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外伝 ~ヨツバ王国編~
ウルの嗅覚
「案ずるな、苦無には痺れ薬を仕込んでいる。そいつはしばらくは動かん」
「あ、本当だ……なんかぴくぴくしてる」
「こいつはカメオロロンじゃないっすか!?風景に擬態して獲物を捕食する魔獣ですよ!!全然気付かなかった……」
「よく分かったなウル……そうか、お前鼻が良いから気付いたんだな?」
「ウォンッ!!」
レナに褒められてウルは嬉しそうに尻尾を振り、ここでレナはウルの嗅覚の鋭さを思い出す。ウルならば移動の最中でも隠れている生物の臭いを嗅ぎ取る事が出来るのならば森の中を見張っているヨツバ王国の兵士達にも気づく事が出来るのではないかと考えた。
「ウル、お前なら隠れている奴の臭いを嗅ぎ取る事が出来るな?なら、ここから先はウルの鼻を頼りに進めば隠れている兵士達の位置も把握出来るんじゃないのかな?」
「いや、確かにカメオロロンを発見したのは凄いですけど……そんなに上手く行くんですか?」
「ウルの鼻を信じてよ。こいつのお陰で俺は深淵の森から生き延びることが出来たんだから」
「ウォオンッ!!」
「ちょ、分かりましたから……信じます、信じますって!!」
自分を信じろとばかりにウルはエリナに近付き、鼻先を押し付ける。その行為にエリナは戸惑いながらも承諾し、進路を旧都へ変更して移動を再開した――
――結果から言えばウルの嗅覚は非常に頼りになり、接近してくる魔獣を事前に察知し、隠れている生物の位置も把握出来た。移動の最中に何度か魔獣と交戦する事もあったが、それでもレナ達は予定よりも大幅に移動時間を短縮して旧都と呼ばれる場所へ辿り着く。
「見てください、あれが旧都ですよ!!凄く綺麗な場所でしょう?」
「本当だ……なんか、神秘的な光景だな」
「途轍もなく大きな湖でござるな……それに中央に存在する島、あそこがエルフ王国の都だったのでござるか?」
「あれが世界樹の残骸か、噂は耳にしていたが途轍もなく大きな大樹だったようだな……」
「ウォンッ……」
「キュロロッ」
レナ達は旧都を見通せる崖の上から湖を視認し、エリナの言う通りに湖の中心部には島が存在し、その上にはかつては都として栄えていた廃墟が広がっていた。さらに島の中心地には巨大な大樹の根本の部分だけが存在し、大昔はこの場所に世界で最も高く壮大な「世界樹」と呼ばれる大樹が生えていた事を想像させる。
この旧都はかつて「魔王軍」と呼ばれる存在によって復活された「昆虫種」によって滅ぼされ、世界樹は破壊された事で都も崩壊し、ヨツバ王国の前に存在した森人族の国家は一度滅びてしまったという。世界樹は根本の部分を残して他の箇所は焼き崩れてしまったらしく、建物の大半も木造製だった事から大部分が焼失してしまう。
現在の旧都はユニコーンが現れる前は数百人の森人族が生活をしていたそうだが、都として機能する事は出来ず、現在のヨツバ王国は南方に都を新たに築いて暮らしている。南方にはもう一つだけ世界樹が存在するらしく、それが正真正銘この世界で最後の世界樹らしい。
「それにしても本当に大きな湖だな……迂回するにしても時間が掛かりそうだ」
「そうっすね。この周辺はもうユニコーンの縄張りですからあたしたちも慎重に動かないといけません」
「拙者たちはこれからどうすればいいのでござる?」
「今日はもう遅いので一晩過ごした後、明日の朝一番に出発しましょう。ここから先は北聖将の領地に入りますから今まで以上に慎重に行動する必要がありますからね」
「分かった。それにしても……気のせいか全然生物の気配を感じないな。ユニコーンの縄張りに入ったからかな?」
「竜種にしろ、それに近い力を持つ生物の生息地域には弱小の魔物は寄り付かない。だが、俺は魔物が寄りつかない理由はあの世界樹が関係していると思うがな」
「世界樹が?」
カゲマルの言葉にレナは不思議そうに根本の部分だけが残った世界樹に視線を向けると、ウルがレナの背中を鼻先でつつき、何とも言えない表情を浮かべていた。
「クゥ~ンッ……」
「どうしたウル?何か気になるのか?」
「キュロロッ……」
「アインも何か様子がおかしいでござる?」
「あ、しまった……言い忘れてましたけど世界樹には何故か普通の魔物は寄り付かないんです。理由は世界樹から発せられる植物の香りが獣型の魔獣が嫌うらしいんで大抵の魔獣は世界樹に近寄る事も出来ません」
「そういう事は早く言えよ……仕方ない、ウル達のためにもっと離れるか。あれ?ちょっと待て、それならどうしてユニコーンは旧都を縄張りにしてるんだ?あいつも魔獣でしょ?」
「ユニコーンは草食獣だから平気なんすよ。薬草とかを好んで食べる事からむしろユニコーンにとっては世界樹のような強力な魔力を帯びる樹木が存在する場所はむしろ落ち着くんです」
世界樹から発せられる香りはレナ達には感じ取る事は出来ないが、大抵の魔獣、特に嗅覚が鋭い生物にとっては刺激臭のように嫌われるらしく、ウルとアインも例外ではない。仕方ないので今夜は世界樹の香りが届かない位置まで避難しようとしたとき、湖の方角から轟音が鳴り響く。
「何だ!?」
「今の音は……旧都の方からでござる!?」
「えっ!?」
全員が湖の中心に存在する旧都に視線を向けると、廃墟と化した城下町の方から黒煙が舞い上がっていた。最初は火災が起きたのかと思ったが様子がおかしく、距離が離れすぎているので詳細は確認出来ないが湖の南方の方角から数多くの小舟が接近していた。
「あれは……ヨツバ王国の軍隊か!?」
「間違いないっす!!しかもあれだけの数の兵士……一体どうして!?」
「……船の数は500と言ったところか、恐らく既に旧都に乗り込んでいる兵士も居るだろう」
小舟には3~4人の兵士が乗り込んでいる事を考えると総勢で1500~2000程度の兵士が旧都へ向けて乗り込み、続々と陸の方から新手の兵士が出現して小舟を運び出していた。一体何が起きているのかは不明だが、状況を考えるにヨツバ王国の兵士が旧都を奪還するために乗り込んだとしか考えられない。
「どうして急にこんな大量の兵士が……俺達の存在がバレた様子じゃないけど」
「何で軍隊が今更旧都に……まさか、ユニコーンを討伐するために!?」
「ユニコーンの討伐は出来ないのではなかったのでござるか!?」
「待て、それよりもこれは好機だ……これだけの兵士が集まっているという事は北聖将の領地の警備が薄まっているはずだ!!今の内に先に進むぞ!!」
「でも、ユニコーンが……」
「俺達の目的は何だ?ユニコーンを守る事ではなく、ヨツバ王国に潜伏しているキラウを見つけ出して王族の石化を解かせる事、そしてマリア様の救出のために訪れたのではないのか?」
「そ、それはそうですけど……」
カゲマルが軍隊が旧都に向かっている間に北聖将の領地に忍び込み、先に進む事を提案するがエリナは旧都に視線を向けて複雑な表情を浮かべ、軍隊が何故旧都に乗り込もうとしているのかを理由を知りたそうだった。レナとしても結果的にとはいえフェンリルから自分達の命を救ってくれたユニコーンの縄張りに軍隊が乗り込んできた事は気になるが、カゲマルの言葉は正論だった。
この機を逃せば北聖将の領地に侵入する絶好の好機を逃し、そもそもレナ達だけで数千の兵士を相手に何が出来るのかも分からず、ここは冷静になって先に進まなければならない。
「あ、本当だ……なんかぴくぴくしてる」
「こいつはカメオロロンじゃないっすか!?風景に擬態して獲物を捕食する魔獣ですよ!!全然気付かなかった……」
「よく分かったなウル……そうか、お前鼻が良いから気付いたんだな?」
「ウォンッ!!」
レナに褒められてウルは嬉しそうに尻尾を振り、ここでレナはウルの嗅覚の鋭さを思い出す。ウルならば移動の最中でも隠れている生物の臭いを嗅ぎ取る事が出来るのならば森の中を見張っているヨツバ王国の兵士達にも気づく事が出来るのではないかと考えた。
「ウル、お前なら隠れている奴の臭いを嗅ぎ取る事が出来るな?なら、ここから先はウルの鼻を頼りに進めば隠れている兵士達の位置も把握出来るんじゃないのかな?」
「いや、確かにカメオロロンを発見したのは凄いですけど……そんなに上手く行くんですか?」
「ウルの鼻を信じてよ。こいつのお陰で俺は深淵の森から生き延びることが出来たんだから」
「ウォオンッ!!」
「ちょ、分かりましたから……信じます、信じますって!!」
自分を信じろとばかりにウルはエリナに近付き、鼻先を押し付ける。その行為にエリナは戸惑いながらも承諾し、進路を旧都へ変更して移動を再開した――
――結果から言えばウルの嗅覚は非常に頼りになり、接近してくる魔獣を事前に察知し、隠れている生物の位置も把握出来た。移動の最中に何度か魔獣と交戦する事もあったが、それでもレナ達は予定よりも大幅に移動時間を短縮して旧都と呼ばれる場所へ辿り着く。
「見てください、あれが旧都ですよ!!凄く綺麗な場所でしょう?」
「本当だ……なんか、神秘的な光景だな」
「途轍もなく大きな湖でござるな……それに中央に存在する島、あそこがエルフ王国の都だったのでござるか?」
「あれが世界樹の残骸か、噂は耳にしていたが途轍もなく大きな大樹だったようだな……」
「ウォンッ……」
「キュロロッ」
レナ達は旧都を見通せる崖の上から湖を視認し、エリナの言う通りに湖の中心部には島が存在し、その上にはかつては都として栄えていた廃墟が広がっていた。さらに島の中心地には巨大な大樹の根本の部分だけが存在し、大昔はこの場所に世界で最も高く壮大な「世界樹」と呼ばれる大樹が生えていた事を想像させる。
この旧都はかつて「魔王軍」と呼ばれる存在によって復活された「昆虫種」によって滅ぼされ、世界樹は破壊された事で都も崩壊し、ヨツバ王国の前に存在した森人族の国家は一度滅びてしまったという。世界樹は根本の部分を残して他の箇所は焼き崩れてしまったらしく、建物の大半も木造製だった事から大部分が焼失してしまう。
現在の旧都はユニコーンが現れる前は数百人の森人族が生活をしていたそうだが、都として機能する事は出来ず、現在のヨツバ王国は南方に都を新たに築いて暮らしている。南方にはもう一つだけ世界樹が存在するらしく、それが正真正銘この世界で最後の世界樹らしい。
「それにしても本当に大きな湖だな……迂回するにしても時間が掛かりそうだ」
「そうっすね。この周辺はもうユニコーンの縄張りですからあたしたちも慎重に動かないといけません」
「拙者たちはこれからどうすればいいのでござる?」
「今日はもう遅いので一晩過ごした後、明日の朝一番に出発しましょう。ここから先は北聖将の領地に入りますから今まで以上に慎重に行動する必要がありますからね」
「分かった。それにしても……気のせいか全然生物の気配を感じないな。ユニコーンの縄張りに入ったからかな?」
「竜種にしろ、それに近い力を持つ生物の生息地域には弱小の魔物は寄り付かない。だが、俺は魔物が寄りつかない理由はあの世界樹が関係していると思うがな」
「世界樹が?」
カゲマルの言葉にレナは不思議そうに根本の部分だけが残った世界樹に視線を向けると、ウルがレナの背中を鼻先でつつき、何とも言えない表情を浮かべていた。
「クゥ~ンッ……」
「どうしたウル?何か気になるのか?」
「キュロロッ……」
「アインも何か様子がおかしいでござる?」
「あ、しまった……言い忘れてましたけど世界樹には何故か普通の魔物は寄り付かないんです。理由は世界樹から発せられる植物の香りが獣型の魔獣が嫌うらしいんで大抵の魔獣は世界樹に近寄る事も出来ません」
「そういう事は早く言えよ……仕方ない、ウル達のためにもっと離れるか。あれ?ちょっと待て、それならどうしてユニコーンは旧都を縄張りにしてるんだ?あいつも魔獣でしょ?」
「ユニコーンは草食獣だから平気なんすよ。薬草とかを好んで食べる事からむしろユニコーンにとっては世界樹のような強力な魔力を帯びる樹木が存在する場所はむしろ落ち着くんです」
世界樹から発せられる香りはレナ達には感じ取る事は出来ないが、大抵の魔獣、特に嗅覚が鋭い生物にとっては刺激臭のように嫌われるらしく、ウルとアインも例外ではない。仕方ないので今夜は世界樹の香りが届かない位置まで避難しようとしたとき、湖の方角から轟音が鳴り響く。
「何だ!?」
「今の音は……旧都の方からでござる!?」
「えっ!?」
全員が湖の中心に存在する旧都に視線を向けると、廃墟と化した城下町の方から黒煙が舞い上がっていた。最初は火災が起きたのかと思ったが様子がおかしく、距離が離れすぎているので詳細は確認出来ないが湖の南方の方角から数多くの小舟が接近していた。
「あれは……ヨツバ王国の軍隊か!?」
「間違いないっす!!しかもあれだけの数の兵士……一体どうして!?」
「……船の数は500と言ったところか、恐らく既に旧都に乗り込んでいる兵士も居るだろう」
小舟には3~4人の兵士が乗り込んでいる事を考えると総勢で1500~2000程度の兵士が旧都へ向けて乗り込み、続々と陸の方から新手の兵士が出現して小舟を運び出していた。一体何が起きているのかは不明だが、状況を考えるにヨツバ王国の兵士が旧都を奪還するために乗り込んだとしか考えられない。
「どうして急にこんな大量の兵士が……俺達の存在がバレた様子じゃないけど」
「何で軍隊が今更旧都に……まさか、ユニコーンを討伐するために!?」
「ユニコーンの討伐は出来ないのではなかったのでござるか!?」
「待て、それよりもこれは好機だ……これだけの兵士が集まっているという事は北聖将の領地の警備が薄まっているはずだ!!今の内に先に進むぞ!!」
「でも、ユニコーンが……」
「俺達の目的は何だ?ユニコーンを守る事ではなく、ヨツバ王国に潜伏しているキラウを見つけ出して王族の石化を解かせる事、そしてマリア様の救出のために訪れたのではないのか?」
「そ、それはそうですけど……」
カゲマルが軍隊が旧都に向かっている間に北聖将の領地に忍び込み、先に進む事を提案するがエリナは旧都に視線を向けて複雑な表情を浮かべ、軍隊が何故旧都に乗り込もうとしているのかを理由を知りたそうだった。レナとしても結果的にとはいえフェンリルから自分達の命を救ってくれたユニコーンの縄張りに軍隊が乗り込んできた事は気になるが、カゲマルの言葉は正論だった。
この機を逃せば北聖将の領地に侵入する絶好の好機を逃し、そもそもレナ達だけで数千の兵士を相手に何が出来るのかも分からず、ここは冷静になって先に進まなければならない。
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