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外伝 ~ヨツバ王国編~
レイビの援護
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「……降参しろ、このままだと死ぬぞ!!」
『っ……!!』
退魔刀でハヤテの身体を抑えつけながらレナは叫ぶと、彼女は苦痛の表情を浮かべながら睨みつけ、真剣勝負の最中に降伏を促すレナに怒りを抱く。
『ふざけるな!!お前のような十数年程度しか生きていないガキに、負けを認めろというのか!!』
「年齢なんて関係ないだろ!!」
『大有りだ!!それに……私の力がこの程度だと思うな!!』
ハヤテは言葉と同時に握りしめている青嵐の刃に風の魔力を纏わせ、レナが押し込む退魔刀の刃を風の力で吹き飛ばそうとした。だが、それを見越してレナは敢えて退魔刀を掲げると、腰に差していた反鏡剣を抜いて切り裂く。
「はあっ!!」
『ぐうっ!?』
反鏡剣は魔法を跳ね返す性質を持ち、青嵐の刀身に纏わりついていた風の魔力を切り裂いた瞬間に掻き消す。咄嗟にハヤテは身体を転がして距離を取ってから立ち上がろうとしたが、その前にレナは退魔刀を握り締めた腕を振り下ろす。
「加速剣撃、兜割り!!」
『流水……うあっ!?』
「ハヤテ!!」
渾身の一撃を繰り出したレナに対してハヤテはどうにか攻撃を受け流そうとしたが、完全に体勢を整える前に繰り出されたので防ぎきれず、彼女が握りしめていた青嵐が弾かれてしまう。それを目撃したロウガはハヤテの名前を叫び、空中に放り出された青嵐は偶然にも起き上がろうとしていたジャンヌとミナの元へ落ちていく。
「えっ!?」
「わあっ!?な、なに!?」
「や、やった!!早くそれを拾え、そうすればハヤテは何も出来ない!!」
二人は唐突に自分達の目の前に落ちてきた青嵐に戸惑うが、ダインが歓喜の声を上げてハヤテが回収する前に武器を拾う様に告げると、ハヤテは起き上がって青嵐の元へ向かう。
『させるかっ!!』
「逃がすかっ!!」
ジャンヌとミナのどちらかが刀を拾う前にハヤテは回収しようと駆け出すが、その後をレナが追いかけ、彼女が刀に触れる前に止めようとする。事態に気付いたミナとジャンヌは慌てて二人同時に青嵐に手を伸ばそうとしたが、その前に二人の間を潜り抜けて全身が赤黒い体毛に覆われたコボルトが先に拾い上げる。
「ガアアッ!!」
「きゃっ!?」
「な、何!?」
『ちっ……それを寄越せ!!』
「なっ!?」
先に拾い上げた青嵐を拾い上げたコボルトを見たハヤテは舌打ちを行いながらも手を伸ばすと、コボルトはそれに従うように手を伸ばし、レナが止める前よりも先にハヤテの手に青嵐が戻る。その瞬間、彼女は刀身に竜巻を纏わせ、周囲に刃を振り回す。
「居合ニ式・嵐!!」
「うわぁっ!?」
「きゃあっ!?」
「いててっ!?」
周囲に向けて無数の風の斬撃が放たれ、咄嗟にレナは退魔刀を抱えて防御に成功し、ジャンヌとミナは体勢を屈めて回避しようとしたが、完全には避けきれずにいくつかの箇所に掠り傷を追う。だが、青嵐を渡したコボルトは至近距離に存在した事で避ける事も出来ず、身体をバラバラに切り裂かれてしまう。
「グガァッ……!?」
『……余計な真似をするな』
「くっ……そのコボルトはあんたの仲間か?」
『仲間だと……ふざけるな!!』
自分の代わりに武器を拾って渡してくれたにも関わらず、ハヤテは忌々しそうに切り裂かれたコボルトの頭部に青嵐を突き刺し、怒りのままに切断する。その行為にレナは眉を顰めるが、切り裂かれたコボルトの死骸を見て違和感を抱き、そしてコボルトの瞳の色を見て異変に気付く。
「こいつ……まさか、赤獣?」
『何……!?どうしてお前がそれを……』
「赤獣って……あっ!?あいつだ!!僕達を森の中で襲ってきたコボルトじゃないのか!?」
「何だと!?」
「言われてみれば似てる気がする……」
レナの言葉にハヤテは驚いた表情を浮かべ、ダイン達も遅れてコボルトの死骸を見て森の中で北聖将の兵士を襲撃していたコボルトと同じ特徴を持っている事に気付く。どうやらハヤテに武器を渡したコボルトは南聖将が吸血鬼の血液を利用して作り出した「赤獣」で間違いない。
(誰かがコボルトを操ってハヤテの援護をしているのか?という事は近くに魔物使いが隠れているはず……いや、だけどどうしてこいつは樹肉の影響を受けずに援護に回れた?)
普通に考えれば魔物であるコボルトが人間(森人族)であるハヤテの手助けをするはずがなく、仮に魔物使いに操られている魔獣だとしても樹肉の大樹が存在するこの魔の草原で樹肉の欲求を振り切って操る事は出来ない。樹肉は魔物にとっては麻薬のように中毒性が高く、臭いを嗅ぎつけただけで暴走してしまう代物である。特にコボルトのような嗅覚の鋭い魔物ほど樹肉に惹かれやすいはずだが、ハヤテを助けたコボルトは足元に落ちていた無数の魔物死骸や樹肉の残骸を前にしながらも何の反応も示していなかった事にレナは疑問を抱く。
(……そういえば、森の中で遭遇したコボルトは死骸の血液しかすすっていなかったな。まさか、吸血鬼の特徴を得た赤獣は樹肉の影響を受けないのか?)
吸血鬼によって強化されたコボルトはもしかしたら魔物の死肉ではなく、血液だけを栄養の糧として生きている可能性もあり、実際にレナ達が森の中で遭遇したコボルト達は魔物の死骸から血液を吸い取るだけで死肉自体は喰らっている様子はなかった。
『っ……!!』
退魔刀でハヤテの身体を抑えつけながらレナは叫ぶと、彼女は苦痛の表情を浮かべながら睨みつけ、真剣勝負の最中に降伏を促すレナに怒りを抱く。
『ふざけるな!!お前のような十数年程度しか生きていないガキに、負けを認めろというのか!!』
「年齢なんて関係ないだろ!!」
『大有りだ!!それに……私の力がこの程度だと思うな!!』
ハヤテは言葉と同時に握りしめている青嵐の刃に風の魔力を纏わせ、レナが押し込む退魔刀の刃を風の力で吹き飛ばそうとした。だが、それを見越してレナは敢えて退魔刀を掲げると、腰に差していた反鏡剣を抜いて切り裂く。
「はあっ!!」
『ぐうっ!?』
反鏡剣は魔法を跳ね返す性質を持ち、青嵐の刀身に纏わりついていた風の魔力を切り裂いた瞬間に掻き消す。咄嗟にハヤテは身体を転がして距離を取ってから立ち上がろうとしたが、その前にレナは退魔刀を握り締めた腕を振り下ろす。
「加速剣撃、兜割り!!」
『流水……うあっ!?』
「ハヤテ!!」
渾身の一撃を繰り出したレナに対してハヤテはどうにか攻撃を受け流そうとしたが、完全に体勢を整える前に繰り出されたので防ぎきれず、彼女が握りしめていた青嵐が弾かれてしまう。それを目撃したロウガはハヤテの名前を叫び、空中に放り出された青嵐は偶然にも起き上がろうとしていたジャンヌとミナの元へ落ちていく。
「えっ!?」
「わあっ!?な、なに!?」
「や、やった!!早くそれを拾え、そうすればハヤテは何も出来ない!!」
二人は唐突に自分達の目の前に落ちてきた青嵐に戸惑うが、ダインが歓喜の声を上げてハヤテが回収する前に武器を拾う様に告げると、ハヤテは起き上がって青嵐の元へ向かう。
『させるかっ!!』
「逃がすかっ!!」
ジャンヌとミナのどちらかが刀を拾う前にハヤテは回収しようと駆け出すが、その後をレナが追いかけ、彼女が刀に触れる前に止めようとする。事態に気付いたミナとジャンヌは慌てて二人同時に青嵐に手を伸ばそうとしたが、その前に二人の間を潜り抜けて全身が赤黒い体毛に覆われたコボルトが先に拾い上げる。
「ガアアッ!!」
「きゃっ!?」
「な、何!?」
『ちっ……それを寄越せ!!』
「なっ!?」
先に拾い上げた青嵐を拾い上げたコボルトを見たハヤテは舌打ちを行いながらも手を伸ばすと、コボルトはそれに従うように手を伸ばし、レナが止める前よりも先にハヤテの手に青嵐が戻る。その瞬間、彼女は刀身に竜巻を纏わせ、周囲に刃を振り回す。
「居合ニ式・嵐!!」
「うわぁっ!?」
「きゃあっ!?」
「いててっ!?」
周囲に向けて無数の風の斬撃が放たれ、咄嗟にレナは退魔刀を抱えて防御に成功し、ジャンヌとミナは体勢を屈めて回避しようとしたが、完全には避けきれずにいくつかの箇所に掠り傷を追う。だが、青嵐を渡したコボルトは至近距離に存在した事で避ける事も出来ず、身体をバラバラに切り裂かれてしまう。
「グガァッ……!?」
『……余計な真似をするな』
「くっ……そのコボルトはあんたの仲間か?」
『仲間だと……ふざけるな!!』
自分の代わりに武器を拾って渡してくれたにも関わらず、ハヤテは忌々しそうに切り裂かれたコボルトの頭部に青嵐を突き刺し、怒りのままに切断する。その行為にレナは眉を顰めるが、切り裂かれたコボルトの死骸を見て違和感を抱き、そしてコボルトの瞳の色を見て異変に気付く。
「こいつ……まさか、赤獣?」
『何……!?どうしてお前がそれを……』
「赤獣って……あっ!?あいつだ!!僕達を森の中で襲ってきたコボルトじゃないのか!?」
「何だと!?」
「言われてみれば似てる気がする……」
レナの言葉にハヤテは驚いた表情を浮かべ、ダイン達も遅れてコボルトの死骸を見て森の中で北聖将の兵士を襲撃していたコボルトと同じ特徴を持っている事に気付く。どうやらハヤテに武器を渡したコボルトは南聖将が吸血鬼の血液を利用して作り出した「赤獣」で間違いない。
(誰かがコボルトを操ってハヤテの援護をしているのか?という事は近くに魔物使いが隠れているはず……いや、だけどどうしてこいつは樹肉の影響を受けずに援護に回れた?)
普通に考えれば魔物であるコボルトが人間(森人族)であるハヤテの手助けをするはずがなく、仮に魔物使いに操られている魔獣だとしても樹肉の大樹が存在するこの魔の草原で樹肉の欲求を振り切って操る事は出来ない。樹肉は魔物にとっては麻薬のように中毒性が高く、臭いを嗅ぎつけただけで暴走してしまう代物である。特にコボルトのような嗅覚の鋭い魔物ほど樹肉に惹かれやすいはずだが、ハヤテを助けたコボルトは足元に落ちていた無数の魔物死骸や樹肉の残骸を前にしながらも何の反応も示していなかった事にレナは疑問を抱く。
(……そういえば、森の中で遭遇したコボルトは死骸の血液しかすすっていなかったな。まさか、吸血鬼の特徴を得た赤獣は樹肉の影響を受けないのか?)
吸血鬼によって強化されたコボルトはもしかしたら魔物の死肉ではなく、血液だけを栄養の糧として生きている可能性もあり、実際にレナ達が森の中で遭遇したコボルト達は魔物の死骸から血液を吸い取るだけで死肉自体は喰らっている様子はなかった。
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