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外伝 ~ヨツバ王国編~
時間がない
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「ぐううっ……て、てめえらっ!!こんな真似をして只で済むと思うなよ!?」
「うるさい猫ね、その状態でまだ生きているのは大したものだけど、自分の立場は分かっているのかしら?」
「ぐうっ……!?」
シズネは自分を乏した人虎の首筋に刃を構え、冷たい瞳で睨みつける。人虎は腹部を貫かれたが、魔人族特融の生命力の強さで意思は保っていた。だが、治療を施さなければいずれ死ぬのは免れず、そんな人虎に対してシズネは刃を構えながら問う。
「さあ、他の仲間の居場所を教えなさい。こっちはそれほど時間の余裕はないのよ」
「い、言えば助けてくれるのか?」
「楽にしてあげるわ……苦しみからね」
「くそ、何て野郎だ……」
「誰が野郎よ、今以上に苦しみを味わわせてあげてもいいのよ?」
「し、シズネ殿落ち着くでござる!!」
野郎という単語にシズネは過敏に反応を示し、先ほど男と間違われた事を気にしているらしく、慌ててハンゾウが彼女を宥める。他の人虎に対しては既に討伐済みなので情報を聞けるのは彼女が捕まえた人虎しか存在せず、ギンタロウが採掘場の現況を問い質す。
「さあ、答えろ!!俺の部下はどのような扱いを受けているのだ!?」
「へっ……さっきも言っただろ、あいつらは馬車馬のように働かされてるってな。だが、いくら人数が多い殻って非力な森人族じゃ碌な力仕事も出来ないからな。朝昼夜、休まず働かせてるぜ」
「何と卑劣な……!!」
「下衆が……」
人虎の言葉に他の者達も怒りを抱くが、あまり時間の余裕がないため、用件だけを尋ねなければならない。
「他の人虎たちは何処にいる?やはり、採掘場か?」
「そうだ……だが、ここにいるのは俺等以外だと白虎さんしかいねえ。少し前、他の人虎たちはレイビ将軍に呼び出されて鉱山から去ったんだ」
「何だと!?一体どうして……」
「決まってんだろ、お前等の領地を襲うために呼び出されたのさ!!ぶははははっ!!」
「……もういいわ、楽になりなさい」
最期に笑い声をあげた人虎に向けてシズネは雪月花を構えると、人虎の口内に刃を差し込んで頭部を貫通する。人虎は苦しむ間もなく絶命し、剣を引き抜いたシズネは刃にこびり付いた血液を振り払う。
「むうっ……予想していた通り、やはり人虎も戦力に加えて俺の領地へ攻め込む算段か」
「なるほど、ならば鉱山の兵士の増員は人虎の代わりに500人の兵士の監視ためだったのか」
「だが、こやつの話が真実ならば残っているのは白虎と呼ばれる魔人族だけだ。すぐに採掘場に向かうぞ!!」
「そうだな……よし、行くぞ」
「ちょ、ちょっと待てよ!!」
ギンタロウを先頭に全員が走り出そうとした時、ダインが声を掛けて皆を引き留める。何事かと振り返るとダインの傍には肩を貸してもらったレナが衰弱状態に陥っていた。
「レナの奴がもう限界なんだよ!!さっきから話しかけても返事もしないし、ありったけの魔力回復薬を飲ませてもこの状態なんだよ!!」
「なっ……どうして早くそれを言わないの!?」
「……少し前までは普通に話せていた。だけど、急に容体が悪くなった。もう時間がない」
「そんな……!!」
レナの元に仲間達が駆けつけ、最早返事をする気力もないのかレナは虚ろな瞳でダインに抱えられていた。それでも意識は保っているのか話しかけると顔を向けるため、まだ空間魔法を持続する体力は残っているらしい。
「ぬうっ……このままでは不味い!!」
「り、リンダがいてくれたら体力を分けてあげる事が出来るのに……!!」
「どうすんだよ!?こんな状態のレナに500人の兵士を助け出す余裕なんてないぞ!?ここはもう引き返すしかないって!!」
「駄目だ、またこの場所へ忍び込めるとは限らん。それに逃がした兵士がすぐにレイビの元へ報告へ向かう。そうなれば人質にされた兵士達の身が危ない」
「だけど……!!」
「うっ……大丈夫だって、まだ平気だから……」
仲間達の口論を耳にしたレナは口を開き、自分は問題ないと証明するように乾いた笑みを浮かべる。その姿を見て他の仲間達がレナが嘘を吐いている事は分かっていたが、それを見たギンタロウは決心したように頷く。
「……エリナとティナ王女、それにコトミン君とダイン君とシズネ君はここでレナ君の介抱してくれ、後の人間はこのまま一気に採掘場を制圧する」
「待ちなさいよ、私も行くわ」
「いや、しかし……君はレナ君の事を」
「今の私がやるべき事はレナの傍に居て守る事じゃない……レナの負担を減らすために採掘場を制圧する事よ。議論の時間も惜しい状況なの、早く行くわよ!!」
「シズネ君……そうだな、では行こう!!」
この場に最低限の人員を残してレナの警護を任せると、他の者達は採掘場へ向けて駆け出す。その様子をダイン達は見送ると、衰弱状態のレナを守るために身を隠す。
「うるさい猫ね、その状態でまだ生きているのは大したものだけど、自分の立場は分かっているのかしら?」
「ぐうっ……!?」
シズネは自分を乏した人虎の首筋に刃を構え、冷たい瞳で睨みつける。人虎は腹部を貫かれたが、魔人族特融の生命力の強さで意思は保っていた。だが、治療を施さなければいずれ死ぬのは免れず、そんな人虎に対してシズネは刃を構えながら問う。
「さあ、他の仲間の居場所を教えなさい。こっちはそれほど時間の余裕はないのよ」
「い、言えば助けてくれるのか?」
「楽にしてあげるわ……苦しみからね」
「くそ、何て野郎だ……」
「誰が野郎よ、今以上に苦しみを味わわせてあげてもいいのよ?」
「し、シズネ殿落ち着くでござる!!」
野郎という単語にシズネは過敏に反応を示し、先ほど男と間違われた事を気にしているらしく、慌ててハンゾウが彼女を宥める。他の人虎に対しては既に討伐済みなので情報を聞けるのは彼女が捕まえた人虎しか存在せず、ギンタロウが採掘場の現況を問い質す。
「さあ、答えろ!!俺の部下はどのような扱いを受けているのだ!?」
「へっ……さっきも言っただろ、あいつらは馬車馬のように働かされてるってな。だが、いくら人数が多い殻って非力な森人族じゃ碌な力仕事も出来ないからな。朝昼夜、休まず働かせてるぜ」
「何と卑劣な……!!」
「下衆が……」
人虎の言葉に他の者達も怒りを抱くが、あまり時間の余裕がないため、用件だけを尋ねなければならない。
「他の人虎たちは何処にいる?やはり、採掘場か?」
「そうだ……だが、ここにいるのは俺等以外だと白虎さんしかいねえ。少し前、他の人虎たちはレイビ将軍に呼び出されて鉱山から去ったんだ」
「何だと!?一体どうして……」
「決まってんだろ、お前等の領地を襲うために呼び出されたのさ!!ぶははははっ!!」
「……もういいわ、楽になりなさい」
最期に笑い声をあげた人虎に向けてシズネは雪月花を構えると、人虎の口内に刃を差し込んで頭部を貫通する。人虎は苦しむ間もなく絶命し、剣を引き抜いたシズネは刃にこびり付いた血液を振り払う。
「むうっ……予想していた通り、やはり人虎も戦力に加えて俺の領地へ攻め込む算段か」
「なるほど、ならば鉱山の兵士の増員は人虎の代わりに500人の兵士の監視ためだったのか」
「だが、こやつの話が真実ならば残っているのは白虎と呼ばれる魔人族だけだ。すぐに採掘場に向かうぞ!!」
「そうだな……よし、行くぞ」
「ちょ、ちょっと待てよ!!」
ギンタロウを先頭に全員が走り出そうとした時、ダインが声を掛けて皆を引き留める。何事かと振り返るとダインの傍には肩を貸してもらったレナが衰弱状態に陥っていた。
「レナの奴がもう限界なんだよ!!さっきから話しかけても返事もしないし、ありったけの魔力回復薬を飲ませてもこの状態なんだよ!!」
「なっ……どうして早くそれを言わないの!?」
「……少し前までは普通に話せていた。だけど、急に容体が悪くなった。もう時間がない」
「そんな……!!」
レナの元に仲間達が駆けつけ、最早返事をする気力もないのかレナは虚ろな瞳でダインに抱えられていた。それでも意識は保っているのか話しかけると顔を向けるため、まだ空間魔法を持続する体力は残っているらしい。
「ぬうっ……このままでは不味い!!」
「り、リンダがいてくれたら体力を分けてあげる事が出来るのに……!!」
「どうすんだよ!?こんな状態のレナに500人の兵士を助け出す余裕なんてないぞ!?ここはもう引き返すしかないって!!」
「駄目だ、またこの場所へ忍び込めるとは限らん。それに逃がした兵士がすぐにレイビの元へ報告へ向かう。そうなれば人質にされた兵士達の身が危ない」
「だけど……!!」
「うっ……大丈夫だって、まだ平気だから……」
仲間達の口論を耳にしたレナは口を開き、自分は問題ないと証明するように乾いた笑みを浮かべる。その姿を見て他の仲間達がレナが嘘を吐いている事は分かっていたが、それを見たギンタロウは決心したように頷く。
「……エリナとティナ王女、それにコトミン君とダイン君とシズネ君はここでレナ君の介抱してくれ、後の人間はこのまま一気に採掘場を制圧する」
「待ちなさいよ、私も行くわ」
「いや、しかし……君はレナ君の事を」
「今の私がやるべき事はレナの傍に居て守る事じゃない……レナの負担を減らすために採掘場を制圧する事よ。議論の時間も惜しい状況なの、早く行くわよ!!」
「シズネ君……そうだな、では行こう!!」
この場に最低限の人員を残してレナの警護を任せると、他の者達は採掘場へ向けて駆け出す。その様子をダイン達は見送ると、衰弱状態のレナを守るために身を隠す。
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