不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

文字の大きさ
568 / 2,091
最終章 王国編

金剛VS鬼人

しおりを挟む
「金剛撃か……思えばお前に最初に教えた技だったな」
「流石は師匠……だが、俺は負けられない!!」
「ゴンちゃん!!」
「レナ、行くわよ!!彼の意思を無駄にしないで」
「ま、負けるなよゴンゾウ!!」


ゴンゾウがギガンに殴りかかっている間、レナ達は彼等の横を潜り抜けて通路を進む。その様子をギガンはゴンゾウの拳を受け乍ら見送り、特に追いかける素振りも見せない。


「乱打!!」
「ふっ……その程度か?」


ギガンに向けてゴンゾウは右手でボクシングのジャブのように拳を叩きつけるが、攻撃を仕掛けたゴンゾウの方が拳を痛め、生物の皮膚とは思えない程に「硬化」した皮膚にゴンゾウは冷や汗を流す。ギガンの「金剛」の由来は筋肉を凝縮させて硬度を上昇させる「硬化」の戦技を肉体全身に発揮できる事が由来する。

普通の巨人族は硬化の戦技を発動させるときは身体の一部分しか出来ないのに対し、ギガンは全身の筋肉を金属のように硬質化させる事が出来た。攻撃にも防御にも活用出来る硬化の戦技を身体全身に使用できる巨人は彼一人しかおらず、それ故に何時の間にか「金剛」という渾名が付けられていた。


「金剛撃!!」
「ぬんっ!!」


ゴンゾウは拳を「硬化」の戦技で限界まで硬度を高め、全身の力を込めて殴りつけるが、そんな彼の攻撃をまともに受けてもギガンは肉体に痣一つ出来ず、逆にゴンゾウの身体を掴んで勢いよく持ち上げる。


「どうした?その程度か!!」
「ぐああっ!?」


片腕で200キロを超えるゴンゾウを軽々と持ち上げ、壁際へと叩きつける。さらにギガンは追撃とばかりに右足で前蹴りを繰り出し、壁を破壊してゴンゾウを場外まで吹き飛ばす。


「がはぁっ!?」
「ゴンゾウ!!これは訓練ではない!!俺はお前を本気で殺しに行くぞ!!」


二人が出たのは王城の庭園らしく、花壇の上に倒れたゴンゾウに対してギガンは容赦なく彼の胸元に体重を乗せて踏みつけてきた。ゴンゾウは苦悶の表情を浮かべて振り払おうとするが、体格も力も技量も全てギガンが上回っていた。


(駄目だ……このままでは勝てない、だが……!!)


ゴンゾウは必死の表情でギガンの右足を掴みながら歯を食いしばり、今の状態では勝てない事を悟る。しかし、彼には奥の手である「鬼人化」が存在した。この力を使えば一時的にだが肉体能力が増強され、ギガンにも対抗できる力を身に着けられるかもしれない。

しかし、鬼人化を使用すれば能力の解除後に大きな負担に襲われ、一時的に戦闘不能に陥る。敵はギガンだけではなく、城内の兵士も相手にしなければならない。だからこそゴンゾウは鬼人化を発動させる事に躊躇したが、そんなゴンゾウを嘲笑うようにギガンは踏みつける力を強める。


「残念だゴンゾウ……お前には期待していたがな」
「ぐああっ……!?」


肋骨がきしむ音が鳴り響き、徐々に腹部が窪みはじめ、ゴンゾウは悲鳴をあげた。このままでは自分が死ぬと確信したゴンゾウは覚悟を決め、仲間達に心の中で詫びた。


(すまない皆……!!だが、この人だけは俺が……!!)


決意したゴンゾウは全身の血管を浮き上がらせ、徐々に皮膚の色が赤く変色し、身体の汗が蒸発して蒸気のように煙が上がる。その様子に気付いたギガンは訝し気な表情を浮かべると、ゴンゾウは右足を持ち上げてギガンの体勢を崩す。


「うおおおおっ!!」
「ぬおっ!?」


まさか持ち上げられるとは思わなかったギガンが驚愕の表情を浮かべ、肉体の限界まで能力を強化したゴンゾウは途轍もない怪力を発揮してギガンの右足を掴み、勢いよく振り回す。自分の体格を遥かに上回る相手に対してゴンゾウは軽々と振り回し、庭園に存在した樹木に向けて投げ飛ばす。


「ぐあっ!?」
「ふうっ……ふうっ……!!」


樹木が砕け散る程の勢いで投げつけられたギガンは地面に倒れ込み、咄嗟の事だったので硬化の能力も間に合わず、まともに肉体に損傷ダメージを受けてしまう。苦痛の表情を浮かべるギガンに対し、暴走したようにゴンゾウは彼に向けて飛び込む。


「があああっ!!」
「ぐはぁっ!?」


全体重を乗せたヒップドロップを繰り出し、ギガンの身体に馬乗りの状態に陥ったゴンゾウは両拳を顔面に叩き込む。殴りつける度に血が舞い、顔面が腫れ、鼻血や吐血する。仕留めるにはここしかないと判断したゴンゾウは幾度も拳を叩き込み、渾身の一撃を叩き込む。


「うがぁっ!!」
「っ……!?」


岩面に肘を叩き込んだ瞬間、ギガンの身体が震え、やがて力を失ったように身体から力が抜けた。それを確認したゴンゾウは終わったのかと思ったのか、一瞬だけ攻撃の手を休めてしまう。だが、その一瞬の隙が状況を一変させた。


「……ぬぅんっ!!」
「うおっ!?」


ゴンゾウが攻撃を止めた瞬間、ギガンはのけ反り、自分に乗っていたゴンゾウを振り祓う。慌てて体勢を立て直したゴンゾウは起き上がろうとするギガンに向けて突進タックルを仕掛けるが、ギガンはそれを予測していたように受け止める。


「ぐぐぅっ……!?」
「馬鹿め……あれほど攻撃する時は油断するなと言っただろう」
「うおおおっ……!?」


ギガンはゴンゾウと組み合うと両者はお互いの力を込めて押し合う。鬼人化した状態のゴンゾウと互角に渡り合えるほどの怪力を誇るギガンに対し、ゴンゾウは更に力を求めて肉体の負荷を考えずに身体を発熱させた。


「おおおおおっ!!」
「ゴンゾウ……無駄だ、その技は無敵ではない!!」
「ぐあっ!?」


だが、更に力を求めたゴンゾウに対してギガンはあっさりと彼を横に倒すと、一旦距離を取って拳を構える。それを確認したゴンゾウは再び正面から突進を仕掛け、ギガンを押し倒そうとした。


「うがぁあっ!!」
「ぬぅんっ!!」
「がはっ!?」


正面から迫ってきたゴンゾウに対してギガンは掌底を突き出してカウンターを食らわせ、腹部に強烈な衝撃を受けたゴンゾウは後退る。予想外の一撃に戸惑いながらもゴンゾウは歯を食いしばり、そんな彼に対してギガンは今度は防御の体勢を整える。


「どうした?それで終わりか?」
「ぐっ……うあああっ!!」
「まだ無駄だというのが分からないのか……」


全身を硬化の戦技を発動させ、防御力を高めたギガンに対してゴンゾウは無我夢中に殴りつけるが、防御に専念したギガンの肉体はアダマンタイトを想像させる程に硬く、鬼人化した状態のゴンゾウの攻撃さえも受け付けない。

どれだけ殴りつけようとギガンは引き下がることはなく、逆にゴンゾウの攻撃を仕掛ける金銀の闘拳の方が徐々に罅割れ、やがてゴンゾウは攻撃を中断して膝を付く。


「ぐうっ……な、何故だ……!?」
「少しは落ち着いたようだな……そんな力任せな方法で俺を本気で倒せると思っていたのか?」
「ぐあっ!?」


膝を付いたゴンゾウに対してギガンは蹴りを叩きつけ、彼の身体を吹き飛ばす。その肉体には多少の痣は生まれていたが、それでもゴンゾウと比べれば軽傷で骨や内臓も異常はない。鼻血を拭いながらギガンはゴンゾウの元へ近づき、再び彼の胸元に右足を叩きつける。


「ぐああっ……!?」
「ゴンゾウ……技を捨てて力に走ったお前に勝ち目はない。これで終わりだ」


ギガンは倒れたゴンゾウに向けて右拳を構え、それを見たゴンゾウは目を見開き、やがて彼の顔面に向けて巨拳が放たれた――
しおりを挟む
感想 5,095

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!

霜月雹花
ファンタジー
 神の悪戯により死んでしまった主人公は、別の神の手により3つの便利なスキルを貰い異世界に転生する事になった。転生し、普通の人生を歩む筈が、又しても神の悪戯によってトラブルが起こり目が覚めると異世界で10歳の〝家無し名無し〟の状態になっていた。転生を勧めてくれた神からの手紙に代償として、希少な力を受け取った。  神によって人生を狂わされた主人公は、異世界で便利なスキルを使って生きて行くそんな物語。 書籍8巻11月24日発売します。 漫画版2巻まで発売中。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。