不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

文字の大きさ
679 / 2,091
外伝 ~ヨツバ王国編~

七大魔剣「青嵐」

しおりを挟む
「――何を呆けてやがる!!この裏切り者!!」


ハヤテは聞き慣れた少年の言葉を耳にして意識を取り戻し、何時の間にか過去の思い出に自分が耽っていた事を知ると、ハヤテは眉を顰めながらも正面から迫りくるガロを目にして刀を構える。


『無策で飛び込むとは……ガロ、お前は何時までも成長しないガキだ』
「うるせえっ!!俺を舐めんじゃねえ!!」
「駄目だよガロ!?」
「殺されるぞ!!」


両手に剣を握り締めたガロはハヤテに向けて跳躍を行い、そのまま握り締めた長剣を獣の牙に見立てた状態で振り下ろす。


「和風牙……!?」
『その戦技は……長剣向きじゃないと教えたはず』


だが、ガロが剣を振り下ろした瞬間、ハヤテは目にも見えぬ速度で鞘から刃を引き抜き、ガロの握り締めた双剣の刃を根本の部分から切断した。ガロの目には自分が振り下ろした剣の刃が唐突に空中で分解したかのようにしか見えず、その隙にハヤテは落下するガロの腹部に蹴りを叩き込む。


『邪魔!!』
「ぐはぁっ!?」
「ガロ!!この馬鹿っ……大丈夫か!?」


蹴り飛ばされたガロを咄嗟に相方のモリモが受け止めると、それに応じてミナとジャンヌが飛び出し、二人は左右からハヤテに接近すると戦技を繰り出す。


「乱れ突き!!」
「回転!!」
『……遅い』


ミナが無数の槍の突きを繰り出すのに対し、ジャンヌが両手の旋斧を振り翳すが、それを予期していたかの様にハヤテはその場を動かずに迎撃する。


『居合ニ式……乱!!』
「うわぁっ!?」
「くうっ!?」


ハヤテが鞘から刀を抜いた瞬間、彼女の周囲に複数の風の斬撃が発生し、攻撃を仕掛けたジャンヌとミナが吹き飛ばされる。一太刀で数回の斬撃を生み出したハヤテに対してロウガは目を見開き、本気で彼女が自分達を殺すつもりで来た事に気付く。


「ハヤテ、貴様本当に我々を……!!」
『問答する気はない。さっきも言ったはずだ、私はもうお前達の仲間ではない』
「たくっ……とんでもない奴が来たね!!」
「いかに剣聖といえど、これだけの数に一人で勝てると思っているのか!!」


負傷したロウガを庇うようにバルとガンモが前に出ると、ハヤテは二人を見て刀を鞘に戻すと、距離が開いているにも関わらずに居合の体勢を取る。再びロウガの剣を破壊した強烈な風の斬撃を浴びせるつもりなのかとバルとガンモが身構えると、ハヤテは目を見開いて鞘から剣を引き抜く


『居合一式・改……連斬!!』
「な、何だい!?」
「これは……!?」
「不味い!!全員下がれ……うおおっ!?」


鞘から刃が引き抜かれた瞬間、ハヤテは刃を横向きに振りぬいた直後に今度は正面に刃を構えて振り下ろし、丁度「十」の文字のような風の斬撃を放つ。その規模は先ほどロウガに深手を負わせた攻撃よりも大きく、バルとガンモは防ぎきれずにロウガも巻き込んで三人は吹き飛ばされてしまう。


「ぐああっ!?」
「がはぁっ!?」
「ぬあっ!?」
「そ、そんな!?」


冒険者集団の代表格である3人が地面に叩きつけられる光景に他の冒険者達は顔を青ざめ、シュンを上回る風の斬撃を生み出したハヤテに全員が恐れを為す。この場に存在するのはバルトロス王国の中でも上位に位置する冒険者達だが、ハヤテの実力を見せつけられて誰もが身体を震わせた。


『どうした?お前達は掛かってこないのか?』
「は、ハヤテさん……」
「う、嘘だろ!?あの3人がこんなに呆気なく……」
「お、落ち着け!!所詮は一人だ!!遠くから魔法を撃てばいいんだよ!!」


ハヤテの言葉を受けて冒険者達は震える中、杖を握り締めた魔術師の一人が腕を振るわせながらもハヤテに向けて構え、魔法の準備を行う。その光景を見てエリナも咄嗟にボーガンに矢を装填し、同時に攻撃を行う。


「喰らえっ!!フレイムアロー!!」
「強化射撃!!」


魔術師が放った火属性の砲撃魔法の魔弾、エリナのボーガンから放たれた風の魔力を纏った矢が同時にハヤテに接近するが、彼女は恐れる様子もなく刃を構えると、その場で一回転しながら迫りくる魔弾と矢の軌道を刃で受け流す。


『流水』
「なっ!?いかん!!」
「よ、避けろっ!!」
「うわぁあああっ!?」


ハヤテが剣を振り払っただけで軌道を変更した魔弾と矢は冒険者達に向けて放たれ、慌てて冒険者達は回避行動に移るが、魔弾が地面に衝突した瞬間に爆発を引き起こす。攻撃を仕掛けたはずの魔術師自身が爆風に巻き込まれて吹き飛び、エリナの方もゴンゾウが咄嗟に彼女を守るために抱きしめると、彼の右肩を矢が掠めて肉を抉り取る。


「ぐあっ!?」
「ご、ゴンゾウ!?おい、大丈夫か!?」
「傷口を見せて!!」
「そ、そんな……」


ゴンゾウが自分の放った矢で怪我を負った事にエリナは愕然とし、慌ててダインとコトミンが駆け寄り、傷口の治療を行う。その光景を見たハヤテは鞘に刀を戻し、次の攻撃態勢へ入る。



――彼女が発動した「流水」とは相手の攻撃を別方向に誘導する「受け流し」と呼ばれる戦技の上位互換に当たり、相手の攻撃を逆手に取って自分の力も加えて跳ね返す戦技だった。一刀両断や剣舞と同じく一流の剣士でさえも習得する事が難しい複合戦技であり、最強の剣聖であるゴウライでさえも習得していない非常に習得難易度が高い戦技だった。



氷雨の冒険者の剣士の中でも「流水」を扱えるのはハヤテしか存在せず、ロウガやジャンヌでさえも覚えていない。しかもハヤテはこの戦技を滅多に人前で見せる事はなかったので氷雨の冒険者達も彼女が魔法に対して反撃を行える戦技を覚えていた事を知る者はいない。


「な、何だよ今の剣技!?魔法を跳ね返すなんてありえないだろ!!」
「反鏡剣でも使ったのか!?いや、そんな感じには見えなかったけど……」
「馬鹿者、取り乱すな!!まずは落ち着くんだ!!」
『……仲間がやられた程度でこの体たらく、マリアの苦労が伺える』


次々と味方が倒された事で冒険者達は完全に取り乱してしまい、ギンタロウが全員を落ち着かせようと怒鳴りつけるが、その程度では混乱は収まらない。それを見たハヤテは呆れた表情を一瞬だけ浮かべながらも、追撃を辞めずに今度は負傷者を狙おうとゴンゾウを標的に定める。


『今度はお前だ……!?』
「おい」


しかし、彼女が刀を引き抜く前に異様な殺気が襲いかかり、咄嗟にハヤテは振り返るとそこには退魔刀を両手に抱えた状態のレナが自分に向けて歩む姿が存在した。


「……お前、いい加減にしろよ」
「れ、レナさん……!?」
「こ、怖い……!?」


地面に膝を付いていたジャンヌとミナの横を通り過ぎると、レナは瞳の色を「紅色」に変色させ、退魔刀を握り締めた状態でハヤテに近付く。既にハヤテは攻撃の範囲内に入ったにも関わらず、レナは臆する様子もなく退魔刀を正面から構えた。

ハヤテは自分に接近するレナの姿を見ると、あまりの殺気に竜種と向き合ったような感覚を覚え、無意識に冷や汗を流す。これほどまでの威圧を放つ存在を相手にしたのは彼女が宿敵と認めたゴウライ以来であり、実際に能力面だけを見ればレナの力はゴウライにも匹敵するだろう。


『……来い、今度こそはお前との因縁をここで絶つ』
「やれるものなら……やってみろ!!」
「ひいっ!?」
「な、なんだ……!?」
「身体の震えが……止まらない!?」


風の剣聖であるハヤテと剣鬼のレナの気迫だけで周囲の人間は身体が震えてまともに動く事も出来ず、二人の勝負を止める事が出来ない。否、出来るはずがなかった。




※申し訳ありません!!明日からは文字数を減らす事になるかと思います!!作者のリアルの方で色々と忙しくなり、3000文字投降は難しくなりそうです……(;´・ω・)
しおりを挟む
感想 5,095

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!

霜月雹花
ファンタジー
 神の悪戯により死んでしまった主人公は、別の神の手により3つの便利なスキルを貰い異世界に転生する事になった。転生し、普通の人生を歩む筈が、又しても神の悪戯によってトラブルが起こり目が覚めると異世界で10歳の〝家無し名無し〟の状態になっていた。転生を勧めてくれた神からの手紙に代償として、希少な力を受け取った。  神によって人生を狂わされた主人公は、異世界で便利なスキルを使って生きて行くそんな物語。 書籍8巻11月24日発売します。 漫画版2巻まで発売中。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。