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最終章 王国編
オウネン・シャドウ
「どうしたダイン!?早く来い!!」
「いや……僕はここに残るよ」
「えっ?」
何時までも階段を降りようとしないダインにゴンゾウとレナは振り返ると、これまでに見た事もないほどの真剣な表情でダインは杖を握り締め、通路の先に現れた老人を睨みつける。右手に包帯を巻いた老人はダインの存在に気付くと、醜悪な笑みを浮かべて歩み寄る。
「やれやれ……妙に懐かしい気配を感じて来れば、まさかここでお主と出会うとはな。この公爵家の恥さらしが」
「はっ……まだ生きてたのかよ、耄碌爺!!」
遂に姿を現した「オウネン・シャドウ」に対してダインは黒杖を構え、両腕を震わせながら睨みつける。そんなダインの様子を見てオウネンは面白そうに笑いかけた。
「ほほう、随分と生意気な口を利くようになったではないか……昔は儂に見捨てられることをあれほど怖がっていた子供とは思えんのう」
「誰と勘違いしてんだよ……あんたが僕と顔を合わせた事なんて滅多になかっただろうが!!」
「ん?そうだったか……いかんな、最近は物忘れが激しくてのう。もうそろそろこの身体も替え時か……」
「……何だって?」
オウネンの言葉にダインは疑問を抱くが、オウネンはそんな彼に対して掌を構えると、ダインの背中に刻んだ「怨痕」を浮かび上がらせる。
「だが、その前にまずはお前から始末しよう。何を死に現れたのかは知らんが、例え追放されようとお主の命は儂の者だと知れ」
「ぐああっ!?」
「ダイン!!」
ダインの背中の「髑髏」の紋様が光り輝いた瞬間、肉体に激痛が走り、まるで心臓を握り締められたような苦痛に襲われた。そんなダインを見てゴンゾウとレナが階段を登ろうとした時、ダインは右手を向けて二人を制止した。
「駄目だ……早く、行け!!ここは僕に任せるんだ……!!」
「だが……」
「いいから行け!!」
「くっ……!!」
「ほっほっほっ……美しい友情じゃな」
苦痛の表情を浮かべながらも先に進むように促すダインにレナとゴンゾウは歯を食いしばり、階段を下りる。その様子を見てオウネンは楽し気に両手を叩くが、そんな彼に対してダインは気合の雄たけびを上げて影魔法を発動させる。
「うおおおおおっ!!」
「……何じゃと?」
ダインの肉体に影が纏わりつき、目元を怪しく光り輝かせていた髑髏の紋様を飲み込む。すると一気に身体が楽になったダインは地面に膝を付き、黒杖を掴んでオウネンに引きつった笑みを浮かべた。
「はっ……どうだ。あんたの呪いなんかに僕が何時までも支配されていると思ったのか?」
「貴様……なるほど、確かに腕を上げたのう」
自分の刻んだ「怨痕」を封じ込めたダインにオウネンはつまらなそうな表情を浮かべながらも素直にダインの成長を認め、仕方がないとばかりに先ほどレナ達に吹き飛ばされて気絶している兵士達に視線を向けると、笑みを浮かべて松葉杖を兵士達に突きつける。
「影魔法で儂の怨痕を抑え込んだか……だが、お主一人でこいつらの相手は出来るか?」
「な、止めろ!?」
「うっ……があああっ!?」
「ぐああっ!?」
「ぎゃああっ!?」
松葉杖を突かれた箇所から「髑髏」の紋様が浮き上がり、身体に激痛が走った兵士達は悲鳴をあげて意識を取り戻す。その様子を見てダインは止めようとしたが、まだ先ほどの背中の影響が残っており、足がもつれてしまう。その間にオウネンは次々と兵士達に「怨痕」を刻み込み、やがて十数人の兵士に紋様が浮かぶ。
兵士達は最初は苦し身悶えていたが、時間が経過するごとに目から光が失われ、やがて立ち上がる。その様子を見てダインは彼等がオウネンの「傀儡」になり下がった事を理解すると、急いで反撃の準備を行う。
「さあ、行くがいい。儂の下僕達よ」
「うううっ……があああっ!!」
「ぎひひひっ!!」
「うぎゃぎゃぎゃっ!!」
「この……くそ爺がっ!!」
まるでアンデッドのように理性を失った兵士達は奇声を上げながらダインの元へ向かい、武器を掲げて飛び掛かる。先ほどよりも動きが早く、咄嗟にダインは黒杖を地面に差して最初の時のように彼等を転ばせるために影を操作する。
「この……シャドウ・スリップ!!」
「ききぃっ!!」
「うききっ!!」
だが、猿のような声を上げて兵士達は足元に伸びてきた影を空中に跳躍して回避すると、そのまま壁や天井にまで跳躍してダインの周囲を飛び回る。身体能力も強化されているらしく、兵士達はダインを取り囲ように移動を行う。その様子を見てオウネンは愉快な笑い声を上げながらダインに忠告を行う。
「ほれほれ、どうしたのじゃ?お主も儂の魔法の恐ろしさを知っておるだろう?そいつらは儂の秘術によって肉体が限界を迎えるまで動き続けるぞ。そいつらの命を救いたければ早く先ほどのようにお主の魔法で髑髏を封じ込めぬと、いずれ死ぬぞ?」
「この野郎……うわっ!?」
「がああっ!!」
鼻血を噴き出しながら剣を振り下ろしてきた兵士に対してダインは慌てて後ろに飛んで回避すると、壁際に追い詰められてしまう。強制的に肉体の限界まで身体能力を強化された兵士達がダインに向けて同時に剣を突き刺す。
『ぎひぃっ!!』
「このっ……僕を舐めるな!!」
「ほうっ!?」
だが、ダインは咄嗟に杖を字面に突き刺して棒高跳びの要領で兵士達の頭上を飛び越えると、魔術師とは思えぬ身軽さにオウネンは驚いた声を上げ、その間にも体制を整えたダインは兵士に影魔法を放つ。
「シャドウ・バイト!!」
「があっ……!?」
兵士の一人に影から作り出した頭部だけの狼を放つと、兵士は腕に噛みつかれた瞬間に悲鳴をあげ、力が抜けたように膝を崩す。こちらの魔法は相手に噛みつかせる事で能力を一時的に低下させる魔法なのだが、どうやら怨痕で操られている人間が相手でも効果があるらしく、続けてダインは黒杖に取り付けられた魔水晶を利用して一気に兵士達に攻撃を仕掛ける。
「連続、シャドウ・バイト!!」
「があっ!?」
「あぐぅっ!?」
「ぎゃあっ!?」
「何と……」
怨痕を封じ込めて正気に取り戻す事は出来ないが、それでも一時的に兵士達の動作を封じる事は出来るらしく、狼の頭に噛みつかれた兵士達は体勢を崩す。その光景にオウネンは意外そうな表情を浮かべ、一方でダインは息を荒げながら自慢げにオウネンに振り返った。
「ど、どうだ……これが僕の影魔法は!!」
「ぬうっ……なるほど、確かに昔とは違うようじゃな。だが、その程度の力で儂に勝てると思うのか?」
「うるさい!!もうお前の味方はいないんだぞ!!負け惜しみなんか聞くか!!」
オウネンの周囲に兵士が居なくなったことで強気になったダインは彼の元へ駆けつけ、黒杖で叩きつけようとした。そんなダインに対してオウネンは松葉杖を地面に捨て、仕方がないとばかりに左腕を伸ばす。
「小僧が……調子に乗るな!!」
「うわっ!?」
伸ばされたオウネンの左腕から闇属性の魔力が放出され、やがて魔力が巨大な「腕」の形に変形するとダインの肉体を掴む。巨人族の腕よりも大きな魔力の腕に抑えつけられたダインは苦痛の表情を浮かべ、オウネンの使用した魔法の正体を見抜く。
(こ、この魔法……レナとホネミンが使う魔鎧術とそっくりだ!?)
魔力を実体化させて武器や鎧に変化させる「魔鎧術」をどうやらオウネンも使用できるらしく、本来は非力な老人だが魔鎧術を応用して作り出した「黒腕」は巨人族のような圧倒的な握力でダインの肉体を苦しめる。
「いや……僕はここに残るよ」
「えっ?」
何時までも階段を降りようとしないダインにゴンゾウとレナは振り返ると、これまでに見た事もないほどの真剣な表情でダインは杖を握り締め、通路の先に現れた老人を睨みつける。右手に包帯を巻いた老人はダインの存在に気付くと、醜悪な笑みを浮かべて歩み寄る。
「やれやれ……妙に懐かしい気配を感じて来れば、まさかここでお主と出会うとはな。この公爵家の恥さらしが」
「はっ……まだ生きてたのかよ、耄碌爺!!」
遂に姿を現した「オウネン・シャドウ」に対してダインは黒杖を構え、両腕を震わせながら睨みつける。そんなダインの様子を見てオウネンは面白そうに笑いかけた。
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「ん?そうだったか……いかんな、最近は物忘れが激しくてのう。もうそろそろこの身体も替え時か……」
「……何だって?」
オウネンの言葉にダインは疑問を抱くが、オウネンはそんな彼に対して掌を構えると、ダインの背中に刻んだ「怨痕」を浮かび上がらせる。
「だが、その前にまずはお前から始末しよう。何を死に現れたのかは知らんが、例え追放されようとお主の命は儂の者だと知れ」
「ぐああっ!?」
「ダイン!!」
ダインの背中の「髑髏」の紋様が光り輝いた瞬間、肉体に激痛が走り、まるで心臓を握り締められたような苦痛に襲われた。そんなダインを見てゴンゾウとレナが階段を登ろうとした時、ダインは右手を向けて二人を制止した。
「駄目だ……早く、行け!!ここは僕に任せるんだ……!!」
「だが……」
「いいから行け!!」
「くっ……!!」
「ほっほっほっ……美しい友情じゃな」
苦痛の表情を浮かべながらも先に進むように促すダインにレナとゴンゾウは歯を食いしばり、階段を下りる。その様子を見てオウネンは楽し気に両手を叩くが、そんな彼に対してダインは気合の雄たけびを上げて影魔法を発動させる。
「うおおおおおっ!!」
「……何じゃと?」
ダインの肉体に影が纏わりつき、目元を怪しく光り輝かせていた髑髏の紋様を飲み込む。すると一気に身体が楽になったダインは地面に膝を付き、黒杖を掴んでオウネンに引きつった笑みを浮かべた。
「はっ……どうだ。あんたの呪いなんかに僕が何時までも支配されていると思ったのか?」
「貴様……なるほど、確かに腕を上げたのう」
自分の刻んだ「怨痕」を封じ込めたダインにオウネンはつまらなそうな表情を浮かべながらも素直にダインの成長を認め、仕方がないとばかりに先ほどレナ達に吹き飛ばされて気絶している兵士達に視線を向けると、笑みを浮かべて松葉杖を兵士達に突きつける。
「影魔法で儂の怨痕を抑え込んだか……だが、お主一人でこいつらの相手は出来るか?」
「な、止めろ!?」
「うっ……があああっ!?」
「ぐああっ!?」
「ぎゃああっ!?」
松葉杖を突かれた箇所から「髑髏」の紋様が浮き上がり、身体に激痛が走った兵士達は悲鳴をあげて意識を取り戻す。その様子を見てダインは止めようとしたが、まだ先ほどの背中の影響が残っており、足がもつれてしまう。その間にオウネンは次々と兵士達に「怨痕」を刻み込み、やがて十数人の兵士に紋様が浮かぶ。
兵士達は最初は苦し身悶えていたが、時間が経過するごとに目から光が失われ、やがて立ち上がる。その様子を見てダインは彼等がオウネンの「傀儡」になり下がった事を理解すると、急いで反撃の準備を行う。
「さあ、行くがいい。儂の下僕達よ」
「うううっ……があああっ!!」
「ぎひひひっ!!」
「うぎゃぎゃぎゃっ!!」
「この……くそ爺がっ!!」
まるでアンデッドのように理性を失った兵士達は奇声を上げながらダインの元へ向かい、武器を掲げて飛び掛かる。先ほどよりも動きが早く、咄嗟にダインは黒杖を地面に差して最初の時のように彼等を転ばせるために影を操作する。
「この……シャドウ・スリップ!!」
「ききぃっ!!」
「うききっ!!」
だが、猿のような声を上げて兵士達は足元に伸びてきた影を空中に跳躍して回避すると、そのまま壁や天井にまで跳躍してダインの周囲を飛び回る。身体能力も強化されているらしく、兵士達はダインを取り囲ように移動を行う。その様子を見てオウネンは愉快な笑い声を上げながらダインに忠告を行う。
「ほれほれ、どうしたのじゃ?お主も儂の魔法の恐ろしさを知っておるだろう?そいつらは儂の秘術によって肉体が限界を迎えるまで動き続けるぞ。そいつらの命を救いたければ早く先ほどのようにお主の魔法で髑髏を封じ込めぬと、いずれ死ぬぞ?」
「この野郎……うわっ!?」
「がああっ!!」
鼻血を噴き出しながら剣を振り下ろしてきた兵士に対してダインは慌てて後ろに飛んで回避すると、壁際に追い詰められてしまう。強制的に肉体の限界まで身体能力を強化された兵士達がダインに向けて同時に剣を突き刺す。
『ぎひぃっ!!』
「このっ……僕を舐めるな!!」
「ほうっ!?」
だが、ダインは咄嗟に杖を字面に突き刺して棒高跳びの要領で兵士達の頭上を飛び越えると、魔術師とは思えぬ身軽さにオウネンは驚いた声を上げ、その間にも体制を整えたダインは兵士に影魔法を放つ。
「シャドウ・バイト!!」
「があっ……!?」
兵士の一人に影から作り出した頭部だけの狼を放つと、兵士は腕に噛みつかれた瞬間に悲鳴をあげ、力が抜けたように膝を崩す。こちらの魔法は相手に噛みつかせる事で能力を一時的に低下させる魔法なのだが、どうやら怨痕で操られている人間が相手でも効果があるらしく、続けてダインは黒杖に取り付けられた魔水晶を利用して一気に兵士達に攻撃を仕掛ける。
「連続、シャドウ・バイト!!」
「があっ!?」
「あぐぅっ!?」
「ぎゃあっ!?」
「何と……」
怨痕を封じ込めて正気に取り戻す事は出来ないが、それでも一時的に兵士達の動作を封じる事は出来るらしく、狼の頭に噛みつかれた兵士達は体勢を崩す。その光景にオウネンは意外そうな表情を浮かべ、一方でダインは息を荒げながら自慢げにオウネンに振り返った。
「ど、どうだ……これが僕の影魔法は!!」
「ぬうっ……なるほど、確かに昔とは違うようじゃな。だが、その程度の力で儂に勝てると思うのか?」
「うるさい!!もうお前の味方はいないんだぞ!!負け惜しみなんか聞くか!!」
オウネンの周囲に兵士が居なくなったことで強気になったダインは彼の元へ駆けつけ、黒杖で叩きつけようとした。そんなダインに対してオウネンは松葉杖を地面に捨て、仕方がないとばかりに左腕を伸ばす。
「小僧が……調子に乗るな!!」
「うわっ!?」
伸ばされたオウネンの左腕から闇属性の魔力が放出され、やがて魔力が巨大な「腕」の形に変形するとダインの肉体を掴む。巨人族の腕よりも大きな魔力の腕に抑えつけられたダインは苦痛の表情を浮かべ、オウネンの使用した魔法の正体を見抜く。
(こ、この魔法……レナとホネミンが使う魔鎧術とそっくりだ!?)
魔力を実体化させて武器や鎧に変化させる「魔鎧術」をどうやらオウネンも使用できるらしく、本来は非力な老人だが魔鎧術を応用して作り出した「黒腕」は巨人族のような圧倒的な握力でダインの肉体を苦しめる。
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