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外伝 ~ヨツバ王国編~
兵士の救出
「皆、ついてこい!!」
「ウォンッ!!」
「兄貴!?」
「レナ殿!?」
唐突に走り出したレナに対してエリナとハンゾウは驚くが、相棒であるウルは即座に従い、兵士達の元へ向かう。移動の途中でウルに飛び乗ったレナは一瞬だけ後方を確認すると慌てた様子でエリナ達が後に続くのを確認し、空間魔法を発動させて退魔刀を取り出す。
「なっ……待て!!何を考えている!?」
「説教は後で聞く!!」
途中でカゲマルと遭遇するが、彼の制止の言葉を無視してレナはコボルトに襲われている兵士達の元へ向かう。その姿を見たカゲマルは舌打ちしながらも後に続き、遂にレナ達は現場へと辿り着く。
「ち、近寄るなぁっ!!」
「ガアアッ!!」
到着した時には20人は存在した兵士は既に半数は殺され、もう半数は負傷した状態で倒れていた。コボルトは片腕を抑えた兵士に乗りかかり、その鋭い牙で噛みつこうとしている所を見たレナは退魔刀を振り翳し、投擲した。
「止めろっ!!」
「ガァッ!?」
「ひいいっ!?」
背後から異様な威圧を感じ取ったコボルトは咄嗟にバク転して回避に成功すると、退魔刀の刃が兵士の頭上を通過して傍に存在した大樹に突き刺さった。唐突な奇襲に対してコボルトは地面に着地するのと同時にレナ達の存在を確認し、自分の邪魔をする存在に怒りを露わにした。
「ガアアッ……!!」
「ウォオオオンッ!!」
だが、コボルトの鳴き声よりも上回る声量でウルが雄たけびを上げると、一瞬だけコボルトは怯み、同じ狼ではあるが圧倒的な体格差が存在するウルを確認して後退る。その様子を確認したレナは氷塊の魔法を発動させて長剣を作り出す。
「氷装剣」
「ウガァッ……!?」
手元に氷の長剣を生み出したレナに対してコボルトは驚愕の表情を浮かべたが、即座に身体を伏せて四足歩行になると、警戒するようにレナを睨みつける。その様子を見てレナは長剣を握り締めると、足元に力を込めて一気にコボルトとの距離を詰めるために跳躍した。
レナが身に着けた移動術の中でも最高速度を誇り、直線上の移動速度ならば「縮地」よりも移動速度が上回る複合戦技の「瞬動術」によってコボルトの目の前にまで接近したレナは長剣を振り翳し、容赦なく首を切り裂く。
「旋風っ!!」
「ガアアッ!?」
横薙ぎに剣を振りはらう戦技を発動させ、コボルトの首を容易く切断すると、地面に切り裂かれた頭部と肉体が崩れ落ちた。時間にすれば1秒にも満たない間に兵士達を圧倒したコボルトを討伐したレナは氷装剣を解除させ、生き残った兵士の方へ振り返る。
「大丈夫ですか?」
「え、あ、ああっ……」
「おい、何をしている!!早く行くぞ!!」
片腕を抑えた兵士の元にレナが治療しようと近づこうとすると、怒った様子のカゲマルが現れ、彼の肩を掴む。遅れて他の者達も訪れ、その惨状を見て驚愕の表情を浮かべた。
「な、何が起きたんですか!?」
「これは一体……」
「キュロロッ?」
「ヒヒィンッ……」
「お前達まで……くそ、これでは計画が台無しではないか!!」
全員が姿を見せた事に対してカゲマルは嘆いたように頭を抑え、兵士達に姿を見られた以上は誤魔化す事は出来ず、遂にヨツバ王国側の人間に自分達の正体を知られてしまう。このまま兵士を見逃せば間違いなく北聖将の元にレナ達の存在が知られ、ここまで順調に侵入してきたにも関わらずに全てが台無しになってしまう。
「お、おい……あんたら、何者なんだ?」
「どうして人間がこんな所に……」
「おい、待て……あんた、もしかして王国四騎士のエリナ様じゃ……」
まだ意識が残っていた兵士達は傷口を抑えながらも起き上がり、レナ達の存在を確認して動揺する。どうして森の中に人間が存在するのか、しかも現在はバルトロス王国に滞在しているはずのエリナも居る事に対して理解出来ず、兵士達は混乱した。
その一方でレナの方もカゲマルの言葉に対して今更ながらに自分の行為の過ちに気付き、兵士を助けたのまでは良かったが、その後の彼等の対処法をどうするべきかまでは考えていなかった。あと少しで東聖将の領地へ辿り着ける所なのに遂に兵士に見つかってしまい、顔を見られた以上は誤魔化す事は出来ない。
(しまった……変装でもしていくべきだった)
殺されかかっている兵士を見て居ても居られず助けに出たレナだが、その後の事は考えていなかったのが仇となり、ここから彼等の対処法を悩む。カゲマルが救援に向かわなかったのは自分達の存在を知られるわけにはいかず、目的のために敢えて見捨てようとしたのだが、レナによって全てが台無しになってしまう。
「……これからどうするつもりだ。何も考えていないのか?」
「…………」
カゲマルの冷たい言葉にレナは答えられず、自分達を見つめる兵士達に対してどのように対応するべきか悩む。まさか目撃者である彼等を始末して先に進むわけにも行かず、かといって説得するにしても難しい状況だった。
「あんた等……何者だ?助けてくれた事は礼を言うが、どうしてここに人間が居る」
「エリナ、様……何故、貴女がここに?王国で捕らえられていると聞いてましたが?」
「えっとですね……」
「これは……不味いでござるな」
負傷した兵士達は立ち上がると、レナ達に向けて弓矢を構える。命の恩人である事は理解しているが、ヨツバ王国の領地に得体の知れぬ人間を確認した以上は警戒せずにはいられず、兵士達は弓を構えたまま質問する。このままでは戦闘を避けられない状況だと気づいたレナは考え込み、自分の判断ミスで仲間達に危険を晒した事を反省するが、今更後悔した所で遅い。
この場に存在する兵士達を気絶させ、他の兵士に異変に気付かれる前に北聖将の領地を抜け出し、東聖将の領地へ逃げ込むかと考えたレナは動こうとした時、森の中から狼の声が鳴り響く。
『ガァアアアアッ!!』
「……何だ?」
森の至る場所から狼の雄たけびが上がると、疑問を抱いたレナは「心眼」の能力を発動して周囲の様子を伺う。風の聖痕の力よりも範囲は狭まるが周囲の状況を確認出来る「心眼」の能力を使用した結果、この場所に向けて複数の魔物が接近している事が判明した。しかも気配の強さから察するに普通の魔物ではなく、先ほどレナが倒したコボルトの亜種と同じ反応を示していた。
「ウガァッ!!」
「ガウッ!!」
「ガアアッ!!」
「な、何でござる!?」
「こいつら……仲間が居たのか!?」
「ひいいっ!?」
森のあちこちからコボルトが出現し、合計で5体のコボルトの亜種が出現した。咄嗟にレナ達は武器を身構えるが、たった1体のコボルトに追い詰められていた兵士達は混乱を起こし、足が動ける者は真っ先に逃げ出してしまう。
「も、もう嫌だ!!逃げろっ!!」
「うわぁあああっ!!」
「待て!!離れるな、殺されるぞ!!」
「ガアアッ!!」
背中を見せた兵士に対してコボルトの亜種の群れは真っ先に襲いかかり、それを見たレナは大樹に突き刺さった退魔刀を引き抜き、彼等を救うために駆け出す。ハンゾウもエリナも武器を構え、ウル達も戦闘に参加してコボルトの亜種に攻撃を仕掛ける。
「抜刀!!」
「強化射撃!!」
「ウォンッ!!」
「キュロロッ!!」
「ヒヒィイインッ!!」
『ガアッ……!?』
自分達に迫りくる人間と魔物に対してコボルト達は戸惑い、兵士に襲いかかるのを中断して距離を取る。その隙を逃さずにレナは退魔刀を振り翳すと瞬動術を発動させ、逃げ出そうとした兵士に追いついて彼等を引き留めた。
「ウォンッ!!」
「兄貴!?」
「レナ殿!?」
唐突に走り出したレナに対してエリナとハンゾウは驚くが、相棒であるウルは即座に従い、兵士達の元へ向かう。移動の途中でウルに飛び乗ったレナは一瞬だけ後方を確認すると慌てた様子でエリナ達が後に続くのを確認し、空間魔法を発動させて退魔刀を取り出す。
「なっ……待て!!何を考えている!?」
「説教は後で聞く!!」
途中でカゲマルと遭遇するが、彼の制止の言葉を無視してレナはコボルトに襲われている兵士達の元へ向かう。その姿を見たカゲマルは舌打ちしながらも後に続き、遂にレナ達は現場へと辿り着く。
「ち、近寄るなぁっ!!」
「ガアアッ!!」
到着した時には20人は存在した兵士は既に半数は殺され、もう半数は負傷した状態で倒れていた。コボルトは片腕を抑えた兵士に乗りかかり、その鋭い牙で噛みつこうとしている所を見たレナは退魔刀を振り翳し、投擲した。
「止めろっ!!」
「ガァッ!?」
「ひいいっ!?」
背後から異様な威圧を感じ取ったコボルトは咄嗟にバク転して回避に成功すると、退魔刀の刃が兵士の頭上を通過して傍に存在した大樹に突き刺さった。唐突な奇襲に対してコボルトは地面に着地するのと同時にレナ達の存在を確認し、自分の邪魔をする存在に怒りを露わにした。
「ガアアッ……!!」
「ウォオオオンッ!!」
だが、コボルトの鳴き声よりも上回る声量でウルが雄たけびを上げると、一瞬だけコボルトは怯み、同じ狼ではあるが圧倒的な体格差が存在するウルを確認して後退る。その様子を確認したレナは氷塊の魔法を発動させて長剣を作り出す。
「氷装剣」
「ウガァッ……!?」
手元に氷の長剣を生み出したレナに対してコボルトは驚愕の表情を浮かべたが、即座に身体を伏せて四足歩行になると、警戒するようにレナを睨みつける。その様子を見てレナは長剣を握り締めると、足元に力を込めて一気にコボルトとの距離を詰めるために跳躍した。
レナが身に着けた移動術の中でも最高速度を誇り、直線上の移動速度ならば「縮地」よりも移動速度が上回る複合戦技の「瞬動術」によってコボルトの目の前にまで接近したレナは長剣を振り翳し、容赦なく首を切り裂く。
「旋風っ!!」
「ガアアッ!?」
横薙ぎに剣を振りはらう戦技を発動させ、コボルトの首を容易く切断すると、地面に切り裂かれた頭部と肉体が崩れ落ちた。時間にすれば1秒にも満たない間に兵士達を圧倒したコボルトを討伐したレナは氷装剣を解除させ、生き残った兵士の方へ振り返る。
「大丈夫ですか?」
「え、あ、ああっ……」
「おい、何をしている!!早く行くぞ!!」
片腕を抑えた兵士の元にレナが治療しようと近づこうとすると、怒った様子のカゲマルが現れ、彼の肩を掴む。遅れて他の者達も訪れ、その惨状を見て驚愕の表情を浮かべた。
「な、何が起きたんですか!?」
「これは一体……」
「キュロロッ?」
「ヒヒィンッ……」
「お前達まで……くそ、これでは計画が台無しではないか!!」
全員が姿を見せた事に対してカゲマルは嘆いたように頭を抑え、兵士達に姿を見られた以上は誤魔化す事は出来ず、遂にヨツバ王国側の人間に自分達の正体を知られてしまう。このまま兵士を見逃せば間違いなく北聖将の元にレナ達の存在が知られ、ここまで順調に侵入してきたにも関わらずに全てが台無しになってしまう。
「お、おい……あんたら、何者なんだ?」
「どうして人間がこんな所に……」
「おい、待て……あんた、もしかして王国四騎士のエリナ様じゃ……」
まだ意識が残っていた兵士達は傷口を抑えながらも起き上がり、レナ達の存在を確認して動揺する。どうして森の中に人間が存在するのか、しかも現在はバルトロス王国に滞在しているはずのエリナも居る事に対して理解出来ず、兵士達は混乱した。
その一方でレナの方もカゲマルの言葉に対して今更ながらに自分の行為の過ちに気付き、兵士を助けたのまでは良かったが、その後の彼等の対処法をどうするべきかまでは考えていなかった。あと少しで東聖将の領地へ辿り着ける所なのに遂に兵士に見つかってしまい、顔を見られた以上は誤魔化す事は出来ない。
(しまった……変装でもしていくべきだった)
殺されかかっている兵士を見て居ても居られず助けに出たレナだが、その後の事は考えていなかったのが仇となり、ここから彼等の対処法を悩む。カゲマルが救援に向かわなかったのは自分達の存在を知られるわけにはいかず、目的のために敢えて見捨てようとしたのだが、レナによって全てが台無しになってしまう。
「……これからどうするつもりだ。何も考えていないのか?」
「…………」
カゲマルの冷たい言葉にレナは答えられず、自分達を見つめる兵士達に対してどのように対応するべきか悩む。まさか目撃者である彼等を始末して先に進むわけにも行かず、かといって説得するにしても難しい状況だった。
「あんた等……何者だ?助けてくれた事は礼を言うが、どうしてここに人間が居る」
「エリナ、様……何故、貴女がここに?王国で捕らえられていると聞いてましたが?」
「えっとですね……」
「これは……不味いでござるな」
負傷した兵士達は立ち上がると、レナ達に向けて弓矢を構える。命の恩人である事は理解しているが、ヨツバ王国の領地に得体の知れぬ人間を確認した以上は警戒せずにはいられず、兵士達は弓を構えたまま質問する。このままでは戦闘を避けられない状況だと気づいたレナは考え込み、自分の判断ミスで仲間達に危険を晒した事を反省するが、今更後悔した所で遅い。
この場に存在する兵士達を気絶させ、他の兵士に異変に気付かれる前に北聖将の領地を抜け出し、東聖将の領地へ逃げ込むかと考えたレナは動こうとした時、森の中から狼の声が鳴り響く。
『ガァアアアアッ!!』
「……何だ?」
森の至る場所から狼の雄たけびが上がると、疑問を抱いたレナは「心眼」の能力を発動して周囲の様子を伺う。風の聖痕の力よりも範囲は狭まるが周囲の状況を確認出来る「心眼」の能力を使用した結果、この場所に向けて複数の魔物が接近している事が判明した。しかも気配の強さから察するに普通の魔物ではなく、先ほどレナが倒したコボルトの亜種と同じ反応を示していた。
「ウガァッ!!」
「ガウッ!!」
「ガアアッ!!」
「な、何でござる!?」
「こいつら……仲間が居たのか!?」
「ひいいっ!?」
森のあちこちからコボルトが出現し、合計で5体のコボルトの亜種が出現した。咄嗟にレナ達は武器を身構えるが、たった1体のコボルトに追い詰められていた兵士達は混乱を起こし、足が動ける者は真っ先に逃げ出してしまう。
「も、もう嫌だ!!逃げろっ!!」
「うわぁあああっ!!」
「待て!!離れるな、殺されるぞ!!」
「ガアアッ!!」
背中を見せた兵士に対してコボルトの亜種の群れは真っ先に襲いかかり、それを見たレナは大樹に突き刺さった退魔刀を引き抜き、彼等を救うために駆け出す。ハンゾウもエリナも武器を構え、ウル達も戦闘に参加してコボルトの亜種に攻撃を仕掛ける。
「抜刀!!」
「強化射撃!!」
「ウォンッ!!」
「キュロロッ!!」
「ヒヒィイインッ!!」
『ガアッ……!?』
自分達に迫りくる人間と魔物に対してコボルト達は戸惑い、兵士に襲いかかるのを中断して距離を取る。その隙を逃さずにレナは退魔刀を振り翳すと瞬動術を発動させ、逃げ出そうとした兵士に追いついて彼等を引き留めた。
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