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外伝 ~ヨツバ王国編~
動き出す南聖将
――ギンタロウ達が魔物の群れに足止めされている頃、コボルトの背中に乗って撤退したハヤテは悔し気な表情を浮かべ、魔の草原から十分に離れた距離まで移動すると彼女を乗せたコボルトは立ち止まる。
「グルルルッ……!!」
『……レイビ、何の真似だ。どうして邪魔をした』
コボルトからハヤテは降り立つと、彼女は刀を抜いてコボルトの首へ構える。だが、刃を付きつけられながらもコボルトは恐れた様子も見せず、黙って立ち上がると口を開く。
「邪魔とは心外だな、俺はあんたの事を助けたつもりだぜ?」
『何……!?』
立ち上がったコボルトが流暢に人語を語り掛けてきた事にハヤテは目を見開き、まさか魔人族ですらないコボルトが人語を話した事に驚きを隠せない。だが、すぐに彼女は声が聞こえてきた方向がコボルトの背後からである事に気付き、直後に草むらから一人の青年が姿を現す。
「よう、こうして直に会うのは一か月ぶりか?」
『……レイビ、貴様がどうしてここにいる?』
「へっ……ここはもうすぐ俺の領地になる場所だぜ?事前に下見ぐらいしてもおかしくはないだろ?」
『……この間まで自分の領地を管理しきれず、他の将の世話になっていた癖に』
「ちっ……相変わらず可愛げがない女だな」
ハヤテの言葉にレイビは額に青筋を浮かべるが、彼女の恰好を見て少し驚いた表情を浮かべ、気を取り直したようにハヤテに問い質す。
「そういうあんたも随分と苦戦していたようだな、赤獣共の目を通して状況は把握していたつもりだが……余程、あの人間のガキに追い詰められたようだな」
『うるさい!!』
「おっと、どうやら図星だったようだな。かっかっかっ!!」
負傷したハヤテの姿を見てレイビは笑い声をあげ、そんな彼に対してハヤテは苛立ちを隠さずに腰の刀に手を伸ばすが、それを見越したように赤獣化したコボルトが唸り声をあげる。
「グルルルッ……!!」
「おっと、止めとけ。お前程度だとこいつの相手は無理だ」
「クゥンッ……」
『……用件を伝えろ、私を呼び戻したという事はカレハ様から新しい伝令を受けたのか?』
コボルトを下がらせたレイビに対してハヤテは自分を呼び戻した理由を尋ねると、レイビは彼女の言葉を聞いて意外そうな表情を浮かべ、大笑いする。
「かっかっかっ!!なるほど、あんたが妙に素直に退いたかと思えば俺が王女様の伝令を受けていると思い込んでいたのか!!こりゃ、お笑いだぜ!!」
『何だと……!?』
「言っておくが、俺は別にあの王女様から命令は受けてない。あんたを呼び戻したのは俺の邪魔をするなと忠告するために呼び寄せたんだよ。分かったかお嬢ちゃん?」
『ふざけるな!!』
「おっと、その刀は何だ?まさか南聖将の俺に対して刃を向ける気か?」
ハヤテはレイビの言い分に我慢ならずに鞘から刀を引き抜くが、その姿を見たレイビの態度が一変し、鋭い眼差しでハヤテを睨みつける。一触即発の雰囲気が漂う中、先に退いたのはレイビだった。
「まあ、ここであんたとやり合うのも悪くないが、言っておくが俺とあんたは立場が違うんだよ。仮に俺をここで殺せば王女様があんたの事を許すと思うのか?あの人のお気に入りの俺を傷つけて無事で済むと思うなよ」
『お気に入りだと……笑わせるな、あの方がお前の事を心の底から信用していると思っているのか?』
「思ってるね、何しろこの国で王女様に真っ先に忠誠を誓ったのは俺だ。王女様は俺の事を誰よりも信頼してるんだよ。少なくともお前よりはな」
『…………』
レイビの自信に満ちた言葉にハヤテは言い返す事は出来ず、実際にこの国を支配下に収めようとしているカレハ王女はレイビの事を確かに特別視している節があった。そうでなければレイビに吸血鬼の血液を与え、赤獣などという存在を生み出す許可も与えるはずがない。
カレハ王女が他の王族の代行としてヨツバ王国を管理する事が決定した際、真っ先に彼女に協力的な態度を取っていたのはレイビだった。他の将軍達がカレハ王女の対応に慎重に戸惑う中、レイビは真っ先に彼女に忠誠を誓い、彼女の手足となって働く事を誓う。
――カレハがヨツバ王国を完全に支配下に収めるには六聖将を味方につける必要があり、彼女は真っ先に領地の拡大を画策していたレイビに目を付けた。彼女はレイビに対して自分に反乱の意思を抱く可能性が高い東聖将の監視を命じ、もしも東聖将が従わぬ場合はレイビに東聖将の討伐を命じていた。仮にレイビが東聖将の討伐に成功した暁には東の領地の管理もレイビに任せる事を約束する。
レイビとしては前々から森人族でもないのに東聖将の座を与えられたギンタロウの事は気に喰わず、それでいながら南方の領地の守護のために彼の所から借りている兵士の力を借りなければならない状況に嫌気を差していた。だが、カレハのお陰で現在ではレイビの軍隊は「赤獣」というより強化された魔物を与えられ、更に憎き東聖将の討伐の好機をカレハから直々に与えられた。
「グルルルッ……!!」
『……レイビ、何の真似だ。どうして邪魔をした』
コボルトからハヤテは降り立つと、彼女は刀を抜いてコボルトの首へ構える。だが、刃を付きつけられながらもコボルトは恐れた様子も見せず、黙って立ち上がると口を開く。
「邪魔とは心外だな、俺はあんたの事を助けたつもりだぜ?」
『何……!?』
立ち上がったコボルトが流暢に人語を語り掛けてきた事にハヤテは目を見開き、まさか魔人族ですらないコボルトが人語を話した事に驚きを隠せない。だが、すぐに彼女は声が聞こえてきた方向がコボルトの背後からである事に気付き、直後に草むらから一人の青年が姿を現す。
「よう、こうして直に会うのは一か月ぶりか?」
『……レイビ、貴様がどうしてここにいる?』
「へっ……ここはもうすぐ俺の領地になる場所だぜ?事前に下見ぐらいしてもおかしくはないだろ?」
『……この間まで自分の領地を管理しきれず、他の将の世話になっていた癖に』
「ちっ……相変わらず可愛げがない女だな」
ハヤテの言葉にレイビは額に青筋を浮かべるが、彼女の恰好を見て少し驚いた表情を浮かべ、気を取り直したようにハヤテに問い質す。
「そういうあんたも随分と苦戦していたようだな、赤獣共の目を通して状況は把握していたつもりだが……余程、あの人間のガキに追い詰められたようだな」
『うるさい!!』
「おっと、どうやら図星だったようだな。かっかっかっ!!」
負傷したハヤテの姿を見てレイビは笑い声をあげ、そんな彼に対してハヤテは苛立ちを隠さずに腰の刀に手を伸ばすが、それを見越したように赤獣化したコボルトが唸り声をあげる。
「グルルルッ……!!」
「おっと、止めとけ。お前程度だとこいつの相手は無理だ」
「クゥンッ……」
『……用件を伝えろ、私を呼び戻したという事はカレハ様から新しい伝令を受けたのか?』
コボルトを下がらせたレイビに対してハヤテは自分を呼び戻した理由を尋ねると、レイビは彼女の言葉を聞いて意外そうな表情を浮かべ、大笑いする。
「かっかっかっ!!なるほど、あんたが妙に素直に退いたかと思えば俺が王女様の伝令を受けていると思い込んでいたのか!!こりゃ、お笑いだぜ!!」
『何だと……!?』
「言っておくが、俺は別にあの王女様から命令は受けてない。あんたを呼び戻したのは俺の邪魔をするなと忠告するために呼び寄せたんだよ。分かったかお嬢ちゃん?」
『ふざけるな!!』
「おっと、その刀は何だ?まさか南聖将の俺に対して刃を向ける気か?」
ハヤテはレイビの言い分に我慢ならずに鞘から刀を引き抜くが、その姿を見たレイビの態度が一変し、鋭い眼差しでハヤテを睨みつける。一触即発の雰囲気が漂う中、先に退いたのはレイビだった。
「まあ、ここであんたとやり合うのも悪くないが、言っておくが俺とあんたは立場が違うんだよ。仮に俺をここで殺せば王女様があんたの事を許すと思うのか?あの人のお気に入りの俺を傷つけて無事で済むと思うなよ」
『お気に入りだと……笑わせるな、あの方がお前の事を心の底から信用していると思っているのか?』
「思ってるね、何しろこの国で王女様に真っ先に忠誠を誓ったのは俺だ。王女様は俺の事を誰よりも信頼してるんだよ。少なくともお前よりはな」
『…………』
レイビの自信に満ちた言葉にハヤテは言い返す事は出来ず、実際にこの国を支配下に収めようとしているカレハ王女はレイビの事を確かに特別視している節があった。そうでなければレイビに吸血鬼の血液を与え、赤獣などという存在を生み出す許可も与えるはずがない。
カレハ王女が他の王族の代行としてヨツバ王国を管理する事が決定した際、真っ先に彼女に協力的な態度を取っていたのはレイビだった。他の将軍達がカレハ王女の対応に慎重に戸惑う中、レイビは真っ先に彼女に忠誠を誓い、彼女の手足となって働く事を誓う。
――カレハがヨツバ王国を完全に支配下に収めるには六聖将を味方につける必要があり、彼女は真っ先に領地の拡大を画策していたレイビに目を付けた。彼女はレイビに対して自分に反乱の意思を抱く可能性が高い東聖将の監視を命じ、もしも東聖将が従わぬ場合はレイビに東聖将の討伐を命じていた。仮にレイビが東聖将の討伐に成功した暁には東の領地の管理もレイビに任せる事を約束する。
レイビとしては前々から森人族でもないのに東聖将の座を与えられたギンタロウの事は気に喰わず、それでいながら南方の領地の守護のために彼の所から借りている兵士の力を借りなければならない状況に嫌気を差していた。だが、カレハのお陰で現在ではレイビの軍隊は「赤獣」というより強化された魔物を与えられ、更に憎き東聖将の討伐の好機をカレハから直々に与えられた。
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