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外伝 ~ヨツバ王国編~
狩猟勝負の開始
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――レナとロウガが大樹を選別している頃、他の代表者達も自分達が戦う場を選ぶ。バルは魔物が最も少ない大樹を選択し、ジャンヌは位置的に草原の中央地帯に存在する大樹を選ぶ頃、最後のガンモと4人の巨人族の戦士は残された最後の大樹を選ぶ。
「将軍!!全員の準備が整いました!!何時でも勝負を始めても構わないそうです!!」
「そうか!!ならば景気よく、派手な開幕の合図を行うか!!」
全ての代表者が大樹を選択した事を確認するためにギンタロウの兵士が派遣されると、全員の承諾を得た後にギンタロウは勝負の開始の合図である「拡音樹」と呼ばれる樹木の果実を取り出す。この拡音樹と呼ばれる樹木から実る果物は硬い藁を砕いた瞬間、爆音を想像させる強烈な音を放つ。なので使用する際には必ず耳栓を行う必要があり、ギンタロウは両耳を粘着質のある葉で塞いだ後、果物を空中に放り投げて鉞を振るう。
「勝負……開始だぁあああっ!!」
ギンタロウが空中の拡音樹の果物の殻を割った瞬間、魔の草原に爆音が鳴り響き、同時に音を聞きつけた周囲一帯の魔物を誘き寄せられる。音に反応した魔物達は即座に樹肉の存在に気付くと理性を失ったように駆けつけ、草原へ向けて駆け下りると5つの大樹の元へ向かう。
「ガアアアッ!!」
「プギィイイイッ!!」
真っ先に駆けつけてきたのは嗅覚に優れるコボルトとオークの集団が草原に飛び込み、地面に落ちている樹肉を発見して駆け込む。そして最も魔物が押し寄せてきたのはレナ達が守護する大樹だった。
「うわわっ!?き、来たぞ……凄い数だ!!」
「これだけの魔物を相手にする日が来るとは……面白い!!」
「兄貴!!あたしは上から援護します!!」
「分かった。コトミンはゴンちゃんの傍で待機してね、何があったら回復魔法をよろしく!!」
「了解……スラミンも頑張る」
「ぷるるんっ!!」
魔物達が押し寄せる前にレナ達は迎撃の体勢に入ると、四方八方から接近してくる魔物に視線を向け、レナは退魔刀を握り締める。ゴンゾウも闘拳を身に着けてコトミンを守るべく身構える中、ダインは既に杖を地面に突き立てて影魔法の準備を行う。
「ダイン、俺が合図したら影魔法をよろしく」
「わ、分かったよ……でも、後で絶対に今日の晩御飯はお前が奢れよ!?」
「はいはい……頼むよ相棒」
ダインの言葉にレナは苦笑いを浮かべ、恐怖を我慢しながらも自分のために戦ってくれるダインに報いるため、退魔刀だけではなく反鏡剣を引き抜いて二刀流の構えを取る。そしてオークとコボルトの先頭集団が迫りくると、ダインに向けて合図を行う。
「ダイン!!今だ!!」
「シャドウ・スリップ!!」
『プギィイイイッ!?』
『ガアアッ!?』
数十体の魔物の足元にダインの杖の影から伸びた黒色の鞭が放たれ、次々と足払いを行う。体勢を崩された魔物は地面に転倒するだけではなく、後続に続いていた魔物達によって踏み抜かれ、悲鳴が上がる。
「プギィイッ……!!」
「ウガァッ!!」
「だ、駄目だ!?何体かは避けられた!!」
「想定内だよ!!」
だが、大半の魔物は影の鞭によって足元を奪われたのに対して反射神経が優れているコボルトは鞭が足元を振り払う前に跳躍して回避すると、真っ先に大樹に向かう。しかし、それを想定してレナ達も罠を仕掛け、事前に回収しておいた樹肉を放り投げていく。
「ゴンちゃん!!お願い!!」
「任せろ……ぬんっ!!」
『ガアッ!?』
ゴンゾウが袋詰めされた樹肉を握り締めると、魔物の集団に向けて投擲を行い、中身の樹肉をばらまく。突如として自分達の目の前に現れた樹肉に魔物達は反応し、我先にと食らいつく。
「ガアアッ!!」
「プヒィッ!!」
「ガウッ!?」
「プギイイッ!?」
地面に散らばった樹肉にオークとコボルトはかじりつき、他の魔物に奪われまいと必死に樹肉を守ろうとする。だが、続々と押し寄せる魔物達は彼等から樹肉を奪おうと争い合い、魔物同士で争い合う。その様子を見たレナ達はしばらくの間は様子見を行い、体力を温存する事にした。
今回の勝負の内容はどれだけの魔物の素材を回収出来るかのため、別に無理して自分達だけで倒す必要はない。魔物同士で争い、殺し合うのならば都合が良く、樹肉の大樹に死骸の栄養分が吸収されてしまう前に死骸から素材を剥ぎ取ればいいだけの話である。
「あいつら、自分が喰われても食べる事を止めないんだな……そんなに美味しいのか?こんな不気味な果実が……」
「さあ……この様子だとウル達にお土産に持っていくのは止めた方がいいかもね」
「兄貴!!次の魔物が近づいてます!!今度はゴブリンの大群っす!!」
樹肉の大樹の枝の上からエリナが地上のレナ達に草原に駆けつける大量のゴブリンの集団の接近を伝える。アトラス大森林のゴブリンは他の地域のゴブリンと比べても体格が大きく、樹木の樹皮から作り出した盾や枝をへし折って作り上げた棍棒を手にしながら襲いかかって来た。
『ギギィイイッ!!』
「うわっ!?なんだこの数……これは流石にやばいって!!」
「怖気るなダイン!!レナ、ここは俺が注意を引くか!?」
「いや、ゴンちゃんの咆哮のスキルを使うと他の魔物達まで引き寄せる……ここはエリナとコトミンに頑張ってもらう!!」
「やっと出番……スラミン、準備は良い?」
「ぷるるんっ!!」
「あたしも準備万端ですよ!!」
周囲から接近するゴブリンの集団に対してエリナは枝の上からボーガンを構、スラミンを抱えたコトミンが前に出た。エリナは風の精霊を呼び寄せると自分の矢に風の魔力を付与させ、次々と矢を撃ち抜く。
「師匠から受け取ったボーガン……有難く使わせてもらいます!!」
「ギギィッ!?」
「ギャアッ!?」
「ギィアッ!?」
エリナの矢が地面に衝突した瞬間、鏃から衝撃波が放たれて数体のゴブリンを吹き飛ばす。更に彼女は連射が可能になったボーガンの特性を生かして次々と矢を放ち、ゴブリンの集団を撃ち抜く。
「ここは風の精霊に満ちてますからね!!どんどん援護射撃しますよ!!」
「おおっ……頼りになるな」
「私も負けない……スラミン、頑張って」
「ぷるっしゃあああっ!!」
コトミンがスラミンを両手で挟んだ状態で前に突き出すと、事前に水属性の魔石を吸収したスラミンは口内から大量の冷水を放ち、接近する魔物の集団に浴びせて怯ませる。
「キャインッ!?」
「ブヒィッ!?」
「ギャウッ!?」
「……これが人魚族の力」
「いや、どっちかというとスラミンの力じゃないのかそれ!?」
スラミンから放たれる冷水を受けた魔物達はあまりの冷たさに身体が震え、動作が鈍る。ある程度の数の魔物の集団を怯ませる事に成功すると、今度はレナが退魔刀と反鏡剣を構え、集団に突っ込む。
「ゴンちゃん!!ダインとコトミンを任せた!!」
「分かった!!レナ、気を付けろ!!」
ゴンゾウに二人の守備を任せると、レナは退魔刀と反鏡剣を抱えた状態で「瞬動術」を発動させ、一気に加速すると覚えたての戦技を発動させた。
「飛剣!!」
「ギャアアッ!?」
「プギィッ!?」
「ガアアッ!?」
レナが通り過ぎた瞬間、魔物達は突如として急所に鮮血が迸り、次々と地面へ倒れ伏す。傍目から見れば勝手に魔物達が傷ついて倒れたようにしか見えず、一般人が見れば一体何が起きているのか理解出来なかっただろう。重量のある大剣と片手に長剣を構えながらも常人では目に見えない速度で移動するレナの身体能力の高さを思い知らされる。
「将軍!!全員の準備が整いました!!何時でも勝負を始めても構わないそうです!!」
「そうか!!ならば景気よく、派手な開幕の合図を行うか!!」
全ての代表者が大樹を選択した事を確認するためにギンタロウの兵士が派遣されると、全員の承諾を得た後にギンタロウは勝負の開始の合図である「拡音樹」と呼ばれる樹木の果実を取り出す。この拡音樹と呼ばれる樹木から実る果物は硬い藁を砕いた瞬間、爆音を想像させる強烈な音を放つ。なので使用する際には必ず耳栓を行う必要があり、ギンタロウは両耳を粘着質のある葉で塞いだ後、果物を空中に放り投げて鉞を振るう。
「勝負……開始だぁあああっ!!」
ギンタロウが空中の拡音樹の果物の殻を割った瞬間、魔の草原に爆音が鳴り響き、同時に音を聞きつけた周囲一帯の魔物を誘き寄せられる。音に反応した魔物達は即座に樹肉の存在に気付くと理性を失ったように駆けつけ、草原へ向けて駆け下りると5つの大樹の元へ向かう。
「ガアアアッ!!」
「プギィイイイッ!!」
真っ先に駆けつけてきたのは嗅覚に優れるコボルトとオークの集団が草原に飛び込み、地面に落ちている樹肉を発見して駆け込む。そして最も魔物が押し寄せてきたのはレナ達が守護する大樹だった。
「うわわっ!?き、来たぞ……凄い数だ!!」
「これだけの魔物を相手にする日が来るとは……面白い!!」
「兄貴!!あたしは上から援護します!!」
「分かった。コトミンはゴンちゃんの傍で待機してね、何があったら回復魔法をよろしく!!」
「了解……スラミンも頑張る」
「ぷるるんっ!!」
魔物達が押し寄せる前にレナ達は迎撃の体勢に入ると、四方八方から接近してくる魔物に視線を向け、レナは退魔刀を握り締める。ゴンゾウも闘拳を身に着けてコトミンを守るべく身構える中、ダインは既に杖を地面に突き立てて影魔法の準備を行う。
「ダイン、俺が合図したら影魔法をよろしく」
「わ、分かったよ……でも、後で絶対に今日の晩御飯はお前が奢れよ!?」
「はいはい……頼むよ相棒」
ダインの言葉にレナは苦笑いを浮かべ、恐怖を我慢しながらも自分のために戦ってくれるダインに報いるため、退魔刀だけではなく反鏡剣を引き抜いて二刀流の構えを取る。そしてオークとコボルトの先頭集団が迫りくると、ダインに向けて合図を行う。
「ダイン!!今だ!!」
「シャドウ・スリップ!!」
『プギィイイイッ!?』
『ガアアッ!?』
数十体の魔物の足元にダインの杖の影から伸びた黒色の鞭が放たれ、次々と足払いを行う。体勢を崩された魔物は地面に転倒するだけではなく、後続に続いていた魔物達によって踏み抜かれ、悲鳴が上がる。
「プギィイッ……!!」
「ウガァッ!!」
「だ、駄目だ!?何体かは避けられた!!」
「想定内だよ!!」
だが、大半の魔物は影の鞭によって足元を奪われたのに対して反射神経が優れているコボルトは鞭が足元を振り払う前に跳躍して回避すると、真っ先に大樹に向かう。しかし、それを想定してレナ達も罠を仕掛け、事前に回収しておいた樹肉を放り投げていく。
「ゴンちゃん!!お願い!!」
「任せろ……ぬんっ!!」
『ガアッ!?』
ゴンゾウが袋詰めされた樹肉を握り締めると、魔物の集団に向けて投擲を行い、中身の樹肉をばらまく。突如として自分達の目の前に現れた樹肉に魔物達は反応し、我先にと食らいつく。
「ガアアッ!!」
「プヒィッ!!」
「ガウッ!?」
「プギイイッ!?」
地面に散らばった樹肉にオークとコボルトはかじりつき、他の魔物に奪われまいと必死に樹肉を守ろうとする。だが、続々と押し寄せる魔物達は彼等から樹肉を奪おうと争い合い、魔物同士で争い合う。その様子を見たレナ達はしばらくの間は様子見を行い、体力を温存する事にした。
今回の勝負の内容はどれだけの魔物の素材を回収出来るかのため、別に無理して自分達だけで倒す必要はない。魔物同士で争い、殺し合うのならば都合が良く、樹肉の大樹に死骸の栄養分が吸収されてしまう前に死骸から素材を剥ぎ取ればいいだけの話である。
「あいつら、自分が喰われても食べる事を止めないんだな……そんなに美味しいのか?こんな不気味な果実が……」
「さあ……この様子だとウル達にお土産に持っていくのは止めた方がいいかもね」
「兄貴!!次の魔物が近づいてます!!今度はゴブリンの大群っす!!」
樹肉の大樹の枝の上からエリナが地上のレナ達に草原に駆けつける大量のゴブリンの集団の接近を伝える。アトラス大森林のゴブリンは他の地域のゴブリンと比べても体格が大きく、樹木の樹皮から作り出した盾や枝をへし折って作り上げた棍棒を手にしながら襲いかかって来た。
『ギギィイイッ!!』
「うわっ!?なんだこの数……これは流石にやばいって!!」
「怖気るなダイン!!レナ、ここは俺が注意を引くか!?」
「いや、ゴンちゃんの咆哮のスキルを使うと他の魔物達まで引き寄せる……ここはエリナとコトミンに頑張ってもらう!!」
「やっと出番……スラミン、準備は良い?」
「ぷるるんっ!!」
「あたしも準備万端ですよ!!」
周囲から接近するゴブリンの集団に対してエリナは枝の上からボーガンを構、スラミンを抱えたコトミンが前に出た。エリナは風の精霊を呼び寄せると自分の矢に風の魔力を付与させ、次々と矢を撃ち抜く。
「師匠から受け取ったボーガン……有難く使わせてもらいます!!」
「ギギィッ!?」
「ギャアッ!?」
「ギィアッ!?」
エリナの矢が地面に衝突した瞬間、鏃から衝撃波が放たれて数体のゴブリンを吹き飛ばす。更に彼女は連射が可能になったボーガンの特性を生かして次々と矢を放ち、ゴブリンの集団を撃ち抜く。
「ここは風の精霊に満ちてますからね!!どんどん援護射撃しますよ!!」
「おおっ……頼りになるな」
「私も負けない……スラミン、頑張って」
「ぷるっしゃあああっ!!」
コトミンがスラミンを両手で挟んだ状態で前に突き出すと、事前に水属性の魔石を吸収したスラミンは口内から大量の冷水を放ち、接近する魔物の集団に浴びせて怯ませる。
「キャインッ!?」
「ブヒィッ!?」
「ギャウッ!?」
「……これが人魚族の力」
「いや、どっちかというとスラミンの力じゃないのかそれ!?」
スラミンから放たれる冷水を受けた魔物達はあまりの冷たさに身体が震え、動作が鈍る。ある程度の数の魔物の集団を怯ませる事に成功すると、今度はレナが退魔刀と反鏡剣を構え、集団に突っ込む。
「ゴンちゃん!!ダインとコトミンを任せた!!」
「分かった!!レナ、気を付けろ!!」
ゴンゾウに二人の守備を任せると、レナは退魔刀と反鏡剣を抱えた状態で「瞬動術」を発動させ、一気に加速すると覚えたての戦技を発動させた。
「飛剣!!」
「ギャアアッ!?」
「プギィッ!?」
「ガアアッ!?」
レナが通り過ぎた瞬間、魔物達は突如として急所に鮮血が迸り、次々と地面へ倒れ伏す。傍目から見れば勝手に魔物達が傷ついて倒れたようにしか見えず、一般人が見れば一体何が起きているのか理解出来なかっただろう。重量のある大剣と片手に長剣を構えながらも常人では目に見えない速度で移動するレナの身体能力の高さを思い知らされる。
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◆ ◆ ◆
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不定期更新、更新遅進です。
話数は少ないですが、その割には文量が多いので暇なら読んでやって下さい。
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