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最終章 王国編
力と技
――自分に迫りくる巨拳に対し、ゴンゾウはまるで走馬灯のように過去の出来事を思い出す。まだ自分がギガンと出会ったばかりの頃、彼に鍛錬を見て貰った時に出会った女性から教えて貰った言葉を思い出す。
『よう、あんたがゴンゾウかい?』
『ん?貴女は……』
『むっ……バルか、何の用だ?』
牙竜の冒険者ギルドの訓練室でギガンの指導を受けていた頃、ゴンゾウはまだ若かったころのバルと出会う。この頃の彼女はまだ黒虎の冒険者ギルドのギルドマスターになる前の頃であり、最近になって王国の将軍を辞めた頃に顔見知りだったギガンの元へ訪れていた。
『ギガン、ちょっとあんたに相談したいことがあってね……でも、鍛錬中なら後にするよ』
『待て、その必要はない。ゴンゾウ、この女は俺の知人のバルだ。名前ぐらいは知っているだろう?』
『あの剣鬼と呼ばれた……』
『よせやい、昔の話さ……今のあたしはただの浮浪者だよ。冒険者でも将軍でもないただの素寒貧さ』
ギガンの説明を受けてゴンゾウは驚いた表情を浮かべ、そんな彼に対してバルは自嘲するように苦笑すると、ギガンは彼女の姿を見てある提案を行う。
『ゴンゾウ、バルと組手をしてみるか?こいつの本業は剣士だが、今のお前には良い相手だろう』
『師匠?』
『おいおい、何を勝手に決めてんだい。まあ、別に暇だからいいけどさ……』
思いも寄らぬギガンの言葉にゴンゾウは驚くが、バルはギガンの言葉を承諾し、ゴンゾウと向き合う。唐突な提案に戸惑うゴンゾウに対し、ギガンは彼にある指示を出す。
『良い機会だ。ゴンゾウ、鬼人化を発動しろ。お前の全力を見せろ』
『鬼人化を……!?』
『へえ……驚いたね、こんな坊やが鬼人化を扱えるのかい?あれは巨人族でも特別な家系の人間にしか出来ないと思っていたけどね』
バルはギガンの言葉を聞いて興味を抱くが、ゴンゾウは彼女を見て只物ではない事に気付くが、それでも自分が鬼人化を発動させればバルに大きな怪我を負わせるのではないかと考えてしまう。この時のゴンゾウが「鬼人化」を解放しても相手が出来るのはギガンだけだったため、人間であるバルを相手に使用する事に躊躇した。
しかし、そんなゴンゾウの戸惑いを読み取ったようにバルは拳を叩きつけ、遠慮なく自分に全力で向かってくるように伝えた。
『ガキが大人を相手に遠慮するんじゃないよ!!どんな力なのかは知らないけどね、力だけじゃあたしに勝てない事を思い知らせてやるよ!!』
『バル、さん……』
『来な坊主……本当の「技」というのを思い知らせてやるよ』
バルの言葉にゴンゾウは覚悟を決め、その日に彼は「鬼人化」を発動させて彼女に挑み、自分よりも肉体能力が劣っているはずのバルに敗北した。この時、初めてゴンゾウは「技」の凄まじさを思い知った――
(そうだ……俺は間違えていた。これではあの時の二の舞じゃないか)
迫りくる巨拳に対してゴンゾウは腕を交差して受け止め、初めて鬼人化を発動させた状態で「防御」した。ゴンゾウの両腕に強烈な衝撃が走り、ギガンが驚いた表情を浮かべた。
「う、おおっ!!」
「何っ……!?」
身体を回転させて胸元を抑えていた右足から逃れると、ゴンゾウは頭を冷やした事で「技」の重要性を思い出し、ギガンに対して構えを取る。鬼人化を発動させると頭に血が上って暴走してしまうが、今は血を流し過ぎたせいで逆に冷静になったらしく、ゴンゾウはこれまでの技術を思い出して撃ち込む。
「金剛撃!!」
「ぐうっ!?」
これまでは無造作に殴りつけていただけだが、今度は全身の力を効率よく拳に乗せて打ち込むと、硬化の戦技を発動させているにも関わらずにギガンは苦悶の表情を浮かべる。更にゴンゾウは右足を繰り出し、彼の右足に叩き込む。
「回し蹴り!!」
「ぐおっ……!?」
右足に衝撃を受けたギガンが一瞬だけ態勢を崩し、その彼に対してゴンゾウは両手を突き出して掌底を放つ。この技はリンダに教わった戦技であり、まだ覚えたてなので大した威力は引き出せないがそれでも今のギガンには友好的な技だった。
「発頸!!」
「ぐはぁっ!?」
肉体の内部に衝撃を与える戦技を発動させた瞬間、ギガンは意表を突かれたように後方に倒れ込む。硬化の戦技は外部からの衝撃には強くても、体内に直接衝撃を与える「発頸」の戦技だけは無効化出来ず、まともに損傷を受けたギガンに対してゴンゾウは休まずに追撃を行う。
「正拳……三連突き!!」
「うぐ、があっ、ぐはぁっ!?」
硬化が解除された隙を逃さずにゴンゾウは拳を3発腹部に叩き込み、更に顎が下がったギガンに対して下から拳を突き上げる。
「うおおおっ!!」
「ぐふぅっ!?」
顎を殴りつけられてギガンは口から血反吐を吐き、それでも反撃するためにゴンゾウの肉体を掴み、彼の身体を持ち上げて地面に叩きつけようとした。
「このっ……!?」
「がああっ……!!」
だが、持ち上げようとした瞬間にゴンゾウはギガンの首筋に右ひじを叩き込み、頚椎に衝撃を受けたギガンは一瞬だけ力が緩み、その隙を逃さずにゴンゾウは地面に着地するとギガンの身体を逆に持ち上げて地面に叩き込む。
「兜……落とし!!」
「がはぁっ!?」
咄嗟に硬化の戦技を発動させようとしたがギガンだが、流石に後頭部を強打されては防ぐ事も出来ず、意識が一瞬だけ飛ぶ。その隙を逃さずにゴンゾウはギガンの身体に抱き着き、首元を締め付けて気絶に追い込もうとした。
「うおおおおおっ!!」
「がああっ……ごのぉっ……!?」
先ほどの頚椎の一撃も受けてギガンは首に大きな負担を負い、さらに首筋を締め付けられて追い込まれる。それでも格闘家の意地なのか身体を起きあげ、ゴンゾウを背負った状態で城壁に向けて叩きつける。
「がぁあああっ!!」
「ぐはぁっ……!?」
背中を城壁に叩きつけられたゴンゾウは首を絞めつける力が緩み、それを逃さずにギガンはゴンゾウの腕を掴んで引き剥がそうとしたが、ここで離れれば正気はないと判断したゴンゾウは意地でも離れないとばかりに両足を絡めて「三角締め」を仕掛けた。
「おおおおおおおっ!!」
「がはぁっ……!?」
腕よりも強い足の力で締め付けられたギガンは苦悶の表情を浮かべ、やがて立つ事もままならずに地面に倒れ込む。そのままゴンゾウは彼の首筋を締め付け、鼻血を噴き出しながらも吠える。
「俺は……あんたを超えるんだぁああああっ!!」
「っ……!?」
仲間のため、自分のため、何よりも格闘家の誇りのために師匠であるギガンを倒すと決めたゴンゾウは渾身の力を込め、鬼人化の力を完全に使いこなしてギガンの首を締め付ける。やがてギガンは白目を剥くと身体が痙攣し、今度こそ完全に力を失ったのか動かなくなった。
それでもゴンゾウは鬼人化の能力が維持出来なくなるまで締め付け、やがて自身も限界を迎えるとギガンを解放し、自分も倒れる。もう指一本も動かせる力はないが、それでも彼は十分に役目を果たした。
(すまないレナ……ダイン……シズネ……少し、休ませてもらう)
目を覚ましたら必ず仲間の元へ向かう事を決め、ゴンゾウは意識を失った――
※帰宅直後の作者
カタナヅキ「さて、今日も頑張るか……ぶふぉっ!?」( ゚Д゚)!?←噴き出す
アイリス「お気に入りが急激に増えて噴き出した際に公開ボタンを間違えて押しましたね(´・ω・)」
『よう、あんたがゴンゾウかい?』
『ん?貴女は……』
『むっ……バルか、何の用だ?』
牙竜の冒険者ギルドの訓練室でギガンの指導を受けていた頃、ゴンゾウはまだ若かったころのバルと出会う。この頃の彼女はまだ黒虎の冒険者ギルドのギルドマスターになる前の頃であり、最近になって王国の将軍を辞めた頃に顔見知りだったギガンの元へ訪れていた。
『ギガン、ちょっとあんたに相談したいことがあってね……でも、鍛錬中なら後にするよ』
『待て、その必要はない。ゴンゾウ、この女は俺の知人のバルだ。名前ぐらいは知っているだろう?』
『あの剣鬼と呼ばれた……』
『よせやい、昔の話さ……今のあたしはただの浮浪者だよ。冒険者でも将軍でもないただの素寒貧さ』
ギガンの説明を受けてゴンゾウは驚いた表情を浮かべ、そんな彼に対してバルは自嘲するように苦笑すると、ギガンは彼女の姿を見てある提案を行う。
『ゴンゾウ、バルと組手をしてみるか?こいつの本業は剣士だが、今のお前には良い相手だろう』
『師匠?』
『おいおい、何を勝手に決めてんだい。まあ、別に暇だからいいけどさ……』
思いも寄らぬギガンの言葉にゴンゾウは驚くが、バルはギガンの言葉を承諾し、ゴンゾウと向き合う。唐突な提案に戸惑うゴンゾウに対し、ギガンは彼にある指示を出す。
『良い機会だ。ゴンゾウ、鬼人化を発動しろ。お前の全力を見せろ』
『鬼人化を……!?』
『へえ……驚いたね、こんな坊やが鬼人化を扱えるのかい?あれは巨人族でも特別な家系の人間にしか出来ないと思っていたけどね』
バルはギガンの言葉を聞いて興味を抱くが、ゴンゾウは彼女を見て只物ではない事に気付くが、それでも自分が鬼人化を発動させればバルに大きな怪我を負わせるのではないかと考えてしまう。この時のゴンゾウが「鬼人化」を解放しても相手が出来るのはギガンだけだったため、人間であるバルを相手に使用する事に躊躇した。
しかし、そんなゴンゾウの戸惑いを読み取ったようにバルは拳を叩きつけ、遠慮なく自分に全力で向かってくるように伝えた。
『ガキが大人を相手に遠慮するんじゃないよ!!どんな力なのかは知らないけどね、力だけじゃあたしに勝てない事を思い知らせてやるよ!!』
『バル、さん……』
『来な坊主……本当の「技」というのを思い知らせてやるよ』
バルの言葉にゴンゾウは覚悟を決め、その日に彼は「鬼人化」を発動させて彼女に挑み、自分よりも肉体能力が劣っているはずのバルに敗北した。この時、初めてゴンゾウは「技」の凄まじさを思い知った――
(そうだ……俺は間違えていた。これではあの時の二の舞じゃないか)
迫りくる巨拳に対してゴンゾウは腕を交差して受け止め、初めて鬼人化を発動させた状態で「防御」した。ゴンゾウの両腕に強烈な衝撃が走り、ギガンが驚いた表情を浮かべた。
「う、おおっ!!」
「何っ……!?」
身体を回転させて胸元を抑えていた右足から逃れると、ゴンゾウは頭を冷やした事で「技」の重要性を思い出し、ギガンに対して構えを取る。鬼人化を発動させると頭に血が上って暴走してしまうが、今は血を流し過ぎたせいで逆に冷静になったらしく、ゴンゾウはこれまでの技術を思い出して撃ち込む。
「金剛撃!!」
「ぐうっ!?」
これまでは無造作に殴りつけていただけだが、今度は全身の力を効率よく拳に乗せて打ち込むと、硬化の戦技を発動させているにも関わらずにギガンは苦悶の表情を浮かべる。更にゴンゾウは右足を繰り出し、彼の右足に叩き込む。
「回し蹴り!!」
「ぐおっ……!?」
右足に衝撃を受けたギガンが一瞬だけ態勢を崩し、その彼に対してゴンゾウは両手を突き出して掌底を放つ。この技はリンダに教わった戦技であり、まだ覚えたてなので大した威力は引き出せないがそれでも今のギガンには友好的な技だった。
「発頸!!」
「ぐはぁっ!?」
肉体の内部に衝撃を与える戦技を発動させた瞬間、ギガンは意表を突かれたように後方に倒れ込む。硬化の戦技は外部からの衝撃には強くても、体内に直接衝撃を与える「発頸」の戦技だけは無効化出来ず、まともに損傷を受けたギガンに対してゴンゾウは休まずに追撃を行う。
「正拳……三連突き!!」
「うぐ、があっ、ぐはぁっ!?」
硬化が解除された隙を逃さずにゴンゾウは拳を3発腹部に叩き込み、更に顎が下がったギガンに対して下から拳を突き上げる。
「うおおおっ!!」
「ぐふぅっ!?」
顎を殴りつけられてギガンは口から血反吐を吐き、それでも反撃するためにゴンゾウの肉体を掴み、彼の身体を持ち上げて地面に叩きつけようとした。
「このっ……!?」
「がああっ……!!」
だが、持ち上げようとした瞬間にゴンゾウはギガンの首筋に右ひじを叩き込み、頚椎に衝撃を受けたギガンは一瞬だけ力が緩み、その隙を逃さずにゴンゾウは地面に着地するとギガンの身体を逆に持ち上げて地面に叩き込む。
「兜……落とし!!」
「がはぁっ!?」
咄嗟に硬化の戦技を発動させようとしたがギガンだが、流石に後頭部を強打されては防ぐ事も出来ず、意識が一瞬だけ飛ぶ。その隙を逃さずにゴンゾウはギガンの身体に抱き着き、首元を締め付けて気絶に追い込もうとした。
「うおおおおおっ!!」
「がああっ……ごのぉっ……!?」
先ほどの頚椎の一撃も受けてギガンは首に大きな負担を負い、さらに首筋を締め付けられて追い込まれる。それでも格闘家の意地なのか身体を起きあげ、ゴンゾウを背負った状態で城壁に向けて叩きつける。
「がぁあああっ!!」
「ぐはぁっ……!?」
背中を城壁に叩きつけられたゴンゾウは首を絞めつける力が緩み、それを逃さずにギガンはゴンゾウの腕を掴んで引き剥がそうとしたが、ここで離れれば正気はないと判断したゴンゾウは意地でも離れないとばかりに両足を絡めて「三角締め」を仕掛けた。
「おおおおおおおっ!!」
「がはぁっ……!?」
腕よりも強い足の力で締め付けられたギガンは苦悶の表情を浮かべ、やがて立つ事もままならずに地面に倒れ込む。そのままゴンゾウは彼の首筋を締め付け、鼻血を噴き出しながらも吠える。
「俺は……あんたを超えるんだぁああああっ!!」
「っ……!?」
仲間のため、自分のため、何よりも格闘家の誇りのために師匠であるギガンを倒すと決めたゴンゾウは渾身の力を込め、鬼人化の力を完全に使いこなしてギガンの首を締め付ける。やがてギガンは白目を剥くと身体が痙攣し、今度こそ完全に力を失ったのか動かなくなった。
それでもゴンゾウは鬼人化の能力が維持出来なくなるまで締め付け、やがて自身も限界を迎えるとギガンを解放し、自分も倒れる。もう指一本も動かせる力はないが、それでも彼は十分に役目を果たした。
(すまないレナ……ダイン……シズネ……少し、休ませてもらう)
目を覚ましたら必ず仲間の元へ向かう事を決め、ゴンゾウは意識を失った――
※帰宅直後の作者
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