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最終章 王国編
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「喰らえお姉ちゃん!!」
「おねっ……」
レナは叫びながら退魔刀を上段から構えると、それを見たシオンが笑みを浮かべ、自分の指に身に着けていた指輪を構えて魔法を告げる。
「シルド!!」
「うわっ!?」
「結界魔法……!?」
シオンが指輪を翳した瞬間、指輪に装着されていた緑色の魔石が光り輝き、通路全体を覆いこむほどの防護壁を生み出す。緑色の障壁に阻まれたレナは引き下がり、それを見た姉妹は笑い声をあげた。
「あははは!!どう?凄いでしょうこれ……お母様がくれた大切な物なんだ」
「これは魔石の力を最大限にまで引き出す指輪型の神器……シオンのは「エンゲージリング」私のは「マリッジリング」と呼ばれています。綺麗な名前でしょう?」
リアナも自分に取り付けた指輪を見せつけ、どうやら王妃の配下のリクが所有する「神器ロッド」と同じ能力を持つ魔道具らしく、こちらの神器は魔法というよりも魔石の力その物を最大限に強化するらしい。
結界によって阻まれた通路はシオンが指を下ろすと解除され、元に戻る。レナも過去に一度だけ結界石を利用して戦った事はあるが、シオンの場合は結界の範囲と規模があまりにも違い過ぎる。
「貴方の事はよくお母様やミドルから聞かされていました。剣聖よりも強い剣士だと……ですが、どんなに強い剣士でもこの結界を突破する事は出来ないでしょう?」
「……そうかもね」
「強がりは駄目だよ~?どんなに凄い攻撃でも、この結界を物理攻撃で破壊する事は出来ないんだからっ!!」
結界石で生み出される防護壁は物理攻撃に対して無敵を誇り、どんなに強烈な一撃でも物理攻撃である限りは通用しない。だが、逆に言えば物理攻撃以外の魔法ならば通用する事を意味していた。
「それなら……これならどうだ!!火炎刃!!」
「無駄です。プロテクション」
風の聖痕を発動させ、通路中に存在した風の精霊を呼び集めると、レナは掌を構えて合成魔術を発動させて三日月状の火炎の刃を放つ。だが、その攻撃に対して今度はリアナが指輪を構えると今回は緑色の魔法陣が展開され、レナの撃ち込んだ魔法を掻き消す。恐らくはマリアが使用する「プロト・アイギス」と同様の防御魔法で間違いなく、リアナは煙を振り払って笑みを浮かべる。
「物理攻撃も魔法も私達の指輪の前では無意味です。では、そろそろ反撃しますよ!!」
「レナ!!下がりなさい!!」
「言われずとも!!」
シオンが聖剣を大振りかざした瞬間、咄嗟にレナは「瞬動術」を跳躍すると、天井や壁を足場にして通路中を動き回る。あまりの移動速度にシオンもリアナも目では追いつけず、彼女達は驚愕の表情を浮かべた。
「うわ、凄く早い!!でも……」
「私達の魔法の前では無意味です」
「っ!?」
二人が指輪を抱えると今度は結界が卵の殻の様に二人を覆いこみ、全方向からの攻撃を防ぐ。隙を突いて近づいて攻撃を仕掛けようとしたレナだったが、全方位を守護されては攻撃出来ず、仕方なく地面に着地して退魔刀を構える。シズネの方も迂闊には攻撃を仕掛けられず、柱で身を隠しながらレナと目配せを行い、彼女は注意を引くように促す。
「……レナ」
「……分かったよ相棒」
一言だけ名前を告げるだけでシズネの思惑を悟ったレナは頷き、退魔刀を背中に戻す。その行為にシオンとリアナは諦めたのかと思ったが、地下牢に続く階段の方で隠れているダインとゴンゾウにレナは声を掛ける。
「ダイン、ゴンちゃん!!二人とも手伝ってよ!!」
「ええっ!?だ、だから僕は役に立たないって……」
「……行くぞダイン」
図体が大きく狙われやすいゴンゾウと影魔法が聖剣によって打ち消されるダインは身を隠していたのだが、レナに声を掛けられて二人も通路に現れる。その光景を見て姉妹は笑みを浮かべ、幾ら仲間を呼ばれようと二人にとっては標的が増えたにしか過ぎない。むしろ隠れていた人物を呼び出したおかげで手間が省けた。
「あはははっ!!4人がかりなら私達に勝てると思ってるの?いいよ、もっと仲間を呼んだら?」
「人数の利など私達の絆には無意味です。仮にここで5人の剣聖を呼び出したとしても私達には敵いませんよ」
「それはどうかな……ダイン、手伝ってよ」
「お、おい!?手伝うって何を……」
「いいからこっち来て」
余裕のつもりなのか結界に閉じこもった状態のまま攻撃を仕掛ける様子が無い姉妹に対し、その間にレナはダインを呼び寄せると彼にある魔法を頼む。最初はそれを聞いたダインは驚いた表情を浮かべたが、レナの作戦ならば闇属性の魔法でも聖剣に打ち消されずに通用する可能性は高かった。
「どう?上手くいくと思う?」
「た、多分……何でだか知らないけど、今の僕ならもっと凄い魔法が出来そうな気がする。でも、この方法だと失敗すれば後はないぞ?」
「大丈夫だって、さあ行くよ!!」
ダインが杖をレナの前に翳すと、風の聖痕を発動させてレナは通路中の風の精霊を再び呼び集め、最大限の風属性の魔力を溜める。その光景を確認しながらゴンゾウはダインが風で吹き飛ばされないように抑えつけ、その様子を見たリアナが不振に思う。
「一体何を……」
「行くぞレナ!!僕のありったけの魔力を持ってけ!!闇夜ぉおおおっ!!」
「風圧!!」
ダインが杖を構えた状態で初級魔法の「闇夜」を発動させた瞬間、煙幕を想像させる闇属性の魔力が大量に放出され、その魔力に向けてレナは初級魔法の「風圧」を放つ。その結果、煙状の魔力が風の力で通路全体に拡散し、姉妹を守る結界すらも覆いこむ。
「う、嘘!?どうしようリアナ、何も見えない!!」
「お、落ち着きなさいシオン!!大丈夫、この中にいる限りは平気よ……」
結界によって隔離されているため、本来ならば聖剣を一振りするだけで掻き消す事が出来る魔法の煙幕に対してシオンとリアナは何も出来ず、この状態では聖剣で攻撃する事も出来ない。だが、二人を包むのは物理と魔法に対して強力な態勢を誇る結界のため、どんな攻撃を受けようと身を守る自信があった。
――しかし、煙幕の中から足音が響き渡り、やがて煙を振り払いながら「心眼」の能力を発動させて正確に二人の位置を把握したシズネが姿を現す。彼女は正面から球状の結界に近付くと、握りしめた「反鏡剣」を引き抜く。
「抜刀!!」
「きゃああっ!?」
「そんなっ!?」
シズネが鞘から反鏡剣を引き抜いた瞬間、結界は意図も容易く破壊され、シオンとリアナは悲鳴をあげる。反鏡剣の素材は魔法その物を跳ね返す性質を持つため、魔法によって構成されている結界に対しては驚異的な効果を発揮する。そして結界が破壊された事で露わになった二人に対し、シズネは切りかかる。
「さあ、ここまでよ!!」
「このっ……」
「受け流し」
「きゃあっ!?」
リアナが咄嗟に聖剣を振りかざそうとしたが、それを事前に読んでいたようにシズネは刃で弾き返すと、光刃が掻き消されてしまう。どうやら聖剣に対しても反鏡剣の性質は通じるらしく、いくら高密度の魔力で構成された光刃であろうと反鏡剣野前では無意味と化す。
聖剣を弾かれた事で姉妹は恐怖の表情を浮かべ、そんな彼女達にシズネは冷たい視線を向けると、二人の身体に刀を振り下ろす。
「峰打ち」
「あうっ!?」
「はうっ!?」
相手がレナの姉弟のため、仕方なくシズネは非殺傷の戦技を発動させて二人の首筋に衝撃を与えると、姉妹の意識が途切れ、地面に倒れ込む。
※カタナヅキ「がはぁっ!?」( ゚Д゚)吐血
アイリス「ちょっと、まだ本日3話目ですよ!!死にかけないでください!!」(;´・ω・)
カタナヅキ「そ、そうだな……せめて、あと1話だけでも……」(´Д`)ノ 公開ボタン
「おねっ……」
レナは叫びながら退魔刀を上段から構えると、それを見たシオンが笑みを浮かべ、自分の指に身に着けていた指輪を構えて魔法を告げる。
「シルド!!」
「うわっ!?」
「結界魔法……!?」
シオンが指輪を翳した瞬間、指輪に装着されていた緑色の魔石が光り輝き、通路全体を覆いこむほどの防護壁を生み出す。緑色の障壁に阻まれたレナは引き下がり、それを見た姉妹は笑い声をあげた。
「あははは!!どう?凄いでしょうこれ……お母様がくれた大切な物なんだ」
「これは魔石の力を最大限にまで引き出す指輪型の神器……シオンのは「エンゲージリング」私のは「マリッジリング」と呼ばれています。綺麗な名前でしょう?」
リアナも自分に取り付けた指輪を見せつけ、どうやら王妃の配下のリクが所有する「神器ロッド」と同じ能力を持つ魔道具らしく、こちらの神器は魔法というよりも魔石の力その物を最大限に強化するらしい。
結界によって阻まれた通路はシオンが指を下ろすと解除され、元に戻る。レナも過去に一度だけ結界石を利用して戦った事はあるが、シオンの場合は結界の範囲と規模があまりにも違い過ぎる。
「貴方の事はよくお母様やミドルから聞かされていました。剣聖よりも強い剣士だと……ですが、どんなに強い剣士でもこの結界を突破する事は出来ないでしょう?」
「……そうかもね」
「強がりは駄目だよ~?どんなに凄い攻撃でも、この結界を物理攻撃で破壊する事は出来ないんだからっ!!」
結界石で生み出される防護壁は物理攻撃に対して無敵を誇り、どんなに強烈な一撃でも物理攻撃である限りは通用しない。だが、逆に言えば物理攻撃以外の魔法ならば通用する事を意味していた。
「それなら……これならどうだ!!火炎刃!!」
「無駄です。プロテクション」
風の聖痕を発動させ、通路中に存在した風の精霊を呼び集めると、レナは掌を構えて合成魔術を発動させて三日月状の火炎の刃を放つ。だが、その攻撃に対して今度はリアナが指輪を構えると今回は緑色の魔法陣が展開され、レナの撃ち込んだ魔法を掻き消す。恐らくはマリアが使用する「プロト・アイギス」と同様の防御魔法で間違いなく、リアナは煙を振り払って笑みを浮かべる。
「物理攻撃も魔法も私達の指輪の前では無意味です。では、そろそろ反撃しますよ!!」
「レナ!!下がりなさい!!」
「言われずとも!!」
シオンが聖剣を大振りかざした瞬間、咄嗟にレナは「瞬動術」を跳躍すると、天井や壁を足場にして通路中を動き回る。あまりの移動速度にシオンもリアナも目では追いつけず、彼女達は驚愕の表情を浮かべた。
「うわ、凄く早い!!でも……」
「私達の魔法の前では無意味です」
「っ!?」
二人が指輪を抱えると今度は結界が卵の殻の様に二人を覆いこみ、全方向からの攻撃を防ぐ。隙を突いて近づいて攻撃を仕掛けようとしたレナだったが、全方位を守護されては攻撃出来ず、仕方なく地面に着地して退魔刀を構える。シズネの方も迂闊には攻撃を仕掛けられず、柱で身を隠しながらレナと目配せを行い、彼女は注意を引くように促す。
「……レナ」
「……分かったよ相棒」
一言だけ名前を告げるだけでシズネの思惑を悟ったレナは頷き、退魔刀を背中に戻す。その行為にシオンとリアナは諦めたのかと思ったが、地下牢に続く階段の方で隠れているダインとゴンゾウにレナは声を掛ける。
「ダイン、ゴンちゃん!!二人とも手伝ってよ!!」
「ええっ!?だ、だから僕は役に立たないって……」
「……行くぞダイン」
図体が大きく狙われやすいゴンゾウと影魔法が聖剣によって打ち消されるダインは身を隠していたのだが、レナに声を掛けられて二人も通路に現れる。その光景を見て姉妹は笑みを浮かべ、幾ら仲間を呼ばれようと二人にとっては標的が増えたにしか過ぎない。むしろ隠れていた人物を呼び出したおかげで手間が省けた。
「あはははっ!!4人がかりなら私達に勝てると思ってるの?いいよ、もっと仲間を呼んだら?」
「人数の利など私達の絆には無意味です。仮にここで5人の剣聖を呼び出したとしても私達には敵いませんよ」
「それはどうかな……ダイン、手伝ってよ」
「お、おい!?手伝うって何を……」
「いいからこっち来て」
余裕のつもりなのか結界に閉じこもった状態のまま攻撃を仕掛ける様子が無い姉妹に対し、その間にレナはダインを呼び寄せると彼にある魔法を頼む。最初はそれを聞いたダインは驚いた表情を浮かべたが、レナの作戦ならば闇属性の魔法でも聖剣に打ち消されずに通用する可能性は高かった。
「どう?上手くいくと思う?」
「た、多分……何でだか知らないけど、今の僕ならもっと凄い魔法が出来そうな気がする。でも、この方法だと失敗すれば後はないぞ?」
「大丈夫だって、さあ行くよ!!」
ダインが杖をレナの前に翳すと、風の聖痕を発動させてレナは通路中の風の精霊を再び呼び集め、最大限の風属性の魔力を溜める。その光景を確認しながらゴンゾウはダインが風で吹き飛ばされないように抑えつけ、その様子を見たリアナが不振に思う。
「一体何を……」
「行くぞレナ!!僕のありったけの魔力を持ってけ!!闇夜ぉおおおっ!!」
「風圧!!」
ダインが杖を構えた状態で初級魔法の「闇夜」を発動させた瞬間、煙幕を想像させる闇属性の魔力が大量に放出され、その魔力に向けてレナは初級魔法の「風圧」を放つ。その結果、煙状の魔力が風の力で通路全体に拡散し、姉妹を守る結界すらも覆いこむ。
「う、嘘!?どうしようリアナ、何も見えない!!」
「お、落ち着きなさいシオン!!大丈夫、この中にいる限りは平気よ……」
結界によって隔離されているため、本来ならば聖剣を一振りするだけで掻き消す事が出来る魔法の煙幕に対してシオンとリアナは何も出来ず、この状態では聖剣で攻撃する事も出来ない。だが、二人を包むのは物理と魔法に対して強力な態勢を誇る結界のため、どんな攻撃を受けようと身を守る自信があった。
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「抜刀!!」
「きゃああっ!?」
「そんなっ!?」
シズネが鞘から反鏡剣を引き抜いた瞬間、結界は意図も容易く破壊され、シオンとリアナは悲鳴をあげる。反鏡剣の素材は魔法その物を跳ね返す性質を持つため、魔法によって構成されている結界に対しては驚異的な効果を発揮する。そして結界が破壊された事で露わになった二人に対し、シズネは切りかかる。
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「このっ……」
「受け流し」
「きゃあっ!?」
リアナが咄嗟に聖剣を振りかざそうとしたが、それを事前に読んでいたようにシズネは刃で弾き返すと、光刃が掻き消されてしまう。どうやら聖剣に対しても反鏡剣の性質は通じるらしく、いくら高密度の魔力で構成された光刃であろうと反鏡剣野前では無意味と化す。
聖剣を弾かれた事で姉妹は恐怖の表情を浮かべ、そんな彼女達にシズネは冷たい視線を向けると、二人の身体に刀を振り下ろす。
「峰打ち」
「あうっ!?」
「はうっ!?」
相手がレナの姉弟のため、仕方なくシズネは非殺傷の戦技を発動させて二人の首筋に衝撃を与えると、姉妹の意識が途切れ、地面に倒れ込む。
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