不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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外伝 ~ヨツバ王国編~

人質救出大作戦

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「奴等を尋問した所、どうやらレイビに貸し与えた兵士達は現在は南方に存在する採掘場で働かされているらしい!!これが地図だ!!」


ギンタロウは大きな羊皮紙を用意すると畳の上に広げ、レイビの配下から聞き出した情報を頼りに判明した500人の兵士の居場所を示す。場所は「オロラ鉱山」という表記がされた森の中に存在する鉱山らしく、この場所にてギンタロウの兵士達が今尚も働かされている事が発覚する。


「どうやらレイビの奴は俺の兵士をここで強制的に働かせ、魔石を発掘させているらしい。しかも見張り役として数人の魔物使いと「人虎」と呼ばれる魔人族を20名近く配備させているそうだ!!」
「人虎?聞き慣れない名前だね……」
「主に獣人国に生息する魔人族だ。奴等は気性が激しく、その上に知能も高いから厄介な相手だぞ」


バルは自分ですら初めて聞く名前の魔人族に首を傾げると、ロウガが代わりに詳細を伝える。本来は獣人国内に生息する魔人族のようだが、レイビは何らかの手段で人虎をアトラス大森林に引き寄せたらしい。


「ロウガよ、その人虎というのはどの程度の力を持つ?危険度は高いのか?」
「ミノタウロス、サイクロプスと同様にレベル4に指定されているが、俺の見解では奴等はこの2体よりも厄介な相手だ。とにかく知能が高く、集団で行動し、時には罠を仕掛け、場合によっては他の魔獣を力尽くで従えて配下にするほどの頭脳と力を持つ」
「つまり、ミノタウロスやサイクロプスよりも頭がいいのかい?」
「そうだ。ミノタウロスの場合は幼少期から人語を教えれば普通に話す事も出来るが、人虎の奴等は野生の種であろうと人間の言葉を完全に理解する。吸血鬼のような人間崩れならばともかく、野生の魔物が人語を理解するなど普通ならば有り得ん話だ」
「うちのスラミンは普通に人語を理解出来ますけど」
「ぷるるんっ?」
「……話は戻すが」


ロウガの言葉にレナはスラミンを抱えて尋ねると、罰が悪そうな表情を浮かべてロウガは無視すると、地図上に表記されているオロナ鉱山の位置を見て腕を組む。


「この東壁街からオロナ鉱山までの距離はどの程度存在する?移動するだけでどれくらいの日数を必要とする?」
「ふむ、俺達ケンタウロス族ならば二日ほど走り続ければ辿り着けるだろうが、普通の人間ならば10日は掛かるだろうな!!森を熟知している森人族でも5日、乗り物を利用すればもっと早く辿り着けるかもしれんが、生憎と南方に近付くほどに危険度が高い魔物が出没するようになる!!」
「それに大軍を率いてオロナ鉱山へ向かえば確実にレイビに動きを知られてしまうだろう。だが、500人の兵士を見張らせる程の戦力が待機している事を考えれば相応の戦力で当たらねばならん」
「なら、あたし達の出番だね。魔物退治なら冒険者の仕事だよ」
「待て、その前にどうやってここまで移動を行う?我々だけで森の中を進むのは危険だ。第一に時間を掛け過ぎればレイビの方から仕掛けてくるぞ」
「しかし、人質を救出せねばこちらも思う様に動く事は出来ん!!出来れば彼等を救ってやりたいのだ!!」


どのような方法でオロナ鉱山にて強制労働されている者達を救うべくか全員が話し合う中、レナはどのタイミングで自分とアイリスが考えた救出方法を伝えようとかと考えた時、都合よくジャンヌが話しかけてくる。


「レナ様は何か良い案はありますか?」
「あ、うん……良案と呼べるは分からないけど、一応は考えた作戦があるんだけど」
「へえ……もう作戦を思いついたの、流石ね」
「えっへん、敬うがいい」
「あれ!?なんでコトミンちゃんが誇らしげに言うのかな!?」


レナの言葉にシズネが感心した表情を浮かべ、コトミンが自慢げに答えるとミナが戸惑いの声を上げる。その反応を見てガロがつまらなそうにレナの作戦の詳細を尋ねた。


「おい、勿体ぶってないでさっさと答えろよ。碌な作戦じゃなかったら笑い物だぞ」
「ガロ、お前はどうしてそんなに態度が悪いんだ……」
「あんまり期待しないで欲しいけど……まずはですね」


地図に表記されたオロナ鉱山を確認すると、レナは自分が事前にアイリスと相談した上で考えた作戦を伝え、その話の全容を聞いた全員がそれぞれの反応を示す。


「その作戦……本当に上手く行くのか?」
「到底信じられんが……」
「ふむ、だがその話が真実だとすれば確かに……」
「話には聞いていたけど、まさか本当にそんな事が可能なのかい?」


ロウガ、ガンモ、ギンタロウ、バルは作戦の内容を知って困惑の表情を浮かべる中、レナの仲間達は納得したように頷く。


「なるほど、確かにその手があったわね」
「けどさ、この方法だとレナに負担が大きすぎるんじゃないのか?」
「確かに底が心配だな……」
「大丈夫、それなら私達が手助けすれば問題ない」
「凄いよレナ君!!この方法ならきっと上手く行くよ!!」
「私はレナ様を信じています」


シズネ達はレナの作戦に賛成する一方、レナの身体の安否を心配する者も居たが、彼の作戦が上手く行けば確実に500人の兵士を安全に東壁街へ避難させる事が出来た。今は議論して時間を無駄に消費する事も惜しく、レナはギンタロウに指示を仰ぐ。


「この作戦を実行するかどうかはギンタロウさんの判断に従います。どうですか?」
「ふむ……分かった、エリナの兄貴分で娘の恩人である君の事を信じよう!!ではまずはオロナ鉱山へ向かうための人員の選別を行うぞ!!」
「その話、俺たちも参加させてもらおうか」


ギンタロウの言葉に天井の方から聞き慣れた男性の言葉が聞こえ、レナ達は視線を向けるとそこには天井に張り付くカゲマルとハンゾウの姿が存在した。
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