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外伝 ~ヨツバ王国編~
潜入作戦
「そもそもカレハという人は幽閉されたんでしょ?幾ら他の王族が居ないからって、そんな人に本当に将軍が従うの?」
「多分、従わざるを得ないでしょうね……いくら追放されたとはいえ、現状残っている王族はカレハ様だけですから大半の将軍は従うと思います。それだけヨツバ王国にとって王族の方々は絶対的な存在です」
「でも、こっちにもティナが居るじゃん。ティナが戦争なんて止めて~みたいな事を言えば従わないの?」
ティナは正式な王位継承権を持つのに対し、カレハは最近まで幽閉されていた王族である。普通に考えれば臣下ならばティナに従うはずだが、重要なのはヨツバ王国に存在するのがカレハだけという点らしい。
「確かにティナ様が呼びかければ味方してくれる人も居ると思います。だけど、今のティナ様はバルトロス王国に保護されているのが問題です。きっと、国に戻ったとしてもバルトロス王国の人間に誑かされたとか勘違いされますよ」
「それは確かにあるかも……」
「え?何か言った?」
ティナは自分の話題をするレナ達に振り返り、胸元にスラミンを抱えながら不思議そうに尋ねる。純粋で良い子なのは分かるが、逆に言えば人を疑わずに騙されやすい性格のため、もしもティナがヨツバ王国に戻って戦争を止めるように宣言してもバルトロス王国が彼女を利用して何か策略を立てているのではないかと疑われてしまう。
だが、現状ではカレハに対抗出来る存在は同じ王族であるティナしか存在せず、デブリ国王達を元に戻す方法以外にカレハの暴走を止めるにはティナの力が必要不可欠となる。ヨツバ王国に逃げ込んだキラウを捕まえ、石化を解除させるためにはヨツバ王国に乗り込むしかない。
「仕方ない……俺達もヨツバ王国に向かおう」
「え、本気っすか!?いくら兄貴でも殺されちゃいますよ!?」
「そうね……戦争の準備をしている国に向かう以上、相応の覚悟と準備が必要になるわ」
「でも、このまま放置は出来ない。放っておいたら戦争が始まってバルトロス王国が滅びるかもしれない。それに叔母様も救わないといけないから俺はヨツバ王国に向かうよ」
「その話、俺も混ぜて貰おうか」
「拙者もでござる!!」
「うわぁっ!?何処から現れたお前等!?」
レナの発言に天井から二人の男女の声が響き渡り、全員が驚いて振り返るとそこには天井に重力を無視して仁王立ちするカゲマルとハンゾウの姿が存在した。二人は地面に着地すると、カゲマルは腕を組みながらレナと向かい合う。
「我が主の救出とあらば我等も力を貸そう。忍の力、今のお前達が最も欲しているのではないか?」
「拙者もマリア殿を救いたいでござる!!」
「それはまあ、頼もしいけど……危険だよ?」
「仮に止められた所で我等は二人だけでも向かうつもりだ」
「大した忠誠心ね……レナ、この二人を連れて行きましょう。情報収集を行える人材は貴重よ」
「分かった。なら、よろしくね。カゲちゃんとハンちゃん」
「その呼び名は止めろ……カゲマルと呼んでくれ」
カゲマルとハンゾウもマリアの救出のために準備は整えていたらしく、既にヨツバ王国に向かう計画を立てていた。だが、今回の潜入作戦はかなりの危険を伴い、更に目立たないように行動しなければならないため少数精鋭で挑まなければならない。
「じゃあ、ヨツバ王国に向かう方法を考えよう。そもそもヨツバ王国ってここからどれくらいの距離があるの?」
「そうっすね、あたし達は移動の際はユニコーンの幼種を利用して一週間ぐらいで移動しますけど、人間の方が飼育されている馬だと移動だけで半月は掛かりますね。さらに樹海を抜けて移動するとなると普通の乗り物は扱えないのでもっと時間が掛かります」
「樹海?」
「ヨツバ王国はアトラス大森林と呼ばれる樹海の中に存在するのよ。普通の人間なら立ち寄る事も禁じられている危険な場所よ」
「え~?そんな事ないよ~!!自然豊かで綺麗な場所だよ?」
「魔獣が大量に生息する森を安全な場所とは言えないわよ……」
シズネによるとヨツバ王国はアトラス大森林と呼ばれる世界最大の樹海の中に存在する国家らしく、森人族以外の種族が住むには不便な土地とされ、レナが育った深淵の森よりも危険な場所らしい。百種類を超える魔獣が生息し、あまりにも広大なため、普通の人間なら迷い込むと死ぬまで出られる事はない危険な樹海として知られていた。
そのような危険な場所にどうして森人族は国家を築いたかというと、彼等は自然を愛する種族のため、どんなに危険地帯であろうと森人族は森の中にしか永住しない。また、逆に言えば危険地帯であるが故に他国からの侵略の際も樹海に生息している魔獣達のお陰でヨツバ王国は守られているといっても過言ではなく、実際に1000年以上の間、ヨツバ王国は他国から領地を奪われたことはない。
「ヨツバ王国はアトラス大森林の奥地に存在し、主要都市は5つに分かれていて、東西南北に4つ、中心地に王都が有ります。カレハ様は間違いなく王都に戻られたでしょうね」
「という事はそこにマリア様が居るという事か?」
「その可能性は高いっす。だけど、王都の警備は尋常じゃないですよ。何しろ1万の軍勢を率いる守備将と防護将が待機してますからね」
「さっき言っていたクレナイとツバサという人か……」
「レナたん、人じゃなくて森人族だよ~」
「真面目な話をしている時に揚げ足を取るんじゃないよ……ほら、スラミン没収するぞ」
「あ、やぁんっ……そ、そっちはスラミンじゃないよ」
「ぷるぷるっ」
話しに割り込んできたティナに対してレナは彼女が乳房に挟んでいたスラミンを取り上げる際に胸に触れ、セクハラは止めなさいという風にスラミンが呆れたような表情を浮かべる。そんな二人のやり取りを見てコトミンも自分に構とばかりにレナの身体に抱き着き、ゴンゾウとダインも会話に加わる。
「あのさ……レナ、なんかさっきからヨツバ王国に忍び込む話になってるんだけどさ、もしかして僕達もその中に入ってるの?」
「え?一緒に行ってくれるんでしょ?」
「やだよ!!何で戦争をおっぱじめようとしている国になんて忍び込まないといけないんだよ!?」
「レナ、今回ばかりは無理強いは駄目よ。潜入を目的としている以上、隠密能力に優れた人材でなければならない。でないと他の人間にも迷惑が掛かるわ」
「えっ!?」
シズネの言葉にダインは驚愕の表情を浮かべ、意外な人物が助け舟を出した事に動揺する。だが、そんなシズネに対してレナは平然と言い返す。
「あ、ダインは隠密のスキルを習得してるよ?」
「そうなの?なら、問題ないわね」
「いや、あるよ!?僕の意思は!?」
あっさりと同行を認めたシズネに対してダインが文句を申し付けるが、そんな彼等のやり取りを見つめながらゴンゾウが申し訳なさそうに答える。
「すまない……俺は隠れるのは苦手だ。狩猟を行うときもこの図体だから身体も気配も殺しきれずに臆病な魔物にはよく逃げられていた」
「私も隠れるのは苦手……水中なら別だけど」
ゴンゾウとコトミンは生憎と隠密のスキルは習得しておらず、どちらも目立つ外見をしているので潜入には不向きだった。残念だが二人はヨツバ王国に同行させる事は難しい。
「多分、従わざるを得ないでしょうね……いくら追放されたとはいえ、現状残っている王族はカレハ様だけですから大半の将軍は従うと思います。それだけヨツバ王国にとって王族の方々は絶対的な存在です」
「でも、こっちにもティナが居るじゃん。ティナが戦争なんて止めて~みたいな事を言えば従わないの?」
ティナは正式な王位継承権を持つのに対し、カレハは最近まで幽閉されていた王族である。普通に考えれば臣下ならばティナに従うはずだが、重要なのはヨツバ王国に存在するのがカレハだけという点らしい。
「確かにティナ様が呼びかければ味方してくれる人も居ると思います。だけど、今のティナ様はバルトロス王国に保護されているのが問題です。きっと、国に戻ったとしてもバルトロス王国の人間に誑かされたとか勘違いされますよ」
「それは確かにあるかも……」
「え?何か言った?」
ティナは自分の話題をするレナ達に振り返り、胸元にスラミンを抱えながら不思議そうに尋ねる。純粋で良い子なのは分かるが、逆に言えば人を疑わずに騙されやすい性格のため、もしもティナがヨツバ王国に戻って戦争を止めるように宣言してもバルトロス王国が彼女を利用して何か策略を立てているのではないかと疑われてしまう。
だが、現状ではカレハに対抗出来る存在は同じ王族であるティナしか存在せず、デブリ国王達を元に戻す方法以外にカレハの暴走を止めるにはティナの力が必要不可欠となる。ヨツバ王国に逃げ込んだキラウを捕まえ、石化を解除させるためにはヨツバ王国に乗り込むしかない。
「仕方ない……俺達もヨツバ王国に向かおう」
「え、本気っすか!?いくら兄貴でも殺されちゃいますよ!?」
「そうね……戦争の準備をしている国に向かう以上、相応の覚悟と準備が必要になるわ」
「でも、このまま放置は出来ない。放っておいたら戦争が始まってバルトロス王国が滅びるかもしれない。それに叔母様も救わないといけないから俺はヨツバ王国に向かうよ」
「その話、俺も混ぜて貰おうか」
「拙者もでござる!!」
「うわぁっ!?何処から現れたお前等!?」
レナの発言に天井から二人の男女の声が響き渡り、全員が驚いて振り返るとそこには天井に重力を無視して仁王立ちするカゲマルとハンゾウの姿が存在した。二人は地面に着地すると、カゲマルは腕を組みながらレナと向かい合う。
「我が主の救出とあらば我等も力を貸そう。忍の力、今のお前達が最も欲しているのではないか?」
「拙者もマリア殿を救いたいでござる!!」
「それはまあ、頼もしいけど……危険だよ?」
「仮に止められた所で我等は二人だけでも向かうつもりだ」
「大した忠誠心ね……レナ、この二人を連れて行きましょう。情報収集を行える人材は貴重よ」
「分かった。なら、よろしくね。カゲちゃんとハンちゃん」
「その呼び名は止めろ……カゲマルと呼んでくれ」
カゲマルとハンゾウもマリアの救出のために準備は整えていたらしく、既にヨツバ王国に向かう計画を立てていた。だが、今回の潜入作戦はかなりの危険を伴い、更に目立たないように行動しなければならないため少数精鋭で挑まなければならない。
「じゃあ、ヨツバ王国に向かう方法を考えよう。そもそもヨツバ王国ってここからどれくらいの距離があるの?」
「そうっすね、あたし達は移動の際はユニコーンの幼種を利用して一週間ぐらいで移動しますけど、人間の方が飼育されている馬だと移動だけで半月は掛かりますね。さらに樹海を抜けて移動するとなると普通の乗り物は扱えないのでもっと時間が掛かります」
「樹海?」
「ヨツバ王国はアトラス大森林と呼ばれる樹海の中に存在するのよ。普通の人間なら立ち寄る事も禁じられている危険な場所よ」
「え~?そんな事ないよ~!!自然豊かで綺麗な場所だよ?」
「魔獣が大量に生息する森を安全な場所とは言えないわよ……」
シズネによるとヨツバ王国はアトラス大森林と呼ばれる世界最大の樹海の中に存在する国家らしく、森人族以外の種族が住むには不便な土地とされ、レナが育った深淵の森よりも危険な場所らしい。百種類を超える魔獣が生息し、あまりにも広大なため、普通の人間なら迷い込むと死ぬまで出られる事はない危険な樹海として知られていた。
そのような危険な場所にどうして森人族は国家を築いたかというと、彼等は自然を愛する種族のため、どんなに危険地帯であろうと森人族は森の中にしか永住しない。また、逆に言えば危険地帯であるが故に他国からの侵略の際も樹海に生息している魔獣達のお陰でヨツバ王国は守られているといっても過言ではなく、実際に1000年以上の間、ヨツバ王国は他国から領地を奪われたことはない。
「ヨツバ王国はアトラス大森林の奥地に存在し、主要都市は5つに分かれていて、東西南北に4つ、中心地に王都が有ります。カレハ様は間違いなく王都に戻られたでしょうね」
「という事はそこにマリア様が居るという事か?」
「その可能性は高いっす。だけど、王都の警備は尋常じゃないですよ。何しろ1万の軍勢を率いる守備将と防護将が待機してますからね」
「さっき言っていたクレナイとツバサという人か……」
「レナたん、人じゃなくて森人族だよ~」
「真面目な話をしている時に揚げ足を取るんじゃないよ……ほら、スラミン没収するぞ」
「あ、やぁんっ……そ、そっちはスラミンじゃないよ」
「ぷるぷるっ」
話しに割り込んできたティナに対してレナは彼女が乳房に挟んでいたスラミンを取り上げる際に胸に触れ、セクハラは止めなさいという風にスラミンが呆れたような表情を浮かべる。そんな二人のやり取りを見てコトミンも自分に構とばかりにレナの身体に抱き着き、ゴンゾウとダインも会話に加わる。
「あのさ……レナ、なんかさっきからヨツバ王国に忍び込む話になってるんだけどさ、もしかして僕達もその中に入ってるの?」
「え?一緒に行ってくれるんでしょ?」
「やだよ!!何で戦争をおっぱじめようとしている国になんて忍び込まないといけないんだよ!?」
「レナ、今回ばかりは無理強いは駄目よ。潜入を目的としている以上、隠密能力に優れた人材でなければならない。でないと他の人間にも迷惑が掛かるわ」
「えっ!?」
シズネの言葉にダインは驚愕の表情を浮かべ、意外な人物が助け舟を出した事に動揺する。だが、そんなシズネに対してレナは平然と言い返す。
「あ、ダインは隠密のスキルを習得してるよ?」
「そうなの?なら、問題ないわね」
「いや、あるよ!?僕の意思は!?」
あっさりと同行を認めたシズネに対してダインが文句を申し付けるが、そんな彼等のやり取りを見つめながらゴンゾウが申し訳なさそうに答える。
「すまない……俺は隠れるのは苦手だ。狩猟を行うときもこの図体だから身体も気配も殺しきれずに臆病な魔物にはよく逃げられていた」
「私も隠れるのは苦手……水中なら別だけど」
ゴンゾウとコトミンは生憎と隠密のスキルは習得しておらず、どちらも目立つ外見をしているので潜入には不向きだった。残念だが二人はヨツバ王国に同行させる事は難しい。
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