不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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外伝 ~ヨツバ王国編~

託された者

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「お前も、託された者だというのか」
「託された……?」
「いいだろう、そこまで言い切るのであればお前の言葉を信じよう。だが、もしもお前が少しでも人を殺す欲求に飲まれた時は自害すると約束しろ」
「あんた、まだ……」
「はい、分かりました」


ロウガの一方的過ぎる約束にバルは文句を言う前にレナは承諾すると、これ以上は語る事はないとばかりにロウガは黙り込み、気まずい雰囲気が流れる。結局はレナが最愛の人を殺した事は事実だが、相手が剣の師匠であり、結果的にはレナは師を超えるために戦い抜いたという話をしただけだ。

師匠を超えるため、相手を殺すという行為が正しい事なのかはともかく、両者の同意の上の決闘ならば他人がどうこう言う話ではない。レナの言葉が嘘ではないという保証はないが、これまでの彼の行動を思い返しても嬉々として人を殺した実績がない事は事実である。

騒ぎ立てていたロウガが黙った事で他の者達もレナを責める事はせず、改めて話し合いを元に戻す。まずは統率者を誰に決めるのか話し合う必要があるが、ここでバルが提案を行う。


「ちょっと話が脱線したね。まあ、話を戻すけど統率者を決める方法はこうにしないかい?より、冒険者らしい者が統率者になるんだ」
「冒険者らしい……ですか?」
「あたし等が代表として選ばれた以上、つまりあたし等を指示する人間が居るという事さ。だったらそいつらと協力してこれから狩猟に出かけないかい?」
「狩猟だと?こんな時にか?」
「そうさ、あたし達は冒険者だろう?冒険者の主な仕事は魔物共の相手さ。だったら誰がより強く、より多くの魔物を狩って来た人間が統率者になるというのはどうだい?」
「おお、それは面白そうだな!!」


狩猟と聞いてギンタロウも興味を抱き、この国の兵士達は普段から狩猟に頻繁に赴いているため、勝負の内容が魔物の狩猟と聞けば黙ってはいられない。


「この勝負の肝は自分を指示する奴等と力を合わせて何処まで魔物を狩猟出来るのかを競い合うのさ。統率者になる以上は当然他の奴等に指示を与える立場になるんだ。どれだけ他の人間を上手く指示して狩猟をやり遂げるのか、それが重要なんだよ」
「なるほど、確かに一理あるな……」
「ですけど、その方法だと私達に投票した方々の協力で動くのですね?そうなると公平ではなくなるのでは……」
「その点は大丈夫さ、ここにいる連中は超一流揃いなんだろ?それに狩猟に出かける際に人数を制限して協力してくれる奴等を選定すれば問題ないだろう?」
「確かにその通りだな!!では、こちらも少し協力しよう!!」


バルは自分達を支持した人間にも協力させ、彼等と上手く連携して魔物を狩猟し、最も功績が大きい人間を統率者にする事を説明する。他の者達も彼女の説明を受けて納得し、冒険者の代表ならば魔物を倒す力と他の人間を指揮する能力を持たねばならない。

レナ達は早速自分達を支持した人間を呼び集め、人数と個々の能力の確認すると、今回は五人一組という形で狩猟で競う事が決まった。また、森の中の案内役としてギンタロウの配下のケンタウロス族の兵士を派遣させる事が決まる。


「規則は五人一組で行動し、魔物を狩猟する事!!それに収納石や収納魔法の使用は禁止するからね!!魔物を倒したときは身体の一部を回収して持ち帰りな!!制限時間は1時間、危険度が高い魔物ほど評価は高くなるよ!!」
「危険度がレベル3を超える魔物の場合は5ポイント!!レベル2以下の魔物は1ポイント!!レベル4の場合は10ポイントとする!!より多くのポイントを稼げた人間が統率者と決まる!!」
「ポイントが同点の場合は再度勝負を行い、決着が付くまで続けます!!」
「探索中に他の冒険者と遭遇した場合、相手が保有している魔物の素材を奪い合う事も良しとする!!最終的により多くの魔物の素材を得れば問題はない!!」
「但し、他の冒険者を殺したり、同行している案内役の兵士を傷つける事は禁止!!この規則で問題なければ今から同行者を選定します!!」
『うおおおおおっ!!』


5人の言葉に冒険者達は沸き上がり、やはり魔物の狩猟の勝負と聞けば職業柄気にならないはずがない。自分を含めた五人一組なので他の4名は自分の判断で選定しなければならず、レナは仲間達と向き直る。


「さてと、五人一組だからこの中から四人を選ばないといけないのか。まずはシズネは当然参加して貰うとして……」
「いえ、悪いけど私に参加権利はないわ。これはあくまでも冒険者の代表を決めるのでしょう?冒険者ではない私は参加が認められないと思うわ」
「あ、そうか……くそうっ」


シズネは残念ながら投票には参加しても傭兵であるため冒険者ではなく、同行は出来ないという。剣聖である彼女が協力してくれれば心強かったが、事情が事情だけに強制は出来ず、レナは他の者に視線を向ける。


「シズネが駄目という事はコトミンも駄目かな。こんな事なら冒険者登録させとけば良かった」
「むうっ……残念」
「となるとゴンちゃんとダインは参加は必須かな」
「任せろ」
「まあ、仕方ないか……今回はそんなに危なさそうじゃないし、レナのためにも頑張ってやるよ」
「エリナは……駄目か。冒険者じゃないしね」
「いえ、兄貴……実はですね、私も一応は冒険者の資格を持ってたりします」
「え!?本当に!?」


エリナは懐から冒険者の資格であるギルドカードを取り出し、レナに差しだす。確かに本物である事を確認すると、一体どういう経緯で王国四騎士であるエリナが冒険者登録を済ませているのかを聞く。


「何でエリナが冒険者になってるの?ヨツバ王国の騎士は副業も許可されているの?」
「いや、実はですね……兄貴と最初に出会った頃、姫様と一緒に黒虎の冒険者ギルドによく訪れていたんですよ。ほら、兄貴が黒虎の冒険者だって聞いてたからウル君に会うために姫様が訪れていたという話は聞いてますよね?」
「そういえばそんな事を言っていたような……」


大分前の話なので忘れかけていたが、確かにティナ達と出会ったばかりの頃、レナは黒虎の冒険者を名乗った事を思い出す。その際、ティナが黒虎のギルドに訪れてレナを探していた事は聞いていたが、それでどうしてエリナが冒険者になる事になったのか分からずに首を傾げる。


「実はですね、冒険者ギルドでは魔物の素材の買い取りが行われると聞いて道中であたしが倒した魔物を買い取って貰おうと考えたんです。あの時のあたしはまだ王国四騎士に選ばれる前でしたので給料もそんなに貰っていなかったし、それに姫様の買い物に付き合う時に余分にお金を持って置く必要があると思って……でも、話を聞くと冒険者に登録すれば魔物の買い取りが少し高めに買い取ってくれると聞いたんです。それで受付の人に勧められて試験を受けて冒険者登録をしたというか……」
「ああ、エリナもあの試験を受けたのか……ていうか、それって問題ないの?大丈夫だったの?」
「はい、特に問題はありませんでした。冒険者に登録した事をリンダさんに報告した時もお咎めはなかったですし、それに階級もCランクとして受かったので今の所は資格は剥奪されてません。さっき、バルの姉御に確認してきました」


冒険者は定期的に依頼を果たさなければ自動的に冒険者登録を抹消されるはずだが、エリナの場合は最初の試験で階級がCランクに定められたらしく、この階級に至ると冒険者として活動せずとも1年間は猶予が与えられる。1年単位で依頼を果たせば資格は剥奪される事はなく、前回に冒険都市に訪れた時にエリナは適当な仕事を引き受けて依頼を達成していたので冒険者の資格は保有したままだという。
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