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外伝 ~ヨツバ王国編~
北聖将の決意
「……証拠はあるのか」
「当然だ!!奴が送り込んだ魔物達は木箱の中に閉じ込められた状態で運ばれてきた!!それがこの箱だ!!」
ギンタロウは腕を上げると城門から兵士が木箱を搭載した荷車を運び出す。その中身を開いて床板に「夜華」と呼ばれる植物が敷き詰められているのを確認させる。
「これを見ろ北聖将よ!!この大量の夜華が手に入る場所は限られているのは知っているだろう?魔物を捕獲する際に南聖将のレイビの奴が栽培を行っている事はお前も知っているはずだ!!」
「ぬうっ……」
「それにこの夜華は俺やお前の領地内には滅多に生える植物ではない!!南方の温かい気候にしか生えない植物だからな!!だから奴の領地内でしか栽培も出来ない代物だぞ!!」
夜華が入手出来る場所はアトラス大森林でも限られ、さらに南聖将のレイビは普段から魔物を捕獲するために夜華を栽培している事は周知の事実だった。それでもまだ信じ切れないハシラに対してギンタロウは事前に保管していた魔物の死骸も見せつけた。
「これでも信じられないというのであればこちらも見てください」
「一体何を……こ、これは!?」
レナが空間魔法を発動させ、異空間から木箱を取り出すと中身を開いてハシラに確認させる。木箱の中には街中に侵入したコボルトの変異種の死骸が収納され、異空間に預けていたので死体が腐る事もなく保存された状態だった。
「これが街の中に侵入してきた魔物です。このコボルトの変異種はハシラさんも見覚えがあるのでは?」
「ああ、俺の領地に現れた魔物で間違いない……だが、それでもこれだけでは……」
「この書状を読め北聖将!!内容を確認すればお前も信じるはずだ!!」
ここまで証拠を用意しても信じ切れないハシラに対して最後の手段としてギンタロウは南聖将が送り付けた書状を差しだすと、その内容を確認したハシラは信じられない表情を浮かべる。
「な、何だこれは……お前の兵士が500人も人質に取られているというのか!?」
「そういう事だ。奴は俺が貸した兵士を利用し、北聖将の座から降りるように要求してきた。しかもカレハ様も奴に協力し、自分に従わないのであれば北聖将の座を剥奪するとも伝えられている!!」
「ば、馬鹿な……だが、これは……」
ギンタロウの言葉にハシラは書状を握り締める腕が震え、ここまで明確な証拠を見せつけられた以上は彼等の話を信じざるを得ず、ハシラはカレハが国を乗っ取るために自分の家族を石像にまで変化させたという事実に動揺を隠せない。
証拠がある以上はギンタロウ達の言葉が嘘とは言い切れず、少なくとも南聖将のレイビが500人の兵士を人質にしているという事実、更に自分の領地内で発生したコボルトの変異種をレイビが使役しているという事にハシラも思い悩む。
「……確かにお前達の用意した証拠は本物なのだろう。だが、俺はどうしてもカレハ様が国を乗っ取るために他の家族を犠牲にしたとは信じられない」
「本当にそう言い切れるんですか?カレハ王女は昔、ここにいるティナの命を狙ったと聞いてますけど?」
「え?」
いきなり自分が話題に巻き込まれた事にティナは戸惑うが、レナの言葉を聞いてハシラは黙り込み、彼の言う通りにカレハは過去に前科を犯している。その事実は覆し様がなく、疑惑を抱くには十分だった。
「どちらにしても南聖将のレイビが何らかの方法で吸血鬼の血液を入手して北聖将さんの領地で魔物の変異種を量産している事は間違いありません。自分の領地で試さなかったのは被害を防ぐ為か、あるいは別の目的があるのかは知りませんけど……」
「俺の領地を狙わなかったのは真っ先に自分が疑われると考えたからだろう。その点ではお前の領地が最も広く、魔物の種類や数も多い事から実験の場としては最善だと判断したのではないか?」
「おのれ、レイビめ……!!」
自分の領地がよりにもよって魔物の変異種を生み出す実験場に利用されたという事にハシラは怒りを抱き、今すぐにでも軍勢を率いてレイビを討ち取りたいと考えたが、冷静になってハシラは思い直す。
「……お前達の話が真実だとしても既に俺はカレハ様から命令を受けている。ここで退き返せば俺は間違いなく六聖将の座を降ろされるだろう」
「何を言うか!!カレハ王女がこの国の実権を握っているのは他の王族が不在だからだ!!もしもこの石像にされた御三方を元に戻せばカレハ王女の暴走を止め、レイビの奴を罰する事が出来る!!違うか!?」
「それはそうだが、石像にされた者をどうやって元に戻す?何か方法があるのか?」
「石化を解除させる方法はキラウを捕まえて魔眼の力で強制的に解除させるか、あるいはキラウ自身を倒せば……」
キラウを倒すという手段に関しては無意識に声が小さくなり、レナは風の聖痕を受け取った際、祖母であるハヅキからキラウの命だけは救って欲しいと言われた事を思い出す。どれだけの罪を犯そうとハヅキにとってはキラウは最初に産んだ大切な子供である事は間違いなく、決して死んでほしい存在ではなかった。
しかし、いくらレナがキラウの事を救おうとしても彼女はあまりにも罪を犯し過ぎた。吸血鬼へと変わり果て、資料使いとして多くの人間を苦しめ、腐敗竜や地竜といった竜種を利用して大勢の人々を危険に晒した。その事実は覆す事は出来ず、レナ以外の人間の多くはキラウを処刑するべきだと考えているだろう。
ハヅキ家を追放され、キラウが壮絶な人生を送った事は間違いない。だが、だからといって罪のない人々を苦しめていい理由があるはずがなく、彼女は断罪されなければならない立場の人間である。それでもレナはハヅキとの約束を思い返し、彼女のためにもキラウの命だけは救わなければならないと考えていた。
「確実に石化を解除させるにはキラウを捕縛する事が一番だと思います」
「そうか……そのキラウとやらは本当にカレハ様と繋がっているのか?」
「それは……間違いないと思います」
「……ならばキラウの居場所はカレハ様の側にいると考えるべきだろう。それほど重要な存在ならばカレハ様の性格ならば自分の傍に控えさせるだろう」
ハシラも覚悟を決めたのかカレハが本当に他の王族を裏切り、国を乗っ取ろうとしている事を認める。だが、カレハの傍にキラウが存在する場合、石像にされた3人を元に戻すには王都へ向かう必要があった。
「お前達の話が全て真実だった場合、そのキラウとやらは必ず王都に存在するはずだ。その者を捕まえる事が出来れば本当に石像にされた者達は解除出来るのだな?」
「はい。それは間違いありません」
「……ならば俺がやる事は王族の方々を元に戻すため、お前達に協力しよう」
「おおっ!!それは本当か?」
「え?本当に!?」
「本当ですか師匠!?」
協力の申し出にギンタロウは喜び、他の者達も驚きの声を上げる。北聖将の協力が得られるのであれば戦力という点では大きく強化され、これならば他の六聖将が動き出したとしても十分に対抗出来るだろう。しかし、ハシラは慌てて言い直す。
「待て!!協力するといっても俺は既にお前達の討伐の任務を受けている。もしもこのままお前達と行動を共にすれば北方の領地に残した俺や兵士達の家族が危険に晒される!!」
「む、確かにその通りだな……」
「だから俺が出来る事はこのまま自分の領地へ引き返し、病と偽って領地に留まる事だけだ。仮にカレハ様から新たな命令を受けても俺は決して動かない事を約束しよう」
ハシラの言葉にレナ達は顔を見合わせ、北聖将が表立って動けない以上は仕方がなく、彼の提案を受けいれる事にした。
「当然だ!!奴が送り込んだ魔物達は木箱の中に閉じ込められた状態で運ばれてきた!!それがこの箱だ!!」
ギンタロウは腕を上げると城門から兵士が木箱を搭載した荷車を運び出す。その中身を開いて床板に「夜華」と呼ばれる植物が敷き詰められているのを確認させる。
「これを見ろ北聖将よ!!この大量の夜華が手に入る場所は限られているのは知っているだろう?魔物を捕獲する際に南聖将のレイビの奴が栽培を行っている事はお前も知っているはずだ!!」
「ぬうっ……」
「それにこの夜華は俺やお前の領地内には滅多に生える植物ではない!!南方の温かい気候にしか生えない植物だからな!!だから奴の領地内でしか栽培も出来ない代物だぞ!!」
夜華が入手出来る場所はアトラス大森林でも限られ、さらに南聖将のレイビは普段から魔物を捕獲するために夜華を栽培している事は周知の事実だった。それでもまだ信じ切れないハシラに対してギンタロウは事前に保管していた魔物の死骸も見せつけた。
「これでも信じられないというのであればこちらも見てください」
「一体何を……こ、これは!?」
レナが空間魔法を発動させ、異空間から木箱を取り出すと中身を開いてハシラに確認させる。木箱の中には街中に侵入したコボルトの変異種の死骸が収納され、異空間に預けていたので死体が腐る事もなく保存された状態だった。
「これが街の中に侵入してきた魔物です。このコボルトの変異種はハシラさんも見覚えがあるのでは?」
「ああ、俺の領地に現れた魔物で間違いない……だが、それでもこれだけでは……」
「この書状を読め北聖将!!内容を確認すればお前も信じるはずだ!!」
ここまで証拠を用意しても信じ切れないハシラに対して最後の手段としてギンタロウは南聖将が送り付けた書状を差しだすと、その内容を確認したハシラは信じられない表情を浮かべる。
「な、何だこれは……お前の兵士が500人も人質に取られているというのか!?」
「そういう事だ。奴は俺が貸した兵士を利用し、北聖将の座から降りるように要求してきた。しかもカレハ様も奴に協力し、自分に従わないのであれば北聖将の座を剥奪するとも伝えられている!!」
「ば、馬鹿な……だが、これは……」
ギンタロウの言葉にハシラは書状を握り締める腕が震え、ここまで明確な証拠を見せつけられた以上は彼等の話を信じざるを得ず、ハシラはカレハが国を乗っ取るために自分の家族を石像にまで変化させたという事実に動揺を隠せない。
証拠がある以上はギンタロウ達の言葉が嘘とは言い切れず、少なくとも南聖将のレイビが500人の兵士を人質にしているという事実、更に自分の領地内で発生したコボルトの変異種をレイビが使役しているという事にハシラも思い悩む。
「……確かにお前達の用意した証拠は本物なのだろう。だが、俺はどうしてもカレハ様が国を乗っ取るために他の家族を犠牲にしたとは信じられない」
「本当にそう言い切れるんですか?カレハ王女は昔、ここにいるティナの命を狙ったと聞いてますけど?」
「え?」
いきなり自分が話題に巻き込まれた事にティナは戸惑うが、レナの言葉を聞いてハシラは黙り込み、彼の言う通りにカレハは過去に前科を犯している。その事実は覆し様がなく、疑惑を抱くには十分だった。
「どちらにしても南聖将のレイビが何らかの方法で吸血鬼の血液を入手して北聖将さんの領地で魔物の変異種を量産している事は間違いありません。自分の領地で試さなかったのは被害を防ぐ為か、あるいは別の目的があるのかは知りませんけど……」
「俺の領地を狙わなかったのは真っ先に自分が疑われると考えたからだろう。その点ではお前の領地が最も広く、魔物の種類や数も多い事から実験の場としては最善だと判断したのではないか?」
「おのれ、レイビめ……!!」
自分の領地がよりにもよって魔物の変異種を生み出す実験場に利用されたという事にハシラは怒りを抱き、今すぐにでも軍勢を率いてレイビを討ち取りたいと考えたが、冷静になってハシラは思い直す。
「……お前達の話が真実だとしても既に俺はカレハ様から命令を受けている。ここで退き返せば俺は間違いなく六聖将の座を降ろされるだろう」
「何を言うか!!カレハ王女がこの国の実権を握っているのは他の王族が不在だからだ!!もしもこの石像にされた御三方を元に戻せばカレハ王女の暴走を止め、レイビの奴を罰する事が出来る!!違うか!?」
「それはそうだが、石像にされた者をどうやって元に戻す?何か方法があるのか?」
「石化を解除させる方法はキラウを捕まえて魔眼の力で強制的に解除させるか、あるいはキラウ自身を倒せば……」
キラウを倒すという手段に関しては無意識に声が小さくなり、レナは風の聖痕を受け取った際、祖母であるハヅキからキラウの命だけは救って欲しいと言われた事を思い出す。どれだけの罪を犯そうとハヅキにとってはキラウは最初に産んだ大切な子供である事は間違いなく、決して死んでほしい存在ではなかった。
しかし、いくらレナがキラウの事を救おうとしても彼女はあまりにも罪を犯し過ぎた。吸血鬼へと変わり果て、資料使いとして多くの人間を苦しめ、腐敗竜や地竜といった竜種を利用して大勢の人々を危険に晒した。その事実は覆す事は出来ず、レナ以外の人間の多くはキラウを処刑するべきだと考えているだろう。
ハヅキ家を追放され、キラウが壮絶な人生を送った事は間違いない。だが、だからといって罪のない人々を苦しめていい理由があるはずがなく、彼女は断罪されなければならない立場の人間である。それでもレナはハヅキとの約束を思い返し、彼女のためにもキラウの命だけは救わなければならないと考えていた。
「確実に石化を解除させるにはキラウを捕縛する事が一番だと思います」
「そうか……そのキラウとやらは本当にカレハ様と繋がっているのか?」
「それは……間違いないと思います」
「……ならばキラウの居場所はカレハ様の側にいると考えるべきだろう。それほど重要な存在ならばカレハ様の性格ならば自分の傍に控えさせるだろう」
ハシラも覚悟を決めたのかカレハが本当に他の王族を裏切り、国を乗っ取ろうとしている事を認める。だが、カレハの傍にキラウが存在する場合、石像にされた3人を元に戻すには王都へ向かう必要があった。
「お前達の話が全て真実だった場合、そのキラウとやらは必ず王都に存在するはずだ。その者を捕まえる事が出来れば本当に石像にされた者達は解除出来るのだな?」
「はい。それは間違いありません」
「……ならば俺がやる事は王族の方々を元に戻すため、お前達に協力しよう」
「おおっ!!それは本当か?」
「え?本当に!?」
「本当ですか師匠!?」
協力の申し出にギンタロウは喜び、他の者達も驚きの声を上げる。北聖将の協力が得られるのであれば戦力という点では大きく強化され、これならば他の六聖将が動き出したとしても十分に対抗出来るだろう。しかし、ハシラは慌てて言い直す。
「待て!!協力するといっても俺は既にお前達の討伐の任務を受けている。もしもこのままお前達と行動を共にすれば北方の領地に残した俺や兵士達の家族が危険に晒される!!」
「む、確かにその通りだな……」
「だから俺が出来る事はこのまま自分の領地へ引き返し、病と偽って領地に留まる事だけだ。仮にカレハ様から新たな命令を受けても俺は決して動かない事を約束しよう」
ハシラの言葉にレナ達は顔を見合わせ、北聖将が表立って動けない以上は仕方がなく、彼の提案を受けいれる事にした。
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