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外伝 ~ヨツバ王国編~
真の剣舞
「さあ、行くぞ!!」
「ギャアッ!?」
「ガァッ!?」
「プギャアッ!?」
レナは両手の剣を横薙ぎに振り払い、次々と魔物を切り裂く。剣舞を発動させた状態だと自分の身体が思う以上に早く動くため、攻撃を仕掛けようと考えた時点では既に肉体が動いていた。
(深く考えるな、何も考えずに切る事だけに集中すれば……自然と身体が動く)
迫りくる魔物達を切り裂きながらもレナは移動を行い、決して一か所には留まらずに敵を屠り続ける。足捌き、手首の操作、最も体力を消耗せずに敵を切り裂く事だけに集中しながら魔物を切り裂く。やがて徐々にレナの動作に無駄な動きがなくなっていき、母親のアイラ同様に舞う様に敵を切り裂いていく。
(なるほど、こういう風に動けば体力を消費せず、必要最低限の力だけで敵を斬る事が出来るのか……改めて母上の凄さを思い知らされる)
剣姫の称号を持つアイラの剣舞と比べればレナの剣舞は隙も多く、一瞬でも集中力を乱せば解除してしまう。それでも少しずつ自分の動作の無駄を省き、直感的に相手の急所を効率よく切り裂く術を身に着ける。やがて周囲に大量の魔物の死骸が覆いつくした頃、レナはある境地へ辿り着こうとしていた。
(この状態で他の戦技を組み合わせたらどうなるんだ……?)
舞う様に剣を振り翳しながらレナは不意にある疑問を抱き、この剣舞を発動状態で他の戦技を組み合わせる事が出来るのではないかと考える。極度の集中力を必要とする「一刀両断」の戦技は流石に扱えないが、他の戦技ならば組み合わせる事が出来るのではないかと考える。
(全身の力を込める「撃剣」は無理、かといって「兜割り」のような剣技を下手に発動させると集中力が乱れて剣舞が解除されるかもしれない。魔力を消耗するような技も何となくだけど止めた方が良い気がする……なら、もっと早く動かすなら「疾風剣」なら?)
剣舞を発動した状態でレナは自分の剣技の中で最速を誇る「疾風剣」を組み合わせればより早く動けるのではないかと考え、試しに正面から接近するトロールに向けてレナは退魔刀を振り翳す。
「ウオオオッ……!?」
「――はあっ!!」
レナはトロールに向けて退魔刀を振りぬいた瞬間、彼が扱う剣技の中で最も速かった「疾風撃」さえも上回る速度で大剣の刃が放たれ、トロールの胴体を真っ二つに切り裂く。そのあまりの速度と威力に衝撃波が広がり、トロールの近くに存在した魔物達ものけ反ってしまう。
「ギギイッ!?」
「プギィッ!?」
「くっ……腕が痺れるなこれ」
『複合戦技「疾風斬」を習得しました』
トロールを倒す事に成功するとレナの視界に新たな複合戦技の習得画面が開かれ、どうやら剣舞と疾風剣の相性は良かったらしく、この状況でレナは新しい戦技をまた覚えた。
今回の複合戦技は通常の疾風剣よりも早く、更に威力という点においても通常の「疾風撃」よりも上回る。反面に発動の直後はあまりの速度に攻撃を仕掛けるレナでさえも中断は出来ず、気付いた時には相手を切りかかる動作を負えていた。また、体力の消耗と肉体への負荷も軽くはなく、退魔刀のような大剣の類で使用すると腕をかなり痛める。
「この戦技は反鏡剣専用だな……連発は無理そうだし」
「お、おいレナ……お前、何だよ今の」
「あれ、ダイン?何でここに……そうか、俺が戻って来たのか」
レナは背後から戸惑いの表情を浮かべるダインが存在する事に驚き、どうしてゴンゾウの援護を任せた彼が自分の背後に居るのかと不思議に思うと、何時の間にか他の仲間達も傍に居る事に気付く。どうやら剣舞の発動していた時に無意識に皆の元へ近づいていたらしい。
「レナ、もう敵はいない……全員やっつけた」
「え、やっつけたって……あ、本当だ」
コトミンの言葉にレナは周囲を振り向くと、大樹に迫りくる魔物の大群が何時の間にかいなくなっている事に気付き、代わりに地面には大量の魔物の死骸が倒れていた。どうやら剣舞の発動に集中し過ぎて気付かなかったが、何時の間にかほぼ全ての魔物をレナ一人で切り捨てていたことが発覚する。
「兄貴、本当に凄かったす……あたしたちの援護が間に合わないぐらいに早く動いてたんですよ?」
「レナ、身体は大丈夫なのか?あれほど動き回って平気なのか?」
「特に問題ないと思うけど……」
「いや、嘘つけよ!!凄い汗じゃないか、大丈夫なのかお前!?」
「え……あ、本当だ」
今まで集中していて気付かなかったが、レナは自分の全身から滝のような汗が流れている事に気付き、剣技を磨く事に集中し過ぎて疲労が蓄積されている事に気付いていなかった。自覚すると一気に肉体が重くなったように感じられ、その場に膝を付く。
「あはは……凄い技を覚えたせいで全然気付かなかったよ。でも、これだけ倒せば素材も相当に集まるんじゃないかな?」
「もう十分過ぎるぐらいに集まってるよ!!というか、これだけの魔物を殆ど一人で倒すなんて……レナ、お前どんどん化物じみていくな……」
「ダイン、そういう事は思っても口にしたら駄目」
「という事はコトミンも俺の事を化物だと思っていたのか……ううっ、酷い」
「ぷるぷるっ」
レナを心配するようにスラミンがコトミンの頭の上からレナの肩に移り、ひんやりとした肉体を頬に押し付けてくる。そんなスラミンの優しさに感謝しながらもレナは周囲の魔物の死骸に視線を向け、既に腐敗化を始めている魔物が居る事も気付く。
「あ、不味い……もう腐り掛けている死体が出てる。すぐに素材を回収しないと……!!」
「だから大丈夫だってば!!もう僕達が大部分は素材を回収してるよ!!」
「ほら、兄貴見てくださいこれ!!こんなにいっぱい集まりましたよ!!」
エリナが指差した方向には巨人族でも入り込めそうな大きな袋が複数存在し、その中には種族に分けて回収された魔物の死骸が袋詰めされていた。どうやらレナが気付かぬ間に仲間達が死骸から素材を回収していたらしく、これだけの量があれば十分に勝利は見込めた。
念のためにレナは風の聖痕を発動させて他の冒険者達の様子を伺った結果、どうやら最も素材の確保に成功したのは自分達だと気づき、二番目に多くの素材を回収しているジャンヌと比べても圧倒的な差が存在した。
『はあっ……はっ、くぅっ……ま、まだまだ……!!』
『くそっ!!ジャンヌさんを休ませろ!!ずっと動きっぱなしだぞ!!』
『わ、分かってる!!』
回転剣技によって乱戦の場合は最も有利に思われたジャンヌだが、長時間の剣技の発動によって大幅な体力を消耗したらしく、現在では他の冒険者に守られてどうにか態勢を維持していた。だが、この様子ではこれ以上の戦技の発動は不可能と考えられ、素材の回収は他の冒険者が頑張るしかない。
『畜生……やっとデカブツを倒したってのにこれじゃあ、割に合わないよ』
『我々も年を取ったな……この程度の数のトロールにここまで苦戦されるとは』
『すまないなバル……もっと俺達が若ければな』
バルの方も十数体のトロールの撃破には成功したようだが、既に全員が体力を消耗しきっており、戦闘を中断して大樹から離れた安全な場所に既に避難していた。しかも素材を回収する暇も殆どなかったのか大きめの袋が一つだけしか持ち込んでおらず、既にトロールの死骸は大樹に栄養を吸収されて腐敗化が進んでいる状態だった。
「ギャアッ!?」
「ガァッ!?」
「プギャアッ!?」
レナは両手の剣を横薙ぎに振り払い、次々と魔物を切り裂く。剣舞を発動させた状態だと自分の身体が思う以上に早く動くため、攻撃を仕掛けようと考えた時点では既に肉体が動いていた。
(深く考えるな、何も考えずに切る事だけに集中すれば……自然と身体が動く)
迫りくる魔物達を切り裂きながらもレナは移動を行い、決して一か所には留まらずに敵を屠り続ける。足捌き、手首の操作、最も体力を消耗せずに敵を切り裂く事だけに集中しながら魔物を切り裂く。やがて徐々にレナの動作に無駄な動きがなくなっていき、母親のアイラ同様に舞う様に敵を切り裂いていく。
(なるほど、こういう風に動けば体力を消費せず、必要最低限の力だけで敵を斬る事が出来るのか……改めて母上の凄さを思い知らされる)
剣姫の称号を持つアイラの剣舞と比べればレナの剣舞は隙も多く、一瞬でも集中力を乱せば解除してしまう。それでも少しずつ自分の動作の無駄を省き、直感的に相手の急所を効率よく切り裂く術を身に着ける。やがて周囲に大量の魔物の死骸が覆いつくした頃、レナはある境地へ辿り着こうとしていた。
(この状態で他の戦技を組み合わせたらどうなるんだ……?)
舞う様に剣を振り翳しながらレナは不意にある疑問を抱き、この剣舞を発動状態で他の戦技を組み合わせる事が出来るのではないかと考える。極度の集中力を必要とする「一刀両断」の戦技は流石に扱えないが、他の戦技ならば組み合わせる事が出来るのではないかと考える。
(全身の力を込める「撃剣」は無理、かといって「兜割り」のような剣技を下手に発動させると集中力が乱れて剣舞が解除されるかもしれない。魔力を消耗するような技も何となくだけど止めた方が良い気がする……なら、もっと早く動かすなら「疾風剣」なら?)
剣舞を発動した状態でレナは自分の剣技の中で最速を誇る「疾風剣」を組み合わせればより早く動けるのではないかと考え、試しに正面から接近するトロールに向けてレナは退魔刀を振り翳す。
「ウオオオッ……!?」
「――はあっ!!」
レナはトロールに向けて退魔刀を振りぬいた瞬間、彼が扱う剣技の中で最も速かった「疾風撃」さえも上回る速度で大剣の刃が放たれ、トロールの胴体を真っ二つに切り裂く。そのあまりの速度と威力に衝撃波が広がり、トロールの近くに存在した魔物達ものけ反ってしまう。
「ギギイッ!?」
「プギィッ!?」
「くっ……腕が痺れるなこれ」
『複合戦技「疾風斬」を習得しました』
トロールを倒す事に成功するとレナの視界に新たな複合戦技の習得画面が開かれ、どうやら剣舞と疾風剣の相性は良かったらしく、この状況でレナは新しい戦技をまた覚えた。
今回の複合戦技は通常の疾風剣よりも早く、更に威力という点においても通常の「疾風撃」よりも上回る。反面に発動の直後はあまりの速度に攻撃を仕掛けるレナでさえも中断は出来ず、気付いた時には相手を切りかかる動作を負えていた。また、体力の消耗と肉体への負荷も軽くはなく、退魔刀のような大剣の類で使用すると腕をかなり痛める。
「この戦技は反鏡剣専用だな……連発は無理そうだし」
「お、おいレナ……お前、何だよ今の」
「あれ、ダイン?何でここに……そうか、俺が戻って来たのか」
レナは背後から戸惑いの表情を浮かべるダインが存在する事に驚き、どうしてゴンゾウの援護を任せた彼が自分の背後に居るのかと不思議に思うと、何時の間にか他の仲間達も傍に居る事に気付く。どうやら剣舞の発動していた時に無意識に皆の元へ近づいていたらしい。
「レナ、もう敵はいない……全員やっつけた」
「え、やっつけたって……あ、本当だ」
コトミンの言葉にレナは周囲を振り向くと、大樹に迫りくる魔物の大群が何時の間にかいなくなっている事に気付き、代わりに地面には大量の魔物の死骸が倒れていた。どうやら剣舞の発動に集中し過ぎて気付かなかったが、何時の間にかほぼ全ての魔物をレナ一人で切り捨てていたことが発覚する。
「兄貴、本当に凄かったす……あたしたちの援護が間に合わないぐらいに早く動いてたんですよ?」
「レナ、身体は大丈夫なのか?あれほど動き回って平気なのか?」
「特に問題ないと思うけど……」
「いや、嘘つけよ!!凄い汗じゃないか、大丈夫なのかお前!?」
「え……あ、本当だ」
今まで集中していて気付かなかったが、レナは自分の全身から滝のような汗が流れている事に気付き、剣技を磨く事に集中し過ぎて疲労が蓄積されている事に気付いていなかった。自覚すると一気に肉体が重くなったように感じられ、その場に膝を付く。
「あはは……凄い技を覚えたせいで全然気付かなかったよ。でも、これだけ倒せば素材も相当に集まるんじゃないかな?」
「もう十分過ぎるぐらいに集まってるよ!!というか、これだけの魔物を殆ど一人で倒すなんて……レナ、お前どんどん化物じみていくな……」
「ダイン、そういう事は思っても口にしたら駄目」
「という事はコトミンも俺の事を化物だと思っていたのか……ううっ、酷い」
「ぷるぷるっ」
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