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外伝 ~ヨツバ王国編~
いざ、ヨツバ王国へ
――ヨツバ王国の使者が王城を去ってから二日後、予定よりも準備に手間取ってしまったがレナ達も王都からヨツバ王国へ向かう準備を整える。ウルの背中にレナとエリナが乗り込み、ハンゾウとカゲマルはアインが馬車を引いて途中まで移動する手筈だった。
「じゃあ、俺達がヨツバ王国へ向かう間に他の剣聖の人達を探しておいてね」
「ああ、分かった……いつもお前には苦労を掛けてすまないな」
「気にしないでよ、姉弟でしょ?」
レナは見送りのためにわざわざ業務を抜け出して来てくれたナオと握手を行い、彼女に王都から離れた他の剣聖達の捜索を頼む。ヨツバ王国へ乗り込む場合、戦力が多い事に越したことはなく、仮に六聖将と呼ばれる将軍達と敵対する自体になった場合はどうしても一騎当千の実力を誇る剣聖の力は必要不可欠だった。
破壊剣聖であるゴウライは王都の一件以来、洗脳された状態で大人数を相手にしていたとはいえ、自分が敗北した事を知ると一から修行をやり直すと宣言して旅に出てしまう。他の剣聖達も諸々の理由で現在は王都を離れ、彼等の捜索は王国地方に滞在していた緑影の面子を味方にして戻って来たラナに出発前にレナは既にに依頼していた。
『我々の情報網を以てすれば見つけ出す事は容易い。だが、彼等が協力してくれるかどうかまでは約束出来ないぞ?』
『分かってる。多分、皆は叔母様がヨツバ王国でまだ監禁されている事を知らないと思うからその事も伝えておいてくれる?』
剣聖達が主人として仕えているマリアはヨツバ王国に捕まっている事を知っていたが、デブリ国王が国に戻り次第にマリアを解放する事を約束してくれたため、ヨツバ王国の出身であるシュンに後の事は任せて各自は王都を離れる。ゴウライは先述の通り修行のため、ロウガは冒険都市へ引き返し、ジャンヌは実家の方へ里帰りしていた。3人が王都へ訪れないのはデブリ国王達が石像にされた事を知らないためであり、もしも事情を知れば駆けつけてくれるだろう。
「じゃあ、準備は良い?エリナ、案内役はよろしく頼むよ!!」
「うぃっす!!」
「ウォンッ!!」
「ぷるぷるっ」
「うわ、スラミン!?お前も来るのか?」
ウルの背中には既にエリナが乗り込み、彼女の頭の上にはスラミンも張り付いていた。どうやら同行するつもりらしく、しっかりとエリナの頭に張り付く。仕方がないのでレナもウルの背中に乗り込むと、後ろの方からアインが馬車を引きながらウルの横に並ぶ。
「キュロロロッ♪」
「ウォンッ♪」
アインは久しぶりにウルと共に走れることに喜びを示し、ウルも上機嫌に鳴き声をあげる。どちらもゴウライから受けた傷は完全には言えておらず、もしかしたら痣として残るかもしれないが、本人たちは特に気にしている様子はない。
「レナ殿、拙者たちは行商人をふりをして後に続くでござる」
「お前達は俺達の護衛として雇われた冒険者として振舞え」
「分かった。でも……カゲマルは本当に色んな人に化けられるんだな」
ハンゾウの方はいつもの黒装束ではなく金持ちの行商人の娘らしいドレスを着込み、その一方でカゲマルの方は恰幅の良い中年男性に化けていた。カゲマルの変装の技能は自分の体格とさほど変わらない人間しか演じられないらしいが、腹に詰め物をする事で小太りの男性に完璧に化けていた。
「レナ、気を付けて……いざという時は逃げてもいいから」
「くれぐれもドジをしないように気を付けなさい……必ず戻ってきなさい」
「分かったよ。ありがとう二人とも」
ウルの背中の上から見送りのために来てくれたコトミンとシズネの手を握り締め、別れの挨拶を負える。ちなみにゴンゾウとダインはそれぞれの準備のために見送りには来ておらず、この二人とナオだけがレナ達の見送りに赴いた。
「じゃあ、出発するよ!!ハイヨーシルバー!!」
「ウォンッ!?」
「キュロロッ?」
ウルとアインが「シルバーとは誰だ!?」と言わんばかりに困惑の鳴き声をあげるが、遂にレナ達を乗せた2匹が草原を駆け抜ける。しばらくの間は草原を走り続ける事になるが、数日もすればヨツバ王国の領地が存在する「アトラス大森林」と呼ばれる樹海へ辿り着き、そこから先はエリナの案内で進む事になる。
「ウル、アイン!!最初から飛ばし過ぎないように気を付けろ!!一定の速度を保って走り続けるんだぞ!!」
「ウォオオンッ!!」
「キュロロッ!!」
「おお、早い早い!!これなら予定よりもずっと早く辿り着けそうっす!!」
並の馬とは比べ物にならない速度で駆け抜けるウルとアインに乗ってレナ達はアトラス大森林へ向かい、この数日後にレナ達は遂にヨツバ王国へ到着する――
――その一方、ヨツバ王国の北方領地に存在する「ホクヘキ」と呼ばれる防衛基地には北聖将のハシラが外敵からの侵入に備え、総勢1万の兵士を総動員して警戒態勢を敷いていた。アトラス大森林には巨大な樹木が多数存在し、その樹木を利用して森人族達は枝の上に建物を建設している。
北聖将が警備を任されているホクヘキの基地は複数の大樹が密集し、その大樹の内部を抉り抜いて兵士達は生活を送っている。基地と言っても正確には街の機能も果たしており、兵士ではない普通の住民も暮らしていた。
ホクヘキの更に真北には旧都が存在し、ユニコーンが現れるまでは数多くの人々が旧都に暮らしていたが、現在はその住民達はホクヘキに移住し、兵士以外の一般人も多い。しかもヨツバ王国には森人族以外の種族も意外と多いため、彼等の中にバルトロス王国と結託して内部情報を漏らさない者がいないのかを見張らなければならなかった。
「ハシラ様!!こちらへおいででしたか!!」
基地内に存在する最も巨大な大樹に北聖将のハシラは住み着き、報告に訪れた部下に視線を向ける。ちなみにハシラが存在するのは巨大な枝の上であり、背中に大弓を抱えた状態でそらを睨んでいた。その様子を見た兵士は彼の姿を見て慌てて頭を下げる。
「申し訳ございません!!鍛錬中でしたか……後で改めて報告します!!」
「いや、構わない。そこに居ろ」
ハシラの外見は身長は160センチ程度で小柄な男性であり、外見年齢は人間基準だと20代後半ぐらいの男性だった。小柄な体格ではあるが、無駄な脂肪が一切ついていない引き締まった筋肉をしており、空の上を眺めながら何か様子を探るように大弓を構えた。
「ふっ……!!」
大弓を構えたハシラは空へ向けて矢を放ち、やがて矢は空の彼方へと消えて見えなくなった。その様子を観察していた兵士は冷や汗を流し、矢を放ってから10秒後に空の上から頭を射抜かれた大きな鳥がハシラの元へ落ちてきた。ハシラは自分の元へ落ちてきた鳥を捕まえると、頭に突き刺さった矢を確認して満足そうに頷く。
「……まだ腕は衰えていないな」
「お、お見事です!!」
鳥に突き刺さった矢は頭を射抜いただけでなく、両目を横から貫通する形で射抜かれ、それを目撃した兵士は拍手を行う。ハシラは獲物から矢を引き抜くと腰の矢筒に戻し、本日の鍛錬を終えたので兵士の報告を聞く。
「どうした?何が異変が起きたか?」
「先ほど、王都から使者が訪れて国王代行のカレハ様から将軍に書状を渡すように言われました!!こちらをどうぞ!!」
「書状だと?」
ハシラは兵士から差しだされた羊皮紙を受け取ると、その内容を見て表情を引き締め、兵士に即座に命令を下す。
「カレハ様からの命令だ。ホクヘキの防備の強化のため、王都から増員の兵士が送り込まれる事になった。すぐに増員の兵士を迎え入れる準備を整えなければならん」
「増員、ですか?我々だけで十分では……」
「それを判断するのは我等ではなく、カレハ様だ。すぐに基地内の部隊長を集めろ!!会議を行う!!」
「はっ、はい!!」
カレハから受け取った書状を握り締めながらハシラは仕留めた鳥を抱えて大樹の中に入り込み、自分の部下を集めて会議を行う準備を整えた――
「じゃあ、俺達がヨツバ王国へ向かう間に他の剣聖の人達を探しておいてね」
「ああ、分かった……いつもお前には苦労を掛けてすまないな」
「気にしないでよ、姉弟でしょ?」
レナは見送りのためにわざわざ業務を抜け出して来てくれたナオと握手を行い、彼女に王都から離れた他の剣聖達の捜索を頼む。ヨツバ王国へ乗り込む場合、戦力が多い事に越したことはなく、仮に六聖将と呼ばれる将軍達と敵対する自体になった場合はどうしても一騎当千の実力を誇る剣聖の力は必要不可欠だった。
破壊剣聖であるゴウライは王都の一件以来、洗脳された状態で大人数を相手にしていたとはいえ、自分が敗北した事を知ると一から修行をやり直すと宣言して旅に出てしまう。他の剣聖達も諸々の理由で現在は王都を離れ、彼等の捜索は王国地方に滞在していた緑影の面子を味方にして戻って来たラナに出発前にレナは既にに依頼していた。
『我々の情報網を以てすれば見つけ出す事は容易い。だが、彼等が協力してくれるかどうかまでは約束出来ないぞ?』
『分かってる。多分、皆は叔母様がヨツバ王国でまだ監禁されている事を知らないと思うからその事も伝えておいてくれる?』
剣聖達が主人として仕えているマリアはヨツバ王国に捕まっている事を知っていたが、デブリ国王が国に戻り次第にマリアを解放する事を約束してくれたため、ヨツバ王国の出身であるシュンに後の事は任せて各自は王都を離れる。ゴウライは先述の通り修行のため、ロウガは冒険都市へ引き返し、ジャンヌは実家の方へ里帰りしていた。3人が王都へ訪れないのはデブリ国王達が石像にされた事を知らないためであり、もしも事情を知れば駆けつけてくれるだろう。
「じゃあ、準備は良い?エリナ、案内役はよろしく頼むよ!!」
「うぃっす!!」
「ウォンッ!!」
「ぷるぷるっ」
「うわ、スラミン!?お前も来るのか?」
ウルの背中には既にエリナが乗り込み、彼女の頭の上にはスラミンも張り付いていた。どうやら同行するつもりらしく、しっかりとエリナの頭に張り付く。仕方がないのでレナもウルの背中に乗り込むと、後ろの方からアインが馬車を引きながらウルの横に並ぶ。
「キュロロロッ♪」
「ウォンッ♪」
アインは久しぶりにウルと共に走れることに喜びを示し、ウルも上機嫌に鳴き声をあげる。どちらもゴウライから受けた傷は完全には言えておらず、もしかしたら痣として残るかもしれないが、本人たちは特に気にしている様子はない。
「レナ殿、拙者たちは行商人をふりをして後に続くでござる」
「お前達は俺達の護衛として雇われた冒険者として振舞え」
「分かった。でも……カゲマルは本当に色んな人に化けられるんだな」
ハンゾウの方はいつもの黒装束ではなく金持ちの行商人の娘らしいドレスを着込み、その一方でカゲマルの方は恰幅の良い中年男性に化けていた。カゲマルの変装の技能は自分の体格とさほど変わらない人間しか演じられないらしいが、腹に詰め物をする事で小太りの男性に完璧に化けていた。
「レナ、気を付けて……いざという時は逃げてもいいから」
「くれぐれもドジをしないように気を付けなさい……必ず戻ってきなさい」
「分かったよ。ありがとう二人とも」
ウルの背中の上から見送りのために来てくれたコトミンとシズネの手を握り締め、別れの挨拶を負える。ちなみにゴンゾウとダインはそれぞれの準備のために見送りには来ておらず、この二人とナオだけがレナ達の見送りに赴いた。
「じゃあ、出発するよ!!ハイヨーシルバー!!」
「ウォンッ!?」
「キュロロッ?」
ウルとアインが「シルバーとは誰だ!?」と言わんばかりに困惑の鳴き声をあげるが、遂にレナ達を乗せた2匹が草原を駆け抜ける。しばらくの間は草原を走り続ける事になるが、数日もすればヨツバ王国の領地が存在する「アトラス大森林」と呼ばれる樹海へ辿り着き、そこから先はエリナの案内で進む事になる。
「ウル、アイン!!最初から飛ばし過ぎないように気を付けろ!!一定の速度を保って走り続けるんだぞ!!」
「ウォオオンッ!!」
「キュロロッ!!」
「おお、早い早い!!これなら予定よりもずっと早く辿り着けそうっす!!」
並の馬とは比べ物にならない速度で駆け抜けるウルとアインに乗ってレナ達はアトラス大森林へ向かい、この数日後にレナ達は遂にヨツバ王国へ到着する――
――その一方、ヨツバ王国の北方領地に存在する「ホクヘキ」と呼ばれる防衛基地には北聖将のハシラが外敵からの侵入に備え、総勢1万の兵士を総動員して警戒態勢を敷いていた。アトラス大森林には巨大な樹木が多数存在し、その樹木を利用して森人族達は枝の上に建物を建設している。
北聖将が警備を任されているホクヘキの基地は複数の大樹が密集し、その大樹の内部を抉り抜いて兵士達は生活を送っている。基地と言っても正確には街の機能も果たしており、兵士ではない普通の住民も暮らしていた。
ホクヘキの更に真北には旧都が存在し、ユニコーンが現れるまでは数多くの人々が旧都に暮らしていたが、現在はその住民達はホクヘキに移住し、兵士以外の一般人も多い。しかもヨツバ王国には森人族以外の種族も意外と多いため、彼等の中にバルトロス王国と結託して内部情報を漏らさない者がいないのかを見張らなければならなかった。
「ハシラ様!!こちらへおいででしたか!!」
基地内に存在する最も巨大な大樹に北聖将のハシラは住み着き、報告に訪れた部下に視線を向ける。ちなみにハシラが存在するのは巨大な枝の上であり、背中に大弓を抱えた状態でそらを睨んでいた。その様子を見た兵士は彼の姿を見て慌てて頭を下げる。
「申し訳ございません!!鍛錬中でしたか……後で改めて報告します!!」
「いや、構わない。そこに居ろ」
ハシラの外見は身長は160センチ程度で小柄な男性であり、外見年齢は人間基準だと20代後半ぐらいの男性だった。小柄な体格ではあるが、無駄な脂肪が一切ついていない引き締まった筋肉をしており、空の上を眺めながら何か様子を探るように大弓を構えた。
「ふっ……!!」
大弓を構えたハシラは空へ向けて矢を放ち、やがて矢は空の彼方へと消えて見えなくなった。その様子を観察していた兵士は冷や汗を流し、矢を放ってから10秒後に空の上から頭を射抜かれた大きな鳥がハシラの元へ落ちてきた。ハシラは自分の元へ落ちてきた鳥を捕まえると、頭に突き刺さった矢を確認して満足そうに頷く。
「……まだ腕は衰えていないな」
「お、お見事です!!」
鳥に突き刺さった矢は頭を射抜いただけでなく、両目を横から貫通する形で射抜かれ、それを目撃した兵士は拍手を行う。ハシラは獲物から矢を引き抜くと腰の矢筒に戻し、本日の鍛錬を終えたので兵士の報告を聞く。
「どうした?何が異変が起きたか?」
「先ほど、王都から使者が訪れて国王代行のカレハ様から将軍に書状を渡すように言われました!!こちらをどうぞ!!」
「書状だと?」
ハシラは兵士から差しだされた羊皮紙を受け取ると、その内容を見て表情を引き締め、兵士に即座に命令を下す。
「カレハ様からの命令だ。ホクヘキの防備の強化のため、王都から増員の兵士が送り込まれる事になった。すぐに増員の兵士を迎え入れる準備を整えなければならん」
「増員、ですか?我々だけで十分では……」
「それを判断するのは我等ではなく、カレハ様だ。すぐに基地内の部隊長を集めろ!!会議を行う!!」
「はっ、はい!!」
カレハから受け取った書状を握り締めながらハシラは仕留めた鳥を抱えて大樹の中に入り込み、自分の部下を集めて会議を行う準備を整えた――
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