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最終章 王国編
裏庭での激戦
――ゴンゾウがギガンを打ち破った頃、裏庭ではシュンとリンダ、ジャンヌとミナ、そしてティナが率いる魔獣達が兵士達と激戦を繰り広げていた。
「いっけぇっ!!頑張って皆っ!!」
「キュロロロッ!!」
「ブモォオオッ!!」
「ウォオオンッ!!」
「ひ、怯むな!!かかれぇっ!!」
ティナが統率する魔獣達は次々と押し寄せる兵士達を蹴散らし、他の仲間達の邪魔を差せないように食い止める。城壁からはボーガンを構えたエリナも援護射撃を行い、コトミンは彼女に近付こうとする兵士達を追い払う。
「姫様、あんまり無茶は駄目っすよ!!」
「スラミン、放射」
「ぷるるるるっ……!!」
「うわぁっ!?」
「な、何だこいつら!?」
城壁に移動してくる兵士達にスラミンが体内に貯め込んだ水分を放出して追い払い、体内の水分が切れかけるとコトミンが胸の谷間から取り出した吸水石と呼ばれる水属性の魔石を与える事で水分を補給させる。そのお陰で彼女の弱点である水切れで魔法が扱えないという事態には陥らず、兵士達を追い払う
「くっ……いつの間にこれほど腕を上げたのですか」
「はあっ……ぼ、僕だって、強くなったんだよ……!!」
地上では片腕を負傷したジャンヌが旋斧を握り締め、その反対側には右足を負傷したミナが向かい合っていた。剣聖であるジャンヌに対してミナは一歩も引かずに渡り合い、遂には彼女の剣技の要である片腕を負傷させた。ジャンヌの「回転」は両腕に重量の大きい旋斧を握り締めて振り回す事で発生する遠心力が不可欠のため、ジャンヌの剣技を封じる。
一方でミナの方も右足に大きな怪我を負った事でまともに立つ事も出来ず、槍を利用してどうにか立ってはいたが、これ以上の戦闘は難しかった。お互いに回復薬で治療する暇もなく、自然と二人は向かい合ったまま硬直状態に陥る。一瞬でも隙を見せる状況が許されない中、裏庭の反対方向ではシュンとリンダがお互いに血を流しながら向かい合う。
「ふうっ……はあっ……い、いい加減にしろよこの野郎……!!」
「それは、こちらの台詞です……!!」
シュンは頬を赤く晴らしながら剣を握り締め、その一方でリンダは両手に切り傷を負いながらもシュンと向かい合う。どちらも体力を消耗しているのか息が荒く、全身に汗を流していた。
「このっ!!」
「はあっ!!」
剣を振るって風の斬撃を浴びせようとするシュンに対し、リンダは掌を突き出して「遠当て」の戦技で生み出した衝撃波で相殺する。先ほどからこれを何度も繰り返し、お互いの攻撃を無効化しながら戦闘を続けているが、このままではどちらも体力切れを引き起こすのは明白だった。
(くそ、相変わらず馬鹿げた体力しやがって……こっちの方が疲れて来たぞ)
戦技を使用すれば体力を消耗するが、シュンの風の斬撃は精霊魔法なので彼自身の肉体の負担は少ない。それにも関わらずに自分と張り合うリンダの戦闘能力にシュンは素直に驚き、このままでは勝ち目が薄い事を残念ながら認めなければならない。
(どうする?これ以上に体力を使えばこっちもやばい……あの王妃が簡単に俺達を見逃すはずがねえ。隙を見せればこいつら事殺すつもりだろうしな。どうにか逃げる手段を考えないと……)
リンダと向き合いながらシュンはどのような手段を取れば生き残れるのかを考え、彼はこの場所で死ぬつもりは毛頭なかった。彼の目的は王妃を捕まえる事で人質にしてマリアを救出するためであり、そのためには表向きは従って王妃が姿を現すのを待っていた。
シュンが本気で裏切っていない事をはリンダも薄々とは気付いていたが、それでも彼が向かってくる以上は応戦しなければならず、リンダは掌を構ながらシュンに風の精霊を利用して話しかける。
『シュン……貴方の目的はなんですか?』
『おっと、やっと気づいたか……くそ、手加減抜きで襲い掛かりやがって!!こっちはもう限界が近いんだよ!!』
『なっ!?何ですかその言い草は!!』
風の精霊を利用すれば他の人間に話し声を聞かれる事もなく会話出来るため、シュンはリンダに対して悪態を吐く。その一方で理不尽な言葉を告げられたリンダは額に青筋を浮かべるが、二人は他の人間に気付かれないように話し合う。
『シュン、王妃は何処に居るのです?あの女さえ捕まえればこの事態を収められます。それに王族の皆様も何処へ監禁されているのか確かめなければ……』
『何だよ、お前等も知らねえのかよ。役に立たねえな……こっちも今は捜索中なんだよ』
『何ですかその言い方は!!だいたい貴方は昔から無責任で無鉄砲で馬鹿で阿保で間抜けな人ですね!!』
『おい、昔の口調に戻ってるぞ!!というか、そこまで卑下される謂れはねえぞ!!』
他の人間に聞こえていないとはいえ口論を始める二人はしばらくはお互いの文句で言い争っていたが、やがて冷静心を取り戻したのか情報を分け合う。
『我々はこのまま王妃を捕まえ、ナオ王女を解放し、そして他に捕まった方々を救うために忍び込んでいます』
『城外の兵士達の対応はどうした?』
『そちらは革命団と呼ばれる組織の協力によってしばらくの間は大丈夫です。それに経緯は省きますが、現在この王都の外では大量の魔物が発生しています。防壁を守護する兵士達はそちらの対応で動けないでしょう』
『おいおい、何をやらかしたんだ?まあ、それならここに居るのは城内の兵士だけか……』
城内で戦闘を行っているのは最初から城の中で待機していた兵士達だけとなり、現状の革命団の戦力ならば圧倒出来るだろう。但し、裏門の方では先ほどから激しい喧噪が聞こえ、こちらの方はまだ決着がついていない様子だった。裏門には王国四騎士の二人と氷雨の冒険者集団も混じっているが、予想以上の抵抗を受けているのか今だに裏門から援軍が到着する予定はない。
『シュン、貴方の師匠であるハヤテはどうしたのですか?彼女の任務はアイラ様の補佐役のはずです』
『何だ、気づいていなかったのか?師匠はもう……何だ!?』
会話の最中にシュンは異様な気配を感じ取り、裏庭に存在した人間達も全員が異変に気付いて上空に視線を向ける。すると上の階の窓を破って裏庭へ向けて降り立つ影が存在し、その人物の姿を見た瞬間にシュンとリンダは大声を上げた。
「「ゴウライ……!?」」
『ぬぅんっ!!』
漆黒の甲冑を装備したゴウライが地面に着地した瞬間、あまりの重量に裏庭の地面が凹み、軽い振動が周囲に走る。唐突に姿を現した最強の剣聖に敵味方全員が呆気に取られ、ゴウライは兜の隙間から目元を怪しく光り輝かせ、背中に背負った「デュランダル」を引き抜く。
どうしてこの状況で拘束されているはずのゴウライが現れたのか、何故ゴウライの身体から闇属性の魔力が滲んでいるのか、そんな疑問を抱く暇もなく裏庭に存在した全員がゴウライの放たれる「威圧」に身体を震わせる。
『こい……』
「……えっ?」
『かかってこい!!貴様等、全員で吾輩を殺してみろ!!』
ゴウライの言葉に交戦していた全員が呆気に取られ、唐突に現れて自分に挑むように告げるゴウライに誰もが戸惑うが、ふざけているわけではないのかゴウライはデュランダルを肩に乗せて動き出す。
『貴様等が来なければ、吾輩から行くぞぉっ!!』
「なっ……逃げろ姫さん!?」
「えっ!?」
「キュロォッ……!?」
真っ先にゴウライが狙ったのは裏庭に存在する者の中では図体が大きいミノタウロスに向かい、丁度彼の頭の上にしがみ付いていたティナも狙われる。それを見たシュンとリンダが同時に動くが、既にゴウライはミノタウロスの目の前まで迫っていた。
「いっけぇっ!!頑張って皆っ!!」
「キュロロロッ!!」
「ブモォオオッ!!」
「ウォオオンッ!!」
「ひ、怯むな!!かかれぇっ!!」
ティナが統率する魔獣達は次々と押し寄せる兵士達を蹴散らし、他の仲間達の邪魔を差せないように食い止める。城壁からはボーガンを構えたエリナも援護射撃を行い、コトミンは彼女に近付こうとする兵士達を追い払う。
「姫様、あんまり無茶は駄目っすよ!!」
「スラミン、放射」
「ぷるるるるっ……!!」
「うわぁっ!?」
「な、何だこいつら!?」
城壁に移動してくる兵士達にスラミンが体内に貯め込んだ水分を放出して追い払い、体内の水分が切れかけるとコトミンが胸の谷間から取り出した吸水石と呼ばれる水属性の魔石を与える事で水分を補給させる。そのお陰で彼女の弱点である水切れで魔法が扱えないという事態には陥らず、兵士達を追い払う
「くっ……いつの間にこれほど腕を上げたのですか」
「はあっ……ぼ、僕だって、強くなったんだよ……!!」
地上では片腕を負傷したジャンヌが旋斧を握り締め、その反対側には右足を負傷したミナが向かい合っていた。剣聖であるジャンヌに対してミナは一歩も引かずに渡り合い、遂には彼女の剣技の要である片腕を負傷させた。ジャンヌの「回転」は両腕に重量の大きい旋斧を握り締めて振り回す事で発生する遠心力が不可欠のため、ジャンヌの剣技を封じる。
一方でミナの方も右足に大きな怪我を負った事でまともに立つ事も出来ず、槍を利用してどうにか立ってはいたが、これ以上の戦闘は難しかった。お互いに回復薬で治療する暇もなく、自然と二人は向かい合ったまま硬直状態に陥る。一瞬でも隙を見せる状況が許されない中、裏庭の反対方向ではシュンとリンダがお互いに血を流しながら向かい合う。
「ふうっ……はあっ……い、いい加減にしろよこの野郎……!!」
「それは、こちらの台詞です……!!」
シュンは頬を赤く晴らしながら剣を握り締め、その一方でリンダは両手に切り傷を負いながらもシュンと向かい合う。どちらも体力を消耗しているのか息が荒く、全身に汗を流していた。
「このっ!!」
「はあっ!!」
剣を振るって風の斬撃を浴びせようとするシュンに対し、リンダは掌を突き出して「遠当て」の戦技で生み出した衝撃波で相殺する。先ほどからこれを何度も繰り返し、お互いの攻撃を無効化しながら戦闘を続けているが、このままではどちらも体力切れを引き起こすのは明白だった。
(くそ、相変わらず馬鹿げた体力しやがって……こっちの方が疲れて来たぞ)
戦技を使用すれば体力を消耗するが、シュンの風の斬撃は精霊魔法なので彼自身の肉体の負担は少ない。それにも関わらずに自分と張り合うリンダの戦闘能力にシュンは素直に驚き、このままでは勝ち目が薄い事を残念ながら認めなければならない。
(どうする?これ以上に体力を使えばこっちもやばい……あの王妃が簡単に俺達を見逃すはずがねえ。隙を見せればこいつら事殺すつもりだろうしな。どうにか逃げる手段を考えないと……)
リンダと向き合いながらシュンはどのような手段を取れば生き残れるのかを考え、彼はこの場所で死ぬつもりは毛頭なかった。彼の目的は王妃を捕まえる事で人質にしてマリアを救出するためであり、そのためには表向きは従って王妃が姿を現すのを待っていた。
シュンが本気で裏切っていない事をはリンダも薄々とは気付いていたが、それでも彼が向かってくる以上は応戦しなければならず、リンダは掌を構ながらシュンに風の精霊を利用して話しかける。
『シュン……貴方の目的はなんですか?』
『おっと、やっと気づいたか……くそ、手加減抜きで襲い掛かりやがって!!こっちはもう限界が近いんだよ!!』
『なっ!?何ですかその言い草は!!』
風の精霊を利用すれば他の人間に話し声を聞かれる事もなく会話出来るため、シュンはリンダに対して悪態を吐く。その一方で理不尽な言葉を告げられたリンダは額に青筋を浮かべるが、二人は他の人間に気付かれないように話し合う。
『シュン、王妃は何処に居るのです?あの女さえ捕まえればこの事態を収められます。それに王族の皆様も何処へ監禁されているのか確かめなければ……』
『何だよ、お前等も知らねえのかよ。役に立たねえな……こっちも今は捜索中なんだよ』
『何ですかその言い方は!!だいたい貴方は昔から無責任で無鉄砲で馬鹿で阿保で間抜けな人ですね!!』
『おい、昔の口調に戻ってるぞ!!というか、そこまで卑下される謂れはねえぞ!!』
他の人間に聞こえていないとはいえ口論を始める二人はしばらくはお互いの文句で言い争っていたが、やがて冷静心を取り戻したのか情報を分け合う。
『我々はこのまま王妃を捕まえ、ナオ王女を解放し、そして他に捕まった方々を救うために忍び込んでいます』
『城外の兵士達の対応はどうした?』
『そちらは革命団と呼ばれる組織の協力によってしばらくの間は大丈夫です。それに経緯は省きますが、現在この王都の外では大量の魔物が発生しています。防壁を守護する兵士達はそちらの対応で動けないでしょう』
『おいおい、何をやらかしたんだ?まあ、それならここに居るのは城内の兵士だけか……』
城内で戦闘を行っているのは最初から城の中で待機していた兵士達だけとなり、現状の革命団の戦力ならば圧倒出来るだろう。但し、裏門の方では先ほどから激しい喧噪が聞こえ、こちらの方はまだ決着がついていない様子だった。裏門には王国四騎士の二人と氷雨の冒険者集団も混じっているが、予想以上の抵抗を受けているのか今だに裏門から援軍が到着する予定はない。
『シュン、貴方の師匠であるハヤテはどうしたのですか?彼女の任務はアイラ様の補佐役のはずです』
『何だ、気づいていなかったのか?師匠はもう……何だ!?』
会話の最中にシュンは異様な気配を感じ取り、裏庭に存在した人間達も全員が異変に気付いて上空に視線を向ける。すると上の階の窓を破って裏庭へ向けて降り立つ影が存在し、その人物の姿を見た瞬間にシュンとリンダは大声を上げた。
「「ゴウライ……!?」」
『ぬぅんっ!!』
漆黒の甲冑を装備したゴウライが地面に着地した瞬間、あまりの重量に裏庭の地面が凹み、軽い振動が周囲に走る。唐突に姿を現した最強の剣聖に敵味方全員が呆気に取られ、ゴウライは兜の隙間から目元を怪しく光り輝かせ、背中に背負った「デュランダル」を引き抜く。
どうしてこの状況で拘束されているはずのゴウライが現れたのか、何故ゴウライの身体から闇属性の魔力が滲んでいるのか、そんな疑問を抱く暇もなく裏庭に存在した全員がゴウライの放たれる「威圧」に身体を震わせる。
『こい……』
「……えっ?」
『かかってこい!!貴様等、全員で吾輩を殺してみろ!!』
ゴウライの言葉に交戦していた全員が呆気に取られ、唐突に現れて自分に挑むように告げるゴウライに誰もが戸惑うが、ふざけているわけではないのかゴウライはデュランダルを肩に乗せて動き出す。
『貴様等が来なければ、吾輩から行くぞぉっ!!』
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「キュロォッ……!?」
真っ先にゴウライが狙ったのは裏庭に存在する者の中では図体が大きいミノタウロスに向かい、丁度彼の頭の上にしがみ付いていたティナも狙われる。それを見たシュンとリンダが同時に動くが、既にゴウライはミノタウロスの目の前まで迫っていた。
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