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最終章 王国編
ダインの覚醒
「ぐああっ……!?」
「このガキが……調子に乗るな!!」
オウネンは「黒腕」を振りかざてダインの肉体を壁際に叩きつける。まるで巨人族の怪力で叩きつけられたダインは血反吐を吐くが、それでも意識は保つ。そんなダインにオウネンは気に入らないとばかりに壁際に押し付けて囁く。
「正直に言えば今ここで貴様を殺したいところだが、そういう訳にはいかん……おっと、勘違いするんじゃないぞ?別に家族の情にほだされたわけではない。お主を殺す事に躊躇はないが……その肉体をこれ以上に傷つけるわけにはいかん」
「ど、どういう意味だ……!?」
「お主も薄々と気づいておるのだろう……儂が人間を止めている事を」
ダインの肉体を掴みながらオウネンは醜悪な笑みを浮かべ、腕に巻き付けた包帯を解いて中身を晒す。先ほど、レミアの聖痕に触れた腕は皮膚が剥がれ落ちて骨が剥き出しの状態に陥っており、普通ならば動かせる状態ではなかった。それにも関わらずにオウネンは痛みを感じていないかのように骨と化した腕を動かす。
「この身体はあくまでも仮初に過ぎん。本来ならばお主の父親から肉体を奪うつもりだったが……あの男め儂よりも先に死におって!!お陰で貴様の身体で代用するしかなくなった!!」
「な、何の話しだよ……!?」
「儂はもう人間を辞めた存在になっているという事じゃ……死ぬ前に教えてやろう、シャドウ家の秘密をな」
壁際からダインを引き剥がしたオウネンは彼の肉体を持ち上げたまま笑い掛け、そのオウネンの行動にダインは歯を食いしばりながら睨みつける。反抗的な態度を取るダインに対してオウネンは余裕の笑みを浮かべてシャドウ家がこれまで秘密にしていたとある「秘術」の内容を告げた。
「シャドウ家は呪術師の家系である事はお主も知っておるだろう?呪術師は死霊使いや闇魔導士と異なり、呪術と呼ばれる特別な魔法しか扱えん。この呪術の本質は魂その物に影響を与える術じゃ」
「魂……!?」
「死霊使いが死体を利用して死霊人形を生み出す事は出来るが、あんな物は死に絶えた肉体に魂の残滓を与えただけに過ぎん。だが、呪術師はの呪術ならば魂その物を変化させる事が出来る……魂に触れることが出来れば洗脳や記憶の操作など容易い」
「じゃあ、あんたは魂を操っていたのか……!?」
呪術の正体が「魂の操作」という事実にダインは驚きを隠せず、そんな彼にオウネンは更に驚愕の事実を伝える。
「ダインよ……お主はどうして儂がこの年齢に至るまで死ななかったと思う?森人族のような長寿ではない人間がここまで生きる事など有り得ると思うか?既に肉体は死を迎えても、魂が死を拒めばどうなると思う?」
「まさか……あんたはもう死んでるのか!?」
「ひょっひょっ!!半分は正解じゃな……辛うじてこの肉体はまだ生きてはおる。だが、もう限界が近い。だからこそ儂はこの肉体を捨て、次の肉体に取り換えるとしよう!!」
「そうか……あんたは死霊になり下がったのか!?」
オウネンは自分の魂さえ呪術によって操り、本来ならば死を迎えるはずの肉体に魂を抑え込み、これまで生き永らえてきたという。だが、魂が健在でも肉体は限界を迎えれば意味はなく、その前に彼は自分の肉親で肉体の構造が近い人物の身体を狙っていたという。
「安心しろダインよ。お主の肉体は儂が有難く受け取ってやる……不安があるとすればお前が闇魔導士という点だが、過去にも呪術師以外の職業の人間の肉体に乗り移った事もある。まあ、大丈夫じゃろう」
「くそっ……ふざけんなこの爺!!僕の身体は僕の物だ!!」
「ふん!!調子に乗る出ないぞダインよ……別に今すぐにお前を殺して身体を奪っても構わんのだぞ?さあ、命乞いをする機会を与えてやろう」
「うわっ!?」
黒腕で握り締めた状態でオウネンはダインの肉体を地面に叩きつけると、そのまま顔を近づけて醜悪な笑顔を浮かべる。既に肉体から死臭が放たれ、もう限界が近い。それを知ったダインはどうすればこの男に勝てるのかを考え、不意に自分がまだ黒杖を握り締めている事に気付く。
ダインは先ほどから影魔法を発動させてオウネンの肉体を拘束しようとしたが、やはり同じ闇属性を扱う呪術師には効果が薄いのか、それともオウネンとの力量差のせいか上手く影魔法が発動しない。身体を包み込む黒腕も影魔法では操る事が出来ず、このままでは死んでしまう。
(どうする……僕に出来る事はないのか!?)
黒杖によって強化された影魔法でもオウネンに通じないという事実にダインは悔しがるが、不意に視界の端に見えた存在にダインは気付き、一か八かの賭けを行う。
「爺さん……一つだけ頼みがある」
「何じゃ?仲間の命乞いか?安心しろ、すぐにお前を殺した後にお主の仲間達もあの世に送り込んでやろう……一人で逝くのは寂しいだろう?」
ダインの言葉にオウネンは先に地下牢に向かったレナとゴンゾウも殺す事を伝えると、それを聞いたダインは口元に笑みを浮かべ、鼻で笑う。
「はっ……笑わせんなよくそ爺が!!僕の友達をお前なんかに殺させるかよ!!」
「ふん、この期に及んでまだそんな口を……もういい、死ぬがいい」
オウネンはダインの肉体を奪うために彼の額に骨だけの状態の腕を伸ばそうとした時、ダインは絶叫した。
「シャドウ・バインド……スペシャル!!」
「何……!?」
突如として地面に押し付けられたダインの身体から無数の影の触手が発生すると、そのまま地面を伝って倒れ込んだ兵士の元へ向かう。そして肉体に噛みついていた「シャドウ・バイト」の魔法で生み出された狼の頭部と繋がると、そのまま兵士達の肉体を引き寄せ、オウネンの元へ投擲する。
「あばよ、くそ爺!!」
「ぐああっ!?」
次々と兵士達の肉体がオウネンの元へ投げつけられ、咄嗟に黒腕で防ごうとしたオウネンだが、巨人族の兵士が投げ飛ばされた時に腕だけでは抑えきれずに下敷きとなり、貧弱な老人の肉体は兵士の肉体で押しつぶされてしまう。その間にダインは立ち上がると、兵士に潰されたオウネンの元へ向かう。
「はっ……どうだ爺さん?これが僕の影魔法の力だ!!」
「お、己……この程度の事で儂を殺せると思うのか!?」
「いや、思わないさ……だが、あんたの肉体はもう持たないだろう?」
大量の兵士に押しつぶされたオウネンの肉体は既に限界を迎え、どうにかオウネンは顔だけは潰されずに済んだが、胴体は兵士達によって完全に潰されてしまう。恐らくは既に内蔵も骨も無事ではなく、オウネンは血反吐を吐きながら悔しがるようにダインを見上げた。
「ぐううっ……こ、この儂が……こんなふざけた魔法で、こんな……無様な死に方を迎えるというのか!?」
「そうだよ。あんたは負けたんだ……闇魔導士である僕に」
「この、ガキがぁあああっ!!」
最後の悪あがきのつもりなのかオウネンは頭だけの状態で魔鎧術を発動させ、巨大な髑髏の形をした魔力を生み出してダインを飲み込もうとした。しかし、迫りくる髑髏に対してダインは黒杖を構え、影魔法を発動させる。
「あばよ、腐れ爺」
『ッ――!?』
ダインが杖を突いた瞬間、山積みにされていた兵士がオウネンの頭部に目掛けて倒れ込み、兵士の鎧の部分が衝突したオウネンの頭蓋骨が砕け散る。その瞬間、ダインの目の前にまで迫った髑髏が消散し、代わりにオウネンの死体から煙が舞い上がり、やがておぞましい悲鳴が通路に響き渡った。
――おぉおおおおおおおっ……!?
オウネンの魂と思われる煙の塊は窓から差し込む日に当たると、アンデッドが浄化されるように徐々に消え去り、残されたダインはそれを見て口元の血を拭いながら呟いた。
「あんたは長生きし過ぎたんだよ。あの世で元気でな……あんたの行先は地獄だろうけどな」
完全に消え去ったオウネンの魂を見てダインはため息を吐きながら地面に座り込むと、不意に右手に違和感を覚えて覗き込む。先ほどまでは存在しなかったはずの「黒色の三日月」を想像させる紋様が浮かんでいる事に気付き、驚いた表情を浮かべる。
「何だ、これ……?いや、それよりも皆を助けないと……!!」
何時の間にか自分の掌に浮かんだ紋様にダインは戸惑うが、すぐに起き上がって先に向かったレナとゴンゾウの後を追う。
「このガキが……調子に乗るな!!」
オウネンは「黒腕」を振りかざてダインの肉体を壁際に叩きつける。まるで巨人族の怪力で叩きつけられたダインは血反吐を吐くが、それでも意識は保つ。そんなダインにオウネンは気に入らないとばかりに壁際に押し付けて囁く。
「正直に言えば今ここで貴様を殺したいところだが、そういう訳にはいかん……おっと、勘違いするんじゃないぞ?別に家族の情にほだされたわけではない。お主を殺す事に躊躇はないが……その肉体をこれ以上に傷つけるわけにはいかん」
「ど、どういう意味だ……!?」
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「な、何の話しだよ……!?」
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「シャドウ家は呪術師の家系である事はお主も知っておるだろう?呪術師は死霊使いや闇魔導士と異なり、呪術と呼ばれる特別な魔法しか扱えん。この呪術の本質は魂その物に影響を与える術じゃ」
「魂……!?」
「死霊使いが死体を利用して死霊人形を生み出す事は出来るが、あんな物は死に絶えた肉体に魂の残滓を与えただけに過ぎん。だが、呪術師はの呪術ならば魂その物を変化させる事が出来る……魂に触れることが出来れば洗脳や記憶の操作など容易い」
「じゃあ、あんたは魂を操っていたのか……!?」
呪術の正体が「魂の操作」という事実にダインは驚きを隠せず、そんな彼にオウネンは更に驚愕の事実を伝える。
「ダインよ……お主はどうして儂がこの年齢に至るまで死ななかったと思う?森人族のような長寿ではない人間がここまで生きる事など有り得ると思うか?既に肉体は死を迎えても、魂が死を拒めばどうなると思う?」
「まさか……あんたはもう死んでるのか!?」
「ひょっひょっ!!半分は正解じゃな……辛うじてこの肉体はまだ生きてはおる。だが、もう限界が近い。だからこそ儂はこの肉体を捨て、次の肉体に取り換えるとしよう!!」
「そうか……あんたは死霊になり下がったのか!?」
オウネンは自分の魂さえ呪術によって操り、本来ならば死を迎えるはずの肉体に魂を抑え込み、これまで生き永らえてきたという。だが、魂が健在でも肉体は限界を迎えれば意味はなく、その前に彼は自分の肉親で肉体の構造が近い人物の身体を狙っていたという。
「安心しろダインよ。お主の肉体は儂が有難く受け取ってやる……不安があるとすればお前が闇魔導士という点だが、過去にも呪術師以外の職業の人間の肉体に乗り移った事もある。まあ、大丈夫じゃろう」
「くそっ……ふざけんなこの爺!!僕の身体は僕の物だ!!」
「ふん!!調子に乗る出ないぞダインよ……別に今すぐにお前を殺して身体を奪っても構わんのだぞ?さあ、命乞いをする機会を与えてやろう」
「うわっ!?」
黒腕で握り締めた状態でオウネンはダインの肉体を地面に叩きつけると、そのまま顔を近づけて醜悪な笑顔を浮かべる。既に肉体から死臭が放たれ、もう限界が近い。それを知ったダインはどうすればこの男に勝てるのかを考え、不意に自分がまだ黒杖を握り締めている事に気付く。
ダインは先ほどから影魔法を発動させてオウネンの肉体を拘束しようとしたが、やはり同じ闇属性を扱う呪術師には効果が薄いのか、それともオウネンとの力量差のせいか上手く影魔法が発動しない。身体を包み込む黒腕も影魔法では操る事が出来ず、このままでは死んでしまう。
(どうする……僕に出来る事はないのか!?)
黒杖によって強化された影魔法でもオウネンに通じないという事実にダインは悔しがるが、不意に視界の端に見えた存在にダインは気付き、一か八かの賭けを行う。
「爺さん……一つだけ頼みがある」
「何じゃ?仲間の命乞いか?安心しろ、すぐにお前を殺した後にお主の仲間達もあの世に送り込んでやろう……一人で逝くのは寂しいだろう?」
ダインの言葉にオウネンは先に地下牢に向かったレナとゴンゾウも殺す事を伝えると、それを聞いたダインは口元に笑みを浮かべ、鼻で笑う。
「はっ……笑わせんなよくそ爺が!!僕の友達をお前なんかに殺させるかよ!!」
「ふん、この期に及んでまだそんな口を……もういい、死ぬがいい」
オウネンはダインの肉体を奪うために彼の額に骨だけの状態の腕を伸ばそうとした時、ダインは絶叫した。
「シャドウ・バインド……スペシャル!!」
「何……!?」
突如として地面に押し付けられたダインの身体から無数の影の触手が発生すると、そのまま地面を伝って倒れ込んだ兵士の元へ向かう。そして肉体に噛みついていた「シャドウ・バイト」の魔法で生み出された狼の頭部と繋がると、そのまま兵士達の肉体を引き寄せ、オウネンの元へ投擲する。
「あばよ、くそ爺!!」
「ぐああっ!?」
次々と兵士達の肉体がオウネンの元へ投げつけられ、咄嗟に黒腕で防ごうとしたオウネンだが、巨人族の兵士が投げ飛ばされた時に腕だけでは抑えきれずに下敷きとなり、貧弱な老人の肉体は兵士の肉体で押しつぶされてしまう。その間にダインは立ち上がると、兵士に潰されたオウネンの元へ向かう。
「はっ……どうだ爺さん?これが僕の影魔法の力だ!!」
「お、己……この程度の事で儂を殺せると思うのか!?」
「いや、思わないさ……だが、あんたの肉体はもう持たないだろう?」
大量の兵士に押しつぶされたオウネンの肉体は既に限界を迎え、どうにかオウネンは顔だけは潰されずに済んだが、胴体は兵士達によって完全に潰されてしまう。恐らくは既に内蔵も骨も無事ではなく、オウネンは血反吐を吐きながら悔しがるようにダインを見上げた。
「ぐううっ……こ、この儂が……こんなふざけた魔法で、こんな……無様な死に方を迎えるというのか!?」
「そうだよ。あんたは負けたんだ……闇魔導士である僕に」
「この、ガキがぁあああっ!!」
最後の悪あがきのつもりなのかオウネンは頭だけの状態で魔鎧術を発動させ、巨大な髑髏の形をした魔力を生み出してダインを飲み込もうとした。しかし、迫りくる髑髏に対してダインは黒杖を構え、影魔法を発動させる。
「あばよ、腐れ爺」
『ッ――!?』
ダインが杖を突いた瞬間、山積みにされていた兵士がオウネンの頭部に目掛けて倒れ込み、兵士の鎧の部分が衝突したオウネンの頭蓋骨が砕け散る。その瞬間、ダインの目の前にまで迫った髑髏が消散し、代わりにオウネンの死体から煙が舞い上がり、やがておぞましい悲鳴が通路に響き渡った。
――おぉおおおおおおおっ……!?
オウネンの魂と思われる煙の塊は窓から差し込む日に当たると、アンデッドが浄化されるように徐々に消え去り、残されたダインはそれを見て口元の血を拭いながら呟いた。
「あんたは長生きし過ぎたんだよ。あの世で元気でな……あんたの行先は地獄だろうけどな」
完全に消え去ったオウネンの魂を見てダインはため息を吐きながら地面に座り込むと、不意に右手に違和感を覚えて覗き込む。先ほどまでは存在しなかったはずの「黒色の三日月」を想像させる紋様が浮かんでいる事に気付き、驚いた表情を浮かべる。
「何だ、これ……?いや、それよりも皆を助けないと……!!」
何時の間にか自分の掌に浮かんだ紋様にダインは戸惑うが、すぐに起き上がって先に向かったレナとゴンゾウの後を追う。
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