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外伝 ~ヨツバ王国編~
剣鬼の到来
「将軍!!このままでは兵士達が……」
「……仕方あるまい、最後の黒樹の矢を寄越せ」
「よろしいのですか?」
「このままでは追撃の軍が追い付いてくるかもしれん。その前にあの三人だけでも仕留めねばならん」
大弓を構えたハシラは側近から予備の「黒樹の矢」を受け取り、狙いを剣聖に定める。彼が狙うのは旋斧で兵士達を薙ぎ払うジャンヌに照準を定め、彼女自身にではなく、彼女の足元を狙って黒樹の矢を放つ。
「全員、身を伏せろ!!」
『っ!?』
ハシラの言葉に混乱の最中だった兵士達は即座に従い、全員がその場に伏せた瞬間、ハシラは矢を放つ。攻撃の途中だったジャンヌも放たれた矢に気付くと危険を察知して上空へ回避しようとしたが、黒樹の矢は地面に衝突した瞬間に強烈な衝撃波を生み出して周囲の物を吹き飛ばす。
「きゃああっ!?」
「ぬおっ……ジャンヌ!?」
「この衝撃は……!?」
「今だ!!全員で捕まえろ!!」
ジャンヌが吹き飛ばされた事を知ったロウガとシズネの動きが止まり、その隙を逃さずに他の二人の捕縛を兵士に命じたハシラは新しい矢を番え、上空へ向けて放つ。矢は弧を描きながら地面に倒れたジャンヌの身体に降り注ぎ、彼女が逃れられぬように周囲を取り囲む。
「くうっ……」
「ジャンヌ!!すぐに助けに……ぬあっ!?」
「逃がすな!!今の内に捕まえろ!!」
ロウガが倒れたジャンヌの元へ駆けつけようとしたが、即座に他の兵士達が弓矢で彼を狙い、ジャンヌに近づけさせないようにした。シズネも同様に気絶したと思われるジャンヌの元へ駆けつける前に他の兵士達に邪魔され、その間にもハシラはジャンヌを確保するために走り出す。
「誰一人近づけるな!!縄を持ってこい!!」
「将軍、お待ちください!!敵は3人だけではありません!!」
「その通りっす!!」
兵士の言葉を聞いたハシラが立ち止まると、上空から矢が放たれ、危うく肩を射抜かれそうになったハシラは離れる。だが、枝の上から矢を放ったエリナはハシラに向けて次々と矢を放ち、注意を引く。
「この矢は……エリナか!!お前がここにいるという事はギンタロウに寝返ったか!!」
「流石はお師匠様……矢であたしが作ったのだと分かりますか」
姿を隠しても意味はないと悟ったエリナは枝の上からクロスボウを構えた状態でハシラと向き合い、その鋭い眼差しを受けて身を震わせる。まさか自分の弓の師とこのような形で対峙する事になるとは思わず、エリナはクロスボウを構えながらハシラに話しかけた。
「でも話を聞いて下さいお師匠様!!カレハ王女の言う事を信じないでください!!」
「……どういう意味だ?」
「国王様も他の王族の方々も今はギンタロウの叔父さんの所に居るんです!!嘘じゃありません!!」
「何だと?」
エリナの言葉にハシラだけではなく、他の兵士達にも動揺が走るが、すぐにハシラは彼女の言葉が虚言であると判断して怒鳴り返す。
「くだらん嘘を吐くな!!仮にお前の話が本当ならばどうして国王様はお姿をお見せにならん!?そもそも隠れる必要などあるはずがない!!」
「それは……色々と事情があって」
「語るに落ちたなエリナよ!!そんな嘘でこの俺が動揺すると思ったか!!強化射撃!!」
ハシラはエリナの言葉に激怒すると大弓を構え、彼女が立っている枝に向けて矢を放つ。同じ弓遣いでもエリナの放つ矢とハシラの放つ矢は威力が桁違いに異なり、彼女は足場にしていた枝を破壊されて地面に落ちてしまう。
「うわっ!?」
「エリナよ!!どうして最初の一射で俺を仕留めようとしなかった?お前の筋力では普通の弓矢を扱う事も出来ん!!だからこそ最初の一射のみに集中し、敵を射抜くように教育したはずだ!!師の言葉を忘れたか!?」
「そ、それは……」
「大方、師であり同胞でもある俺に対して情けを抱いたのだろう。ならば貴様は戦士として失格だ!!例え、同族で親しみのある相手だろうと敵であれば容赦するな、それがお前の敗因だ!!」
「あぐっ!?」
「エリナ!!」
落ちてきたエリナに対してハシラは容赦なく大弓から矢を放ち、彼女の右足を貫く。そのあまりに痛みにエリナは悲鳴を漏らし、更に彼女に向けてハシラは止めを刺すために新しい矢を番えた。
「……お前には期待していた、だが結局はこうなったか。残念だぞエリナ」
「お、お師匠様……」
「さらばだ」
「待ちなさいっ!!」
「止めろ!!自分の弟子を殺すつもりか!?」
シズネとロウガがエリナを救い出すために動こうとしたが、彼等がエリナの元へ辿り着く前にハシラは大弓の弦から指を離し、片足を射抜かれたエリナに向けて矢を放つ。エリナは覚悟を決めたように瞼を閉じようとした時、不意に自分の前方に人影が差し込み、大剣を振り翳して迫りくる矢を弾き返すレナの姿が映し出された。
「だああっ!!」
「何っ!?」
「兄貴!?」
正面から迫りくる矢をレナは下から退魔刀を切り上げて弾き飛ばすと、その光景を目撃したハシラは目を見開き、エリナも驚いた声を上げる。周囲の兵士やシズネ達も唐突に現れたレナに驚愕し、一体何処から現れたのかと上空を見上げると、そこには枝に絡まっている「ハングライダー」が存在した。
「ふうっ……ぎりぎり間に合った。まさかこんな森の中でハングライダーを乗り回す日が来るとは思わなかった」
「あ、兄貴ぃっ!!来てくれたんですね!!」
「うわ、抱き着くなよ……ほら、足を見せろ」
「な、何者だ……いや、お前は!?」
唐突に姿を現してエリナの足の治療を開始したレナを見たハシラは戸惑うが、すぐにその顔が先ほどギンタロウの背中に乗っていた少年だと気づくと、大弓に新たな矢を番える。何者なのかは不明だが、自分の矢を容易く弾き返した事から相当な手練れだと判断したハシラは今度は確実に仕留めるために風の精霊を呼び集め、矢に風の魔力を纏わせて放つ。
「喰らえっ!!」
「邪魔」
だが、放たれた矢に対してレナは視線を向けずに右手を伸ばすと風の聖痕の力を発動させ、矢に宿っていた風の精霊の力を引き剥がすと只の矢と化したハシラの矢を掴み取り、そのまま何事もなかったように矢を放り捨てる。その行為に誰もが理解する事を送れ、あろうことか自分の矢をまるでゴミでも振り払うように受け止められた事実を知ったハシラは動揺を隠せない。
「そ、そんな馬鹿な……貴様、何者だ!?」
「ああ、そういえば自己紹介がまだでしたっけ?俺はあんたの弟子の友達で、ハヅキ家の当主であるアイラ・ハヅキさんの孫のレナだ」
「レナだと……それにハヅキ家にその腕の紋様……まさか!?」
レナの正体を知ったハシラは動揺を隠せず、今現在は当主が不在なはずのハヅキ家の正統後継者しか受け継げない「風の聖痕」の紋様を宿した人間の少年の登場にハシラは狼狽し、その間に治療を負えたエリナを担いだレナは退魔刀を握り締めてハシラに構える。
「あんたとエリナの会話は少し前から精霊の力を借りて盗み聞きさせて貰った。エリナは嘘なんか付いていない、東壁街には本当に国王様と他の王族の人達が存在する。勿論、ティナ王女もだ」
「何だと?」
「俺たちの言葉を信じるか信じないかはあんたら次第だ。だけど、これだけは言わせてもらう。もしもこの国の事を想うのであればカレハの味方をするのは止めろ」
「ふざけるな!!貴様のような子供が軽々しくヨツバ王族の方々の名前を語るな!!」
「話の通り、頭の固そうな奴だな……」
ハシラはレナがカレハの事を呼び捨てにした事に憤り、新しい矢を大弓に番え、その様子を確認したレナはエリナを庇いながらも退魔刀を抱えようとした時、兵士達の後方から声があがる。
「……仕方あるまい、最後の黒樹の矢を寄越せ」
「よろしいのですか?」
「このままでは追撃の軍が追い付いてくるかもしれん。その前にあの三人だけでも仕留めねばならん」
大弓を構えたハシラは側近から予備の「黒樹の矢」を受け取り、狙いを剣聖に定める。彼が狙うのは旋斧で兵士達を薙ぎ払うジャンヌに照準を定め、彼女自身にではなく、彼女の足元を狙って黒樹の矢を放つ。
「全員、身を伏せろ!!」
『っ!?』
ハシラの言葉に混乱の最中だった兵士達は即座に従い、全員がその場に伏せた瞬間、ハシラは矢を放つ。攻撃の途中だったジャンヌも放たれた矢に気付くと危険を察知して上空へ回避しようとしたが、黒樹の矢は地面に衝突した瞬間に強烈な衝撃波を生み出して周囲の物を吹き飛ばす。
「きゃああっ!?」
「ぬおっ……ジャンヌ!?」
「この衝撃は……!?」
「今だ!!全員で捕まえろ!!」
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「くうっ……」
「ジャンヌ!!すぐに助けに……ぬあっ!?」
「逃がすな!!今の内に捕まえろ!!」
ロウガが倒れたジャンヌの元へ駆けつけようとしたが、即座に他の兵士達が弓矢で彼を狙い、ジャンヌに近づけさせないようにした。シズネも同様に気絶したと思われるジャンヌの元へ駆けつける前に他の兵士達に邪魔され、その間にもハシラはジャンヌを確保するために走り出す。
「誰一人近づけるな!!縄を持ってこい!!」
「将軍、お待ちください!!敵は3人だけではありません!!」
「その通りっす!!」
兵士の言葉を聞いたハシラが立ち止まると、上空から矢が放たれ、危うく肩を射抜かれそうになったハシラは離れる。だが、枝の上から矢を放ったエリナはハシラに向けて次々と矢を放ち、注意を引く。
「この矢は……エリナか!!お前がここにいるという事はギンタロウに寝返ったか!!」
「流石はお師匠様……矢であたしが作ったのだと分かりますか」
姿を隠しても意味はないと悟ったエリナは枝の上からクロスボウを構えた状態でハシラと向き合い、その鋭い眼差しを受けて身を震わせる。まさか自分の弓の師とこのような形で対峙する事になるとは思わず、エリナはクロスボウを構えながらハシラに話しかけた。
「でも話を聞いて下さいお師匠様!!カレハ王女の言う事を信じないでください!!」
「……どういう意味だ?」
「国王様も他の王族の方々も今はギンタロウの叔父さんの所に居るんです!!嘘じゃありません!!」
「何だと?」
エリナの言葉にハシラだけではなく、他の兵士達にも動揺が走るが、すぐにハシラは彼女の言葉が虚言であると判断して怒鳴り返す。
「くだらん嘘を吐くな!!仮にお前の話が本当ならばどうして国王様はお姿をお見せにならん!?そもそも隠れる必要などあるはずがない!!」
「それは……色々と事情があって」
「語るに落ちたなエリナよ!!そんな嘘でこの俺が動揺すると思ったか!!強化射撃!!」
ハシラはエリナの言葉に激怒すると大弓を構え、彼女が立っている枝に向けて矢を放つ。同じ弓遣いでもエリナの放つ矢とハシラの放つ矢は威力が桁違いに異なり、彼女は足場にしていた枝を破壊されて地面に落ちてしまう。
「うわっ!?」
「エリナよ!!どうして最初の一射で俺を仕留めようとしなかった?お前の筋力では普通の弓矢を扱う事も出来ん!!だからこそ最初の一射のみに集中し、敵を射抜くように教育したはずだ!!師の言葉を忘れたか!?」
「そ、それは……」
「大方、師であり同胞でもある俺に対して情けを抱いたのだろう。ならば貴様は戦士として失格だ!!例え、同族で親しみのある相手だろうと敵であれば容赦するな、それがお前の敗因だ!!」
「あぐっ!?」
「エリナ!!」
落ちてきたエリナに対してハシラは容赦なく大弓から矢を放ち、彼女の右足を貫く。そのあまりに痛みにエリナは悲鳴を漏らし、更に彼女に向けてハシラは止めを刺すために新しい矢を番えた。
「……お前には期待していた、だが結局はこうなったか。残念だぞエリナ」
「お、お師匠様……」
「さらばだ」
「待ちなさいっ!!」
「止めろ!!自分の弟子を殺すつもりか!?」
シズネとロウガがエリナを救い出すために動こうとしたが、彼等がエリナの元へ辿り着く前にハシラは大弓の弦から指を離し、片足を射抜かれたエリナに向けて矢を放つ。エリナは覚悟を決めたように瞼を閉じようとした時、不意に自分の前方に人影が差し込み、大剣を振り翳して迫りくる矢を弾き返すレナの姿が映し出された。
「だああっ!!」
「何っ!?」
「兄貴!?」
正面から迫りくる矢をレナは下から退魔刀を切り上げて弾き飛ばすと、その光景を目撃したハシラは目を見開き、エリナも驚いた声を上げる。周囲の兵士やシズネ達も唐突に現れたレナに驚愕し、一体何処から現れたのかと上空を見上げると、そこには枝に絡まっている「ハングライダー」が存在した。
「ふうっ……ぎりぎり間に合った。まさかこんな森の中でハングライダーを乗り回す日が来るとは思わなかった」
「あ、兄貴ぃっ!!来てくれたんですね!!」
「うわ、抱き着くなよ……ほら、足を見せろ」
「な、何者だ……いや、お前は!?」
唐突に姿を現してエリナの足の治療を開始したレナを見たハシラは戸惑うが、すぐにその顔が先ほどギンタロウの背中に乗っていた少年だと気づくと、大弓に新たな矢を番える。何者なのかは不明だが、自分の矢を容易く弾き返した事から相当な手練れだと判断したハシラは今度は確実に仕留めるために風の精霊を呼び集め、矢に風の魔力を纏わせて放つ。
「喰らえっ!!」
「邪魔」
だが、放たれた矢に対してレナは視線を向けずに右手を伸ばすと風の聖痕の力を発動させ、矢に宿っていた風の精霊の力を引き剥がすと只の矢と化したハシラの矢を掴み取り、そのまま何事もなかったように矢を放り捨てる。その行為に誰もが理解する事を送れ、あろうことか自分の矢をまるでゴミでも振り払うように受け止められた事実を知ったハシラは動揺を隠せない。
「そ、そんな馬鹿な……貴様、何者だ!?」
「ああ、そういえば自己紹介がまだでしたっけ?俺はあんたの弟子の友達で、ハヅキ家の当主であるアイラ・ハヅキさんの孫のレナだ」
「レナだと……それにハヅキ家にその腕の紋様……まさか!?」
レナの正体を知ったハシラは動揺を隠せず、今現在は当主が不在なはずのハヅキ家の正統後継者しか受け継げない「風の聖痕」の紋様を宿した人間の少年の登場にハシラは狼狽し、その間に治療を負えたエリナを担いだレナは退魔刀を握り締めてハシラに構える。
「あんたとエリナの会話は少し前から精霊の力を借りて盗み聞きさせて貰った。エリナは嘘なんか付いていない、東壁街には本当に国王様と他の王族の人達が存在する。勿論、ティナ王女もだ」
「何だと?」
「俺たちの言葉を信じるか信じないかはあんたら次第だ。だけど、これだけは言わせてもらう。もしもこの国の事を想うのであればカレハの味方をするのは止めろ」
「ふざけるな!!貴様のような子供が軽々しくヨツバ王族の方々の名前を語るな!!」
「話の通り、頭の固そうな奴だな……」
ハシラはレナがカレハの事を呼び捨てにした事に憤り、新しい矢を大弓に番え、その様子を確認したレナはエリナを庇いながらも退魔刀を抱えようとした時、兵士達の後方から声があがる。
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