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最終章 王国編
閑話 〈敗者〉
――王城と外に繋がる地下通路にて一人の女性が彷徨っていた。彼女は全身をフードで覆い隠しているが、それ以外には何も持ち合わせておらず、履物すら履いていない。女性は遂に歩き疲れたのか通路の途中で座り込み、天井を照らす「光石」と呼ばれる魔石を睨みつける。
「忌々しい……!!」
女性は掌を構て魔法を発動させ、天井を照らす光石を「闇夜」の魔法で覆い隠す。だが、光が遮られた事で通路が暗闇に覆われ、女性は一段と孤独感に襲われてしまう。
「もう、何もない……私には何もない」
暗闇の中、王城からどうにか脱出を果たした「キラウ」だが、彼女の心は既に俺かけていた。長年の間追い続けていた「アイラ・ハヅキ」は死んでしまい、これまでは利害が一致していたからこそ協力関係を結んでいた王妃からも見捨てられ、今の彼女は逃げることしか出来ない。
だが、実際の所は彼女は「逃げた」のではなく、王妃から「見逃がされた」のだろう。その気になれば王妃はキラウを何時でも殺す事が出来た。それにも関わらずに王妃はキラウが脱走した事を知りながら追跡者を送り出す事もなく放置している。
「私は負けた……ただの敗北者だ」
憎悪を抱いていた相手にも死なれ、遂には最も見下されたくない相手にまで命を見逃されたという事実にキラウは許せず、同時に自分自身の無力を呪う。
「もう、いい……ここで終わらせよう」
キラウがこの地下通路を脱出に選んだのは決して逃げるためではなく、この場所があの「メドゥーサ」の住処だからである。彼女の目的は最後の賭けを挑むため、キラウはメドゥーサを探し続けた。
「……おかしい、石像がない?」
だが、どういう事なのか過去に訪れたときと違い、地下通路に存在したはずの大量の石像が消えている事に気付いたキラウは疑問を抱き、どうしてメドゥーサに石像にされた魔物達の姿が見えないのか不思議に思う。やがて彼女はメドゥーサが最も姿を現す領域に踏み入ると、そこに広がる光景を見て目を見開く。
「これは……!?」
――キラウの視界の先にはメドゥーサの頭部と胴体が切り裂かれた死体が映し出され、彼女は愕然とする。まさかこの時代にメドゥーサを打ち倒す存在が居た事に驚きを隠せず、身体を震わせながらキラウは死体を覗き込む。
「ああ……なんて美しい死に様なの」
苦悶の表情を浮かべた状態で胴体の横に転がっていたメドゥーサの死体を拾い上げ、キラウは恍惚の表情を浮かべた。それと同時に彼女は自分の目的を既に誰かが代わりに果たしていた事を嬉しく思い、彼女は周囲に存在する闇の精霊を呼び集め、準備を始めた。
「貴女の無念……私が払うわ」
心の余裕を取り戻したようにキラウはメドゥーサの両目に視線を向け、そのまま人差し指と親指で眼球を引き抜く。メドゥーサの眼球は宝石のように美しく、暗闇の中でも光り輝いていた。それを確認したキラウは笑みを浮かべ、ゆっくりと自分の眼球に向けて指を近づけ、躊躇なく自分の両目を潰した――
※最終章のキラウの登場はここまでです。
「忌々しい……!!」
女性は掌を構て魔法を発動させ、天井を照らす光石を「闇夜」の魔法で覆い隠す。だが、光が遮られた事で通路が暗闇に覆われ、女性は一段と孤独感に襲われてしまう。
「もう、何もない……私には何もない」
暗闇の中、王城からどうにか脱出を果たした「キラウ」だが、彼女の心は既に俺かけていた。長年の間追い続けていた「アイラ・ハヅキ」は死んでしまい、これまでは利害が一致していたからこそ協力関係を結んでいた王妃からも見捨てられ、今の彼女は逃げることしか出来ない。
だが、実際の所は彼女は「逃げた」のではなく、王妃から「見逃がされた」のだろう。その気になれば王妃はキラウを何時でも殺す事が出来た。それにも関わらずに王妃はキラウが脱走した事を知りながら追跡者を送り出す事もなく放置している。
「私は負けた……ただの敗北者だ」
憎悪を抱いていた相手にも死なれ、遂には最も見下されたくない相手にまで命を見逃されたという事実にキラウは許せず、同時に自分自身の無力を呪う。
「もう、いい……ここで終わらせよう」
キラウがこの地下通路を脱出に選んだのは決して逃げるためではなく、この場所があの「メドゥーサ」の住処だからである。彼女の目的は最後の賭けを挑むため、キラウはメドゥーサを探し続けた。
「……おかしい、石像がない?」
だが、どういう事なのか過去に訪れたときと違い、地下通路に存在したはずの大量の石像が消えている事に気付いたキラウは疑問を抱き、どうしてメドゥーサに石像にされた魔物達の姿が見えないのか不思議に思う。やがて彼女はメドゥーサが最も姿を現す領域に踏み入ると、そこに広がる光景を見て目を見開く。
「これは……!?」
――キラウの視界の先にはメドゥーサの頭部と胴体が切り裂かれた死体が映し出され、彼女は愕然とする。まさかこの時代にメドゥーサを打ち倒す存在が居た事に驚きを隠せず、身体を震わせながらキラウは死体を覗き込む。
「ああ……なんて美しい死に様なの」
苦悶の表情を浮かべた状態で胴体の横に転がっていたメドゥーサの死体を拾い上げ、キラウは恍惚の表情を浮かべた。それと同時に彼女は自分の目的を既に誰かが代わりに果たしていた事を嬉しく思い、彼女は周囲に存在する闇の精霊を呼び集め、準備を始めた。
「貴女の無念……私が払うわ」
心の余裕を取り戻したようにキラウはメドゥーサの両目に視線を向け、そのまま人差し指と親指で眼球を引き抜く。メドゥーサの眼球は宝石のように美しく、暗闇の中でも光り輝いていた。それを確認したキラウは笑みを浮かべ、ゆっくりと自分の眼球に向けて指を近づけ、躊躇なく自分の両目を潰した――
※最終章のキラウの登場はここまでです。
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