!」
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「レナ殿、落ち着くでござる。ここで冷静さを欠いては何もかもが台無しになるでござるよ」
「分かってるよ……でも、あいつらは必ず後でぶっ飛ばす」
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